2022/08/15 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」に黒曜石さんが現れました。
■黒曜石 > 夜を照らす篝火の火に、混じるのは血の匂い。
そこは森に足を踏み入れて、数刻歩いたところ。
ちょっとした広場のように開けた場所だった。
『小鬼退治に向かった冒険者が行方不明になったので捜索を依頼する』
よくあるといえば、よくある依頼だ。
そして、男の黒い瞳の前に広がっている結果も、ありがちなものだった。
小鬼達が焚いた篝火の前に、佇む男の周りに転がっているのは死骸。
先刻まで狂乱に耽っていた小鬼達と、彼等の玩具にされた者達の成れの果て。
ぽたり、と男の指先から滴り落ちる新鮮な血だけが、名残として残る。
「生き残りは……いないか。」
ぽつり、と言葉が唇から零れ落ちる。
依頼が果たせなかったことを残念がるでもなく
殺戮の悦びの残滓を噛み締める訳でもなく
ただ、目の前の事象をそのまま口にするような言葉だ。
ふわり――ふわり――。
そんな彼の周りに舞うのは火の粉。
乱雑な作りの篝火から散るものだけではない。
まるで雪のように灰が混じった火の粉が降って来きていた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 子鬼たちの首や腕が当てはまらなかったパズルのピースのように散らばる森の広場。
つい先ほどまでの下卑た笑いの元凶を殺戮に散らした黒曜石の瞳の彼の、その真後ろ。
長身にまとった、外套の裾の先に舞う温度の無い火の粉がぼんやりと、
無造作に積まれた裸体の山を照らしていた。
それらは大概が女で、どの身体の口と膣にも粘ついた射精の痕がこびりつき、纏っているものといえば腰布ひとつ。
それすら、雄臭放つ薄茶色にまみれて染みきっていた。
生殖行為とも呼べない小鬼たちの犠牲になった裸体は動くことも呼吸することもなく、まさしく相手の呟いた台詞の通り。
――ぴくり。と、ただ1人、折り重なった裸体の奥から伸びている褐色肌の腕の手先が、人の気配を覚えて指先を動かした事以外は。
助けて、と口にしたが精液の塊まみれの声帯は木の枝に風が当たるよな音しか届かない。
……小鬼退治に向かった冒険者、というのは自分のことだ。
鬼程度なら、と1週間ほど前に単身で乗り込み、小鬼の1人が習得していた麻痺魔法にかかって玩具にされ続けていたのだった。
散々使われた後にこの裸の山に放置されて来たのだが、現れた人影を最後の望みと信じて。ゆら、ゆら。手のひらだけが蝶を舞う。
■黒曜石 > 篝火に、火が混じる。
舞い落ちる火の粉に、灰に触れた小鬼の身体――残骸が、燃え崩れていく。
温度のない、葬送の儀式のような光景。
あるいは、ただの残骸の処理だろうか。
いずれにせよ、死体は何も気にしない。ただ崩れ消えていく。
背後に折り重なった女たちのそれも、例外ではない。
ひとつずつ、ひとつずつ、柔らかな灰へ変わって消えていく――。
「――――ん?」
そこに、違和を問うような声が混じる。
振り向いた瞳の先には、無残に弄ばれた褐色の姿。
裸身、よりも尚ひどい凌辱の痕が残る少女。
ゆらり、ゆらりと何かを訴えかけるような指先に灰がひとつ絡んで
そして、男がその前に屈んだ。
「どうして欲しい…?生きたいか?それとも、死にたいか?」
微かに、毀れた声を聞き取ったのかどうか。
静かな静かな問いかけが、彼女に向って零れる。
手を伸ばしもしない。ただ、死者が灰になって崩れる中
まだ辛うじてこちら側にしがみついているように見える少女に
どちら側に行きたいのか、逝きたいのか、問いかけるように。
■タピオカ > 【部屋移動となります】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」から黒曜石さんが去りました。