2023/05/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にサウロさんが現れました。
サウロ > (────メグメール自然地帯。
 広大な自然が広がる中に点在するダンジョンは、冒険者たちの稼ぎ場だろう。
 サウロは冒険者ではないが、今回その狩場に来ているのは自身の腕を上げる為。
 洞窟タイプのダンジョンへと単身で入っていく。
 仲間たちには心配もされたが、今回は単独で敵を倒すための動きや観察力、
 戦闘技術などを身に着ける必要があった。
 ポーションなどの薬品、携帯食料、念のために帰還用の魔導具など入念に準備をして、
 魔物のいるダンジョンへと挑む。
 魔物なら幾度と相手にしてきたが、それは仲間との連携があってこそだ。
 サウロは暗がりの中をランタンを手に進んで行く。)

(道中遭遇するモンスターは、洞窟に住まうような魔物が多かった。
 吸血蝙蝠、凶暴なコボルト、ゴブリンなど。
 複数に囲まれないよう十分に注意し、慎重に、確実に仕留め、
 ダンジョンに溶けていく敵からドロップする素材も集めていく。
 武器の素材になりそうなものは、未だ見つけられていないが。
 複雑な洞窟のうねり、帰り道を見失わないよう石壁にナイフで傷を刻む。)

「もう少し、奥の方へ行くか……」

サウロ > (────奥に進むと、開けた場所があった。
 ゴブリンがこの場所を縄張りにしているらしい。
 剣劇の音がする。多勢の無勢、一つでも隙を生めば、間違いなく殺されるだろう。
 ゴブリンたちは雌を捕らえはしても、雄は生かさない傾向が強い。
 洞窟から出て近くの村を襲ったり、冒険者の女を攫ったりするのだとか。
 低級な知能しか持たないが、ゴブリンは学習すると聞いた。
 攻撃を喰らわないよう盾で攻撃をいなし、受け流し、サウロは一体ずつ着実に切り伏せる。
 その表情は真剣で、動きに躊躇はなく、流れるようにゴブリンを相手に立ちまわる。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にファルスィークさんが現れました。
ファルスィーク > 偶々、見つけた洞窟から魔力を感じた。
恐らく魔石の鉱脈でもあるのだろう。というのが、此処へ立ち入った理由ではある。
が、生憎と何者かが根倉にしているらしく、微かに漂う生活臭に眉を顰めながらも、奥へと進める足に迷いはなく。
求める物の場所は己が探知能力にて把握していており、経路については己が把握できればいいので指先を石壁に触れると残していく魔力痕。
左手には一輪の花が封じられた淡く青白い光を放つ水晶柱を持ち、奥へ進むに従い色々と生物の死体や解体された痕を見つけることになり……。

「……食料として…か?
まだ新しいし、捌き方は丁寧でもある」

興味深いと思いつつも、脚を止めて観察するほどでもない。
脅威であるなら排除すれば良いだけの事だと。

更に奥へ進むにつれ、反響して聞こえるのは剣戟と、何やら喚き散らすような雄叫びめいたものは言語のようでもあるが。

「…ゴブリン語か。
……侵入者…殺せ。
……私の他にも酔狂がいるらしい」

ふと口元に浮かべる笑み。
そのまま、剣戟がする方へと脚を進めれば、多勢に無勢でありながら、立ち回っている男を発見する事になるのか。
どうやら結構な腕の持ち主のようではあり……己に気付いた何匹かが、それぞれ粗末な獲物を振りかざしながら向かっては来るが、一瞥した後にゴブリンの群れの方へ目配せし、向かう様に軽く顎で示せば…向かってきた数匹のゴブリンは反転して己が一族へ向かって殺意を示し、飛び掛かる事によって現場は混乱をきたし始める。
それは、孤軍奮闘している男にも十分有利に働く介入となったか。

