2022/12/29 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にバルゴラさんが現れました。
バルゴラ > 月の輝きが降り注ぐ草原を一人歩く。

此処はメグメール(喜びヶ原)自然地帯にある草原。
吹き荒ぶ風は冷たく、輝き放つ月明かりは頼りない、そんな草原に足を踏み入れたのは理由があった。

夜の闇の中でしか咲かぬ花がある。
冷たい空気の下でしか生えぬ草がある。
此処でしか生息しない小動物もいる。

此処でしか採取できないものを集めに来たのだ。
何に使うかと問われれば答えは一つ自らの作品に付与する為、今は<<例のアレ>>ではなく、次なる作品である惚れ薬の香りを浸み込ませておけるアクセサリーの為である。

普通に考えればペンダントヘッドに媚薬を浸み込ませた紙とか布を入れておけばいいのではないか?と思うのだが、依頼主の学友からの依頼はアクセサリーであってアクセサリーじゃないもの、ペンダントとか指輪ではない、学生がつけていても違和感がないものを希望らしい。

じゃあ髪留め?それとも何だ眼鏡か?
と、考えながら一先ずお小遣い節約のために自らの手でその手の薬を作ろうと来ている。

媚薬、にしても色々とあるし、飲ませるものや嗅がせるものとか、諸々あるので、浸み込ませて長時間維持出来るようなもの、求めているのはそんな薬で、記憶に幾つかあるレシピから材料を探して――…その幾つかがこの草原にある筈なのだ。

バルゴラ > ――…そう、ある筈なのだ。
その筈なのだが、見当たらない。
今は魔族である証である灰銀色の瞳をフルに使い、月明かりでも十分に恩恵を受けて、周囲を見渡しているのだが、魔力や特有の波長を放つ草も花も見当たらないのだ。

此処で見つからないとなると、冒険者にまた依頼をして迷宮や遺跡を含む危険な地域から採取を頼まなければならない。

あとは使いたくないが両親の伝手を頼るという手法があるが、それは最後の最後の選択肢にしておきたい。

「……図鑑には書いてあったんだけどもな……。」

中指で眼鏡のブリッジ部分を押上げて、ズレを直しながら一度だけ強く瞼を閉じると、片角の所為で幾分かうまくいかぬ魔力操作を行い、出来る限りの情報を視線で得ようと、眼に魔法を付与してから、ゆっくりと瞼を開く。

魔力は暫く持つだろう。
後は探して歩き続けるのみだ。
そうして少年は一人草原を彷徨うのであった。