2018/05/07 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」に縷々さんが現れました。
縷々 > 零れる些か調子っ外れの鼻歌は…多分、誰も気に止めないだろう。周囲を行き交う者達は皆忙しなく、壁際の人影になど目もくれない。少々勘違いした誰ぞが、立ちんぼ呼ばわりして声を掛けて来る、なぞという事も無かった。何せ此処はそんな物に手を出さずとも、性に爛れる奴隷商売の最大手。けたたましく響く呼び込みの声、売り手と買い手の鬩ぎ合い、そして…悲鳴と嬌声と。それ等が些細な物音など、掻き消してしまうのだ。

「ま、それが――良いんだケド。」

今この場で、一人倒れる者が居ても。それすら気にされないような場所。例えそれが、転倒でも貧血でもなく、正しく命を落とした故だとしても。だから、此処で仕事をしたい。殺しの依頼は、通りを挟んだ向かいの店、その主。依頼者が商売仇だか、娘でも買い叩かれた不幸な人かは知らないが。取り敢えず己にとっては、相手さえ分かっていれば良い。…目標が店先に出て来るのを待つ。かれこれ、三日目。一度、鼻歌が止まったのは。退屈な張り込みに、小さく欠伸を噛み殺したからだった。

縷々 > 「――来た。」

にんまり。向かいから街路へ出て来た恰幅の良い人影は、間違いなく、目当ての人物だ。何処へ向かうのか、或いは単なる帰宅なのか、どちらでも構わない。数人連れが居るようだが、まぁ…その程度は想定内。やや距離を置き、人混みに紛れ、後について歩き出し――結果は、後日。不幸な死体が一つ、二つ。何処ぞで見つかる事になっただろうか。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」から縷々さんが去りました。