サウロ > (ゴブリンと言えば数が多い事で有名な魔物だ。
 個々の存在自体にはそれほど脅威はなく、子供のような体型でこん棒やらショートソードを振るう姿は、
 初心者の冒険者でも注意すれば問題なく倒せる。
 が、その真髄は数だ。どれほど弱い個体でも、群れをなせば脅威となる。
 周囲への警戒、広く視界を保ち、ゴブリンの位置と気配を逃さず、攻撃は確実に受け流す。
 喉、胸、頭部、急所を狙っての一撃で仕留める。
 ────どれほどそうしていたか、洞窟内に反響するゴブリンの言語が乱れ始めた。
 言語を理解できるほどゴブリンに精通しているわけではないが、異変をすぐに察知しただろう。

 周囲を見れば、同士討ちを始めている。
 一体何故、突然?
 何のきっかけがあったか、サウロが注意深く洞窟内を見渡せば、ゴブリン以外に誰かがいた。
 フードを被った長身の男性、だろうか。距離が離れているが、確かに人の形をしている。
 よく見れば、彼の方へ向かおうとしたゴブリンが反転して、同士討ちを始めているようだ。)

「……考えるのは後だ、今はここを制圧する」

(剣と盾を握り直し、残るゴブリンへと立ち向かう。
 ──同士討ちの他に、彼の助力があったかはわからないが、そう時間もかからない内にその場は静寂に満ちるだろう。
 サウロは血糊を払い、剣を鞘に納めた後周囲を見渡した。
 まだ彼がいて、姿を見つけることが出来たのであれば、助力の礼をするためにそちらへと向かうだろう。)

ファルスィーク > 混乱する現場の士気が崩れるのには、然程の時間はかからず強くなるのは血の悪臭。
数匹のゴブリンの反逆が更に同士討ちを助長させて拡大していくのは、誰が敵で味方かが区別出来なくなったせいもある。
そんな乱戦を盤上で自動で行われるゲームでも眺めているが如くの高みの見物。

そんな状況であれば、男の腕であれば立ち回りも容易となり制圧するのも然程苦労はせずに済むだろうか。
ようやく静かになる頃には、悪臭の具合も結構な物にはなっていたが、それはどうこう出来る物でもなく仕方が無いと諦めるしかない。

剣を鞘に納めるのであれば、どうやら己に対して敵だという認識は無いようではあるが…近寄って来るのであれば、被っていたフードを少し上げ。

「まだ私が味方であると確認できてたわけでもなく―
剣を納めるのは、些か早急すぎる気がするね。
何かがあった時にサポートに動ける仲間がいる訳でもなく、どうやら君は単独のようだし…身を護るのは自分自身しかいない状況では……」

忠告めいた言葉は少し呆れた様な口調でもあるが、多勢相手の戦闘技術には敬意は表しつつ…だからこその、少々耳に痛い言葉を向け。

サウロ > (下級なものとは言え、魔物は魔物。だがその魔物の死体も、ダンジョンに"飲まれて"なくなるだろう。
 魔力溜まりのあるダンジョンと呼ばれる場所には、そういう特性があるという。
 さておき、サウロが男の下へ近づいていけば少しの距離をあけて止まる。
 敵か味方か判断はし難いが、サウロよりも目線の高い彼がフードを上げて顔を見せれば、
 整った顔立ちの涼し気な容貌が露わになり、彼を見据える蒼と、彼の蒼銀の視線が交わるだろう。)

「──貴方が敵であるならば、戦闘中の私を襲った方が早く片付いたでしょう。
 少なくとも、見境なく襲いかかるような害意はないと判断しました。
 とは言え、最もな忠告です。助力も含め、感謝します」

(微笑を浮かべ、胸に手を当てて騎士の敬礼をする。
 とは言え、サウロは王国正規の騎士ではないが、その敬礼は様になっていることだろう。
 戦闘後に生じる油断はあれど、剣は納めてもサウロの盾は未だ左手に握られている。
 攻撃の動作を見せるなら、防御姿勢はすぐに取れるようにしてあったが、
 わざわざ忠告をするぐらいだ、戦闘をしかけるつもりではないだろうと彼を見据えつつ、
 軽く首を傾げて見せた。)

