2023/07/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にシアンさんが現れました。
シアン > 雨が降っている。雨粒は大粒で傘がなければ数秒で頭の天辺から靴の先までずぶ濡れの大雨だ。
目を凝らしても障害物一つ無い平野さえ遠くは見渡せない中――
「まれびとの道」が目視できる程度に街道外れた森林地帯の出入り口。
そこに、近くの枝を手折って草葉を編み込み即席の傘を仕立てた男が、

「どちくしょうめ」

……どうにも雨足の速さと手元作業の速度の勝負に負けた模様。
ずぶ濡れになりながらも一先ず即席傘は立てつつ木の幹に腰掛けている。

「さあて。どうしたものか。はぁ~~~~~~……嫌になるぜ……」

依頼された薬草は採取済み。どうせ濡れたのだから諦めてこの土砂降りの中を走るかどうするかを思案中。
ざあざあざあざあと騒音もけたたましく耳を掌で塞ぎ、街道を走る旅人や馬車が必死に走っているのを見遣り、
長い長い溜息一つ零している。

シアン > つい小一時間前までは雲は多いが晴れ間も覗き季節柄らしい蒸し暑い日中。ところが急に曇り急の雨。
長い間降ることはないと思いたいところではあるが……
長々と降るようなら走らねばなるまい。

「……こんなときに魔物と戦りたくねぇしなあ」

街道を臨む場所とはいえど森の入口だ。
長居すれば魔物も顔を出しかねない。
只単純に殴り倒せる相手なら良いのだがそうでなければ……
感電覚悟で雷撃を使う必要がある。
いや、己が痺れるだけならよいのだが伝播していって街道を通りがかった誰かまで感電させてしまったら洒落にならない、“雷鳴”はそこのところ巧いこと調節できるような代物ではないのが余計頭を悩ませる。

シアン > ん゛~~~……
と、唸りながら、雨足弱まるどころか強くさえなりつつある景色を眺めること暫し。

「しゃあねえ」

決意した。濡れて走ろう。後で風呂入ろう。
一つ頷けば立ち上がり即席傘はその場に置いて、走り出した。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からシアンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にクチナシさんが現れました。
クチナシ > わざわざ人気のない時間帯に、自然地帯に足を踏み入れたのは理由がある。
ひとつは、冒険者ギルドで請け負った魔物の討伐。その対象が現れるのが夜だから。
もうひとつは、これから行う呪術が他人に対してかなりの弊害を齎す故、人気のない時間帯を見計らったということ。

「闇の中に隠れ、獲物を狩る影のケダモノか。……まったくもって度し難いな。――まぁ、捕らえてしまえばこの程度か。」

草叢から這い出る黒い影。それが何かを捕らえている。
大地に埋め込んだ無数の呪符を利用し、自身に襲いかかろうとしたタイミングでそれらを起動。その牙や爪が揮われる前に捕縛完了。
薄く目を細め、――か、ちんっ。響かせるのは、鍔の音。

ぶしっ――――。ごとん。
地面に落ちたのは呪符によって身動きが取れなくなった魔物の首。濁った血が地面に飛び散り、虚ろな目をした獣の首が地面を転がる。
視線を改めて向ける。どうやら狼だったようだが。

「任務達成。終わってみればどうということはなかったが……さてと。ここいらの呪いを解除しないとなぁ。
 流石にこのままギルドに戻ったら、二次、三次と災害が増えてしまうよ。」

魔物を捕らえるために地面にばらまいた無数の呪符。それらの回収をしなければならず、はぁ……と溜め息。
触れれば、身動きが取れなくなる。魔力が消滅して抵抗できなくなる。全身の感度という感度が深まる。その他様々。

ゆっくりと地面に膝を付き、まるでキョンシーのように額に札を貼り、夜目を強化しながら一枚一枚、その発動しなかった呪符を拾い上げていく……。

クチナシ > 「この手法は……闇夜に慣れている魔物だろうと、触れさえすればそれで終わりということだが……如何せん、夜に手探り手探りするのは……。
 とはいえ、呪いが呪いだから仲間を呼んでするのもなぁ……うっかり起動して、巻き込んだりしたら目も当てられぬ。……む、1枚。」

草の中に隠れるように、隠密の術式を刻まれた事で見事なステルスを決め込んでいる呪符を1枚、1枚と捲り広げていく。
触れた瞬間、毒が全身に広がる呪符。触れた瞬間、触れた箇所が地面と接着し、取れなくなる呪符。一つ一つ解呪を施しつつの、回収。

これだから、自分が行う呪術は人気がない。
念入りな準備を施し、相手を弱体化させて、自分の得意な所に引きずり込む。結果、学院で授業をしていても生徒が少ないというジレンマ。

「もう少し派手な方が若いものには好まれるかもしれんがな……おっと、1枚。2枚セット。」

触れた瞬間、爆発し、近くにある他の呪符を起動させる連鎖の呪符。魔物の理性を削り取る精神干渉の呪符。ぱらり、ぱらり、と続く呪符の回収。

クチナシ > ――――そんな風にぽつり、ぽつりと札集め。
しばらくすれば、広がっていたそれらも回収し終え。

「ふぅ……任務達成。さてと……今日も報酬を貰いに行くとするか……。」

ゆっくりと小さな身体を持ち上げれば、木々に立てかけていた刀や小道具を手に、その場を去っていくか……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からクチナシさんが去りました。