2022/09/15 のログ
ご案内:「巨木の森」にクレイプニルスさんが現れました。
クレイプニルス > 〔お約束待機中です〕
ご案内:「巨木の森」にティアフェルさんが現れました。
クレイプニルス > 王都より少し離れた場所にある、「巨木の森」そこに、ゴブリン等の下級魔物が大量発生した。
その一報をうけ、冒険者ギルドでは、森でも魔物討伐依頼を出し、それに参加したのが……

「ここが巨木の森かぁ」

そう呟いた、クレイプニルスともう一人。今回の依頼で初対面ながら、回復役が欲しかったので頑張って引き入れた仲間、ティアフェルさん。

その森自体は何か神聖な感じを受ける巨木を中心に広がる森だが……
森の奥から、ゴブリン等の、知性の低い魔物のうめき声が聞こえるのは、気のせいではない筈で。

「じゃあ、確認だけど。俺が前衛を張るから、ティアフェルさんは後ろで、回復等々……頼んだぜ?」

そう、今回の役割分担を確認しつつ。

「しかし……ゴブリン。ゴブリンかぁ~」

ゴブリンは。苦手だ。群れるくせに弱くない。厄介な存在。そして、かつて右目を奪ってくれた憎き種族でもある。
とはいえ、今日は個人プレーではなく、ティアフェルさんがいる。

―――しっかり、守らなきゃな。

そう決意しつつ、右の眼帯を撫で、森へと。

ティアフェル >  雑魚程度ならびくともしない、属性ゴリラ一応本業ヒーラーの冒険者。
 初対面の相手なので多少は緊張――するようなタイプでもなく、スタッフに治療道具や野外活動に必要な物品が見た目の容量よりもずっと多く詰め込まれたウエストバッグ、という見た目コンパクトで身軽な冒険装備で森へと到着し。

「ほほほ。腕が鳴るわねえ……と云ってもわたしは一応支援に徹する訳だけど」

 木製のスタッフをふんふんと振りながらやる気はあるらしく、魔物の呻き声を耳にしてアホ毛をひょこっと揺らし。

「うぃうぃ。お任せあれ。多少なら流してくれてもぶっ叩いちゃうから余りお気遣いなく。
 ――それと、ティア、でいいわ。ティアちゃんか、ティア様でもおっけいです」

 無駄口を挟みながら確認事項に肯いて見せ。
 犬恐怖症女。基本的に犬系でなければ慄くことはなく、ゴブリンなんて虐めてやる、という血の気の多さで構えており。
 あんまり守り甲斐はないかも知れない。
 先を行くその後ろへ付き従いつつ森へ分け入り。
 迷わないようにと道順を記憶したり目印をつけたりの役目は後衛としてきっちりこなし。

クレイプニルス > 初対面で緊張も何もしていない様子の相手。それは、冒険者としては助かる事だ。
色々入ってそうな鞄を視つつ。

「あはは。あまり、前に出過ぎないでくれよ?」

そうくすりと笑いつつも、元気そうな相手は心強い。
―――とはいえ。

「あぁ、そう言ってくれると心強いな……ティア」

お気遣いなく。と言われ、心強いと思う反面。
まあ、俺も男の子の端くれだし。カッコいいとこ見せないとな。なんて思い。
「ちゃん」は少し、馴れ馴れしすぎるし、様は……と思い、呼び捨て。

そして、森の中へ。
相手は補助役としてはとても優秀なようで、後衛の役割をしっかりこなしてくれる。
ので、負けてはいられない。と。
彼女の前を行き、獣道すらない森の中を、剣や、鉈で開いていって。

――――――この、匂い。

ふと、鼻腔がゴブリンの汚物の匂いを感じ。
すっ。っと手で彼女に待つよう示し。

「ゴブリンの汚物の匂いだ……と、いう事は。ゴブリンか、虫がいる」

近くにゴブリン自体。あるいは、汚物に寄ってくる虫系の魔物が来ることが予想される。
一応、簡易な炎魔法は使えるので……対応はできるだろうが。
耳を澄ませる。羽音はしない。
という事は、虫はまだいない。
だが、足音が微かに。多数。