「ところで、貴方は冒険者ですか?
 見たところ貴方も単独のようですが」

(単独行動を取る冒険者も少なくはないという。
 武器らしい武器も見当たらないことと、ゴブリンの襲撃を受けていないことから只ならぬ存在である可能性もあり、
 一体何者なのかを探るような視線となっただろうか。)

ファルスィーク > 一定の距離で立ち止まるのは、それなりに警戒はしての事か。
であるのなら双眸は僅かに細められて微かに笑ったかのよう。

「ふむ……ゴブリン相手とは言え、それなりに消費はしているだろうから、ゴブリンを掃討した後に襲っての漁夫の利を得ようとしているかもしれない…とも考えられる。
――礼儀と礼節はあるようだ」

その紳士然とした態度も含め、また揶揄でもしようかと思ったのは、騎士の礼を取られたからではある。
警戒を解いていないのは、何時でも戦闘態勢を取れる状態であるかのは見て取れた。
剣を納めたのは敵対するつもりが無い事を示すつもりであるようだが…それでも、何処か己を信用しているという目である気がして唇の右端を上げて笑み。

「単なる物好きの域を出ない変わり者だ。
珍しいものが手に入りそうな気がしてね」

光を発する水晶柱を手にしているだけで、他に武器や防具の類を身に付けている訳でもないのは、戦闘に熟知した男の目にも明らかか。
武装していて対峙している相手に対して、特に構えるでもなく…己の方が逆に怪しさ満載ではあるが。
―そう言いながら周囲を窺うように見回してみれば、目当ての物を発見し…向けられている探る様な目線も気にした様子もなく、ゴブリンの死骸が散乱する一角へ向かうと片膝を折り触れる岩肌。
途端に、魔力に呼応する様に輝き始める拳大の石が幾つか。
それは主に赤系統の色で、朱、緋、橙と―それらを嬉しげに拾い。

サウロ > 「はは、疑い出したらキリがありません。
 俺は貴方に害がないと判断した自分の判断力と、忠告を下さる貴方の善性を信じます」

(どこまでも真面目な性根故に、揶揄われているという感覚はないのだろう。
 そんな風に言いながらも、冒険者ではなく、変わり者を自称する反応には怪訝そうな表情を浮かべる。
 他人に警戒を促す程なのだ、きっと彼もまだ己を信用しきってはいないのだろうと思いつつ、
 彼が動き出すのを見て視線で追い、突かず離れずの距離でその後を追おう。
 何をするのか興味がある。)

「────……それは?」

(彼が膝をついて地面に手を当てる様子を見れば、何をしているのかと思ったが。
 何の変哲もなかった岩の埋まる地面が、突如色を持った。
 赤系統の輝きを放つ石を拾う姿に、一体何をしたのかと魔力や魔術に精通しないサウロは不思議そうに眺めている。)

ファルスィーク > ……初対面相手には、それくらいで丁度良い。
君は騎士としては模範、鑑となる在り方だが、観察眼は磨いた方が良いね。
君の判断が周囲の命運を左右する……と、毎回、思っておくと良いかもしれない。
…どうにも説教臭い悪癖が出てしまった」

そこまで言って肩を竦ませ、戯言なので流しておいて欲しいと付け加えた。
揶揄われているという感覚が無い堅物であるという所も、余計に弄りたくなってしまうのだけれども、言った所で「そうですか」とまた正面から受け止められそうな気がして、揶揄い甲斐が無いのが騎士の面倒な所でもあると。

それはともかく、思った以上の収穫であった為に思わずにやけつつ己が目に適う物は収穫し終え―
そこでかけられる声に対して、手のひらサイズの石を一つ手にして立ち上がると振り返り。

