2017/12/09 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にチルユキさんが現れました。
チルユキ > するりと、人の波間を縫い歩く。
荒れた場所を一人で歩く姿を気に留めるひとは少ない。
気配を薄めるちからを目晦ましに纏わせて気の向く儘歩き
トタンが突き出た廃墟の壁際で蹲る。

腹はそこそこ満ちている、目的等も無く目鼻の先で繰り広げられている競りを見遣る。

焦点が定まらないような男や女が、己が聞いても桁を間違えているんじゃないかと思う程の安値を、値札を付けられる。やせ細った腕、

「…あまりおいしくなさそうだ、」

口角を上げてその鎖を引く商人を見ても、感想は同様だった。脂が乗ってもたれそうな。

ぽつりと雨が降り注ぐ気配に頤を上げ、

チルユキ > 乾いた大地にぽつりと染みた雫が見る間に色を染め変えていく。
さあ、と細い音を伴って霧雨が針のように視界を埋め尽くす。
僅かしか突出していないトタンの影に収まるように壁際にぎゅっと身を寄せる。

偶々最初から雨宿りも出来る場所にいた己は、前に放り出していた腕が濡れた程度。
天井が無い場所にいた者らが慌てて身仕舞をはじめ、怒声や悲鳴すら上げながら散開していく。

蜘蛛の子を散らすような様が面白くて、緩く小刻みに肩を震わせて笑う。

チルユキ > 笑う波が収まる頃、貌を上げた先にはすべてを覆い隠したような雨模様。

人々の避難も粗方終わったようで、申し訳程度に突き出たトタンの下に雨宿りに来るものも今は見当たらない。

立てた指先に緩いつむじ風を呼んで、視線で物の輪郭を一頻り浚い。少し離れた道の真ん中へ風を放り投げる。
雨を巻き込んで、踵程の低い位置でくるりと風が渦を作って掻き消え。手隙を埋めるようふたつ、みっつと遊ばせる。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からチルユキさんが去りました。