「ゴブリンだ。数にして、2,3……後ろは、任せた」

そう言って、剣を抜き。奇襲するため、そっと動き…
ゴブリンのいる方向へと……

ティアフェル > 「心得たー」

 然程心得てそうにない至って気楽な調子で肯いて巨大樹が天へとそそり立つ、森閑とした中を周囲への警戒を張りながら歩きながら。

「そっちは? 何か呼び方ないの?」

 こっちが云うのもなんだが。
 七文字の名前は咄嗟に出てこないかも知れない。
 
 支援職の割に団体行動に余り向かないタイプ。
 普段ソロ活動も多いので、道を拓く先人は安心して任せつつ。
 マエがいるとやっぱ楽かもなーなどと呑気なことを思いながら。
 似たような景色の続く森の奥へと進んで行くと。

 ふと異臭に気づいたように反応する様子に。
 小さく鼻を鳴らすと遅れて察し。その場でスタッフを握りしめて待機した。

「鼻がいいのねえ。なるほど……虫なら虫除け持ってるけど……取り敢えず踏まないようにしよ」

 ゴブリンの匂いをつけるものではないし、何より不快。
 足元注意だなと考えながら。2,3匹の少数ならば出る幕はないかと考えつつ首肯し。

「了解。
 怪我には注意を払わなくていいわ。いざとなったら捨て身で突っ込んでください」

 少数から始まって血の匂いにわんさか沸いてくるパターンも珍しくない。
 会話を交わす余地はいつなくなるか知れないので早めに、瞬発的なヒーリング飛ばしも可能なのでガンガンいっちゃってとお任せし。
 一応詠唱の準備を整え術式の織り上げ、即時回復可能状態に入っておく。

クレイプニルス > 自分の名の呼び方を聞かれる、そういえば、ネームは名乗ったが、気軽に呼べる呼び方ではないな、と。

「ああ、クレイでいい、君付けでも、さんでもいいけど…様だけは、やめてくれよ?」

と、様付け以外なら。好きに呼んでと言って。

クレイとしては、団体行動には慣れていた。
もちろん、ソロでの行動もするが、多人数の方が、単純に気が楽だというのが本音。
後ろで、色々してくれる後衛がいるだけで、クエストの安心感が違う。

相手が、汚物に嫌悪感を持って対応する…つまり、踏まないよう気を付けるのを見れば。

「ああ、踏まないよう気を付けて……っふふ。そこは。気を付けて行ってください。じゃないのか?」

そう、相手の言葉が少し可笑しいので、笑って。
だが、しっかり回復の術を立ててくれているのは、心強い。
そして、少し開けた場所に、ゴブリンが一匹いるのを見る。

―――あれ、一匹?

そう疑問に思い、一瞬、観察。
何故か、ケガをし、きょろきょろと何かに怯えている、ゴブリン。

―――群れに合流されても面倒だ。

そう思い、背後から……飛び掛かる様に、剣を振り下ろし。
相手が気付く前に。狩る。

とはいえ。一匹。足音は、確かに。6か8対のものだった。
という事は、2、3匹はいるかと思ったのだが……

―――いや、待て。もしかしたら…

4足歩行の魔物……?と、考えた瞬間。
狼の、遠吠えのような鳴き声が、森に響いて。

ティアフェル > 「え。初対面で様とかつける訳なくない? そんな奴おらんわ」

 自分でさっき振って置いてここで真顔で掌返し始めて。
 ないわーと首を振って見せる始末。
 クレイね、クレイ、と繰り返して肯き。

 前衛後衛が中衛を兼任する、たった二人編成であるが。
 それにしてもやたら数が多いよりはこれくらいコンパクトな方がやたら気を遣わなくてもいいし。
 何より回復対象が一人で済むのも気楽と云えば気楽かも知れないと判じつつ。

「前衛は先陣突っ走って斬り込んで怪我するのが仕事。
 わたしはそれを治すのが仕事。
 ――だから、怪我をしたら責任を持って治すから、あなたは責任を持って片っ端からぶった斬るべし」