「簡単に言えば、所謂魔石の一種になる。
とは言え、一級品ではなく魔力を与えれば反応する二級品ではあるけれど…まあ、それでも上の中くらいのランクはあるかな」

百聞は一見に如かずと、手の中にある緋色に輝く石に対して、魔力少しを与えてみると輝きは増し立ち昇るのは赤い炎。

「まあ、こんな具合に。
それこそ用途は様々だけど、加工するにも相応の腕が求められる代物。
色は分かり易く言えば、属性の様なものかな」

供給する魔力を止めれば輝きは徐々に失われ、暫くすればその辺りに落ちているものと区別がつかなくなるただの石の様になり。

サウロ > (彼が何者かは定かではないがこうして告げる内容からして上に立つ立場の存在なのかもしれない。
 見た目は若く、一回りも年が離れているようには見えないが、言動は洗練された王侯貴族の物言いに近しい。
 すくなくとも一般人ではないだろう。にしてはこんなところに単身やってくるのが聊か度し難い。
 とは言え善意があって忠言するのであればサウロにそれを拒むつもりはなく、素直に「精進します」と告げた。
 全てを真に受けるつもりもないが、言っていることは概ね道理である。

 さておき、彼が拾い上げたのは魔石の一種だという。
 こうした鉱物に魔力が含まれ、魔力で振動すれば特定の現象を示すというのは仲間から聞いた事があった。
 魔力を繰り、石を輝かせて見せる様子をまじまじと見ながら、なるほど、と頷く。)

「冒険者の武具を取り扱う冶金士や鍛冶師の方が時折冒険者に依頼を出すと聞いた事があります」

(なるほど、確かにこれは冒険者の分野だと納得する。
 冒険者は実力を上げる以外にも、こうしてダンジョンの中にある素材を回収して稼ぎとするのだろう。
 ただの石のような見てくれに戻ってしまえば、サウロにはほかのただの石ころと区別がつかない。
 彼が冒険者ではないにしろ、こういうものを収集するのが趣味な魔術師というのが察せられた。)

「知見が広がりました。ええと……。
 ──申し遅れましたが、私はサウロ。自由騎士団の一員です。貴方は?」

(名を名乗り、彼の反応を伺う。言いたくないのであれば気にするつもりもない。
 彼がこの後も採集を続けるなら邪魔をするつもりもなく、帰路につくつもりだ。)
 

ファルスィーク > 元より気ままな自由気質である為に、堅苦しい事は必要最低限としている。
故に実直で真面目、責任感が強く義理人情に篤い…それを体現している目の前の騎士然としている男に対して、あれこれと物申してしまうようではある。
―それでも、初対面で上から目線の己に対して礼を尽くすのだから……意地悪もしたくなるというものだ。

簡単にここにある魔石に対しての蘊蓄を語れば、どうやら思い当たる知識はあった模様。
ともあれ、見つけ難いことこの上ない代物である為に、探し当てる者も少なく流通は尚少ないだろう。

「一級品であれば、既に魔力を内包しているので、見つけやすく加工もしやすい。
が、大抵は結構な場所にあったり魔物も魔獣もそれなりの事が大体ではある。
魔力溜まりに引かれて集まり易いのかもしれないね」

掌の上で、一見ただの石になってしまったそれを、男へ投げて見せるのは欲しければ持って帰ればいいと。

「私はファルスだ。
自由騎士…どこかの国や領主に仕えている訳でもないという事かな?」

そういえば、何処かに所属している事を示すような紋章は持っていないようだ…と、改めて向ける視線を向けたまま、躊躇いもなくそのまま近付いていき―相手が赦すならば目の前までくれば、多少の身長差はあるがまじまじと青年を見詰めた。
一地方都市の領主という肩書は、現在は個人であるので控えはするが、情勢に詳しければ知っているかもしれず。

サウロ > (此方へと放られた石を反射的に受け取れば、まだじんわりと熱を持っているような錯覚がある。
 彼が注いだ魔力か、内包して反応した石の魔力の余韻を感じながら見つめる。
 一級品ともなればサウロ自身にも見分けがつくということなのだろう。
 そしてそれを見つけ出すには強敵と戦う必要があったり、危険な場所にある、と。
 仲間と情報を共有して、リーダーの指示を仰いだ方がいいだろうと結論付けて、
 この石を分けてくれる彼に顔を向け「ありがたく頂きます」と頷いた。
 腰裏に付けている道具入れにその石をしまうと、ファルスと名を名乗った後、
 不意に近づいてくる彼に驚いたように顔を上げて、やや見上げる形で数度瞬きをした。
 後ずさったり、盾を構える、なんてことはなく、突然どうしたのかという表情だ。)

