2022/11/08 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にヴァーゲストさんが現れました。
ヴァーゲスト > メグメール自然地帯の森を闊歩する人影が一つ。
一帯に広がる魔力の影響で魔獣化した獣やオーク等の亜人が巣くうとされている森の木々の合間を軽装でナイフ一本を握り締めて歩く姿は最早酔狂では済まされない、気狂いの類だと彼を誰か知らぬ者が見れば嗤うやもしれない、だが人影は別に狂った訳でも何でもない、人影にはその軽装が最適解なだけなのだ。

空に浮かぶ月の輝きも届かぬ中を足場の悪い土の上をざくりざくりとわざと音を立て、周囲に此処にいるぞと宣告しながら歩く、獲物と見るか、敵と見るか、領域を侵す者と見るか、己としては何でも構わないが、面白い事が起きれば良いとただ歩く、ざくり、ざくりと足音を立てて。

「……この辺に竜の糞が落ちてたと聞いていたんだがなぁ、どこかに移ったか?それとも喰われちまったか?」

名前をヴァーゲスト・ラグランジュ・ヴィハーユという。
王都に幾らでもいる賞金稼ぎの一人。
毛先にいくにつれて紅く染まる不思議な髪色をしゃれっ気もなく適当に伸ばした髪をぐしぐしと掻き乱し、つぶれた左目の代わりに良く見える右目で辺りを伺う。

生物の弱点である首まで確りと包む伸縮性に富んだ服は可動域を広げる為に袖なしで、剥きだしの褐色の肌は腕だけでも幾つも古傷が傷跡が目立つだろう、一見して本人が一番オーガやらドラゴンに近しい風貌と雰囲気を醸しだしている所為か、辺りをずっと歩いているのに、音を立てて己の存在をアピールしているのに、何とも遭遇する事が無く、表情は露骨につまらなそうに。

希望はタッパも乳もでかい女、いや背が高ければスレンダーでも……いやでも尻がでかいのも捨てがたい……というのは女の趣味で、そうではなくて今夜は此処最近自然地帯にドラゴンがでると聞いて、それをナイフ一本でドコまで狩れるか己を試すためにやってきたのだが、今夜はどうもハズレそうで、その所為で浮かべている表情はそんなつまらなそうな表情なのだ……口もへの字口である。

ヴァーゲスト > 己の存在をアピールしながら歩けば、縄張り意識の強い魔獣なら飛んでくると考え、物音をわざとたてながら歩いているが、あては外れたようであった。

ドラゴンなら絶対にくると、気高く領域を侵すものを絶対に赦さないあのドラゴンであれば、簡単に遭遇できると思ったがゆえの行動だったのが、今夜は諦める事にする。

「……餌か?酒か?肉か?それとも何か条件が……?」

噂に聞いたドラゴンはレッサークラスではなく、もしかしたら遭遇するのに何か条件の要る上級クラスか或いは古代竜に近しいレベルのドラゴンだったのか?そうであれば、今己のやっている事は無駄になるな、と判断すれば今夜は出直そうと。

踵を返す。
メキメキと枝を強く圧し踏み抜いて己が此処に来たのだと証を残す。

人影は不満そうな表情を浮かべたまま、森の奥より王都の方にむけ歩くのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からヴァーゲストさんが去りました。