2022/12/02 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 生い茂る木々の中に枝葉の遮蔽の隙間を縫って日中の木漏れ日が差し込んで来る。街道から少し外れた場所にはほぼ未開拓の、時折に樵や山菜摘みの人間が来る程度の雑木林が広がっていた。突っ切るようにして流れる小川が静穏なせせらぎの響きを奏で、穏やかな生態系の中には小動物達の姿がちらちらと窺える。
その風景に紛れ込むようにして、古い樹木の木陰に休むようにして横たわっている怪物の姿があった。
■ドラゴン・ジーン > 呼吸めいた脈動を繰り返して小柄に縮めている竜の疑似肉体がゆっくりと収縮と膨張のサイクルを行き来する。無論において肺などという臓器は存在しない為に他の高等動物のような肺呼吸を行っている訳ではない。
怪物の居る周囲には顕著な異変が沸き起こり立っている真っ只中であった。冬を迎えて立ち枯れている植物も少なくない最中において、此処一帯は豊かな緑が生い茂っている。もしも森の知識に通じている人間が此処を見たならば恐らくは驚くだろう、今の季節では在り得ない春の草花…のみならずに夏や秋にしか見受けられないような代物までもがごった煮になって此処には棲息しているからだ。
普段ならば乾いた荒廃する冬の匂いが鼻につくというのに、今は噎せ返らんばかりの命の在処を示す甘ったるい花々や果実の混ざり合った香気が垂れ流しに蔓延していた。
その影響を齎しているのが延々と疑似的な呼吸サイクルの気息の都度において湯気のように竜顎から漏れ出る白い煙のような気体だった。拡散するそれが振り撒かれて周囲の土壌に沈着するに連れて石土を割り開き、木々の根の隙間を縫って、今の時期を勘違いしているかのような夥しい程の緑が芽吹き出している。
これは以前において遺伝子を採取した存在から得た能力だ。周辺に散らすその気体を媒介にして繋いだ魔力パスを通じて、悍ましい程の魔力が周辺の土地にへと絶えず供給され続け。一種暴走めいて氾濫した力は促進というレベルを越えて辺りの命の発育をしている。
■ドラゴン・ジーン > 河川の清らかな透明度の水も今ではまるで染料を溶き流したかのように不気味な程の原色に染まっている。それは現在進行形で太い木々の枝ぶりから早送りのように花咲結ばれた無数の果実が爛熟しながらぼとぼとと、とその重さに耐え切れずに落下しては土や石、川面にへと砕けてその中身が撒き散らされているからだ。異常だと感じられる程の甘い匂いは狭い部屋で果物のジャムを煮詰めているそれに近しい。
土に落ちたものは即座において果実に混在する種を撒き散らし、種子はあっという間に芽吹いて土壌に根を張り新たなるその若芽は恐ろしい程の速さで茎を延ばして幹を拵え、分化する枝葉を差し伸べる樹木として周囲に幅を効かせている。
その木陰の下生えの草花も絨毯宜しくに密集しながら一面に広がり、岩地は完全にそれらに覆われ切って、横たわる怪物の全身もまるで苔むしたかのような緑の膜につつまれつつある。
■ドラゴン・ジーン > その匂いに引き寄せられて来る、意志薄弱な蟲や獣などは殆ど問答無用だ、拡散する魔力パスに接続された途端に我を失ったかのように本能に駆り立てられ、狂ったかのように繁殖を行う為の性交渉に励み出す。
鹿や獅子、狼や熊、多くの野生動物はその食性や種の別々の垣根すらも容易く乗り越え自然では在り得ない異種交配に通じている始末。神々しさなどというものは欠片も無く、寧ろ冒涜的とすらも言える異常な乱交の空間が場に形成されていた。
■ドラゴン・ジーン > 竜が立ち去る頃には、異常供給された魔力の消失と共に、あらゆる栄養を使い切って局地的に荒廃した土地だけがその場に残る。
しかしながらにそこで芽吹き種を結んだ新たな多くの命は、その場所を始点にして辺りにへと撒き散らされ、自らの棲息圏を爆発的に広げる事になるのであった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からドラゴン・ジーンさんが去りました。