2022/06/05 のログ
■ブレイド > 「一人だけど…別に致命傷ってわけじゃ…」
少し慌てた様子の女の声。
人の良さそうな空気を感じ取れば、警戒を少し緩める。
油断、というわけではないが、陥れる…騙すというような気配は見られない。そう感じた。
靴音がだんだん近づいてくる。目的は分からないが…気になったから、といったところか?
そういえば、服を脱いでいたのだと気がつけば
少し慌てて切り裂かれた外套を羽織っておく。
そこに現れたのは…シスターのような服をまとった女性。
飛んでくる言葉に目を丸くする。かなり慌てているようだ。
「こ、こんにちは?
あ、うんあー…獣に襲われたってだけで、とりあえずは深い傷はあまり…」
シスター。
少しまずいかもしれない。
慌てるようなことはないが、ミレーに対しての反応次第では
逃げる必要が出てきそうだ。
■アニュー > 「獣に!? そ、それはいけないです!!
私の弟も幼かった頃に獣に襲われて、そして……いえそんなことはどうでもよくて!
きちんと傷口を洗って手当てしないと、小さい傷からでも病気がおこる可能性がありますっ!」
獣に襲われたと聞けばシスターの焦燥感は一層高まり、おろおろとブレイドの周囲をうろつく。
擦り切れた外套で身体を覆っているため傷の状態は詳細に確認できないが、それでもなるべく状況を把握しようと。
頭まで覆うフードを羽織り直したのなら、ミレーであることはこの薄暗い中ではすぐにはわからない。
……とはいえ、傷を負っている少年に対し真摯に心配を向けていることは分かってほしい。
「ああ、ああ……外套もずいぶんボロボロになって……。
えっと……あなたのそのご様子から、ご自分でできる限りの応急処置はされているように思えますが。
よ、よろしければ、お背中の具合とか確かめるために……その外套、脱いでもらって大丈夫ですか?
………えと、だ、大丈夫です、恥ずかしいこととかありませんので!!」
深い傷はない、という少年の言葉に多少は落ち着きを取り戻していくシスター。それでもまだおどおどしているが。
ふぅ、と1つ深呼吸すると、少年のすぐ後ろにしゃがみ込み、上着を脱ぐようお願いする。
床に置いた雑嚢をずるりと引き寄せ、中に仕舞ってある薬草や応急処置道具を探りながら。
■ブレイド > 「そんな慌てなくていいって…えーっと…」
まるで自分のことのように慌てるシスターの姿に困惑を隠せない。
心配そうに周囲をうろつく女性に悪意は感じない。純粋にけが人が心配なのだろう。
やはり声…いや、姿を見ればその様子から悪い人間ではないことがよく分かる。
そして、慌てふためく人間がそばにいると、妙に冷静になってしまう。
背中の傷なども考えれば、彼女の言葉に甘えるのがいいだろう。
「あ、ああ…一応、傷を拭いたりはしたけど。
っつーか、オレが何者かとか聞かねーのか?
盗賊だったり、そういうやつかもしんねーってのに…」
ノーシス派からすれば、差別すべき対象であるミレーかもしれないのに。
しかし、治療の準備を既に始めているシスターに従うように外套を再び脱ぐ。
すると、耳や尻尾も見えてしまうだろうが…
それこそ背に腹は代えられないか。
■アニュー > 「…………あっ。………そ、そういえばそうですね。
怪我をしている人がいる、なら手当てしなくちゃ、ってことしか頭になくて。
あなたが盗賊や山賊だったら、怪我しても乱暴できるツワモノだったら……私、大変なことになってましたね?
あはは………は………」
何者か聞かないのか?という返答に、シスターはようやく危うさを悟ったような口ぶりで自嘲の言葉を発する。
呆れたような、そして周囲をも呆れさせるような乾いた笑いとともに。治療道具を探る手も一時止まる。
アニューは教会でも街でもだいたいこんな感じである。
「えっと、まずはこちらから名乗らなくてはいけませんね。
私はアニュー・トラビア、王都のノーシス教会の見習い修道女です。
あなたは……その……盗賊や山賊ではないですよね?」
擦り切れた外套が脱ぎ払われ、少年の上半身が薄明かりの中に顕になる。
背中の傷の具合を確認するべく、名乗って問いかけた後は軽口を噤んで観察に徹する。
傷が深かろうと浅かろうと、手の届かない背中の消毒や止血は他人に任せるしかなかろう。
止まっていた手も再び動かし始め、慣れた手付きで採りたての薬草を乳鉢に入れ、乳棒で練り始める。
……当然、ミレーの特徴である耳も尻尾もしっかり視界に入ったし、彼がミレーであることも一目瞭然。
しかしアニューと名乗ったシスターはそのことについて問いかけても来ないし、献身的な態度も変わらない。
■ブレイド > 「他人を心配するのもいーけど…多少は自分の心配もしろよ。
まぁ、こっちとしてもあんたが盗賊やらなんやらじゃねーのは助かったけどよ。
それに、山賊や盗賊だったとしても、いまは襲いかかる元気もねぇ」
噛んでたコカの葉っぱをそこらに吐き捨てて
彼女に治療を任せることにする。
もちろん、恩を仇で返す気もない。
なにしろ、武器だって手にしてはいないのだから。
「オレはブレイド。ただの冒険者……。
あんたらからすればただの冒険者ってわけでもないかもしれねーけど
少なくともあんたをどうこうしようとはおもっちゃいねーよ」
彼女にも尻尾や耳は見えただろうが…反応に代わりはない。
しんじていいのか?
