2016/10/10 のログ
■メイリン > つれない、などと言われても知ったことでは無かった。
オークションに参加しているのはそもそもが、悪趣味な金持ちばかりだが、
彼らの興味が己に無いなら、趣味嗜好がどうであろうと関係は無い。
だが、目の前の男は明らかに、己を標的と決めているように見えた。
言葉つきも、やたらと白い歯の際立つ笑顔も、何もかもが胡散臭い。
隙あらば触れようと伸ばされる手を、一度、二度とさりげなく避けながら。
「―――ジャーク、様…ですか。
随分、大変なお仕事をなさっておられる、のですね」
慇懃無礼とは、こういう対応のことを言うのだろうか。
言葉遣いこそ丁寧だが、相手に向ける眼差しは変わらず冷やかで、
ただ、相手の身分を聞かされて僅か、警戒の色が眦に過ぎった。
何しろ、メイドとして雇われた際、提出した書類はことごとく偽造、
他人に知られてはならない任務を帯びて、この王都に留まる身である。
目をつけられないように、ひっそり遣り過ごすのが良いに決まっている。
しかし成る程、この男のようなタイプが高官を務めているというのなら、
この王都の腐敗も、想像通り、否、其れ以上といったところか。
スパイとしての理性と、娘らしい感情との鬩ぎあいは、
男が幾度目かに距離を詰め、己の肩へ懲りずに手を伸ばしてきた瞬間、
反射的に振りあげた掌と共に、大きく感情へと傾いた。
――――男の手を叩き落とそうとしつつ、鋭く眦をつりあげて。
「……私は、メイリン、と申します。
ですがどうか、気安く触れないで頂けますか」
所詮は世間知らずの娘である。
感情のままに振る舞って、どんな結果が待ち受けるものか、
予測して行動を慎むことも出来なかった。
■ジャーク > 「はっはっは…、何を。
本心じゃあそんな事、カケラも思って居らんだろうがなぁ?」
ユカイユカイと肩を揺らして、暫しメイドと言葉を交えながら、
手と身体で鬼ごっこ。
そう、この男は今日の狙いは彼女にしようと決めていたのだ、
それも、少し前から。
官吏、役員の間ほんの極僅かの間で仄かに…、
そう、例えば来ないままに、どこかで捕まった帝国の諜報員の誰かが、
拷問、尋問にでもかけられて、耳よりの情報を漏らしていたのかもしれない。
―――「この国に、皇の娘が忍び込んでいる。見た目も麗しく、しかも初物らしい。―――と言う者のメイドとして―――」―――
勿論、彼女の諜報員としての心がけもあり、その話は殆どが知らない事だろう。
多くの王国へ使える官吏や役員は、偽造の書類を疑いもせず、今日もせかせか働いている。
これをジャークが知っていたのは、あくまでも権力にモノを言わせたから、だけである。
こんな話を聞いては、この男も居ても立っても居られない。
帝国の皇族―――それも、こうも見た目麗しい少女、それはもう、標的として恰好である。
「ぬ―――!」
スパン。叩き落とされるジャークの手の甲。
叩かれた手と、メイリンの顔、それらを交互に見比べる。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、暫く。
「わぁっはっはっは…!なるほど、なるほど。面白い娘じゃあないか。
だが、ただのメイドが、上級役員に暴力とは、些かオイタが過ぎると思わんかね。
メイリン、…偽名は使って居らんのだな。」
打たれた方の手をなで下ろしながら、大笑い。とりわけ怒っている様子もないのは、
これからの事がそれ以上に楽しみで仕方ないからか。
カマかけ半ばに、オークションの喧噪に紛れてその素性に迫りつつ、
流石に手を伸ばすのは自重したようだが、相変わらずねちねちと追い立て続ける。
■メイリン > 心にも無い事を、澱み無く口に出来る程度には、精神の鍛練も積んでいる。
彼が己の素性について、何某かの情報を掴んでいることも。
今日、初めから己が男の標的として、狙われていたのだということも。
何ひとつ知る由も無い身ゆえ、少しばかり、油断もあったのかも知れない。
少なくともしっかり警戒していたのなら、―――手を上げたりなどしなかったろう。
ぱあん、と小気味よく響いた打擲の音。
己が皇族の一員である、と誰にも良く知られている、
例えば故郷の地であるならば、咎められる筈の無い反応。
けれど此処は、―――違う。違った。
驚きを露わに此方を見つめる男の顔を見つめ返して、
