2018/03/19 のログ
シルヴィア > 「んー今日は帰ろうっと」

欠伸をして家路に帰っていった。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からシルヴィアさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 第七師団長オーギュスト・ゴダン。
かつて王国における対魔族戦線の全てを担い、その暴力的とも言える手腕で北方を支えていた将軍は、すっかり様変わりしていた。

「――おせぇぞ」

ずらずらと入ってくる奴隷たち。その全てが女。
オーギュストは奴隷商人の一人の屋敷を接収、このバフートで女奴隷を食いつぶしながら生活していた。
王都では貴族に目をつけられ、面倒な事になったがゆえの逃避だった。

女たちに奉仕を強要し、嬲り、そして蹂躙する。
その剛直を力任せに挿入し、便器のように扱い、そしていらなくなれば殺す。

男がしていたのは、ただの排泄行為。
欲求が溜まったが故の生理現象だった。

足りない。
足りない。
足りない!

いくら女を抱こうが、美食を貪り美酒を煽ろうが、足りない。
この渇望が収まる気配は無い。

オーギュスト > 「『梟』に言っとけ、質が落ちてるぞ」

最早かつての威厳など何処にもない。
落ち窪んだ目にぎらついた瞳。
息は酒精に塗れ、肉体能力すら落ちはじめた。

だが、男は止まらない。
その身に溢れる渇望がおさまらないように。
その暴走も止まる事がない。

「――おい、酒が切れたぞ!」

女奴隷を犯しながら叫ぶ。
最早その様は暴君と呼ぶに相応しい。

オーギュスト > 女の一人が倒れた。
おそらく、昼夜を問わず抱き続けた結果だろう。
奴隷商人の手先たちが、担ぎ出していく。

金はたっぷりとある。
2,3人商人から身代ごと搾り取ったのだ。
なくなれば、また誰かから奪えばいい。

この渇きを癒さなければ。
男の頭にはそれのみが木霊している。

――王都では既に彼に対する解任の根回しが進んでいるというのに。

ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」にマリーさんが現れました。
マリー >  
担ぎ出された奴隷女と入れ替わるように、その少女は現れる

使用人も奴隷商人達も、少女がするりとその部屋へと入ってきたことを不思議に思わない
まるで透明人間でも入ってきたかのように、極々自然に…

「アルコールと…ふふふ、すえた匂い♡
 ご機嫌如何かしら、第七師団将軍オーギュスト閣下。
 ──あ、もうすぐ解任されるんでしたっけ?」

小悪魔じみた笑みを浮かべ、獣の如く女を犯しているオーギュストに臆することなく歩みよってゆく

オーギュスト > ――女を見ても男の表情は変わらない。
この女が極上である事を知っている。
その身体に溺れた事もある。

だが、最早彼は、その女に対する執着すら失ってしまっていた。

「――しらねぇよ。抱かれにきたのか」

吐き捨てるように言うと、次の奴隷女を抱きはじめる。
悲鳴と嗚咽すら気にせず、男は腰を振り続ける。
まるで、それが義務だとでも言わんばかりに

マリー >  
「…ん~、どうなってるかなぁ、って様子を見に来たのだけど」

男のつれない答えに、口元に指を当てて苦笑を浮かべる

「貴方が軍のお偉いさんだったのは後から知ったの。
 そうね、あの時はものすごく魅力的に見えたのよ」

言葉を紡ぎながら、オーギュストと女達の周囲を軽やかに回るように歩いて

「欲に忠実、しかもその欲といったら人の身には余るような、悪魔的な強欲。
 貴方みたいな人が、きっと道を違えなければ英雄と呼ばれたんだろうなぁ、なんて……」

歩みを止めて、その顔を覗き込む少女
手も、足も、伸ばせば容易に届く距離
足元で女が悲鳴をあげていても少女は眉一つ動かさない

「もう底が見えちゃったかしら、所詮は人間だったわね♡」

滑稽なものを見て嘲笑するような、見下した笑みを向けていた

オーギュスト > 男の欲は、人の身に余るものだった。
だが、その欲を支えていたのは、各個たる信念と己への絶対の自信。
それが溶けてしまえば、行き場を失った欲望は男自身を飲み込む。
それだけの事。

「――てめぇが望んだんだろうが!」

凶暴に言うと、足元の女を蹴り飛ばしてマリーへと掴みかかる。
だが、その身体能力は衰え、ただの成人男性程度に成り果てている。
かつて王国屈指の将軍として鳴らした男の、成れの果てだ。