「そうですね、現在は王国内の都市や町村などを転々として、自由意志の下に必要な人の助力を行っています」

(彼の疑問に頷いて答える。
 国や各都市の領主の下に仕える正規の騎士ではない。
 助けを必要とする人のもとへ赴き、手を貸したり、危険を排除し、時に守ったり救うこともある。
 サウロの上司、リーダーたる男であればファルスという名がとある都市の領主が使う名であることと、
 目の前の彼の風貌を当てはめて同一人物と繋げるかもしれないが、サウロが名前から領主であることを
 つなげることは出来なかっただろう。)

ファルスィーク > 「加工するのなら、どのようにするのかは腕とセンスが問われる。
よくある炎属性の武具や防具にするのか、杖や指輪、装飾品として属性魔力を高めたり対属性とするのもアリだね。
壊れないランタン代わりにする…という手もある」

が、恩恵を受けるには魔力を与えなければいけない。
もっとも、その方法ならば幾らでもあるだろう。
他者に発動してもらったり、魔力を溜めれるアイテムを利用するのもよし。
ともあれ、団の一員という事は、青年より上の立場…上司が存在するらしい。
少し見降ろす形にはなるが、驚きはするが後に引く事がないのは胆力の表れだろうか。

「ふむ……活動は結構な名目だが、それでも活動資金は必要だろう。
それを稼ぐために冒険者まがいの事をしている時に、事が起こっては動けない。
中々、思うようにはいかない事も多々ありそうだ。
……良ければ、支援者の一人になっても良い」

所属する団の掲げる思想は結構な物ではあると認めながらも現実的な部分が枷になるのも事実。
それを理解しての申し出は物好きからでもあるが、勿論、支援する以上はある程度の己の要望もする訳で…己の地位に関して知らないのであればそれで良し。
そして改めて見れば、青年の「容姿は悪くない」との呟き。
右手を伸ばして触れる顎。避けなければそのまま唇を重ねて見ようとするが。

サウロ > 「流石、詳しいですね……」

(彼の言っていることは理解できるが、魔力が絡むものに関して言えばサウロは門外漢だ。
 この石は二級品とはいえ魔石の一種、素材であり、武具や道具に加工することが出来る。
 こう言ったものの取り扱いに詳しいのだろう彼が語る言葉を受けながら、詳しい仲間に相談してみようと決めた。
 自由騎士の活動資金という言葉は、耳に痛い問題ではある。
 手配書の魔物を倒したり、なじみの商人に素材などを買い取って貰ったり。
 あまり大規模な隊でもないので今のところはそれで回っているが、
 活動によって金銭などを要求したり、強制したりしない点ではただ働きのようなことにもなる。
 気まずそうに眉根を寄せたサウロの顎に触れた彼の指に、僅かに双眸を見開き。)

「何を、」

(支援者という言葉に驚いたが、至近距離に近づいたファルスが唇を重ねてきたことが予想外で。
 その一瞬で、まるで石になったかのように身体が強張った。
 ──同性、男同士であるにも関わらず、唇を重ねるという行為はサウロにとって、スキンシップで済むものでははない。
 サウロ自身の考え、価値観において、それは愛情を伝える手段。
 あるいは、夜の褥で情を交える時に行うもの。
 彼に性的な意図があるかないかは問題ではなく、サウロがそう認識している。
 同性から向けられるそれが、サウロの中のあるある種のトラウマの引き金を引いた。
 男に、同性に、犯され性的暴行を受けたという、恐怖心を。)

「……ッ! やめろ!」

(思わず、振り払うように彼を突き飛ばし、強い言葉で叫んでいた。
 その表情には明らかに恐怖があっただろう。数歩後ろへ下がって、壁に背をついた。
 蒼い双眸の瞳孔が開き、ただ同性同士の口付けを否定しただけではない取り乱し方だ。
 それ以上迫られなければ、口に掌を当てたまま呼吸を整え、落ち着こうとするだろう。)