たっぷり一拍遅れて、己の顔から血の気が引いていく。
己はいま、取るに足らない、下働きの身だった。
相変わらずオークションに意識を向けている主が、もし此方に気づいても、
きっと己に救いの手を差し伸べたりはしないに違いない。
自らの立場を守るため、己をすすんで差し出すぐらい、平気でやるだろう。
―――じり、と一歩、後退って距離を取ろうとしつつ。
彼の手を打ち据えた痺れが、淡く残る手を庇うように逆の手で覆い、
重ねた両手でストールを胸元へ掻き合わせる仕草と共に、ぎこちなく俯いて。
「……ただいまのご無礼は、幾重にも、謝罪致します。
でも、……偽名、だなどと。
一体、何を仰っているのだか、…私には、……」
偽名、では無い。
つまり、相手がシェンヤンの皇族について、かなりの知識を得ていたのなら、
―――其の名が皇族の一員、とある姫と同じである、とも、気づいてしまうということだ。
■ジャーク > ジャークから伸びる、セクハラに手を上げたのは、メイリンが元は皇女であったからか、
それとも、その持ち前の気の強さ故だろうか。
ジャークにそんな事は見当つかないが、先の言葉の通りであった。
素性がどうあったとして、彼女はメイドで、この男は上級役員。
そしてこの場所は性奴隷市場。さて、この状況からどうなるか、考えるまでもない。
「ほお……謝罪は態度で示すのが礼儀だと、私は思うが、キミは…どう思うね?」
片目を吊り上げてジロリ。ただでさえ悪人らしさを醸し出しているジャークの顔が、より悪人めいている。
ねちねちとした歩幅の詰め寄りは、相変わらずだ。
距離を取らせる気などないとばかり、ずいずいと迫って上半身から覗き込む様にその身へ追い縋る。
ふっと手の甲に息を吹く。
「…くくく。そうだ、最初に言っておこう。
私は、ある程度まで知っているのだ。トボけても無駄だ、キミぃ。
そうだな―――謝罪を兼ね、身体検査というこうか。服を、脱ぎたまえ。」
これもカマかけ半分だ。
とはいえ、まだ確証は得られていない。名前が一致しただけでも、どうとも言えぬ。
そもそも、そこまで情報は得てないのかもしれない。
そんな状態でここまで見ず知らずの女に好き勝手できるのも、権力者の横暴だ。
さて、立ち直ったジャークは、俯くメイリンの顎元を手で掬い上げて此方を向かせようとするだろう。
……聞いた話ではなんでも、このメイドになりすました女、
物珍しい装飾具に扮した凶器を隠し持っていると言うではないか。
ついでに、その服に隠された裸体を拝もう、なんて算段である。
■メイリン > 『謝罪』という言葉について、彼と己とではまるで、認識が異なる。
態度で示せ、と詰め寄るにも等しい男の物言いに、醸し出す威圧感に、
恐怖ゆえの悪寒が、一気に背筋を駆け上る。
引いた分以上に距離を詰められ、トン、と背中から何処ぞの男にぶつかって、
迷惑そうに押し戻され、距離はますます縮むことに。
知っている、と囁かれた瞬間、黒衣に包まれた肩が、ぴくん、と跳ねた。
「……知っ、て……一体、何を、ご存じ、だと、―――
――――な、……」
惚けるな、と言われても、惚けずにいられる訳も無い。
何とかこの場を遣り過ごしたい、いっそ逃げ出してしまいたい、
けれど胸の片隅に、消息を絶った連絡員の存在が過ぎる。
己の幼馴染である青年、彼がもしこの男に捕らえられ、拷問されて、
何もかも話してしまっていたら―――まさか、そんなこと。
胸に芽生えた不安の種は、一度認識してしまえば容易に掻き消せない。
加えて、こんな公の場で―――服を、脱げ、だなどと。
頤へ指をかけられ、無理矢理仰のかされた面に浮かぶのは、
取り繕いようの無い屈辱と、娘らしい純粋な怒りの色。
けれど視線が交われば、双眸の奥には明らかな、恐怖の揺らぎがみえる筈。
「―――お、断り、します、っ……!」
叩きつけるような勢いでありながら、怯え、上擦り、掠れた声音。
ふる、と頭を振って男の手指から逃れると、今度こそ、
身を翻してこの場から逃げ出してしまおうとする。
勿論、異様な熱気に包まれた人混みのただ中。
男から首尾良く逃げ果せるものか、といえば、―――結果など、
