2018/09/23 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にマーシアさんが現れました。
マーシア > 女が其処を通りかかったのは、ほんの偶然の筈だった。

人を物同然に、時に物よりも酷い扱いで売り買いする市場を要する此の街に、
己が居ること自体、稀なことでもある。
けれど、―――呼ばれた気がした。何処かから、とてもか細い声で。
そうして、ひと気の無い裏路地の片隅で、蹲る少女を見つけた。
細い首に不釣り合いなほどごつい首輪、解れた髪の間から覗く尖った猫の耳。
襤褸布のようなものを纏って、四肢を縮こまらせている此の少女が、
所謂逃亡奴隷であることは、誰の目にも明らかだったが。

「……貴女が、私を呼んだのですか?」

女にとって、重要なのは其の一点である。
大きく目を見開いた少女が、ぽろりと涙を零すから、確信した。
微笑みながら、羽織っていた白いストールを肩から外す。
たっぷりとした其れで、少女の身体を包み込んでやりながら。

「さあ、もう大丈夫……私が、此処に居ますからね」

柔らかく、声をかける。震える少女の身体を、ストールごと抱き寄せて。

マーシア > 震えながら嗚咽を洩らす少女を抱き込み、其の嗚咽が鎮まるまでの間。
触れた掌から惜しみ無く注ぐのは、彼女の傷を癒す光。
勿論、心に刻まれた傷ばかりは癒せる筈も無いが―――――

暫くの後、少女と共に立ち上がった女は、宿を目指して歩き出す。
何を措いても、疲れ切った少女に休息を与える為だ。
本当はこんな街、一刻も早く離れたいと思ったが―――――。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からマーシアさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にセレナさんが現れました。
セレナ > 夜風に髪をなびかせながら、人の流れに乗るようにゆっくりと通りを歩く。
耳に届く嬌声や野卑な声に誘われるようにして目を向ければ、あられもない姿をさらす女性やそれを嬲る男性たちの姿が目に映る。
少し視線をずらせば、首輪を嵌められた見目麗しい女性たちが値札をつけられて売られていて実にこの街らしい背徳の風景が日常として演じられている。
それらに対して何も感じないかというと、そんな事は無く頬が熱を持つのを感じてそれらの光景から微妙に目線を反らして歩く。この街にあわせたちょっとした冒険心で下着もつけずに出て来てみたが、相変わらず刺激の強い光景に動じてしまって、ちょっと冒険しすぎたとか思いながらひとつの店に足を踏み入れる。

「えっと、新刊コーナーは……」

いわゆる大人の玩具。あるいは、この街らしい奴隷の調教グッズそれらを扱う店のひとつ。そして、この街ならではの充実した濃い内容の書籍類。
後者を目当てに、書籍コーナーの方へとこそこそと移動して目当ての新刊が出てないかと探しはじめ。