2017/06/05 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > 「…まあ、予想はしてたけどよ?」
石畳の上に転がる、屈強な男たちが数名。その中心部に、手首をコキコキと鳴らして立つ少年がいた。引き絞られた無駄のない身体つきをした、小柄な天使だ。呆れたように、倒れた男たちを見下ろす。まだ幼い顔立ちの割には、剣呑とした雰囲気をもっていて
「ここまで予想通りだとため息もでねーわ。お前ら程度が力ずくとか情けなくて俺泣きそうだわ」
若く小柄、細身の天使…と、くれば、この奴隷市場都市で邪な考えを持つものがいても、まあしょうがないだろう。予想は的中したが、街に入って早々にこの出迎えとは恐れ入る。まぁぶん殴って蹴り飛ばして終わりだ。
野次馬もニヤニヤとしながら見物してる辺り、この程度は日常茶飯事なのだろう。決着がつくと、つまらなそうに消えていくものも多い
こいつらの期待してた結果とは違ったらしい、ばいばい、ご愁傷様邪な人間たち。
「しっかし、めんどくせえな…翼隠しておくかね。」
また喧嘩を売られてもアレである。少年は翼をしまう。服の中に、ではない。するりと空気のように消えたのだ。そして、シッシ、とまだ残ってる野次馬に散るように手を振って。
■グラスシエル > ふと、遠くを見れば別の人だかり。そちらへ足を運んでみれば、ミレー族の奴隷が数名の男にマワされている。鳴き声もか細く、嗚咽を漏らしながら、しかし快感と苦痛の混じった呻きをあげるミレー族の奴隷少女。それを扇情の目でみるならまだしも、値踏みするように見てる人間もいる辺り、結構日常茶飯事なのだろう。
少年は、冷たく醒めた目でそれを少し眺めておしまい。女がマワされてるのには興味がない。正義感から助ける気もない。むしろ其れは「摂理」から反することだと知っている。弱けりゃ自分もさっきの男たちに奴隷にされてるのだ。結局そんなものである…天使だって魔族だって似たようなものだ、まぁ天使が同じ目に合ってたなら少年の態度は180度違ったものだろうが、それはそれである。
しかし、見た目は若い割に少々枯れてるのではないかと自分でも思った。オンナが犯されてるのだから少々は反応しろ俺、いやこの程度で反応してもこまるのだが…まぁ、趣味じゃないってことで一つ
■グラスシエル > 「…狂ってるのは俺もあいつらも同じかね?」
少し首を傾げながら、ガツ、と軍靴を鳴らして石畳を歩き出した。
あいつらが狂ってるなら、其れを無視して、イチモツも反応しない自分も十分に狂ってると言える。まあ、天使が弱い者の味方、正義の味方ではないということだ、非常に残念だがミレー族の娘よ諦めておくれ
と、ふと考える。さっきの男たちに負けたら――あれか?自分が公開レイプショー…
「うっわ、きっしょ!ネーわ…あんな男たちに処女捧げるぐらいなら死ぬね俺は」
そう呟く。まあどんな男でもダメな以上あんなもクソも無いわけですが。とはいえ、天界でもごくごく一部では奴隷みたいな扱い、そして主がいるわけで、人間も天使もつまるとこ行き着く先は一緒なのかもしれない、神様、そんなとこで平等にする必要はないのですよ?と蹴りを入れてやりたい気分だ
■グラスシエル > まあ、熱烈な歓迎を受けた少年、こんな情熱的な歓迎しなくてもいいんですよお前らとか思いながら歩く。石畳はきれいに補修されてる。治安も悪いのは当然としてまぁ最低限はある。しかし
「王都はなんでこんな危なっかしい街を放置してんのかね…」
世の中には正義感というお節介精神が強い方もいらっしゃいまして…そういう奴らからしたら此処は我慢できない都市のはずだ。王都からもそこまで遠くないこの都市を放置しておかれるわけはないと思ったが…
ま、考えても無駄か、と周囲を散策し始める。
歩いてると、みすぼらしい格好の別のミレー族の少女が、林檎を売りにやってくる。
銅貨を渡して、自分よりも背の低いミレー族の少女の頭をぽむっと撫でようとしたが、少女はビクンっと怯えたように震えたのでやめとく。歩みを進めながら林檎をかじる。シャクっと、甘さが口の中に広がって
「弱い、ってのは―――罪だな」
さっき負けてれば、自分もああなってるのだ。弱い、敗北、それは死よりも辛い世界に迷い込むこともある。自分が負ければ、ほかの天使が代わりに―――嫌な考えが頭よぎって
■グラスシエル > 「っくそが」
嫌な考えを振り払うように頭を振って、街を歩く。
この街の観察が今日の仕事だ。とりあえず街を回ろう、と雑踏の中に、少年はきえていく
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からグラスシエルさんが去りました。