2017/08/06 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にラキアさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からラキアさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート/裏通り」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (なかなかに、洒落にならない価格で売り払われた。
―――――そして、逃げ出してきた。

当然、今はこの街を、できるだけ早く出ていきたい、のだけれど。
一応はひと目を避けて、細く入り組んだ路地をうろついている、
その理由はひとえに、あまりにも軽装であるからだ。

ひた、ひた、煤けた石畳を辿るのは素足で、身につけているものといえば、
明らかに己にはサイズの大きなシャツが一枚。
腿の付け根辺りまでは隠れるけれど、旅装にはなんとも心許ない。
しかして今の己には、旅装を整えるだけの金もない。

ならば、良心を売り払ってしまうしかないではないか。
うら寂しい通りを選んで辿っているのは、どこかの留守宅へ忍びこみ、
最低限の着物、履き物のたぐいを掠め取ろうという目論見のため。
ふらつく足を叱咤し、空腹なのにじわりと熱い、腹の辺りをそっと撫でて)

………こんな姿、父上が見たらきっと泣くなぁ。

(いや、これから己がしようとしていることがばれたなら、
泣くどころか大激怒であろうけれども。
―――洩らした溜め息の中にもこもる熱に、何故か、ざわりと背筋が慄いた)

リュシー > (ほっそりした白い首に、真新しい首輪の存在はひどく目立つ。

首輪の意味を取り違えるような者は、少なくともこの街には居ないだろうし、
こんなところをふらふらと、ひと目を避けて歩いている時点で、
己のおかれた境遇など、きっと大抵の人にはお見通しになるだろう。

大きなシャツの襟をことさらに立ててみたり、髪を首筋へ絡ませてみたり、
しかしどれもあまりにも不自然で、かえってひと目を引きそうだった。

結局、首輪は完全に首許へ露出した状態である。
せめて、首まわりを隠す布かなにかを手に入れたい、と思っていたが―――

不意に。
どかどかと重い靴音を響かせて、己の背後から歩いてくる気配を感じた。
その声が確かに、己を売り払った商人のものだ、と気づけば、
咄嗟にきゅっと踵を鳴らして方向転換。
ちょうど己の左手に伸びる、更に細い路地へと飛びこんだ。
今まで歩いていた道よりもっと暗く、人ひとりがやっと通れる程度の細い道へ。
その先が袋小路かもしれないとか、もっと危険な誰かが居る可能性とかは、
とりあえず考える暇もなく、手近な塀へ縋りつくよう、暗がりへ身を潜ませて)

リュシー > (己をたいそうなお値段で売ったばかりの商人は、昼間から酒盛りでもしていたらしい。
大声で笑いながら、仲間たちと何やら景気の良さそうな話をしている。
次はどこの店へシケこもうとか、いっそダイラス辺りへ繰り出そうとか。

次のオークションにはどんな商品を出してやろうか、そんな話題が出た時には、
思わず暗がりで首を竦ませたけれど―――

気づかれた様子はなく、やがて遠ざかる気配。
けれど己の方には、もう一度先刻の通りへ戻る気力が湧いてこなかった。)

……暗くなるまで、待った方が良いかな……。

(暗くなればもっと危険な街になるのでは、という正論で、
ツッコミを入れてくれる人物がここには居ない。
溜め息をもうひとつ、膝を抱えてその場に蹲ると、己はそっと目を伏せた。
陽が完全に沈んでしまうまで、ここで時間を潰そう、と。
その先にどうするか、ということは―――夜になってから、考えるつもりだった)

ご案内:「奴隷市場都市バフート/裏通り」からリュシーさんが去りました。