火を見るよりも明らかであるかも知れないが―――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からメイリンさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からジャークさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にソル・グラディウスさんが現れました。
■ソル・グラディウス > 時刻は正午を過ぎたところだろうか。
黒づくめの青年が黒いテンガロンハットを深々と被り、がやがやと慌ただしい奴隷市場を歩いていく。
周囲を見渡せば拘束され犯されている女性、土台の上に立たされ商品のように紹介される奴隷。
極めつけは2m以上もあろうかという魔族に見世物として犯されているミレー族の少女がいた。
「全く…」
そのように呟けば、市場の一角にあるベンチに座って周りの光景を見る。
噂には聞いていたが本当に公衆の面前であのようなことをしているのかと内心驚きつつ、ベンチに背を預ける。
元々、バフートに観光に来る予定は無かったのだがギルドの依頼よりヤルダバオートからバフートへ送られる物資の護衛のため、ここにやってきた。
依頼内容には物資と書いてあったがその実態は奴隷の運搬であった。
護衛の任務を完了し、依頼主から折角だから見て回れと言われ、こうして奴隷市場へと降り立ったのだ。
■ソル・グラディウス > 街を見て回った感想だが、この街は別段悪い訳じゃない。
金を払えばしっかりと商品を購入できるし、奴隷以外にも珍しい物品は多い。
それらを見て回るのは一種の楽しみや面白みがある。
別にこの街が異常でないという訳ではない。
実際、見世物のように女性を犯している光景は明らかに異常と取れる。
ただルールはしっかりしてる。
盗みは然るべき処置を下されるし、殺人が頻繁に起こってるわけではない。
正常という訳ではないが秩序はある。
「でもまぁ、暮らしたいとは思わないな」
喘ぎ声や叫び声、普段聞かない声を毎日聞いたら気が狂ってしまいそうだ。
それに地区によっては異臭が尋常じゃない。臭いのはあまり好きじゃありません。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にエレクシアさんが現れました。
■エレクシア > 前回に現れたのは何時だったかはっきりとはしないが大変な目にあった記憶はなんとなくあり。
そんな目には合いたくはないと揺らぐ思考の中に降り立てば周囲を見回しどこに出たのかと確認をするが…。
「この街は記憶にはないのう。
また変わった場所に出たものじゃな」
パッと見れば王都と変わらなく見えるが聞こえる喘ぎ声や叫びにまともな場所ではないと感じ取り。
これは困った、面倒ごとに巻き込まれる前に街を出るべきかと腕を組み考え込む。
考えるが結論は出ずにまずは動くかと足を進めてすぐに懐かしい監視の魂の波動を感じ取り。
これは助かったと迷わずにその気配の方向へと早足に向かう。
■ソル・グラディウス > 大きく欠伸をして、そろそろ凌辱されている光景を見るのに飽きたのか。
時計を見て次は何処に行こうか考える。
そういえば、ここに来るまでに面白いもん売ってた店があったな。
「…あ」
立ち上がろうとしたと事で、こちらに向かってくる薄紫色の存在が目に入る。
明らかにこちらに足早に近づいている様子を見て、帽子を深々と被り他人のフリをしてやり過ごそうとする。
とは言っても、直接魂の波動を感じ取れる彼女にはそのようなごまかしは通用しないのだが。
■エレクシア > 路地を抜け真っ直ぐに懐かし魂の波動に向け早足で向かう。
距離が近くなればそれは一番最近に認めた男のものと判れば助かったと口元に笑みが浮かぶ。
向かう先に男を見つけるが何故か帽子を深く被っているのが見えるが全くに気にすることなく駆け寄り傍で立ち止まって。
「ソルよ、久しぶりじゃな。
余を忘れたとは言わせんぞ」
姿形を変えたとはいえ見た目よりも波動で認識するので意味はなく。
眠そうな目に笑みというアンバランスな表情で見上げて言葉をかける。
■ソル・グラディウス > 帽子を深々と被り、通り過ぎるのを願っていたが目の前で立ち止まった様子を感じ取る。
声を掛けられれば諦めたように帽子の鍔を挙げ、口元に笑みを浮かべた眠そうな彼女を見る。
「…まず、一つ。お前が困ってるとして、俺はそれを無償で助けない。
二つ。お前が奴隷として売りに出されていても俺は買わない。
三つ。話を聞きに来たんなら然るべき報酬を払え。」
