2017/10/06 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にミューズさんが現れました。
■ミューズ > バフートの大通りにある、娼館をすぐ脇に備えた奴隷商。
あちらこちらと時折連れ回されるもののいつも大体そこに飾られるのが仕事だった。
当然買い手がつけば、すぐ横の娼館で相手をすることになるのだが…今日はオークションが盛り上がってでも居るのか、人の流れがいつもと違う。
店の前で足を止める人も少なく、平穏なひと時を過ごしている。
■ミューズ > 「今日は、大丈夫そう……」
良かった、とぽつり呟くと同時に奴隷商が現れた。
続けて現れた人物が自分を見る目で、今までの安心が絶望に変わる。
そのまま紹介もそこそこに、娼館へと送られていくことになるのだった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からミューズさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にミュレスさんが現れました。
■ミュレス > 昏い喧騒で溢れ返る奴隷市場を、アルビノの異端審問官が法衣の裾を揺らして歩く。普段は王都におけるアイオーン信仰の摘発や教会内の不正調査に勤しむ身だが、バフートの視察もまた責務の1つだった。
「……」
微笑を貼りつけ、腰の引けた奴隷商を見回しながら、檻に入れられた商品を品定めする。バフートにおける聖職者……もとい、異端審問官の役割は、奴隷達がノーシス主教の教えに則った扱いを受けているか否かを見定めること。
■ミュレス > マグメール王国において奴隷制度は黙認されているが、だからといって野放しとはならない。奴隷のもたらす利益は無視するには大きすぎ、絶えず店頭に並ぶ美しい性奴は豊かな人々を惹き付けるからだ。
当然ながら王都の貴人達は黙認の対価を求め、バフートの権力者達はそれに応じた。そこに深く関わっているのが誰あろう、神聖都市ヤルダバオートの聖職者達なのである。
彼らは弱者救済の理屈をもって奴隷制度の維持を王都に進言し、バフートの利益を守った。勿論、相応しい対価で、だが。そしてその関係が絶えぬよう審問官を派遣し、一体誰がこの奴隷市場都市を栄えさせているか、商人達に思い出させるのである。
「ふう、ん……」
首から値札を下げさせられた者、見世物として性的虐待を受けている者を見ながら、市場を回る。相も変わらず、笑みを湛えて。
■ミュレス > そしてこのアルビノを出迎える時、商人達は皆苦々しい思いを胸に抱いていた。大抵の堕落した聖職者や審問官であれば、性奴隷を宛がって懐柔できるが、この女の場合そうもいかない。どれほどの美少年や美男子を紹介しても、興味を示さないからである。
同性愛を疑った商人が居ない訳では無い。とっておきと言わんばかりにミレー族の性奴をちらつかせ、今後も良い関係を築いていきたい、といった男に対し、女はこう返した。
「私を買収するつもりですか?」
以来、アルビノの審問官は疫病神が如き扱いを受けている。もてなして懐柔することが出来ず、機嫌を損ねれば災難が降りかかるからだ。奴隷商がこの女の好み、というか異常性欲を理解していれば、もっと振舞い方もあったろうが。
檻の中に陳列された可憐な美少女、美少年を横目に視察を続ける。自分の好みに合う奴隷が、1人くらいいる筈ではないか、と淡い期待を抱きながら。
■ミュレス > 鞭打ちの音と幼さを感じさせる悲鳴が進行方向左手から上がった。粗相をしたか、言いつけを守らなかったか、とにかく商人の不興を買った少女奴隷が、男の罵声と共に鞭を浴びている。泣き叫ぶ少女の背は肌が傷つき、血が滲んでいた。
「お止めなさい」
笑顔は絶やさないまま、しかしはっきりとした口調で制止する。鞭を振り上げたまま此方を振り返った屈強な奴隷商が片方の眉を吊り上げ、「あぁ!?」と凄んだ。見ない顔だ。バフートで商売を初めて間もないのだろう。
「奴隷の躾けが重要であるとは理解していますが、虐待はいけません。徒に傷を負わせて一体何になりますか」
法衣の裾をはためかせ、歩み寄る。舌打ちした奴隷商が此方へ近付き、反対に彼の傍から人が散っていった。これから起きることを心得ているからである。
■ミュレス > 「おい、白いの」そう言った奴隷商が審問官の肩を掴み、酒臭い息を吐きかけた。そして薄笑いと共に続ける。「此処が何処だか分かってねえようだな?」と。
「いいえ」
微笑みと共に頭を振った女は、自分の肩を掴んだ男の腕に触れる。自身の掌と、男の肘の合間から火花が散った。
「分かっていないのは、其方です」
金色の炎が一瞬で奴隷商の男を包み込み、松明の如く燃え上がらせる。響き渡る本人の絶叫、奴隷達の悲鳴。左半身を焼かれた男が路上に倒れ伏し、転げ回る。
「そこの貴方、此方の男性の傷が良くなるまでの間、店の管理をお願いできませんか?」
立ち尽くし、一部始終を見ていた別の商人に呼び掛ける。彼は金の炎を纏う審問官の右手と、半身に大火傷を負い悲鳴を上げ続ける男を交互に見た後、幾度も首を縦に振った。
「よしなに」
微笑と共に首肯を返した。このような騒ぎは珍しくない。混乱も直に収まるだろう。勿論、鞭打たれていた少女を光によって癒した後、視察を継続する。何故なら、か弱い者は全く好みでないから。