2023/03/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にさんが現れました。
> 右を見ても左を見ても、樹木ばかりの森林地帯。
そんな中、ポツンと佇むのは一人の少女。
漆黒の長髪を風に靡かせ、どこか無警戒に見えない空を見上げていた。
しかし、その周囲に転がるのは、何体もの魔物の亡骸。
体の一部が抉れていたり、爆ぜていたり、切り裂かれていたり。
その原因は様々に見える。

場にそぐわない可愛らしいワンピースドレス姿、肩に掛けた鞄一つで、武器一本持たない少女がどうやったのか。
この惨状は他の誰かがやったもので、少女は後から来た…とも考えられるか。

「う~ん…お腹空きました、この魔物とか…食べられたりしませんかねぇ?」

死骸の一体の傍に屈み込み、そんな物騒な台詞をポツリと呟いていた。

> そんな少女の姿を、もし見ている者が居れば。
それはきっと、異常な存在として見える事だろう。

少女自らがやったにせよ、他の誰かがやっていたにせよ。
何体もの魔物の亡骸を見て、顔色一つ変えていない。
まるで日常の一ページであるかのように、物騒な呟きを絡めてその場に平然と佇んでいるのだ。

それを真剣に考えているのか、屈んだまま少女はなかなか立ち上がらない。
それは、もしかして本当にそうするつもりなのかと、考えさせられるものであるか。

そして静かな森林地帯の中に、クゥ…と、場違いなお腹の音が鳴る。

「はぅ…鈴は、そろそろ限界が近いですぅ…
もうちょっと、ご飯を多めに持って来るべきでしたぁ」

カクンと肩を落としながらも、魔物の死骸からの視線が外れない。
もしかしていよいよ本気で動くつもりなのか、そう思わせる雰囲気で。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアシュベールさんが現れました。
アシュベール > ――はじめに感じ取ったのは、血の匂いだった。
配下の魔物に素材集めを命じ、本人はのんびりと仮眠に洒落込んでいたのだが、その眠気が覚醒するほどの香りが、其処にあった。

魔物たちは一度店に帰還させ、ニオイの元へと足を進ませる。
一匹や二匹ではない。何匹もの野良の魔物が血を流している――否、この臭いならば、おそらくは絶命しているだろう。と思う程の血の香り。

其処にたどり着けば、確かに。【異常】と想う光景が其処にあった。

「うへぇ……なんだこれ……。」

森林地帯が文字通りの酒池肉林と成り果てている。
しかも、其処には呆然と屈んだ一人の少女。少なくとも、この血の沼の中には不釣り合いなワンピースドレスを纏った子が、ぽつんと其処に。
さて、正直な所放置してもいい。然し、だ。「ごはん」とか聞こえてしまった。―――少し悩んだが。

「おーい、そこの子ー。そんなところに居ても腹は膨れないとぼくは思うんだけどねぇ~。
 ……っていうか、だいじょぶー? 死んでないー? ポーションとか必要じゃないかーい?」

―――そんな風に、こっちも場にそぐわぬ緩い言葉を投げ掛ける。
彼女とどっこいどっこいな背丈の一人の少年が、ローブと、何故か背中に巨大な宝箱を背負い、歩いてくる様を――さて、彼女はどう想うか。

> 今は言うなれば日常の一時、戦場では鋭敏である感覚も働かない。
だから少年が現れたのに気付いたのは、その声を聞いてからだ。
それを見れば、この少女の反応はかなり鈍い方なのだろうと思えるか。

声を主を探すようにキョロキョロと見回せば、その姿はすぐに見付けられる。

「あ、はい、でもこの魔物を食べられたら、きっとお腹も膨れると思うのですが、どう思いますかぁ?」

そして、返って来る言葉は、聞けば何を考えているんだとツッコミを入れたくなるような質問で。
大丈夫か?死んでないか?ポーションは必要か?との問いには、不思議そうに首を傾げてみせた。

どうして少年がこんな場所に居るのか、そんな考えなんて浮かんでいない様子だ。
それは第三者が見たら、きっとお互いにどこか抜けているところがあるように見える光景だろうが。

アシュベール > 彼女にとっては日常ではあるが、光景的には完全に非日常である。
森林に出来上がった屍山血河。その中で自分の声に気付き、視線をさまよわせる少女。
少しの時間を掛け、漸く視線が噛み合った。軽く手を振ってみせた。

