2017/08/15 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にチルユキさんが現れました。
■チルユキ > 眠気に撒かれて行き倒れ同然で道端で眠り込み――――
気が付いたら奴隷市場の片隅に『商品』として列に並ばされていた。
手を持ち上げると、鎖枷がじゃらりと音を立てる。
足にも同様の鎖が掛けられて、太い鎖が――――重い。
だけど重いだけ、だ。余りに杜撰な捕獲と見目に、魔の者と捉えられなかった、のか。魔封じが施されている様子も無い。
客側に目を向けると、既に目当てを得た者から離れ始め
余り盛況とは言えない有様。
ぐい、と鎖が引かれて中央に引き立てられる
■チルユキ > 余り質が良いとも言い難い、
――――扱う者自身の質が良ければ 魔と検分する程度、魔封じ位は課せられていた筈、だけれど。
客も相応に見える、
己が引き立てられていきそうな、買おうにも買えなさそうな者、ばかり。
落札最低額が出品者側から提示される、が。
誰も、手を上げる者が居ない。
其の額では高すぎると思う故か――――
或いは、
いつでも逃げる事は出来そうだから、買い落とす者の血でも頂こうか―――と。
目が怯えた其れでなく 狙う色を過らせたから―――か。
中央に立たされた儘―――――最低落札金額が下がってく。
「―――――……」
其れは其れで少し複雑、に、―――なった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にファントムさんが現れました。
■ファントム > 重い金属音を鳴らし、鎧が歩いている。
既に落札価格は何度と言い直され、声をかけている商人の顔にも諦観に近い色が浮かびつつある頃であった。
「その値で良ければ俺が買おう。」
鎧は真っ直ぐに『商品』の前まで歩くと足を止める。
隣に居る商人に金を支払うと、首と足に付けられた枷を外す様に指示を出す。
「付いて来い。」
鎧は先ほどまで『商品』であった少女に、兜の中から曇った声を出した所で背を向ける。
歩く先は市場の隅、人目を憚って話をするにはもってこいの場所である。
■チルユキ > ―――待ちぼうけ、て。飽きてきた、処。
投げかけられた声は覚えのある物で、「あ」の形に唇が動いて止まった。
しんだ魚のようになっていた商人の目が光を取り戻し、あからさまに安堵含みの愛想笑いを向ける。
幾ら安かろう、とも。元手が零なのだから、屹度大歓迎なのだろう――――。
吸血鬼は商人の動向よりも、落札した男の方が気になって
仕返し威嚇等するでもなく枷を任せ、自由を取り戻す。
―――こくり、と頷いて、その後を追う。
ひとの機微に疎い身上は尚更心情を測りかねて―――無言でついていく。
後ろの方では、最後の奴隷を売りに出す声が、聞こえた、
■ファントム > 「お前、なんであんなところに居た?」
人気のない所に着いた所で鎧は振りかえる。
その声には特に感情は籠らず、不思議がっていると言う様子。
「喰うに困って身売りでも始めたのか?」
先日は空腹を訴えていた気がする。
今日もそんな状況なのだろうか。
■チルユキ > 少し――――否、緊張していた、鎧の男は、きちんとした常識を持つ男―――己視点―――だった、から
「お説教―――だったら……逃げ出そう、かな、とか……」
思っていた。と、ぽろりと口から思考が零れ落ちた。
問われて首を緩く傾げ
「眠気に負けて―――(道端に)――寝て、起きたら……あそこにいた、
腹は満ちてる――――けど。ありつけそう、なら、―――買い主から貰おう、かと」
■ファントム > 「説教? 死人の俺が生きてる者に何を説教する。」
少女の心のうちは鎧には読み取れないが、いわんとすることは分かる。
兜の中から笑い声がする。
「なら、今日は当てが外れたな。
前にも言ったが俺の身体には血はないぞ。
それよりお前、これからどうするつもりだ。
今からでも逃げ出すか?
俺はそれでも構わんぞ。」
■チルユキ > 「…………道端で寝るな?とか、…?」
笑い声、が。内から聞こえて。ふ、と両手を伸ばす。
鎧の頬辺りを両手で挟み込んで、真上に引っこ抜こう、と。
「…――吸えるようなら――位でいた、から、未だ大丈夫……
どうする―――……て。何、
逃げ出す………。
そういえば―――……なんでわたしを買ったの
知り合いのよしみだと、思って、た」
金を返す―――――とか、言わなそうな気配。相手から求められれば、考えるかもしれない、
■ファントム > 「なんだ、それで捕まったのか? 粗末な話だな。」
兜に手が伸び、引き抜こうとされても抵抗しなかった。
兜が抜けると、霧の様な雲の様な黒い物があり、その中に眼の役割をしている二つの光の球があった。
「今日はまだ余裕があるのだな。
逃げ出すなら好きにしろ。
お前の額はここで売られる中では最低クラスだったからな。
それもあるが、前に言っただろう?
この体でもたまには女を抱きたくなる時があるのだ。」
鎧の中も首と同様の状態である。
ただし、触れることもできるし抱こうと思えば抱ける。
そして、鎧自体にその意思があるのだ。
■チルユキ > 「――――………」
粗末。お説教なら全く耳に入らない、が。鈍い感性にもどしんときた――――
止めないだろう、けれど。沈黙――次の言葉が言えなくなった珍しい、反応。
鎧がすんなりと抜けてしまう、と。
其の重みと裏腹に、捉えどころのない何か、が。
けれど明確な意思を持って確かに存在している、のが分かる。
そろ、と。光に手を伸ばす
「………。」
最低クラス、にもう1回沈黙した。ついでに追いうちのように、早いペースで後ろから落札の声が聞こえた
――――吸血鬼、と違い。力無く、奪われるばかりな者の落札、だったが、
悲痛に上がる泣き声が聞こえて、少しだけ肩越しに其方を、振り返った。
鎧へ視線を戻し
「………いいよ、…何処か部屋で寝させてくれるなら。」
■ファントム > 「まあこれから暫くは大丈夫だろう。 何か言われたら俺がオーナーだと言えばいい。」
首の位置にある不定形の黒い塊は少女の顔をじっと見下ろしていた。
風が吹いても吹かずとも常に揺れ動く黒い塊。
光=目玉に手が触れそうになると光は黒に隠れてしまう。
ちょうど瞼を閉じたような状態。
伸びた手は形容しがたいが、何かに触れている感触は残るだろう。
「ここは長居するような場所ではない。 早く行くぞ。
仕事でこちらに来ていてな。 宿も取ってある。
狭い部屋だが辛抱しろよ。」
不定形の頭を晒したまま、鎧は歩き出す。
買ったばかりの少女を抱く為に。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からファントムさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からチルユキさんが去りました。