2023/04/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にナンナさんが現れました。
ナンナ > 黒々とした曇天の空の下、鬱蒼と木々の生い茂る森の片隅で。
ひときわ堂々と聳える、古びた巨木の足許。
ぽっかりと空いた洞に抱かれるよう、両腕で膝を抱えて座り込む、
白い小さな少女の姿があった。

ワンピースにニーハイソックス、頑丈とは言えない布製の靴。
どう見ても遠出をしてきたものの格好ではない、少女の『家』は、
ここからさほど離れていない、ぽつりと佇む山小屋である。
けれども今日も、少女は母親と喧嘩をし、ごはん抜きの刑に処されて、
こうして独り、優しい兄が迎えに来てくれるのを待っていた。

「ふ、ぇっ、ぐす、っ……… おに、いちゃ、まだ、かなぁ……?
 くら、いの、こわい、よぉ……… おなか、すいたよ、ぉ」

ぐすっ、と鼻をすすり、真っ赤な目許をぐしぐしと手で擦って、
心細げに前方の暗がりを見つめる。
もうそろそろ、父も母も眠ってしまう頃だ。
そうしたらきっと今夜も、兄が迎えに来てくれるはず。
今にもあの木陰から、彼の姿が現れるに違いない、と―――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアグニスさんが現れました。
アグニス > 確かに、此処で暫く待っていれば――――彼女が待つ"兄"が姿を見せ、いつもと同じように平和な時間を過ごせただろう。
然し、今宵は違う。メグメールの自然地帯は彼女以外にも訪れるものがいる。
それは魔物だったり、ケモノだったり、――――冒険者だったり。

此処に訪れたのは、近くで魔物退治を行っていた一人の冒険者だった。
訪れた理由も森の片隅から、夜泣き子のような啜り泣く声が聞こえたから。というちょっとした興味本位。
その声が自分好みの、鈴のような甘い音だったからなんて不健全な理由は置いておくとしても、放っておく理由は存在しない。

がさ、がさっ。と草木を踏み締め、何者かがやってくる。
それは彼女にとって待ち望んでいた存在の来訪。―――ではない。

「おぉい。……誰か居るのか……?
 いるなら返事してくれぇ~。」

彼女の待つ"兄"の年齢は分からないが、一回り近く歳を重ねた大男が、巨木の足元。其処目掛けて歩みを進める。
その声には、存在を心配するような響きを織り交ぜているのは、獣人である彼女の聴覚ならば、きっと察せるはず。

――――そう、木陰から顔を覗かせた男が、笑顔を浮かべる。

「お、居た。よかったぜ。……大丈夫か? こんなとこで迷子か……!?」

ナンナ > 少女にとって『庭』とも呼ぶべき辺りからは、ほんの少しだけ外れている。
たとえば声を張ってみたって、家まで届く距離ではない、ということ。
けれど、それでも、それなりに馴染みの森の中である。
家族以外の、―――――野生の獣のたぐいならまだしも、人間と行き会う可能性など、
少女は考えてもみなかった、ので。

「―――――――――― っ、!?」

聞き覚えのない声、がさがさと茂みを分け入る無遠慮な音。
少女は怯えて、びくりと身を竦ませて、とっさに声を呑み込んだ。
本当は答えてはいけないのかもしれない、隠れて、逃げるべきかもしれない。
けれど―――――存外動作が機敏であったらしいその男が、木陰から顔を覗かせた時、
少女はもとの洞の中で、大きな瞳をまるく見開き、ぎゅっと膝を抱えた姿勢のままで、そちらを凝視していた。

「―――――…お、じちゃん、だぁれ……?」

しらないひと。
だけれども、悪いひと、ではないと思う、笑っているから。
そんな単純な思考のもとに、舌足らずな問いを投げかけてみる。

アグニス > 本当に大声を出せば、かろうじて聞こえるかもしれない。――が。
夜になり風も強まり、黒い木々達が揺られて音を零す深夜前。
彼女がどれだけ声を張り上げたとしても、その音が届くわけもなければ――――その音を頼りに出来ない愛しの"兄"が来る事も出来ない。
おそらく数時間後、両親が寝静まった頃に漸く外に出て、彼女のことを探すのだろうが―――それよりも先に出会ってしまった存在が居た。

