2017/11/07 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 冬の足音が日に日に大きくなる昨今。
王都に行動の拠点を置く妖仙は、支店の視察がてら少しばかり足を伸ばして奴隷市場都市へ。
目的は、当人にも今一つ絞りきれていない様子。
奉公人として雇い入れられそうな人材を購入する。
或いは、腕に覚えのありそうな輩を隊商の護衛として買い上げる。
もしくは、単なる玩具を手に入れる。
大雑把な動機はこのぐらい。

「表通りじゃと、如何にもこうにも”真っ当”過ぎる奴隷しか売られておらぬからのぅ。
 通ぶるつもりはありゃせんが、この辺りの方が具合がよかろうて。

そう零しながら徘徊するのは、大通りから一本二本外れた裏手側。
大通りに居を構える店では、良くも悪くも客受けしそうな奴隷が多い。
それは見目麗しかったり、無垢な者であったり。
需要があると理解しつつも、この小さな存在の用途に合致するとは限らない。
寧ろ、こういった目立たぬ界隈の方が、訳ありの即戦力になりそうな奴隷が居そうだと。

ホウセン > 性奴隷を取り扱っているという事情もあるのだろう。
普通の市場では営業時間外もいい所である夜半を過ぎても、活況を呈する通り。
客の興味を惹く為の売り文句は、粗野で、猥雑で、下世話だ。
何処何処の名家のご令嬢だったからまだ男を知らないとか、あまり名も聞かない周辺国の戦士で腕っ節には自信があるとか。
その奴隷が有する価値を、露骨なまでに声に乗せて謳い上げる。

「ぬ。儂か。
 嗚呼、いや、冷やかしではないのじゃが、生憎と目に留まる者がおらんでのぅ。
 何じゃ?
 元戦士…賭博の負けが嵩んで身売り…?」

倫理観なんて歯牙にもかけず、なんでもありのこの辺りでも、子供に見える存在の一人歩きは物珍しいらしい。
通り掛かった店先で店主に呼び止められ、暫し商品の説明に耳を傾ける。
チラリと視線を店の陳列棚とも言うべき檻の並べられている方へ目をやれば、簡素な貫頭衣に身を包んだ女。
褐色の肌は、王国よりも南方の出身と察せられ、薄手で目の粗い布地から見え隠れする肢体は筋肉質であった。

「いやいや、悪ぅないが、もうちっと安くなりゃせんかのぅ。
 ほれ、アレじゃ。
 荒事にも夜伽にも等というのであれば、もうちっと熟れた感じが欲しい所じゃ。」

人間一人の価値を、第三者が勝手に切り売りするという不道徳な光景。
そんな遣り取りを、何処か他人事のように見上げる元女戦士とやらには、檻に繋がれる前は持ち合わせていたであろう覇気の欠片も見出せない。