見たところ、年上と思われる女性。
人がいい雰囲気を信じることはできそう。
薬に変なものを盛ったりはしないだろう。
「助かったぜ、ありがとよ」
■アニュー > ごりごり、ねりねり。乳鉢の中で薬草の繊維質が崩され、徐々に軟膏状の粘体へと変わっていく。
止血と消毒の作用を持つ、ごくありふれた薬草だ。独特の青臭いにおいが辺りに満ちていく。
「冒険者のブレイドさんですね。ふふ、以後よろしくお願いします。
……えっと。その……。あなたはミレーのようですが……そのことを気にされてた感じ、なのでしょうか?」
あんたからすればただの冒険者ではない…というほのめかしに、いまいちピンと来ていない様子のアニュー。
隠れた傷がないかと少年の上半身をじろじろと眺めつつ、乳棒を扱う手は止めない。
ふぅ、ふぅ、と少しばかり背後の吐息が荒くなっていく。傷に張り付くまで粘度を出すには手間がかかるのだ。
「……まぁ、その。教会内でミレーを好まれない方は多くいらっしゃいますが……。
でも傷を負った方がいて、それを見逃すような薄情者は……たぶんいません。少なくとも私はそんなことはしません。
ですから、どうかお気を楽に……。私もあなたに害意がないことを知って安心しましたので、ね?」
アニューは最初から害意も隔意も感じていなかったのだけれど、互いに互いを安心させられるのであればあえて言う。
もっともミレーと王国民の断絶は歴史の深い関係性だ、彼がシスターにどんな本心を持っているかはまだわからない。
アニューなりに慎重に言葉を選ぶ。あくまでもアニューなりに、だが。
「……よし。では背中の傷を洗いますよ。染みるかもしれませんが、我慢してくださいね?」
十分薬草が練られたことを確認すると、乳鉢を床に置き、雑嚢から水袋を取り出して封を開ける。
中身はさほど多くはない。道中飲んでたし。
だが傷はきちんと洗う必要があるし、それに足る量は入っていそうだ。
■ブレイド > 狭い洞窟の中は薬草を寝る音と女性の息遣い、薪が爆ぜる音…。
そして、少し鼻を突く薬草のにおいと血のにおい。
そんななかでも、女性の作ってくれた空気は柔らかなもので
積極的に話をしながらも、治療のための薬を作ってくれている。
そんな空気の中では肩に力を入れるのも馬鹿らしく、一息つくと当時に肩を落とすように力を抜く。
「ああ、まぁ、そりゃな。
怪我してるときに妙なことされたら困るしな。
教会全体のことは知らねーけど…あんたは大丈夫そうで良かったよ」
好まない連中の中では悪い意味で見逃さない連中も多い。
彼女はそれを知らないのか、知っているが所属している身であることから悪くいうのを避けているのか…。
などと考えていると、彼女から声がかかる。
どうやら背中を洗うようだ。
「わかった…、一応痛み止めは噛んでるから大丈夫だとは思うけど…」
それでも覿面というわけではない。
水をかけられれば方から抜けた力が再び少しもどってくるだろう。
■アニュー > 「ええ。怪我されてる人がいましたら、私達がまずすべきことは手当てですから。
ただ……その。私まだ見習いですので、別の意味で妙なことしてしまったらごめんなさいね……?
一応、たいていの傷の手当ての手順はしっかり学んだつもりですが……」
自覚なく、相手を不安にさせてしまうセリフを口走りつつ。そのこと自体が未熟さの証左でもあろう。
とはいえ少なくともここまでの手順は応急処置として間違ってはいないだろう。
ブレイドの背に刻まれた痛々しい傷、その付近に軽く指を添えると、少しずつ水袋から水をそそぐ。
痛くしないように軽いタッチで撫でながら、傷のまわりについた汚れを落としていく。
しかしやはり染みることは染みるであろう。痛み止めが効いているのであれば、こそばゆさのほうが勝るかもしれない。
「……ああ、こんなに獣に傷つけられて。痛ましい……。
冒険者であればこのくらいの傷はよくあること……なのでしょうか?