ファルスィーク > 「変わり者というのは…一般人とは違うという意味も含まれているからね」

この洞窟に目当ての物があると確信して足を踏み入れ、その目当ての物を確実に入手している。
言い換えれば、それが己が実力の一端を示しているような物。
もっとも、青年との出会いは偶然であり…その偶然を楽しんだ結果、忠告と知識を与え―
もっと踏み込んだ青年の核の部分へを近付きつつ、取り巻く悩みの部分へと触れていく。
提案は、青年以上に所属している団への助けとなる可能性もある。
支援する額を提示して欲しいと言われれば、それこそ小さな村がそっくり買えるくらいの金額を即金で用意できるとも……。
それこそ…先程示した「君の判断が周囲の命運を左右する」との言葉を試すかのような。

青年の言葉は己が行動の意図を尋ねる物だったようだが、それより先に塞ぐ唇。
己にとってはスキンシップのようなものではあったが、予想以上の反応は拒絶でありそれは即座に態度に出て現れ…今までとは違い感情が剥き出しの荒々しい言葉―見定めた瞳に恐怖の色が浮かんでいるのが見えれば…意図して発動させる魔眼。
意志の乱れ…特に恐怖であるのならば、己に対して既に精神状態で負けている。
数歩下がった青年に近付けば、より精神状態を搔き乱す事になり―
対魔力も正常に働かせるのは難しいだろうと……瞳孔の開いた蒼い瞳を見据えれば…魔眼に撃ち抜かれた様な衝撃が走るかもしれず。

サウロ > (正常な判断であれば、サウロ自身の独断による即決は出来ない。
 リーダーの指示を仰がねばならない。もしくは、場を整えるので詳しい話をそこで聞かせてほしいと。
 そう答えられただろう。それがサウロの判断だ。

 ────だが、現状でそれは不可能になった。
 落ち着け、落ち着けと、深く息をする。
 身体の傷はいくらでも治せるが、心に負った傷は当人次第。
 治癒師の仲間が言っていた言葉に、恐怖心になど負けぬように努めてきた。
 だが、蓋を開ければこれだ。震えてしまう腕も足も情けない。
 近づいてくる気配に、取り乱す精神をなだめようとするが、
 それより先にサウロの視界を射抜いたのは妖しく光る蒼銀の双眸だった。

 見えない何かに、圧力がかけられているような錯覚。
 は、は、と乱れた短い呼気を零す。白い肌に、首筋や額に汗が滲み、頬を伝い落ちていく。
 対魅了は、サウロの血の特性だ。魅了や誘惑による精神干渉を弾くもの。
 だが現状、乱れた精神状態で貫くように向けられた魔眼を、完全に弾き切ることは出来なかった。
 中途半端な状態で効いた。結果どうなるかと言えば、混乱は必至だ。)

「────っ、? 何、だ……何を、…して……?」

(ぐらぐらと頭の中が掻き回されるような酩酊感。
 警戒しろという警鐘を鳴らそうとするほどに、必要ないと心地よく宥めるものがある。
 頬が上気して朱が差し、身体が熱くなる。その熱が高揚となり、理性を溶かしていく。
 耐えようとするほどに深みにはまる。目を反らそうとしても魔眼から目を離せなくなる。
 近づいてきたファルスの前に、混乱する思考のまま、自然と片膝をついていた。
 完全には掛かり切っていないが、サウロはもはやファルスの言葉を拒めるような状態ではないだろう。)

ファルスィーク > 支援の件に関して己は実際に乗り気ではある。
理由としては、より地方の情勢が把握しやすくなるからだ。
特に、地方を転々をしている事。自由意思の元に助けが必要な者の元へ…この2点。
上の指示を仰ぐのは当然の判断ではあるが、己としては青年を見ての提案であった為に…取り敢えずの判断を聞くという意地悪さも含めてではあったが―