「…………。」

目を見開く。純白のワンピースを身に纏い、舌足らずな言葉を投げ掛ける。少女というには幼い存在が其処に居た。
膝を抱えるという姿勢故か、むっちりとした両腿を閉じさせている仕草に釣られ、可憐な顔立ちだけではなく、その下半身周りにも視線を送ってしまう。
―――我に帰ったのは、彼女が自分の事を呼んだから。

「―――……とと、悪いな。驚かせちまったかな?
 おじちゃんは冒険者だ。……きみの声が聞こえたから、助けに来たんだよ。」

そう、それは事実だ。舌足らずの問いに応じるのに合わせ、見せ付けるのは腰の道具。
其処にはこの夜までに集めた素材――だけではない。空腹の彼女が待ち望んだ食事だって其処にあるのだから。
鞄を開けると同時、其処に広がるのは空腹を刺激する燻製の香り。それを彼女のために用意した。という事実は、尚の事彼女の危機感や警戒心を削っていくかもしれず。

ナンナ > もしも少女が悲鳴をあげて、家まで聞こえたとしても。
眠りの深い質の父はもちろん、薄情な母だって駆けつけたりはしないだろう。
そして兄は―――――兄ならば、もしかして、とは思うけれど。
とにかくも、今、ここに居るのは、少女と、この男だけ。
夜更けの森に響くのは、木々の枝間を抜ける風の音と、夜行性の獣の遠い鳴き声ばかり。

「ぼ、ぉ、けん、……しゃ?
 おじちゃん、………ナンナを、探しにきたの?」

男が口にした単語をたどたどしくなぞり、少女は軽く首を傾げる。
頭に被っていた帽子がずり落ちて、ひょこん、と白いふかふかの、長い耳が覗いた。

―――――獣の耳。
慌てて隠すべきなのだろうけれど、少女はごはんの匂いに気をとられていた。
もう少しで、きゅるるる、とおなかの虫が鳴き出しそうだ。
無意識に右手を膝と胴の間へ滑りこませて、おなかをさすりながら、

「………おじちゃん。
 もしかして、おにいちゃんに頼まれたの?」

そうだったらいい、そうでなければ、今すぐごはんをちょうだい、と言えない。
切ない気持ちで瞳を潤ませ、男の顔を窺い見て。

アグニス > 当然、男は彼女の家が此処から少し離れた場所にあることも知らなければ、此処に居る理由も知る由もない。
状況的に推理し、迷子になった少女としか思えない。

何せその格好は冒険者でもなければ、魔物に襲われ連れ去られた無辜な存在でもない。
傷一つ無い純白のワンピース。穢れ知らずの、無垢。それを驚かせるような獣の遠吠えが邪魔だと思ったからこそ―――。
男は此処で、ぱちんと指を鳴らした。
魔法剣士という存在故に行える大規模魔法。夜更けの森から響く外部の音をシャットダウンする、静音魔法だ。
――――これが、これから響くかもしれない彼女の悲鳴すら掻き消す事になるのには、きっと無垢な少女では気付け無い。

「おう。魔物を倒したり、薬草集めたりしてるカッコいいおじさんだぞ?
 ん、そうだぞ? ―――ナンナちゃんの声が聞こえたから、おじさんは駆け付けたんだ。遅くなって悪かったな!」

そして、安心させるように再び浮かべる笑顔――が、ずり落ちた帽子からちょこっと覗くふわふわの耳に一瞬向けられた。
ミレー?もしくは兎の獣人か。どっちにしても、そう言った排他的な思考を持っていない男は、敢えて指摘はしない。
寧ろ、獣人という常人よりも肉体の強度が高い牝だと知ることで、ふつふつと――嫌らしい想像が脳を過る。その最中に。

