2022/12/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアッシュさんが現れました。
■アッシュ > 街道から離れ森を少し超えた頃、周囲より小高く見晴らしの良い丘の上。
星空が良く見える岩場の間に、簡素なテントを設え。
眼下の森から集めた薪を焚き火に組んで、持ってきた小さな鍋を掛け。切って袋詰しておいた雑多な野菜を放り込み、湯を沸かし。
座るのに丁度良い感じの丸い岩の上に腰を下ろし、ぼんやりと鍋の中が煮えてくるのを待っている。
時折ほんのり肌を撫でていく風を感じながら、耳に入るのは時折焚き火のはぜる音や、自然の中ゆえの虫の声ぐらいなものだ。
魔物やら盗賊やらが出たりする事もあるような、一般的には安全、とは言い難いような場所でありながら、特に目立つことを避けもせず堂々と独りテントなど置いてくつろいでいる。
この男にとっては、人里もそれほど遠くないようなこんな辺りで多少の魔物や悪党なぞ湧いてこようとも、全く問題にならない、と言うのもある。
あまりにも堂々としていると、後ろめたいような連中はかえって近寄ってこないもの、でもあるのだろう。
■アッシュ > 野宿などしているのは、半分はただの遊び。半分は、街の喧騒から時折離れて野の中に身を置いてみないと、人に慣れすぎて平和呆けするから、と言うことらしいのだ。
独り、遺跡の中を歩いてみたり、洞窟の奥まで行ってみたり、時には出会った危険な某を斬り伏せたりもしながら、自分の中の戦士である部分を思い出し。
そうして感覚を刺々しく焚き付けた後は、それを透明で平坦な状態に鎮めるために穏やかな自然の中で心を休めるのだ。
「……煮えてきたかね」
鍋の中を軽くかき混ぜて、一口確かめる。
味付けは予め野菜類を塩で揉み込んであるだけ、こういう時はその程度で充分、むしろそのぐらいの方がかえって美味く感じるものなのだ。
煮えすぎないように鍋を火から少し離して、愛用の銅製のカップに中身を注ぎ。
座っていた岩から今度は地面に直接腰を下ろすと、背もたれ代わりに寄りかかり、またぼんやりと虫の声など聞きながら星を数えたりしている。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリアさんが現れました。
■リア > 星空を過る異物は、巨大な流れ星のように見えた。
ただし、一瞬で消えはしなかったし、流星にしてはゆっくりで、その上軌道が気紛れだった。
霧と燐光を纏ったようなそれは、空と地の間の高いところをさまよっていたけれど、丘の上の炎に気が付いたのか、淡い煙みたいな尾を引いて炎に惹かれる虫のように飛び込んでくる。
形が視認できる距離になると、うっすら半透明であっても間違いなく人型なのが見てとれる。
「わあ――……ッシュさん……――」
肉声、とは少し違って窓越しに聞くような湾曲してぼやけた声もまた上から降って来る。
■アッシュ > 暫し、静かに考え事をしていれば、何か異質な気配を空から感じる。
周囲から見れば目立つ場所に目立つ事をしている自覚はあるものだから、はてさて某か敵襲――空からなぞ来るものかね、とカップを岩の上へ置いて身構え、る必要性をすぐどこかへやる事になる。
「……何をやっているのだ。階段から転げ落ちでもしたのか……?」
分類的には幽霊と言った類のものも平然と対処してきた何十年だから、それ自体にどうと言う驚きのようなものはないのだが。
どう見ても見覚えのある姿が何故か半透明になってふらふらと降りてきたものだから、抱いた感想は……やれやれ、であった。
眉間にシワを寄せて人差し指の先でぐりぐりしながら、ドジをやって中身だけ抜け出てでも来たのかね、とわりと本気でそんな風に考えて。
■リア > 焚火のそばに降り立つ人型の輪郭は靄がかっているが、踝まである長い羽織はどうやら部屋着のよう。
霧と光でできて表情もとらえにくいし色も白っぽいだけだが、どことなく浮かれ気味である。
「階段――? そんなドジっ子に見えますか……?
