2023/04/14 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  月の明るい、宵のこと。

 ――っはあ、はあっ…!

 呼吸を酷く乱しながら、月光に蒼く照らされキンと冷えた真冬の寒風に凍てついた古代遺跡の一角。朽ちかけた墓所を駆ける足音。
 汗を滲ませて時折背後を振り返り、追って来る数匹の魔物を確認して唇を噛み締めて目を眇め、どうにか足を速めようとするが、

 ぽた、ぽたぽたっ……

 左腕に負った傷から滴り落ちる血と走る痛みに思うように走れない。
 グール討伐の依頼を受けて、数人編成でパーティを組みやって来たが、俄かパーティは連携が上手く取れずに隙を衝かれて襲撃され、分断されてしまい後衛にいた自分は一人離散して――

「――ッ、やっ、この……っ!!」

 とうとう早足のグールに追い付かれて、飛びかかられた。

 ガ、ン! 

 咄嗟に握っていたスタッフを大きく振ってその顔面に食らわせて怯ませるが、間髪入れずに後続のグールに脚を掴まれて引き倒され、

「―――ッ!!」

 声にならない悲鳴が夜の墓所に響き渡った。