「……ん?」

―――兄に頼まれた? なるほど、兄とはぐれたのか。と考えがまとまった。
きっと、彼女のことをとても大事にしている兄なのだろう。そうでなければそんな言葉は出ない。そして、お兄ちゃんが良しとしてないから受け取れない――とだってなりそうだ。だからこそ。

「おう。お兄ちゃんに頼まれたんだ。ナンナちゃんを見付けて、ご飯をあげてくれってな?
 ほら、だから――ご飯も持ってるし、ナンナちゃんの名前だって知ってるんだぜ?」

―――名前を知っているのは一人称。
食事どうこうはつぶやきが聞こえたから。言いくるめ、信頼を勝ち取り、彼女が逃げない状況を作っていく。

ナンナ > なにげなく口にした一人称で、名乗る前から名前を教え。
おずおずと繋ぐ言葉の中身も、警戒しているようでいて、あちこち隙だらけの有り様で。
ぱちん、と目の前で打ち鳴らされた指の音に、びっくりしたように瞬いてみせたけれど、
ふるん、と揺れたウサギ耳も、きょとんとした表情も、まるで無防備。
立てて抱えた膝小僧、スカートの裾から覗く白い腿さえ隠さずに、

「まもの、……ナンナ、まものは見たことない。
 でも、やくそうは知ってる、――――――― え、ほんとう?!」

兄がなかなか来ない理由が、目の前の男の存在と、今やはっきり結びついた。
そもそもあまり複雑に出来ていない少女の頭のなかで、目の前の男は、
優しい兄が何かの理由で、自分の代わりに差し向けた―――――ごはんのひと、だ。

よじよじと洞から抜け出して、ワンピースのお尻を軽く払いながら、
期待に満ちた瞳が、男の顔―――――ではなく、その腰に携えられた鞄を見つめる。
いいにおい、ごはんのにおい―――――こくん、と知らず喉を鳴らし。

「いつもだったら、お兄ちゃん、もっと早く来てくれるのに……
 ねぇ、おじちゃん……ナンナ、もぉ、おなかぺこぺこ」

今度は両手で、おなかの辺りを撫でさすりながら。
ごはんちょうだい、と今度こそ主張してしまいたい。

アグニス > 「ああ、この辺りには出てないな。もう少し奥の方に行くと、狼型の魔物とか、ダンジョンもあるんだ。ナンナちゃんは行っちゃダメだぞ?
 おう。薬草は良いお金になるからな。定期的に収穫を―――と、おお!? ……おぉ、本当、本当だ!」

まさか其処まで激しく反応するとは思わなかった。
文字通り、飛び付いたように顔を持ち上げ、目をきらきらと輝かせ、耳も隠さずに自分の元へやってくる少女は――最早自分の事を全く疑っていない。
此処までチョロくていいのだろうか。という僅かな葛藤はあるが、それはそれ。
向けられる瞳をどうにかするのがまずは先決だ。

「ああ…………。ちょっと忙しくてこっちに来れなかったみたいでな。
 だけど、心配してるだろうからちゃんと戻った時にはただいまって言わなきゃダメだぞ?
 ……とと、すまんすまん!……ほら、確り食べるんだぞ!」

其処で空間魔法を施した鞄から取り出すのは、燻製にしたベーコンと新鮮なレタスとトマトを挟み込んだBLTサンドだ。
魔法のお陰で出来立てのまま、ぬくもりを宿すそれを差し出された両手に置いたかと思えば……。
更に取り出すのは濃厚な林檎の絞り汁。――ただし、それはただのジュースではない。
魔力を持つものや、獣人と言った存在の身体を温め、発情に近付ける精力剤代わりのもの。飲んでしまえば――それでおしまい。

ナンナ > 母親との仲が険悪な少女にとって、兄の存在はそれだけ大きなものなのだ。
寡黙な父親には期待できない、けれど兄ならいつだって、味方になってくれるはずだと、
少女はひたすらに、幼い信頼を寄せている。
それは、そう、からだの関係になだれこむことも厭わないくらいに。

