2022/11/24 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にイリーナさんが現れました。
イリーナ > メグメール街道から外れる自然地帯。
膝丈まで伸びる草の色は薄くなり、冬ごもりに備えてか木々の実りも不自然に、力任せに抉り取られている。

「ここは、痕跡あり……と。」

そんな独り言ともに手にした皮用紙に印を記す女が一人。
秋から冬のこの時期に溶け込みそうな銀の短い髪。
それとは正反対に目立つ赤い眼と、赤いコートが目に付くか。

冬ごもりに失敗しな獣や、モンスターの生息域調査。
この時期に定期的に持ち込まれる地味な仕事は、給金が安いのが玉に瑕だが

「誰かがやらないと……ってねー……」

吐かれる白い息は少しばかり重く。

街道から離れすぎないようにと、魔力の痕跡を残しながら調査を進めるために一歩、また一歩と足を踏み入れていく。

さて、そんなごく薄い魔力の痕跡と女の臭いをたどってくる「なにか」はあるのだろうか?

鼻が利く獣。
冬ごもりに備え、警戒をしているモンスター。
はたまた、事前の情報にない洞窟や、ダンジョン。
魔力の痕跡に反応して、不意に現れる謎のトラップ。

銀髪の女は、警戒をしながらも一歩、また一歩と足を踏み出している。

イリーナ > 乾燥した土に残る靴跡。
かき分けた草が倒れて女が通った印。

道しるべとして枯れ木や石に残した刻印。
季節ゆえに早く沈みかけてくる陽。

「んー……」


手元にあるここ一帯の地図を確認し、調査の進捗状況や自分の現在位置を確認し、ここで切り上げるかを考え始めるが。

イリーナ > 「つっ……」

陽も落ち、冷たい風が頬をなぞる。
赤いコートの裾も流れ、その先を視線が追った。

「深入りしすぎは禁物、と」

続きはまた後日、焦ることはないだろうと自分に言い聞かせる。

冬は近いが、まだ時間は残っている。
道しるべとして残していた自身の魔力の痕跡をたどりながら、人の営みが感じられる街道へと赤い髪の女は戻っていくのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からイリーナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 夜の帳が落ちて、獣や梟の啼き声が静かに響く森の中。
ロープを張り巡らせて、鳴子の罠も仕掛けた中央に焚き火を囲む男女の姿がある。
片方の男は中年の域に達した熟練の冒険者であり、もう片方の女は彼よりも若い事だろう。
冒険者ギルドからの依頼を共に受けて、即席のパーティを組んでいる間柄である。

「運良く比較的新しい足跡も発見できた事だし、明日には連中の塒を突き止めることができそうだな」

彼らが引き受けた依頼は、冬支度の為なのか、近隣の村落や街道の馬車を襲い始めたゴブリンの退治。
昼間の内に依頼主の村長の話を聞き、周辺の森林内を捜索した結果、手掛かりに行き当たり順調な滑り出しであるとも言えた。
そもそも、ゴブリンどころか、より困難な偉業も過去に達成してきたベテラン冒険者にしてみれば、役不足の依頼である。
本来ならば駈け出しから精々中堅向けの依頼を、パーティを組んでまで引き受けたのには相応の魂胆がある。

一つは、人々の生活に密着した、この手の依頼は枚挙に暇がなく、手隙や金欠のタイミングでも受けられる事。
そして、もう一つは、今回、共に依頼を受けた冒険者が女であるという下心ありな理由である。
特に最近は彼も臨時講師を勤める学院のお陰で、若手の女性冒険者の類も増えてきており、
度々、彼女達に狙いを定めては好からぬ行為に及ぼうとする不逞の輩も現われていた。

そして、他ならぬ彼自身、――――何を隠そう、その手の輩なのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からトーラスさんが去りました。