アッシュさんこそ人の夢の中で何でキャンプしてるの?」
焚火のまわりを歩いて、つついていたお鍋の中を見て、ご飯だ!と跳ねる。
「星と森しかないなんて寂しすぎるなあ。
お外でご飯は楽しいけど、もう少し私の想像力で賑やかにできないものかしら。
もっと盛大なキャンプファイヤーとか宴とか……」
■アッシュ > わりと見える、と言うのは飲み込んでおくことにして。
言っている事から察するに、本人はどうも寝ている最中のようなのだろうか?
「おじさんは時々は街から離れて過ごしているのだよ。
……リアは寝ている最中なのか?寝る前に何かやったんじゃないのか――中身だけ出てきているようだが」
人の夢の中、と言っているぐらいだから寝ている自覚はあるのかもしれない。
とは言え、何やら抜け出して来ている、と言う所までは理解していないようなのだ。
呑気に鍋の中身を見て喜んだりしているのを、大丈夫なのかと心配にもなってくる。
「盛大にやるには準備が足りないなぁ。
いつかきちんと用意をしてやってみるのも、まぁ良いかもしれんが……」
目くらましになるような道具ぐらいは隠し持っているが。
一瞬思い切り光ったり、辺りが煙まみれになったり、そういう物であって宴と言うのには程遠いようなものばかりだ。
■リア > 何か言いたげな気配を機敏に察して、お鍋から視線を上げてちろりと睨んだようだ。
視線の焦点はあまりはっきりとはしないけれど。
「いま見えるって思ったでしょ、なんて憎たらしいアッシュさん。
あれ、でも待って、このアッシュさんもまた私の想像の産物……?
ということは憎たらしいの私自身……? こんがらがっちゃうなあ」
困っているというより面白そうな笑い声。体の重みが無い分なのかふわふわしている。
アッシュからいつもと違って見えるように、半透明の体で見る世界もまたいつもと全然違って見えるのだ。
火の粉は小さな花火の群れのように、暗闇はより暗く地の底のように。
軽い体でアッシュの隣に膝で滑り込む。たぶん実際やったら膝が削れるような動きで。
「夢占いの実践ですよ、先生が道具を貸してくださったから、予習です!
最初は、身の回りや知り合いが見えるけど、もっと見えるようになると未来とかもっと大きな範囲のことが分かるようになるんだって。
アッシュさんが寂しく野営しているのを、私はどう解釈するべきでしょう」
■アッシュ > 「夢占い、ねぇ……危なっかしい話だな。ま、知っている範囲のものしか最初は見えないと言うのであれば、そこまで危なくもないのかもしれんが」
実際こうして抜け出てきているぐらいだから、教えた教師は一応、腕は確かなのだろう。
とは言えあの学院の事だから、すべからく教師が皆まともとは限らない、と言うよりまともじゃない教師が大勢いるものだから、多少疑ってかかるのも無理はない話で。
兎角、どうも自分で寝ていると言うのは解っていつつ、見ているものが同じ時系列の現実だと言う所はうまく理解できていない様子ではある。
冷めかけたカップの中身を飲み干し、火の側で保温されている鍋の中からまた新しくカップへ移し。
予備のカップもあるにはあるが、お供えしてやっても意味はあるまい、などと少し変な笑いを浮かべて。
「そうさなぁ、リアの想像の中のおじさんが独り寂しくしているんなら、後でもっと甘えてやったらいいんじゃないのかね。食われるかもしれんが」
どうも憎たらしくも見えているらしいから、それならそれに合わせて、と少々意地悪くからかう様に言ってやる。
普段あまりしない、にやにや笑いでも顔に作ってやろう。
■リア > 「大いなる力には大いなる代償が伴うそうなので、見えたのがアッシュさんで良かったかもしれないですねえ。
王国の未来とか見てしまった日には、大変な目に遭いそうだもの」
危なっかしい、というのににこにこしている雰囲気。
隣にくっついてカップに蓋をするようにてのひらを出したり、アッシュをつんつんつついてみるけれど、すり抜けるばかりで何の感触もない。
「アッシュさんなんか甘えたって逃げるじゃないですか。
起きたらいなくなってる人がよく言えますね、もう」
言いながら、これもまた自分自身に文句を言っていることになるのかなあ――と自問しかけて途中で面倒になって考えることを放棄する。
頭を使うより、ふわふわしている方が気持ち良いので。
夢の中でくらい頭を休めたところでたぶん罰は当たらない。
にやにやしている顔を両手で挟む。やっぱり何の感触も無い。
「うんうん。強気なアッシュさんも可愛いですよ」