2017/09/29 のログ
■セイン=ディバン > 少女がするのと同様に。相手もまた、少女を観察しているようで。
当然、不快には思わないし、咎めようとも思わない。
自分が行っているのだ。相手がソレを行うのもまた、自由である。
「え~、っと。はい、まぁ。正直困っていますね。
色々と、ですけど。早く元の身体に戻りたいものです」
相手の感じたとおり。少女は、呪いについてそこまで本気で困っているわけでもない。
無論、解呪したいとは思っているが。焦っても仕方ないさ、の精神である。
良い事も有れば、悪い事もあった。それもまた、経験である。
「……? まぁ、それならいいんですけど。
もしもご迷惑をお掛けしているのならば、素直におっしゃって下さいね?
何せ、田舎育ちでマナーとかルールに疎いもので」
どうにも歯切れの悪い相手の様子に、少女は首を傾げるが。
あまり深く追求しないほうがいいのかな? と思い。一歩引いた発言にとどめる。
どうにも、女性の頬が若干紅い気がするが。少女は、慣れぬ奴隷商人との交渉で、緊張したのだろうな、と判断した。
「え~っと、それは随分。同僚様は人を見る目が、無いようですね?
優しいとか、言われたことありませんから……。
お礼だなんて、そんな。お気になさらなくても宜しいのに……。
でも、せっかくの申し出をお断りするのも失礼ですね」
少女は、自身を良い人、優しい人とは思わない。
小悪党、下種、狡くて口と頭と股間で世を渡る。それが自己評価だ。
その証拠に。別段見返りを求めて助けたわけでもない相手からの申し出には、困ったような表情をしつつ、内心は大はしゃぎ、である。
「では、そうですね。近々また宿にお伺いすることもあると思いますので。
その時は、オデットさんに何かサービスしていただけますか。
例えば、晩酌のお付き合いとか、マッサージ、とか。
オデットさん、整体? でしたっけ? 東の国の。あれとかできません?」
あくまでも、表面はがっついている様子を見せず。しかし、内心では、この女性の身体を貪るチャンスが出来た、とほくそ笑む。
そのまま二、三、言葉を交わした後。少女は女性に手を振り、頭を下げてその場を去っていった。
実に上機嫌に。鼻歌など歌いながら。少女が宿を訪れるのは……そう遠くないことであろう。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からセイン=ディバンさんが去りました。
■オデット > たしかに少女の中身はその外見と同様ではないようである。
どことなく落ち着きがあり、その真逆の男性だからこそ持ち得るキュートさも感じられる。
外見とのギャップから歳若い少女として接すればよいのか、同年代の異性として見るべきなのか判断できず少々戸惑うものの。
「戻られましたら私もそのお姿、拝見したいですわ。
…そうでないと、まだ少しセインさまが男性だなんて信じられませんもの」
まだまだくすぐられる好奇心に本音をぽつり。
元は人間の男性だと自称する少女だが、己にとっては今まで出会った中で最も不可思議な存在かもしれない。
そんな少女と遠くない日に再び会えるのなら、それはまた面白そうな話であり。
「何だか不思議ですわ。仰ることは本当に男性ですのね。
晩酌やマッサージだなんて…そのお年頃の女の子は言いませんものね。
整体は…勉強しておきます」
宿はあの様式だが、残念ながら己は王都出身なので知識ゼロ。
しかし言われたからには尽くしたくなる。
中途半端に妙な知識付けて事故でも起こさなければよいが…という不穏なフラグはさて置いて。
街の雰囲気に馴染めず冴えなかった表情は不思議な彼女―――彼?との出会いに明るくなり、
少女を見送った後は真っ直ぐ今夜泊まる宿へと戻ることにしよう。
もしかしたらもう先に購入した例の娘がいるのかもしれない。
今夜はその娘と少しでも打ち解けるために まず話のネタになるのは呪いのかかった少女のことだったのだろう―――
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からオデットさんが去りました。