2022/12/24 のログ
■アッシュ > 「未来なんてのはすぐにころころ変わるものだし、見えた所で殆ど意味などないもんだよ。
どちらかと言うと……過去の方が、見えるものなら良いかもしれんなぁ」
おぼろげにしか覚えていないような、忘れかけているものをもう一度見れる方が便利じゃぁないのだろうか。
そんな風に考えるが、いつまでも見ることが出来てしまう、と言うのもまた辛いだけの場合もあるかもしれない。
過去の話をすると、どこか少し悲しげになるのだが、蓋をされたようでされていないカップの中の野菜をもしゃもしゃとやってそれを忘れることにする。
「おお、なんだ根に持ってるのか。
男女七歳にして同衾すべからず――いや、違う気がするな。席を同じうせず、だったかな?……おじさんは君の身を心配しているのだよ。
そもそも、夢の中でそんな風に自分に文句を言っているとなると、そのまま襲われでもした方がいい話になってしまうぞ?」
ふむ、と頷いているのか笑い声が漏れたのか、どちらかと言うと面白がっている様子ではあるようで。
むにゅ、と両手で挟むつもりでいるのか、その手の感触は当然ないのだが、以前似たようなことをされた感触は何となくあるような気もして。
どうも、おじさんと可愛いを組み合わせたがるようだねぇ、とまた笑っていたりもして。
■リア > 「私も見たい未来があるわけじゃないの、今のところ。
……アッシュさんは大事なものがあったのね。私は今が楽しいから、過去もいいかな……」
未来は収束するのか分岐するのか、論文のテーマとして心に留めておく。
起きたら革の手帳にメモするように、と思いはするけれど、夢というのは目覚めた瞬間から薄れていくのでどうなることやら。
襲われでもした方が――というのにはあまり想像がつかないようで首を傾げて。
「えっちな話をしていますか? でもそんなの、男女に限ったことじゃないですし。
キズモノになった日には父が怖いけど、くっついてると安心なんですもん。
私の体の心配は私がしますし、アッシュさんは私が嫌がるようなことしないでしょ。
大人しく私の抱き枕になっていればいいんですよ」
鼻先をくっつけたのか唇を触れ合わせたのか判然としない至近距離ですりっと顔をすり寄せる。
「迷惑ですか?」
■アッシュ > 「見るのは未来じゃなくて夢ぐらいにしておきなさい。……いや、寝ている時の夢の話じゃぁなくてな。
予め見えた先よりも、自分でこう、と進めば結局それが常に今より未来になるわけだしなぁ」
結局の所、誰しも目で見て判断できるのは今現在だけ、なのだ。
そして見終わった頃にはもう過去だ。なるようにしかならない、のだからせめて解らない先の事より思い出の方を見る方がずっと意味がある……ように自身では思っている。
それでも、昔あった筈の大事なもの、なんてものはどこかへ仕舞っておくだけで良いのかもしれない、ともまた思うのだ。
スープを飲み込むように、どこかへ飲み込んで消化してしまうのでいい。
「なんだい、リアの方が攻める側なのかい。そりゃ大人しくしてるしかないかな?
――はは。そいつは兎も角、ま、嫌がるような事はしたくないね、と言うより嫌がられたら大変だから何もできん、のが正直な所かもしれんがねぇ……迷惑じゃぁないからこそ難しいのさ」
とても顔が近いのを、そっと指先で撫でるように手を置いてみるけれど、触れているような見た目になるだけで実際に触ることはできず。
触れないからこそ手を伸ばしても平気だったのかもしれないが。
■リア > 「ふふふ、変なの。夢の中で夢を見なさいだって。
実家から逃げられるまで、他に何も考えられないから、夢って言われるとなあ。
大体何でも好きですし、適性のある方に進もうかなあって」
何となく考え込んでいるように見えてしまって、首に絡みついて邪魔をする。
「攻め……」
と言われて頭に浮かぶのは、父親の取引現場の性奴隷のあれこれ。
どう見てもかわいそうな組み合わせから、一見一方的に傷つけているように見えて実はお互い喜んでいる関係、理解できないまま見てきた世界。
攻めだろうが受けだろうが自分がその立場になれる気は全くしないのだけれど、
「そうですよ、アッシュさんなんか頭からぺろりです」
大言をしれっと吐くだけは自由である。
「夢でも感触ってある気がしていたけど、全然なのは寂しいですね。
嫌がらなかったら何するの?」
指をあむあむしながら尋ねる。
■アッシュ > これだけ話していて、まだ夢の中のつもりで居るようなのだから、なかなか大したものだと思う。
そういう余裕なのかおおらかなのか……何より自由を求める様子なのは、果たして家の所為らしいのか、それだけではないのか。
まだ不安定な所も残ってはいるようだったが、それはまだ若さ故なのかもしれないし、それならばまだ少なくとも先の事は自由なままだ、とは思うのだ。
「焦らず、ゆっくりだな。少しずつ自由な部分が増えてくると、そのぶんやりたい事も見つかってくるだろうさ。何も、一つ見つけたらそれだけが正解とも限らん」
少女の方としては夢の中らしいから、自信ありげに……見せているだけ、のようには思いもするが、好き放題言っているのを笑って見ている。
頭から食う代わりに何やら指を食われているが、すかすかと通り抜けるだけなのを、ひょいひょいと指先を動かしてみる。確かに、全く何もないのは少し寂しいような気がするのは解らないでもない。
「そりゃぁ、嫌がらなかったら抱くだろうなぁ、えっちな話の方でな」
見えている自分は夢の中の登場人物と言うことになっているようだったし、そもそも起きたら覚えていないかもしれないわけで、思っていることを言ってみてもどうと言うこともあるまい、と思っておくことにするのだ。
■リア > 人によっては文字だけの夢、白黒の夢、などもあるという。
夢の中の人物に自分がまるで知らないはずのことを教えられたり、ということは珍しくなかったし、占術の教師を信じ切っているのである。
それに――目が覚める前にいなくなったことを、言われたようにたぶん根に持っていたから、アッシュが出てきて何の不思議もなく受け入れたのもある。
言い聞かせるような声色に、何となく安心して頷いて指先を追いかけていたけれど、猫扱いされているのでは……?と疑問がわいてきて、えいっと指を掴む。掴めないが。
そうして、言われたことの内容とのんびりとした言い方に、ふうーんと頷きかけてからびくっとする。
「!?……そ、……ば、ばかっ。アッシュさんのばかっ。ちがう、これは私が……!?
