2023/05/24 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 昼間の自然地帯、鬱蒼と生い茂る森の中、比較的に拓けてこそいるが尚も周囲に草叢が渡っているのが窺える。天をもつかん太古の大樹の群生が差し伸べる枝葉によって日光も遮蔽された暗がりを寝床にして、そこに蹲っている影が存在する。即ちは一体の怪物が。
しかしながらに個体という意味でこそ言えば一体と数えられるがそればかりではない、何故ならばそこには数多くの恵まれた子供達が長い胴体に取り巻かれるようにしてちょろちょろと徘徊しているのが散見されるからだ。
どれもが粘液質の母体に比較すれば余り似ているとは言い難い外観なのは、その多くが摂取した森の動物達の遺伝子を基礎としているからに他ならない。子供達という枠内で考えるだけでも個々は千差万別を織り成しており、同じ胎から生まれたとは思えないバリエーションを成していた。唯一つの共通点と言うならば、誕生時期自体には殆ど差異も無い為に、その多くはまだ産まれたばかりの未熟な幼児ばかりであるという事だ。

ドラゴン・ジーン > 文字通りの畜生腹に多胎を呑み込み、子宝に恵まれたが出産してそれで御終いという訳ではない。遺伝子の摂取対象に産ませた子供も含めてその大半は打ち殺されでもされていない限りは帰巣本能に基づいて己の元にへと舞い戻って来る。それら全てを等しく迎え入れてはこうして世話を焼き、子育てに勤しんでいるという訳になる。

竜顎から食み出る舌の腹で丁寧に舐めて毛づくろいをし、腹を空かせているならば狩猟に出かけ地べたを掘って蟲を取り出し、あるいは野に駆ける別の獣達を歯牙にかけ、溢れ返る草花や果実を毟っては見掛けも豊かならば食性も多種多様の子供らに分け与える。
今は寒々しい冬の時期である為に寒波に未熟児が凍え死んでしまわぬように辺りから搔き集めた枯れ葉や水鳥の羽、原始的に歯で噛んで柔らかくし、分泌液でなめした獣の毛皮などを寝床にして寝かせ、不凍である我が身に蓄える熱で温め体温を維持させ。

もしも好奇心溢れた子供が巣から這い出してしまう事あらば慌ててその後を追い掛け首ねっこを噛み捕まえて巣の中にへと連れ戻す。生育は普通の他の獣達に比較すれば飛び抜けた速さであるが、環境に適応する前の期間の間はやはり気が抜けない。三大本能の内睡眠の欲求が無い事は幸いこそしているが、母乳に似た甘露を産生して分け与える母体は微かにやつれるように細っている。

「………」

暗闇の中の索敵に薄っすらと輝きを湛えた触角が三本ばかり弧を描くように睨め回した。現状においては閑静なる森の木々に囲まれた中に危険らしき気配は窺えない。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からドラゴン・ジーンさんが去りました。