 ぬるいことは云わない。やるかやらないか。
 相手の命を奪うからには気を付けて戦えなんて云わない。
 全力でどうぞとこちらもこちらで全力の構えは見せるが。

 が。

 回復魔法を支度して、スタッフを翳していたその時。
 一匹だけ迷いいでたように周囲を警戒しながらうろつくゴブリン。
 怪訝そうになるのはこちらも同じで。
 どういうことだと首をかしげていたが。

「――…ッ!!」

 遠吠えが不意に谺すると、いきなりびく!と肩を跳ねさせ。
 サー…と一瞬で蒼白顔になると。じり、とあとずさり。

「ごめん……悪いんだけど話が違う……イヌ科出てコナイゆうから、ワタシ依頼、ウケタ。イヌでる=ワタシ、帰るぅぅぅ!!」

 半泣きでいきなり謎の片言発症して敵前逃亡を主張した。

クレイプニルス > 相手の前衛と後衛に関しての意見にはおおむね同意し。頷いて、ゴブリンを一匹切り倒し……

そして、現在。何故か半泣きになりながら、敵前逃亡を主張し始めた相手。
それに関しては片目を丸くしつつ。

―――そいえば、さっき犬系が苦手って…

とはいえ、遠吠えが聞こえる程度には、近くにいるらしい、狼系魔物。
このまま、混乱させていては、彼女の生存確率が下がる。
仕方がない―――

「ティア!」

近づいた後、そう相手の名前を強く呼び、肩をつかむ。

―――内心、後でギルドのマスターにセクハラ訴えないでくれよと思いつつ。

「ティア、落ち着けとは言わないから……聞いてくれ。今、俺が前衛だ。
わかるかい?先陣を突っ切って、切り込むのが仕事。だが、それだけじゃない」

声色は。できるだけ優しく。安心させるように。

「俺の仕事は、後衛を生かすこと。後衛を、守る事……だから、心配するな。
狼だろうが、ケルベロスだろうが……俺が責任もって、追い払う。君を、守る」

そう言い聞かせる。とは言ったものの。

「まあ、もしかしたら。どこかで連絡の祖語があったのかもしれない。いったん撤退には……」

賛成だ。と言おうとしたが。

彼女の後ろの木々の間。遠くに。黒い影。
ゴブリンの汚物や、血の臭い。
ゴブリンの肢体を食い漁る、大きな……狼魔獣。
―――あ、チョーッと不味いな

実物見たら、錯乱するかもしれんと思い。

「ティア。目を瞑ってくれ。」

自分の片目と。魔物……いや、魔獣と目が合う。

「……っ。絶対、目ぇあけるな!」

そう叫び、ささっと相手をお姫様抱っこし。
先程まで開拓した森を……駆けようと。
それと同時に、魔獣は「獲物二匹」を遠くに見て、にやり、と笑う……

ティアフェル >  遠吠えひとつで容易く錯乱状態になってしまう。
 もうダメだ。終わった詰んだ。
 今回はここで終ー了ー!
 そう決めて、早く逃げよう尻尾巻いて逃げ帰って犬系のいない場所で平和に過ごそう。
 そう決めて、残るんでしたらご自由に、わたしは一人でも逃げる、と脱兎の構えだったが。

「! な、なにっ?」

 急に強い口調で呼ばれて肩を掴まれれば、勢い背筋が伸びて訊き返し。

「いや、うん、はい、だが違うのよ。
 わたしは犬がいたら使い物にならなくなります!
 むしろ脚を引っ張る真似しかしない雑魚になります!
 だからお家帰して! ゴーホームを希望します!
 ケルベロスなんか出た日には見た瞬間死にます!
 ――くう、守るってか盾にするわよ?!
 情け容赦なく微塵も躊躇なく狼の群れの中に突っ込んでもらうわよ!?
 そんな奴守る価値ないと思うわ!?」

 彼の話は分かった、ようっく分かった上で、半泣き。強く非人道ぶりを力説。
 その上できっぱり盾にする。イヌの前に即時突き飛ばす構えだとさらに人でなし発言を堂々とカマす。
 