マリー >  
掴みかかる男の手をかわすこともせず、その見下した目線を向けたまま少女が哂う
紅く、妖しく光る瞳は人のものならざる雰囲気を醸し出して…
既に少女は人間でないことを隠すことすらしていなかった

「ええ、その通り、私のおもしろぉい玩具になってくれるかと、期待して…ね」

ぬけぬけと言葉を紡ぐ
ドレスに装われた華奢な身体はオーギュストの体格からすればどうにでもできそうなものだったが、
臆する様子など、この少女は微塵も見せない

「わたし、可愛い女の子に生やして遊ぶのが好きなのだけど、
 貴方みたいな玩具もたまにはいいなぁ、って…そう思わせてくれたから、
 もうちょっと楽しめそうなら、噛んであげても良かったんだけどなぁ…?」

笑顔の口の端から小さな牙を覗かせて、笑みを浮かべる
残念ながら、上辺を剥いでしまえば中身は非常に脆かった
面白いように転がり落ちてゆくこの男を見ているのも楽しかったが、
堕ちるところまで堕ちてしまったなら───少女にとってはもういらないものであった
第七師団将軍の肩書と、商工会の関係があった故の繋がりでもあった
それすらももう、失われようとしている

「可愛い女の子に吠えちゃって♡ 痩せ犬みたいね、わんわん鳴いてくれたらペットとしては飼ってあげてもいいわよ♪」

オーギュスト > 「ふざ、ける、なぁ……!」

掴みかかり、殴ろうとする、が。
酒精に犯されたからだではそれもままならず。
振りかぶった拳は空を切り、地に斃れ伏す。

そこには、かつての将軍の威厳など何もない。
ただ、堕ちた男の残骸が惨めに転がっているだけ。

「ちっく、しょぉ……」

足りない。
足りない。
足りない!

何かが、絶望的に足りない。
この身の渇きを癒せるのが何なのか。
かつては、確かに知っていたはずなのに……!

マリー >  
「惨め、無様、可哀想~」

倒れたオーギュストの前にしゃがみ込み、頬杖をついてそう言葉を投げ下ろす

「もう貴方には飽きちゃったけど、十分楽しませてはもらったかな。ただの人間にしては、ね♡
 クソババアのお城を攻め落とす、みたいなことを息巻いていたらしかったから、
 実は堕ち切らずに抗ってくれるかなーなんて結構期待してたんだけど…」

自分勝手なことをつらつらと喋りつつ、
少女は立ち上がり、あろうことかオーギュストの頭を足蹴にする

「自分自身の欲に抗う程強くもないし、誰かに服従できるほど誇りを捨てられない…。
 貴方のそういう最後の姿、ちょっとだけゾクゾクしちゃった…♡
 お城ではまだ貴方のことを探している人達もいるみたいだけど…こんな場所は早々見つけられないでしょうねぇ」

そう言うと、最早興味は失せたかと言うように少女はふわりとドレスを翻し、その背を向ける

オーギュスト > 足蹴にされても、振り払う事も出来ない。
男の身体はそれほどに蝕まれている。
おそらく、長くは保たない。

「ま、て……」

翻り、部屋から出て行こうとする少女。
その後姿に、惨めに、縋るように手を伸ばし。

「まって、く、れ……」

せめて、せめて

殺してくれ、もう終わらせてくれ

それすら言う力もない

マリー >  
「……」

少女は振り返る
血のように赤い瞳が、見下して笑う

「貴方の買った奴隷ちゃん、
 可愛い子もいたから何人かもらって帰るわね♪」

その視線も笑顔も言葉も
少女の興味は既に男には向いていなかった

言い終わった少女はそのままもう一瞥をくれることもせず、部屋から姿を消してしまった───

ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」からマリーさんが去りました。
オーギュスト > 「――――」

オーギュスト・ゴダンという男はここで終わる。
男としての尊厳も、軍人としての誇りも、将軍としての野心も。
全て己の欲望と禁忌の呪法によって潰えさる。

「――っそガァ!!!」

……はずだった。

だが、彼は生き永らえる。
なにが原因なのか、なにを思っての事なのか。
それは分からない。

だが、彼は何かに突き動かされるように生き続ける。
永遠に満たされないまま渇望し続けるという、地獄の中で。

ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」からオーギュストさんが去りました。