「んー、そだねぇ。……正直おすすめはしないかなぁ。
 ぼく、こう見えて魔物使いなんだけど、其処の魔物は肉はあんまり美味しくないから、腹は膨れないと想うんだよねぇー……。
 
 ―――ああ、ちなみに。ぼくは血の匂いに気付いて様子を見に来た冒険者だよ~。」

小首を傾げる彼女に見せ付けるのは、そう。冒険者として発行されるアイテムだ。
ギルドによって、その発行方法は違うが――自分の場合はタグ的なものを背中に背負った宝箱から取り出し、見せ付ける。自己証明、大事。

「――っていうか、お腹空いてるなら食事ぐらい分けるから其処から出てきたらどうかなー?
 ぼくとしても、可愛い子がそんなとこにいるの、あんまり見てたくないよねぇ……。」

――そう告げ、見せ付けるのはタグと一緒に取り出したミルクとパンである! 

> 現れた少年に向けられる視線と、不思議そうにしている仕草。
それも手を振る姿を見れば、自分もそれを返す様に手を振ってみせる。

「やっぱりそうですよねぇ、あんまり美味しくはなさそうですよねぇ。
せめて動物でも居てくれれば、狩ってご飯にするのですが、居ないものは仕方が無いのですぅ。
我慢して、食べてみるのも手かなって思っていたところなんですよぉ?

あ、なるほどぉ、あなたも冒険者なんですねぇ。
鈴も、冒険者だったりしますぅ」

要らぬ説明を加えながら、少年が見せる冒険者と証明させる印に、自分も紐を通し首から下げた印を見せる。
ランクは最低、駆け出しの冒険者、と思わせる印ではあるのだが。

「ご飯ですかっ!?」

そんな言葉の遣り取りをしている中、食事の話が出た途端に、少年を見詰める眼がキラーンッと輝いた、気がする。
トーンの上がった声という、明らかな高反応がそれを確証に変えるかもしれないが。

餌に釣られた動物の様にチョコチョコと歩み寄り。
与えられるだろうパンとミルクをジーッと見詰めるのだ。

アシュベール > 「そだねぇ……動物は、無理じゃあないかな……。
 っていうか、この生臭さの中だと、動物は多分危険察知して完全に遠くに行っちゃってると想うしねぇ……。
 うへ、其処で違う意味で悩んでて正解だったよー……? さすがのぼくも、魔物食べてお腹壊した女の子と遭遇したら、ちょっと反応困ってたからねー。

 あ、やっぱりー? っていうか、こんなこと出来るのは基本的に冒険者だよねー。―――んん。」

 彼女がまだ葛藤を続けていてよかった。とはいえ、彼女の底なしの胃袋なら、若しくは美味しくいただけたのかもしれないが、それはそれ。
 視線は当然のように、首から下げられた印へ。其処に訝しげな声を零したのは、きっと彼女にも気付かれる。
 何せ此処には一匹ではない。何匹もの魔物の死骸が転がっている。新人では普通行えない。
 ……――が、きっと才能あふれる登録したばかりの冒険者なのだろう。と簡単に纏めた。訝しむのは一瞬で済む。
 ちなみにこの少年のランクは中堅と上位の境目である。

「――そだよ~? ご飯。
 この宝箱はぼくが使役してるミミックでねー。物質の転送が出来るわけ。
 店の食料をこうやって取り出すことができるわけでー………って早い早い。」

 説明してる側から、屍山血河からこっちに歩み寄ってきた。
 ソレほどまでにお腹が減ってたのだろうとは想うが、それよりも先にやることがある。
 翳すのは右手。じゃらじゃらと指輪が付けられた其処を彼女に翳すなら――。

「ご飯を食べるなら、キレイにしないとねー……。」

 ――僅かな光。指輪の中の2つ。金色と青色の指輪が光り輝く。
 同時に彼女を包み込むのは黄金色の水泡。神聖属性を含んだ水は触れたものの汚れを浄化――つまり、洗浄魔法となる。
 血生臭さを脱臭し、その身体にこびりついていた血を洗い流し、きれいになってから―――。

「……てことで、ごはんだよー。
 パンは白パン。空間魔法でふかふかのまま。ミルクは……ミノタウロスから絞らせてもらった美味しいミルクでーす。精力も元気になる一品だよー。」

 彼女にそれらを差し出そう。ふかふかのパンと、濃厚なミルクを。

> 「え~っと…う~ん、遠くに行っちゃってるなら、片付けても戻って来ませんかねぇ?
鈴はお腹壊した事はないので、きっと大丈夫ですっ!