どうにも、青年の引き金を引いてしまったらしく、話はそれどころではなくなる現状。
1歩2歩と近付けば己が何もしなくとも、それだけで青年には重圧となるようだ。
加えての見据え射抜く魔眼は、成程…対抗したようではあるが、完全に防ぐには不十分であるのは理解できる。
指輪で抑えられているとはいえ、先程のゴブリン同様、常人であれば既に洗脳され蕩けている筈なので、結構なものだと感心はしつつ。

「何を?……何かは、これから知るだろうが…
私に委ねればいい」

片膝をついた状態は、一寸した臣下の礼のようにも見えるが…伸ばした右手は優しく頬を撫でながら己を見上げさせ、上気して瞳が潤み始めるその顔は先程までの凛々しさとは一変して艶めいても見える。
己も膝をつくと目線の高さを同じくし、混乱している思考を押し流す様に見詰めたまま顔を近付け再び重なる唇は、女性に対してするように優しく甘く、吸い―舌を差し込んで絡ませていこうか。

サウロ > (膝をついて疑問に思う。自分は今、何をしているのか。
 その疑問を霧散させていく蒼銀の眼差しが上から射抜く程に、鼓動の昂りが止まらなくなる。
 異性愛という嗜好を持つサウロだが、同性であっても美しいと思う存在には弱い。
 それは恋愛感情というよりも、感性の問題。
 彼の手が頬に触れるだけで、理解しがたいほどの高揚感を抱く。
 背丈とフードの下のしなやかな筋肉質の体躯に見合う腕と、掌。無骨で美しい指先。
 その手に撫でられて、嬉しい、と思ってしまう。
 疑問に思う理性が、抗いがたい情欲に塗り替えられていくことを恥じるように、
 切なげに眉尻が下がり、勝手に潤みだす双眸がファルスを見上げる。)

「……はい、ファルス様、」

(委ねよというならば、拒絶する心は完全に溶かされた。
 今度は重なる唇を避けることも、突き放すこともせず受け入れる。
 薄い唇だ、女性のそれと違って柔らかさも弾力もないだろう。
 美しく整った顔立ちであるサウロは女性との口付けならば幾度か交わしたが、
 甘く吸い付かれるだけで、こうまで胸が躍るほどの甘美なキスは初めてだった。
 どう捉えていいのかもわからず混乱する理性よりも、本能のままに唇を開き、差し込まれる舌を受け容れる。
 それでもまだ体が強張るが、より深く、この甘美を味わうように双眸を伏せて、熱く濡れた舌を絡ませていく。)

ファルスィーク > 抵抗しようとする意志は、混乱でより搔き乱され精神状態としてはより脆弱なっていくだけ。
そこへ甘く蕩けるように滑り込んでいく抗いがたい至福感は、自分自身を律してきたような青年には甘美でしかないのか。
既に目が離せなくなり直視したまま強張っていた表情も緩み始めると共に、緊張して力が籠っていたらしき四肢も安堵したかのように弛緩していくよう。

委ねろという命令に対して、受け入れ従う意志を見せた瞬間、青年の対精神防御は瓦解し―今までに感じた事のない喜びを感じるやもしれない。
先程までの恐怖とは正反対に、従順に受け入れる口付けはリップノイズを立て、その行為を青年に自覚させるかのように。
差し込んだ舌は唾液を絡ませ、動く度に水音を立て、それは洞窟内に静かに反響し…とろりと流し込む唾液を飲むようにと無言での指示。
その合間も、頬に触れた手は喉を擽り首筋を遊ぶように彷徨いながら――駆り立てていく情欲。

「胸の鼓動の高鳴りが抑えられないようだね。
そして……興奮しているようだ。
嬉しくて心地よくて蕩けそうになっている。
けれど、まだ序の口…サウロはどんな反応をしてくれるだろうか」

口付けの合間、唾液に濡れる唇で囁き近くに水晶柱を置いて、解きにかかる青年の武装。
肌を晒すようになるまでそれほど時間はかからないか。

サウロ > 【次回継続】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からサウロさんが去りました。