2022/06/27 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にハクさんが現れました。
ハク > ゾス村とハテグの主戦場と呼ばれる丘陵地帯の中間地点よりややゾス村寄りの場所にある、深い森林地帯。
その中にある湿地帯の中をハクは1人で歩いている。
羽織も水に沈んでしまうため今は脱いでおり、魔力皮膜1枚のみという姿で、右手には鎌、左手には短刀を持ち警戒しながら沼地を進む。

ふぅ、とため息をつく。今のところ、周囲に魔物の気配はない。
背の高い草が生い茂るこの湿地の中、聞こえるのは自分が歩いてきた水音くらいのものだ。
本当にこんな場所に、魔物がいるのだろうか?と首をかしげつつも先に進む。

――依頼。
ゴブリンの集団を追い払ってほしい、というもの。
どうやらゾス村近くでもあるこの湿地帯にゴブリンの集団が集まっているらしい、というものだ。
ただまぁ、信ぴょう性は低いとされており、今回のこの依頼も調査8割くらいのものになっている。
また、この湿地には他にも魔物……いわゆるスライム系のものや水棲生物系のものがいる、という噂もあるので先程から気を張り続けている。

たまに足元にヒルが吸い付こうとするが、魔力皮膜により喰らい付けない、という感覚はある。
蛇のようなものを見かけて首を落としもした。
だが、魔物、というものは見かける事はできない。

空を見上げるも、森の木々によりあまり空は見えない。
まだ昼のはずなので、しばらくは捜索を続けようと歩きにくい湿地帯を、がぽ、じゃぽ、と音をたてながら進んでいく。

ハク > 「んむぉっっ」

時折深い場所があり、胸元まで水に沈む。
ただ足元は草の根が多いおかげか泥に足が沈み込んでいく、とまではならないので数歩進んで再び太ももまで水に浸かった状態になり、という感じで進んでいる。

声を出してしまったので一応息をひそめて周囲を見回すも……ひとまず、気配は感じ取れない。
依頼にあったようなゴブリン程度であるなら気配を察知することなど難しくないだろう。
周囲に危険なし、として更に進んでいく。

遠く、鳥の鳴く声を聞きながら湿地帯を2時間ほど進んだ所で中央に島のようなものを見つけた。
水辺はともかく内側には高い草が壁のように生えており、島の中央部には視線が全く届かない。
もしやここか?と考えて腰を下ろして水の中に胸元まで浸かり、耳を震わせながら何か生き物の気配がないか調査を始める。
しばらくして岸辺に何も来る気配がない、と判断すると島に上陸してゆっくりと草をかき分け進み始める。

ハク > 「ふー……」

周囲に気配もない。何も喋らないのもストレスになるので少しだけため息をつく。
島の上を草をかき分け進んでみたものの、特に地上に何もいる様子はなかった。
そう、地上には、だ。
調べていたところ、何箇所か地下への洞窟のようなものが見つかった。
こんな湿地帯の地下に洞窟なんて自然にできるんだろうか?と首をかしげながら洞窟の1箇所の入り口を調べる。
特に何も見つからなかったので、ため息をついたのだった。

「……流石に、ちょっとくらい中調べないとダメでござるよなぁ」

洞窟の前で少し悩む様子を見せて、頭をかきながら洞窟の奥を睨む。
しかし、下手に洞窟に入って魔物の巣だったりしたら危険だし、万が一罠など設置されていたら困る。
同じ依頼をうけていた冒険者もいたので運が良ければ救助されるかもしれないが……

「んー。よし」

下手に中に入ると危険だと考え、首輪を操作して魔力皮膜を解除し全裸になる。
そして体内にある淫魔の魔力を練り上げ、魅了の力として発散させたフェロモンを洞窟の中に風の術を使い流し込む。
普段は使いたいものではないが、自分の心臓は淫魔のものになっている。
しかも悪辣にもゴブリンにすら獲物と思われる低級位階のサキュバスと誤認させられるもので。
うまくこのフェロモンが洞窟の中に流れ込んで、ゴブリンなり何かしら巣食った魔物なりが出て来てくれれば……と考え、しばらくした後再び魔力皮膜を纏って近くに隠れる事にした。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」に種喰らいの獣さんが現れました。
種喰らいの獣 > 獣は近頃街中では甘味の強い果実ばかり貪っていた為に、肉らしい肉というものを喰らいたくなった。
高級な肉――パーティでの討伐依頼を組まれるような魔獣もいいが、もう少し手頃に。
そう、ゴブリンなどは獣にとってグラム何ゴルドかの肉を甘辛く煮詰めたジャンクフードのようなもの。

道すがらの魔物は適当に食い散らかして、肉の匂いが詰まった方へ。
洞窟ひとつが、どんぶりひとつ。
米粒も残さず綺麗に平らげて、腹が落ち着いたら街へ帰って気が向いたら『デザート』でも喰らいにいこうか。

そんな獣の鼻に、覚えのある匂いが届いた。
雑魚で雑種なサキュバスの甘ったるい匂いだと、一嗅ぎで察せられた。
血の匂い、肉の匂い、土の匂い。それらの満ちた洞窟の中に紛れ込んだメスの匂いは、再びオスの食欲を湧かせるのに十分で。
落ち着けていた巨体をのそりと起こし、洞窟の入り口に向かう。