こんな事?この魔物の事ですか?
ご飯を探してたのに邪魔してきましたので、パパッと倒しておいたのですぅ」

その言葉に残念そうに再び肩を落とすも、無駄な頑健さ自慢を披露しながらポンッと胸を叩いてみせて。
そんな少年の考えを肯定する様な言葉を伝えるも、訝しがられる様子は気に掛けず、で。
それに気付いているのか、単に気付いていないのか。
ちなみにランクには無頓着なのか、駆け出しの自分よりも遥か上のランクを示されても表情一つ変わらない。

「……う~ん?…よく分かりませんが、その箱がご飯を出すんですね、凄いです!
その箱があるだけで、いつでもどこでも食べ放題なんて、羨ましい限りですねぇ。
…?どうかしましたかぁ?」

どう倒したのか、少女のワンピースドレスは黒色で分かり難くはあるものの、しっかりと返り血は浴びており。
少年が、寄って来る少女を留める気持ちはよく分かる。
その言葉に素直に従う様に、数歩先の位置で立ち止まった。

「そんなに気になりますかねぇ…?」

そんな少年に対し、少女は自ら狩った動物を捌いている経験もあり、血塗れには慣れていて。
そんな対応に、少し不思議そうにしているのだ。
だが、そうしないとご飯が貰えないかもしれないと思えば、大人しく綺麗にされてゆくのだった。
包む水泡に物珍しそうにしながらも、それが終われば綺麗さっぱり。

右から左からと、綺麗になった自分の姿を確かめはするのだが。
ご飯、と言われれば、今度こそ少年のすぐ前に。
差し出されたパンとミルクを受け取ると。

「いただきますぅ♪」

早速とパンを銜え、食し始めるのだった。
よっぽどお腹が減っていたのか、その勢いはなかなかのもので。
ぺロリとすぐに平らげてしまうのだが。

アシュベール > 「そうそう。動物は匂いに敏感だからねー……。いやまぁ、肉食獣は血につられてやってくるかもだけど、それはそれだけどねー……。
 戻ってくるかは運次第だけどー……うわ、凄い自信だねー……。

 なるほどねー。にしても凄いねぇ。この量をこんなに叩き潰すなんて。」

 実際、これだけの事を行えるということは、彼女が冒険者としても、一人の存在としても強靭ということ。
 結果、きっと大丈夫。という言葉にも「そっかぁ~。」っと、納得したような声を零してしまったりもする。
 そもそも、この惨状を見て、彼女がやってない!とは思わない。彼女の黒のドレス以外にも、その肌が返り血を浴びているのだから―――。

「おー、物わかりが緩いねぇ。そうそう、そゆことー。
 いくらでも!とは言わないけどねぇ。店のストックを運んでくるだけだから有限だよ~?……ただ、そだね~。
 こう見えてお店開いてるからね。そこそこ量はあるつもりだよ。へへ~……。

 ――んー。気になるっていうか。
 美味しいご飯を食べるときは、血の匂いとかそういうのなしに、パンとか牛乳の美味しい匂い、嗅ぎたくならない?」

 確かに彼女の言う通り、気にしない人は気にしないだろう。
 が、折角の空腹だ。其処で食べるのならば美味しく頂きたいと思ってしまう牡が此処にいるのだ。
 ―――浄化魔法は彼女の身体だけではなく、近くにある死骸すら飲み込み、水を利用して汚れを取り込み、肉片を消滅させ、本来の自然の香りを戻していくだろう。勿論、眼の前に居る彼女も本来のまっさらな状態に。