 しかし、このまま無理して引っ張ってく気でもなく、撤退の意思を示す様子に安堵しかけたが。

「………な、なに……まさか……うしろ? もしやうしろなの……?」

 彼の視線が何かを捉えているようで、後ろを振り返りたくはない気持ちで真っ青に染まりながら。
 膝を震わせ始めるが、

「いやぁぁぁぁーー!! マージーかー!!」

 見たら死ぬ奴かも知れない。フェンリルとか。
 目を閉じるように促されると、死んでも見るかぁ、とぎゅっときつく瞼を閉じ瞑目。

「無理よー! 人ひとり抱えて四足歩行から逃げられる訳ないじゃんー!
 もうだめだわたしはここで死ぬんだぁぁぁぁ!!」

 速やかに絶望しながら、抱え奔られながら泣き叫んだ。

クレイプニルス > 「ああ、盾にでも何でも。してくれたらいい。狼の群れ?上等だよ」

そう、力強く言うのは……まあ。女性に恰好をつけたいから。というのもあるが。
―――自分の命より、ティアフェルの命の方が……重いと思うから。

安い命の自分が守れるなら。盾だろうが生き餌にだろうが、なってやるよ。なんて考えて…

とはいえ、彼女を抱えダッシュ!ダッシュ!していれば。

「大丈夫だよ、舌噛むから落ち着けって!」

腕の中で騒ぐ相手。とはいえ、仕方がない。怖いものは怖いもんね。
まあ、見てない状態でここまで錯乱するのなら。見たら本当に直死するのでは?
と思い始める。

ちら、ちら……と、片目で後ろを確認して。
どうやら、残虐な魔獣は。獲物が逃げるさまを楽しんで……
その後、美味しくいただくつもりなのか、遠くで二やつきながら、同じペースで追いかけてきている。

―――ティアじゃないが。不味い…か?

と、冷や汗をかきつつ。事態の打開策を考える。
相手は魔獣すなわち獣……なら。炎が苦手なはず。
火は、魔法で起こせるが……可燃物が。生きてる樹じゃ薄い!

そういえば、ティアは……

「ティア!……ちょ~っと、賭けに出るから!」

もしかしたらと思い、聞いてみる。

「バックから、消毒液出して!早く!」

そう言って、半錯乱状態の娘に、バックから消毒液を出すようお願いし……


「それ、投げて!」

もし、あれば。その消毒液を投げるように言い。

「あとは、祈って!……『炎ヨ!』」

そして、火炎弾を、その「消毒液」すなわち「アルコール」に引火させ……
相手の、「目」あるいは「視力」を潰し…


「あとは、逃げられるよう、祈り続けて!」

そして、森の外の輝きが見えるまで……

とにかく、ダッシュ!

ティアフェル > 「なんだそれ! もう盾飛び越して生贄って呼ぶわよアンタ! ちょっとは反論しろー!」

 なんでもかんでも受容するんじゃねえっ、と謎の逆切れ。
 盾なんかヤダ、と云われてもひと悶着あるだろうが。
 命の重さに区別はないだろうが。初対面で他人のために命棄てるとか大分どうかしてる!と妙な具合に逆上していたが。

「無理っ! もう嚙んだし、いったぁーい!」

 そう云いながらすでに噛んで赤くなった舌を詠唱の準備をしておいたのをいいことに速やかに回復させ。
 だが抱えて走らせている上でぎゃあぎゃあ云ってたら生存確率下がるかも知れない、と目を閉じてえぐえぐ泣きながら一旦鎮まったものの。