指を一本づつ立てながら唐突にそのように言い放つ。
その後、大きく伸びをすれば再度帽子を被り直す。
「っつーわけで久しぶりだな。エレクシア。
今日は何だ?俺の話を聞きにわざわざこんなくせぇ街に来たのか?」
顔を綻ばせながら彼女の名前を呼び、自分の隣に座るよう促す。
■エレクシア > じっと男がこちらを見るまで見上げ、帽子の鍔を上げてこちらを見れば微かに嬉しそうな雰囲気を滲ませる。
「いきなりじゃな。余とて無償で助けてもらおうとは思ってはおらぬよ。
余を奴隷としよう者は全て切り刻むから心配は無用じゃ。
話は興味はあるのじゃが……今はそれよりも優先事項があるのじゃよ」
唐突に言われた事にも判っていると頷いて見せ、答える中に一部物騒な事を滲ませてタダでは頼まないと言い切る。
「久しぶりじゃな、ソル。元気そうで何よりじゃよ。
話は無論聞きたいとは思うのじゃよ。
しかしそれよりも優先すべきことがあるのじゃ」
以前のように偉そうに男に話しかけ、促されればその隣に腰かけてどこか安心したよな様子を見せる。
■ソル・グラディウス > 「そいつぁよかった。頑張んないですぐ助けを求めようとする奴はカスだ。
お前はそうじゃなくて安心した」
嬉しそうな雰囲気を滲ませた彼女にその様に返す。
しかし、彼女が戦闘向きには見えないが、中々どうしてわからないものだ。
「…優先事項?何だよそりゃ」
偉そうな口調には特にツッコミは入れず、安心したような様子の彼女にそう聞く。
■エレクシア > 「それにソルも知っておるはずじゃ。
余はリミットが来れば消えてしまうのを。
そんなのをどうやって奴隷にするのじゃよ」
捕まえた所で気が付けば消えている、それでは奴隷になりはすまいと笑い。
これでもそれなりな武闘派なのだが見た目では恐らくは判るはずもなく。
「そうなのじゃよ。まずはこれを聞かねばならん。
ここは何処じゃ?」
全く今までに来たことがない街。
しかも喘ぎや叫びが聞こえるなど普通ではないと、なのでどこか知りたいと問いかけて。
■ソル・グラディウス > 「あぁ、言われて見りゃそうだ。
そういう点で言えば、一番奴隷に向いてねぇなお前」
笑ってる少女に自身は表情を崩さずそう返す。
武闘派であることは知らなかった様子で今度試してみようかと考える。
「ここか?ここは奴隷市場都市バフート。
ご覧の通り、公然と性行為が行われてる都市だ。
奴隷の購入もできるし、娼館や調教施設でそいつらを味見出来る。もちろん路地裏でもいい。」
彼女の言葉に丁寧に説明して、犯されているミレー族の少女を指さす。
付け加えるように「男娼もあるぞ?」と少しばかり気持ち悪く笑みを浮かべる。
■エレクシア > 「人か物にでも取り付けばそうでもないのじゃがな。
余ほど奴隷に向かぬのを納得できたようで安心したぞ」
そうじゃろそうじゃろと何度も頷き、表情が変わらない事に少し不服気にする。
まさか試そうなどと考えられているとは露とも思わずに。
「奴隷市場都市…?何とも悪趣味な場所じゃな。
そのような都市まであったのは驚きしか起きぬな。
という事は……お主は奴隷を求めに来たわけか?」
まさかという目で丁重い説明する男を見上げ、刺された指を追えば犯されるミレー族の少女。
それを目の当たりにすれば顔が真っ赤にと染まり目を背け。
男娼と言われれば「戯け!」と一言で遮ろうとして。
■ソル・グラディウス > 「はいはい、納得してるよ…怒ってんのか?」
頷いている彼女にその様に返せば、不服そうな顔をしていることに気付きそう声をかける。
「まさか。俺は依頼でここにやって来ただけだ。
奴隷なんか買わずとも性欲を満たす方法はある。」
彼女に依頼でこの街に来たことを簡潔に説明して、奴隷を購入しないという意思を示す。
顔を真っ赤にした彼女に呆れたように肩を竦める。
「つーかお前、知らずにここに来たのか?天然なんてレベルじゃねぇぞそれ。」
この街の実態を知らぬまま来たであろう彼女にそう聞く。
彼自身、彼女がランダムに出現するとは知らない様子で。
■エレクシア > 「怒ってはおらぬ。ただ何故かムカっときたのじゃが…どうしてそう思うのじゃ?」
全く怒っているという自覚はないのだがそれが表情に出ているなどとは思わず。
「依頼?こんな都市でも依頼というのはあるものなのじゃな。
ソルならば声をかけて引っ掛けるといった具合かの?