そうしてから――差し出した食事を、彼女は笑顔で受け取り。

「はーい、召し上がれー……って早い早い。
 ……ミミっくん、おかわり。」

すぐに食べ尽くしたので、ぱかっと後ろの宝箱が開き、影の触手をごそごそと揺らして、もう一つパンを彼女に差し出すこととなるだろう。おかわりだ。
 

> 「そうですか、だったら、その肉食獣をズバッと狩って捌けますねぇ?
それはもう、色んなものを食べてきましたから!
魔物は食べた事、無かったですけどねぇ。

鈴は、戦う事とか捌いたりする事ならお任せです!
他の事は無能ですけどぉ」

それをまた肯定するような、自信満々な言葉。
エッヘンと胸を張りながらも、続くのは相反してそれ以外は何も出来ないというものだが。
それに対しては余り気にしてない感じか。

「そうなんですか、鈴としては大助かりです!
遠慮なく食べれるって良いですよねぇ。

鈴は何でも美味しく頂けますから、あんまり気にした事ないですよぉ?
美味しいものは美味しい、食べれば分かるものですからぁ」

明らかに、少女は気にせず食べられるタイプ。
きっとさっきの様な凄惨な場所であろうとも平気で食べられるだろうと、思わせる事だろう。
そう言葉を交わし続けている間にも、パンやミルクはみるみる減ってゆく。
それは、おかわりとして渡される次のパンやミルクも同様で。
その体のどこに吸収されてゆくのか、そう思わせる程の量を収めていけるのだが。
さすがに、そこは限界が先にくる事だろう。

「鈴は、ご飯のお礼はしっかりと致しますぅ。
戦う事とか、捌く事とかでしたら、鈴にドーンとお任せしてくれて良いですよぉ?
ギルドのお仕事を終わらせて、帰るところでしたので、帰り道でしっかりと恩返しさせて貰いますねぇ?」

食べながらなのか、食べた後なのか。
それなりに満たされたお腹を撫でながら、ご満悦な様子で少年へとそう願い出る。
もし少年が、まだどこかに向かう途中だったら、なんて事もあるのだが。
そうした細かい事は、やはり気にしてはいないようだ。

ちなみに断られても、少女は勝手に付いて来るだろう。
義理堅い性格の少女だ、ちゃんと返したと満足出来るか、安全な場所まで帰り着いてしまったり、となるまで。

アシュベール > 「その時はもっと、いい感じの肉を用意したほうが良いよ~。
 後、森林地帯より、山の方が出やすいとかねぇ。ここらだとそもそも……魔物のほうが強くて、狩猟するタイプの動物、あんまり生息してないだろうしねー……。

 ――魔物料理か~。魔物に寄るだろうからねぇ。
 ……なるほど、なるほど? とか言って、実は戦うこと以外にも得意なことがあるやつじゃないのー……?」

なんて、からかい混じりの言葉を彼女に向けたりした。
自分で無能。という存在が無能じゃない事を何度も見てきたので、笑いながら、信じていない素振り。

「其処まで大食いってわけじゃあないから、ストックは……店で出す程度しかないけどねぇー……。
 
 ……成程な~。けど、良い食べっぷりするねぇ。
 餌付けしてるこっちとしても、見てて清々しいよー?」

その食べるスピードを見れば、その辺りが無頓着なことは理解できた。
そう、彼女は食べることが好きなのだ。その状況がどうであっても、大して気にならないタイプ。
余計なお世話だったかな?とは思ったが、それはそれ。――流石に遭遇した女の子を血塗れのままにしておくのは、それはそれ、なので。結果的に良いことをした!と考えを変えておくことにする。

―――そして、おそらくパンを5つほど振る舞ってから。

「はーい、どういたしましてー。
 別に見返りのためにしたんじゃないけど……多分、キミ。その辺り、確りしてるタイプだよねぇ。

 ……んー。
 
 それじゃ、帰り掛けの護衛でも頼もうかなぁー……ああ、ぼくはアシュベール。よろしくねー、鈴ー。」

願い出た相手からの圧。断っても無意味だろう。と即座に判断し、
本来ならば一人での帰路を賑やかにするために、彼女の"恩返し"を受けることとした。
さっきから自分自身の名前で一人称を呼んでいたため、当然のように【鈴】というその名前を、自己紹介と共に呼びながら――少し賑やかな帰宅になるのである。

ちなみにその間も、喉乾いたなら飲み物要る?などと、宝箱から飲み物を出したりして、彼女の恩が膨れ上がったりしたかもしれないが、それはまた―――別の話、ということで。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアシュベールさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からさんが去りました。