私は……よっきゅうふまん……ということ……!?」
何を言わせているのかと両手で顔を覆って、己の深層意識を恥じる。
「うう、むずむずします。……あと毛玉の匂いがする……?」
と言って触るのは自分の鼻のあたり。
寮の自分の部屋で、仔猫が顔の横に座って人を窒息させようとしているのだろう。
自分の手を見下ろし、半透明の体がすうっと更に薄まっているのを知る。
目が覚めかけていることに焦り気味に言葉を探し。
「ああ、あの、ええと――えっと……一人でこんなところにいちゃだめですからね!
早く戻ってきてね!」
■アッシュ > 男にしては珍しく、大きく声を上げて笑っていた。
自分の台詞も全て少女自身の想像と言うことになるものだから、変な方向へ勘違いしているのが面白かったのもあるのだが。
この少女はくるくると色んな反応を帰してくるし、普段から感情は良く出ているように思っていたけれど、単純に照れて慌てている様子、と言うのは初めて見た気がして何となく可笑しかったのかもしれない。
「まぁ、いいんじゃないか、おじさんの方はそれでもむしろ喜ぶかもしれんぞ。何なら誘ってみたらどうだ?」
起きてまた暫くして、今度は面と向かって会った時に思い出したら面白いのだが、とそんな様子を想像してみる。好き放題言える状況だったから、無責任に煽りつつ。
そうなった時の反応如何では手を出さずに見守っているのが今度は難しいかもしれない、のは困ったものだとも思うのだが。
「……おや、毛玉がお腹でも空かせているのか、それともご主人が寝てて寂しいのかな?
あんまり夢の中を散歩して回って迷子になっても困るだろう。毛玉の様子を見に戻ってやるといいさ。おじさんの方は心配しなくても、時折こうしてるのはいつもの事だからなぁ、ちゃんと戻ってくるさ」
そろそろちゃんと名前が付かないと、仔猫は自分をケダマと言う名前だと覚えてしまうのではなかろうか、とふと気になって、それも少し可笑しかったが。
■リア > 笑っているアッシュを恨めしく見上げることしかできない。
「あああああ……私も人間だったんだ……ばかなことを……
ううん、でも解釈が……別の解釈があるはずだから……」
これは生理的な、とか、肉体的周期が、などと言って恥じるべきことではないと必死の言い訳を自分にする。
無責任なことを言う男に小さくむくれて、何のダメージを与えないことは承知でお腹にどすどす拳を打ち込む。
「……アッシュさんは逃げますもん……それに私はそんなことにうつつを抜かしている場合では……っ」
軽く地を蹴ると、ふわんっと浮き上がる。
「徘徊はせめて街の中にしてくださいっ。あのね、名前、ダイヤも良いかなあって――」
言葉の先は繋がらず、引っ張り戻されるみたいに白い尾っぽを引いて、王都の方角へ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリアさんが去りました。
■アッシュ > どうやら、そろそろ夢から覚めるのか、それとも寝直すのかもしれない。
どちらにせよ一旦は毛玉に起こされることになりそうだが――
「おじさんはきっと、つらい過去が沢山ありすぎて誰かの方へなかなか踏み込めないのさ。
多分、それで独りで暮らしてるんじゃないのかねぇ……本物の方がどう思ってるのかは、夢の中のおじさんには解らんがね」
ほう、ダイヤか。なかなか豪華な名前を思いついたものだ、と頷いている。もっとも、まだそれも候補の一つでしかないのだろうが、少なくとも学院生たちに生暖かい目で見られずに済みそうな候補ではあるだろう。
どうやら無事に戻っていったようであるのを見送って。
焚き火を小さく獣避けに残しておきながら、テントの中へ潜り込む。完全に熟睡するなんてことはない男だから、その程度で問題はないのだ。
少しぐらいうつつを抜かしてくれる方がいいんだがなぁ、などとほんのり呟きながら、しばしの休息に入るのである。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアッシュさんが去りました。