 彼が後方を確認している気配が伝わる。
 あと、なんか楽観的な状況でないこともよーく伝わってくる。

 今日…死ぬかも。
 
 そう覚悟せざるをえなかったが、

「賭けえぇえ!? やだあぁぁ! 安全策を選択してほしーい!
 しょ、しょうど、く…?! は?!なに!? これ!?」

 持ってるこた持ってるが。
 突然云われて必死に閉じていた目を開けてウエストバッグからがちゃがちゃと薬瓶を探り出して。

「な、投げ? ――やりゃーいいんでしょー!」

 もうなんだか分からないが云われた通りに追ってきている後方へ向けて、自棄になったかのように泣きギレ気味でていっと大きく振りかぶって投擲。

 ぽーんと一直線に背後へ飛んで何かにぶつかり、がちゃん!とガラスが砕ける音。
 次いで直後にボゥ、と熾る焔が爆ぜた音。
 
「ゆけー! クレイプニルス号ー!」

 祈りというより競走馬の煽りみたいなもんを声高に発する失敬な女。
 そこら辺で適当に棄てられそうな非礼だ。

クレイプニルス > 「生贄になる気はないさ!生きてこそ明日酒が飲めるんだしな!
それに、一緒にギルドの、このクエストの調整官をぶん殴るまで、死ねないさ!」

何でもかんでも許容してる。というよりは、相手の命を尊重し、自分の命を軽んじてるだけ。
とはいえ流石に、馬のように言われればイラっとする。
まあ、自分の命は安いものだが、ちゃんとプライドはあるのだ。

「うおおおおお!」

ダッシュ!ダッシュ!ダッシュ!
全力で前方にダッシュ!
そして――――目の前に広がる、太陽光。
そう。森を抜けたのだ。

「ハー……ゼー……ハー……ゼ―……」

全力で走っていたので……めっちゃ疲れて。
後ろを振り返れば。そこには……魔獣は、居ない。
何とかまいたようだ。

「あー……逃げられた……良かった…」

そう、心底ほっとし……胸いっぱいに、酸素を取り込む。
腕の中のお姫様は……まあ、ゴリラだ何だ言っても、女だ。
軽いし……いい香りもする。
とはいえ、ずっと抱いてるのは……セクハラだろう。

そっと、地面に座らせて……

「……さーて、じゃあ。これから何するか……わかるかい?ティア……
ギルドのクエスト調整官を、シバキに行くぞ!なーんだよあの狼魔獣!」

そう、怒りをあらわにしつつ。

「……でもまあ……無事でよかったよ。うん」

そういう、クレイプニルス。
もし、よく観察すれば……
足をくじいて、その痛みを我慢しつつ歩いてるのがわかるかも……
ともかく、共に生き延びられた二人は、王都へ戻り……

クエスト調整官をぼっこぼこにするまで、あと――――――

ティアフェル > 「だったら極力盾はやめとけ! いや突き出すけども!
 そりゃーそうね。殴りゃしないけど……でっかい貸しにしてやる」

 殴ったところでいいことなしだ。便宜を図ってもらうための手札にしておこう。
 頑張って抱えて走ってくれてるのにお馬さん扱いは相当酷い。
 無自覚なのがさらにひどい。
 しかし、ムカついているせいか、さらに速い。
 疾風と呼んでもいい。

 そのままどうにかこうにか背後で上がる火柱と獣の悲鳴を振り切って全力疾走した彼が森を抜けると。

「は、はぁあ……、よ、良かった、助かったのね……。
 ぁ、ええーと…お、お疲れ…なんかすいません……。
 ヒールしとくね? えっと、回復、しなきゃ帰れんし?」

 肩で息している彼と対照的に一歩も動いてないのだから体力はそのまま。
 せめて回復魔法をかけておこうとさすがに申し訳なくなって、地面に降ろしてもらうと、唱えるだろう。

「……ん? 案外元気だね。
 いや待て。落ち着けクレイ。調整官をどつくのは貸しに応じなかった時でいい。その拳はしばし仕舞っておくのよ」

 まったく腹の立つ限りではあるが。意外に打算的なことを提案し、ぽむ、とその肩を叩き。

「わたしも、初対面の人を盾にしなくって良かったなあ、って……はい、お疲れヒール」

 満身創痍状態の上肢までやっちゃってる。問答無用で回復魔法を施して。
 家に帰るまでが冒険よ、と万全の状態で帰路に就くのであった。

ご案内:「巨木の森」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「巨木の森」からクレイプニルスさんが去りました。