そして、

「――――グァウッ!!」

空に向かって一吠えした。
喰らってやるから出てこい。
そう吠える獣の纏う魔力は以前に食い散らかしてメスを捨てたときよりも、また一回り濃密に強まっていた。

ハク > 茂みに潜み、何かしら魔物かゴブリンが出てくる事を期待して待つこと暫し。
5分、10分、30分……時間が経過しても、特に何かが出てくる気配はなかった。
つまりこれはタダの穴。なんでも無い、洞窟だったのだろうと判断した、次の瞬間――

「っっ!?!?」

入り口から出てきた獣が、吠え声を上げる。
その獣の見た目、気配には覚えがある。
かつて街中で凌辱し、しばらくの間――受精卵を食い続けられた、悪食の魔物だ。
あんな魔物、生かしておくことはできない。
あの時は街中で不意を打たれてだったので、むしろ今は逆にこちら伏せて不意打ちができる側だ。

「っっっ!」

声をあげず、風の刃を数本生み出し。
それで獣を切り裂こうと射出する。

種喰らいの獣 > 吠えず、ぐるりと辺りを見回せばその鼻と眼で獲物の居所を突き止めることも出来る。
だが、一度喰い散らかした獲物を相手にその手間を面倒がって自ら姿を現すよう仕向けたつもりだった。

獣の目論見は外れ、孕んだ子さえ差し出した雌が歯向かうことに明確に苛立つ。
魔力を練り上げ刃が生み出された時点で、背の高い草の向こうに見飽きたちいさなシルエットが獣の瞳に浮かぶ。
街中で雌に襲いかかった時には、無かった能力だ。

たし、たし。苛立ち混じりに前足で地面を掻いた。

「――――グァッ!!」

草を裂き飛んでくる刃へと向き直り、もう一度吠えた。
先刻のそれは単なる呼びかけとしての声で、今度は威嚇と攻撃の為のそれ。
眼の前の獲物からたっぷりと奪い腹に溜めた魔力と、その後も喰らい続けた魔力を載せた声。
風の刃を正面から打ち消し、その向こうにいるであろう獲物にぶつける。
逃げるだろうか、向かってくるだろうか。
視線は鋭く子供の姿を射抜き、巨体をゆっくりと前進させて近づいていく。

ハク > 無声で生み出した風の刃とはいえ、ゴブリン程度は軽く殺せるはずの力を持っている。
それで死傷を与えられなくとも、傷を負わせて次の瞬間に大型の魔術をぶつけるつもりだったが……

「ぅぐっっ!?」

獣はその鼻で臭いを感じ取ったか、こちらを見てくる。
更に猛る咆哮でなんと風の刃を打ち消された上……

「ぐ、ぅっっ……!?」

ぶつけられた咆哮に、体が麻痺して動きを止めてしまう。
ぶるぶると震える足、せめて逃げるような動きをしたいというのに……
ゆっくりと歩いてくる獣を見ながら、冷や汗をかきながら体を震わせてしまい。

種喰らいの獣 > なんだったら、刃を受けながら歩いて近づいてやってもよかった。
自らを害せると思い上がった雌にどちらが獲物なのか思い知らせるには、どちらが効果的だったか。
そもそもあれだけ食い荒らされて歯向かう雌の思考など、知れたものじゃない。
そういう意味では、改めて正面からの屈服を強いると共に改めて味わってやりたい気がしなくもない。

立ち向かうでもなく、逃げるでもない。
ちいさな体を震わせるばかりの雌を見て、ハ、と。
笑いじみた呼気を吐き、大きな口から長い舌を零れさせた。

ぽた、ぽた。ぬかるむ足場に滴る唾液。
今日は初めから、前回体に取り込んだ目の前の雌の魔力と自分の魔力を同調させた『飴』の塊。

「――――、――」

間近に迫れば見下ろす程の大狼。
長い舌を正面から伸ばして、雌の冷や汗を舐る。
唾液に塗り替え、蛇のようにのたうつ舌が刷り込む。
ピタリと張り付いた皮膜と肌の間に割り込んで、異形の舌という一本の触手が体幹に絡みついていく。
雌の目の前には、唾液を垂らし鈍く輝く牙が大口を開けて。
妙な動きをすれば即座にちいさな体を丸呑みしてやるとばかり。

ハク > 咆哮で萎縮してしまった体はうまく動かせない。
だからこそ、こうして獣が目の前に立ち、口を大きく開けて吐息を浴びせてきても逃げる、立ち向かうという行動ができなかった。

眼の前の獣に同族がいるかわからないが、少なくとも目の前にいる獣はマグメールで自分を凌辱した獣だ、ということはそこで理解する。
だというのに、というべきか、だから、というべきか……
体が怯えてしまっている事を獣も理解してしまったのだろう。
牙をむき出しにしながら伸びた舌を首の首輪部分から皮膚にそって内側にはわせ、黒い魔力皮膜の内側に獣の舌が伸び、絡みついていく。
ジワリジワリと体を這う舌が、どんどん下へ降りていく。
もしその舌が秘所へ、肉芽へと這えば、もう勝ち目はないだろう。

「ぁあああっっっ!!!」

だから、右手に持った鎌と左手に持った短刀を開けたままの獣の口内に叩き込むのは、これが最後のチャンスと悟り。
気合を入れる声をあげながら両手を振り上げ、振り下ろそうとする。