弾むような身のこなしで立ちあがり、両手を前に差し出して。
手渡されたほかほかのサンドイッチを、ますますキラキラした目で見つめ、

「うわあ、すごい、まだあったかい!
 ありがとぉ、おじちゃん、いただきまぁ、しゅ!」

す、と発音できなかったのは、言い終わるより先にかぶりついたせい。
小さな口をめいっぱい開け、白い歯を覗かせて、がぷ、がぷ、と。
―――――ものの数秒も経たずに、むぐ、とくぐもった声を洩らし、

「ん゛、ん゛、んんん、ん゛~~~…!!」

焦りすぎて、まんまと喉を詰まらせた。
結果、男が差し出した林檎のジュースを、少女はなにも考えず、
ごくごくと喉へくぐらせて――――――――

ぱさ、り。

少女の手から、サンドイッチがこぼれ落ちた。
次いで、白い膝小僧が、そのすぐ傍へくずおれる。
うつむいて、その場へうずくまった少女のからだが、小刻みに震え始めた。
細い肩を忙しなく上下させ、はぁ、はぁ、と呼吸を乱す少女の顔は、
覗き込んでみたならば、それこそ林檎のように真っ赤に熟れて、
瞳は熱に浮かされたよう、とろりと蕩けて見えるだろう。

アグニス > 「おう、凄いだろう?おじちゃんはこう見えて凄腕の冒険者だからな!
 ――確り食べるんだぞ? ナンナちゃんっ。」

そう、実際にこの男は冒険者としては中の上辺りの立ち位置である。
が―――自分好みの牝がいた時には手段を選ばない、性豪な器質がある。だからこそ、此処で差し出したのが単純な水やミルクではなく、その果実の絞り汁だったのだ。

事情は知らない。ただ、自分好みの牝が一人きりで草原地帯に居て、自分の事を疑わずに施しを受ける。
その事実を利用しないわけがなかったのである。―――勢い良く食べ始める少女は当然のように喉を詰まらせ、必死にその飲み物を口に含み……――――。

堕ちた。

咄嗟にこぼれ落ちたサンドイッチを、空間魔法で停滞させ、後々食べれるように鞄にしまいながら、蹲るその様子を眺め、口元を緩めさせる。
そう、自分の思う通りに進んでしまった少女は、最早逃げられない―――だからこそ。

「……悪ぃな、ナンナちゃん。……帰るのは暫く先になるだろうなぁ。
 ま、安心してくれ。……ちゃんと、おじさんが説明しとくからな―――。」

不穏な呟きと共に、展開している静音魔法に重ねるのは、気配を消す隠密魔法。
―――そう、逃げ場は無くなった。蕩けた牝兎は、劣情を含むこの牡から逃げられない。その牡が満足し、手放すまでは。

ナンナ > 目の前の男は少女にとって、あくまで『おじちゃん』にしか見えていない。
父親と同じ年頃か、もしかするともう少し年下かも知れないけれど、
少女自身とは年が離れすぎていて、性の対象とは思えなかった。

けれども、こちらがそうだからといって、
相手もそうだとは限らない、のだと――――――きっと今夜、
少女は身をもって知る羽目になるのだろう。

「ん、ふぅ………っ、……ぁ、あつ、ぃ、ぃ……。
 どぉ、して………なに、なん、で…………?
 ナンナ、………どぉ、なっ、ちゃ――――――…… 」

わからない。
熱い、苦しい、からだが、蕩けそう。
ぼんやりと翳みかかってゆく思考の片隅で、男の声を聴いたけれど、
理解できないまま、少女はぐったりと倒れ伏した。
両手をワンピースの下腹に―――――というより、股の間へ宛がって、
疼くからだをもぞつかせながら。

獲物と化した少女は、男のつくった檻のなか。
まんまと囚われ、好き放題に喰らわれる運命、と――――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からナンナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアグニスさんが去りました。