確かに奴隷を買うよりもそっちの方が合いそうじゃな」
説明を簡潔にされれば納得し、男ならば買うよりも別の手段を取りそうと思いついたことを口にする。
顔を背けた先で肩を竦めるのが見えたはいいが今は何も言えず。
「好きで来たわけではないのじゃよ。
余はその時の魔力の揺らぎに現れるのじゃ。好き好んでこんな都市に出たりはせんのじゃ」
男に問われれば好きではなく偶然と返し。
そもそもにどこに出るかなど自分でも解らないと告げる。
■ソル・グラディウス > 「ムカって…いや何、少し機嫌の悪そうな顔をしてたからな。いや、この話は終わりにしよう」
頭を抱え、その様に返すと強制的に話をシャットアウトさせようとする。
「あぁ、クリーンな依頼って訳じゃないけどな。金になるなら何だって良い。
女性に関してはお前の言う通り、引っ掛ける感じだ。
実際、お前は引っ掛けられたって訳だ」
自分が街に来た目的を言い放てば、ニヤリと笑って彼女に向き直る。
そして実際に体を重ねた彼女の眉間を軽く小突き、そう言い放つ。
「魔力の揺らぎ?よく分かんねぇけど…
要は何らかの人物や物品に取りつかない限り現界に制限があるし次回出現するときは場所はランダムってことか?
んな理不尽な…精霊って大変だなオイ」
その事を聞いて、帽子を深々と被ればため息を一つ付く。
そんな状況に置かれたらたまったもんじゃないと言った風に。
■エレクシア > 「そんな顔をしておったか?ぬ、そうじゃな。この話は終わりじゃ」
頭を抱える姿を不思議そうに見て、話を終わらせるに異論はなく頷いて。
「余とてそれぐらいは判っておる。ゆえにお主がどんな仕事をしようとも文句は付けぬ。
奴隷じゃと維持費がかかるがそれならばかからぬという訳じゃろ?
ぬ…それは言う出ないわ」
街に来た理由を聞けば納得し、同時にどんな仕事でもケチは付けぬと笑みを見返し笑い。
実際に引っ掛けられ男に抱かれた身としては耳が痛い話。眉間を突かれ少し赤くなる。
「波の満ち引きとでも思っておけばいい。
余は変わり者の精霊ゆえにな。妙な条件が多いのじゃよ。
一度など洞窟の奥に出てリミットまで暇で仕方なかったこともあったのじゃな」
好きでこうではないとため息を吐く男に悟ったように返し。
そしてようやく男に駆け寄った理由を思い出す。
「そうじゃソルよ。この街を出るのならば余も動向をさせよ。
勿論礼は言い値で払う、かまわんじゃろう?」
思い出せば早速交渉とばかりにずいっと身を寄せて。
■ソル・グラディウス > 「そいつぁよかった。今のご時世、真っ当な仕事に就く方が厳しいからな。
そういう事…俺も金持ちじゃねぇ。綺麗な輝きを持つ者でもお金は無限に出せねぇんだよ
…はは、思い出したか?もう一度したくなったか?なんてな」
非難せず、笑みを浮かべる彼女にこちらも笑みで返す。
赤くなった彼女を見て初心だなと考えつつ、少し揶揄おうとする。
「マジかよ。クソだなそりゃ。」
彼女の言葉を聞き、改めて同情の意を示す。
「…おいおい、お前は俺の関わることに一々金を払って俺の許可を求めるのか?
もうちょっと賢くなれ。俺についてくるぐらい金なんて払わなくてもいいだろーが」
身を寄せて来た彼女に自身のこめかみを指さしてそう返す。
勝手にしろと言った風にベンチに深く腰掛け彼女に視線を送る。
しかし、彼女は何処で金を仕入れてるのだろうかと少し疑問が浮上する。