2017/08/04 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート/広場」にリュシーさんが現れました。
リュシー > (昔、この広場を訪れた時、己はいつも客席にのんびり座る側だった。
好みの女の子が舞台へ引き出されれば身を乗り出し、そうでもない時には
あくびなど噛み殺しながら―――そういえば、この姿になってからも、
一度、ここには来たな、とぼんやり思い出す。

―――――ここで、衆目に晒されながら、見知らぬ男に処女を奪われたのだった、と。

今宵、己の立場は首に填められた真新しくごつい首輪と、
それに繋がる頑丈な鎖が象徴している。
まともな服を調達できず、おぼつかない足取りで街を歩いていたら、
あんのじょう、どこぞの商人に捕まえられてしまったのだ。

舞台にあげられる直前、無理矢理飲みこまされたなにかの薬のせいで、
頭も身体も、ぼうっと熱に浮かされている。
首輪をつけられ、両手を後ろ手に手枷で括られ、舞台の上へ這わされて、
いま、まさにどこぞの変態に売られようとしているのに―――
恐怖も、焦りも、どこか遠くにあるようで。
ぼんやりと客席を視界に映しつつ、頭上から聞こえる商人の大仰な口上を、
ただ、他人ごとのように聞いていた)

リュシー > (こういうとき、商人が並べ立てる口上の中身なんて、
たいして変わり映えしないものである。
両手の自由を奪われているから四つん這いにもなりきれず、
双肩で上体を危うく支えている己の髪を、男の手が無造作に掴む。
金髪、といってしまえばすむところを、やたらと言葉を尽くして飾り立て、
ぐい、と乱暴に後ろへ引っ張って、仰のいた己の瞳の色についても、
同様に美辞麗句を繰り出している、らしい。)

………そんなに、貴重なもんなら、もうちょっと丁寧に扱え、って。

(ぼそりと洩らした独り言を聞かれたらしく、髪を掴む手がことさら乱暴に、
がくん、と頭が揺れる勢いで髪を離した。
項垂れて再び客席へ視線を投げるも、視界は相変わらずぼんやりとしている。
きっと知り合いがその辺に居ても、今の己には認識できないだろう。

―――いっそ、誰か知り合いが買ってくれれば良いのに。
そうしたら少しぐらいサービスしても構わない、などと、
これももしかして、ホームシックの一種、というやつなのだろうか)

ご案内:「奴隷市場都市バフート/広場」にダグラスさんが現れました。
ダグラス > 貴族や教会との略奪品取引も滞りなく完了し、想定外の収入を得たため気晴らしに奴隷でも買おうかとバフートを訪れ。
今日もどこかの奴隷商人の声が響く広場に顔を出せば舞台の上で口上を述べる商人とおそらく商品であろう少女の姿が目に留まり。

「ほぉ、こいつはいきなりいい物に巡り合えたかもしれんな」

かなり上玉といえる商品に興味が惹かれ、買う気のない観衆をかき分けて舞台に近づき。
過度に誇張された商人の口上なんぞには耳を貸さず、どこか鋭い目で値段と釣り合うか見極め。
他の観衆たちが一人二人と買取値を言って値を釣り上げていき。
やがて価格の上昇が落ち着き、商人が確定の声を上げる頃にすっと手を上げて。

「5万ゴルドだ」

観衆の喧騒に包まれた広場の中でもしっかりと商人と商品に聞こえる声で言い。
中流階級が約半年暮せるだけの金額を提示して。

リュシー > (己の見た目が、まあ、悪くない、とは思っているけれど、
奴隷としての価値となると、まったくの門外漢と言って良い。
金髪碧眼の少女奴隷など、さして珍しくもないだろうし、
なんといっても処女ではない。

頭上を行き交う金額は現実味がなく、しかもぐんぐんつりあがっていくものだから、
それが己につけられた値段だとは思えなかった。

だが、勿論、己を売りに出している商人にとってはそうではない。
5万ゴルドの声を聞いて、明らかに商人の眼の色が変わった。

―――――5万ゴルド。
こん、と小卓を叩く木槌の音が、ざわめきを切り裂いて広場に轟く。

なにしろ、元手のほとんどかかっていない拾い物である。
お客様、どうぞこちらへ、と掌で招く商人の顔は、控えめに言ってホクホク顔だった。
客人が代金の支払いを済ませたなら、商人はすぐにでも、
己を繋いだ鎖と、首輪についた南京錠の鍵を手渡すだろう。
アタマもカラダもとろとろになる薬を使ってますから、
すぐにもお楽しみいただけますよ、などと、下世話なひと言を添えて。
その間、己はといえば相も変わらずぼんやりと、己が売り買いされる様を見上げていた。)

ダグラス > 己の宣言した金額で確定されれば満足気に見えを浮かべ。
手招きする商人のもとに行けば腰に下げられた大きめの革袋を手渡し。
商人が勘定を追えるのを腕を組みつつ買い取った少女を舐めるように見つめ。

「良い買い物をした、また頼むぞ」

商人から鎖を受け取れば、それを引っ張り、買い取った少女を近くに引き寄せて。
少女の顎を掴めば宝石でも見るかのように最後の質を確かめ。
商人に一声かけてから檀上より鎖を引いて降りていく。
まさか商品が一つなわけはなくすぐに後ろから次の奴隷を売りに出す声が聞こえ。
その声を背に自分が止まっている宿へ向かっていき。

リュシー > (ずしりと重い革袋を受け取り、手を突っ込んで中身を確かめれば、
もう、商人にとって己は売却済みの商品である。
どこへ連れて行かれようが、どんな扱いをされようが、まるで気にしないし思い出しもしない。

ぼや、と霞みかかったような眼差しで買い手の男を見上げたけれど、
己がたった今、売り飛ばされたのだ、とは、どうにも実感できずにいた。
しかし、引き寄せられてたたらを踏み、男の腕の中へ抱き取られると、
さすがに驚いて目を瞠り、碧い瞳で男の顔を凝視して)

――― な、に、あんた……だれ、
…………ぇ、……?

(鎖を引かれ、ぼうっと佇んでいたら息が詰まってしまうから、
仕方なく、ふらふらと歩き始めたけれど。
服用を強いられた薬がすっかり回っているからか、足許はどこかふわふわと、
まるで夢の中にでもいるようで。

その夢がどんな経過をたどるのか、良い夢になるのか、悪夢になるのか。
すべての権利を買い取った男に連れられて、「少女」の姿は広場から、消えた)

ご案内:「奴隷市場都市バフート/広場」からダグラスさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート/広場」からリュシーさんが去りました。