私もたまに……と言っても今まで2回くらいですが……冒険者パーティに同行したこともありまして。
その時は大怪我を負う人はいませんでしたが。ブレイドさんは……災難でしたね?」
ひととおり見える怪我を水で清めたなら、続いて乳鉢から薬草の軟膏を指にとり、傷を覆うように塗っていく。
今度は染みないだろう。擦り込むような指使いは傷を洗うときより強めで、シスターの指の細さを背筋に感じられるだろう。
1つ1つ、小さな傷も見逃さずに丹念に塗り込んでいく。
ブレイドの背後で女の気配が、視線が、吐息が、上下左右あちらこちらへと移ろう。
■ブレイド > 心優しい女性のようなので、不安に思うことはないとは思っていたのだが…。
なんだか不穏なことが聞こえた。見習い、はまだいいのだが…。
「別の意味で妙なことってなんだよ…。
薬草の取り間違えとかは…さすがにねーよな?やめてくれよ?
手当のつもりで毒草すり込んでとかはよ」
助けるつもりで更に事態を悪化させてしまった…などであれば、自分もだが、彼女も相当に傷つくだろう。
彼女をリラックスさせるつもりで、少し不安を覚えつつも笑いながら軽口を叩く。
傷はそれなりの深さだが、コカのおかげもあってか、少しの痛みとくすぐったさですんでいる。
彼女の指は優しく肌に触れていて…
「まぁ、たまにな。
一人でやることが多いから、あぶねー依頼は基本的にはうけねーんだけど…
今回はたまたまだな。
慣れたからって、油断しちゃいけねぇってことだ」
大怪我、というほどではないが…災難であることには変わりない。
彼女の指が傷をなぞると、流石に少し傷にしみる。
自分も思わぬところに薬を塗られるのだから、少しこそばゆいところもあるが…。
なんだか、背中に感じる気配はすこしばかりどきりとするもので…。
生存本能は少し刺激されてしまうところもあり。
■アニュー > 「さ、さすがに薬の取り違えとかはないですっ!……………………たぶん」
たぶん、は極めて小声で。しかし2人しかいない洞穴内、きっと聞こえてしまうことだろう。
「ちゃんと教会から指定された場所で、教会のために摘んできた薬草ですからっ。
……あ、でもブレイドさんは気にしないでくださいね。対価を求めたりはしませんから。
もし気が向いたら、王都に帰った時にお布施を積んでくださればありがたいですけどね」
あはは、と苦笑いの声。まぁ実際今回ブレイドの治療のために使ったのは摘んだ薬草のごく一部だけだ。
傍らに置かれた雑嚢を見るなら、残りの薬草がたんまりと中に詰まっているのが見えるだろう。
別の袋に取らず直接、他の荷物と一緒に雑嚢に突っ込んでる辺りからもアニューの雑さが伺えるかもしれない。
「ブレイドさんは1人で旅することが多いんですね。まぁでもこの国の原野は怖い場所が多いですからね……。
私は『ほとんど危険はない』って言われて薬草摘みに来たんですけど……。
こうしてけが人を目にしてしまったからには、私も少しは上司に反論したほうが良さそうですね。危険あったじゃない、って。
……ええ、油断は禁物ですね。私もゆめゆめ気をつけましょう…………はぁ……」
運が悪ければ、ブレイドでなくアニューが獣に襲われていたかもしれない。
一応武芸の初歩を嗜んでいるとはいえ、どんな獣でもどんと来いと言い張れる自信はまったくない。
きっとブレイドの現状よりもずっと酷い目にあっていたことだろう。
――アニューが無事で、ブレイドが怪我を負っているのは、神の加護の有無の差だろうか?
そんな事をまで口走りそうにもなってしまうが、さすがにそれは失礼に程があると自覚し、口をつぐむ。
わずかに言葉に詰まり、そして邪な考えを自嘲するように、深い溜め息をついてしまう。
温く湿った吐息がブレイドのうなじを撫でる。
「……はい。とりあえず見える傷はすべて薬草を塗りましたよ。
1時間も放置すれば乾いて、服も着れるようになります。痛くなければ洗い流しても大丈夫です。
それまではできるだけここから動かないほうが良いでしょうね。
………えっと……。他になにか、して欲しいこととか、ありませんか? 私にできることならですが」
やがてブレイドの背をいじるアニューの手指が離れ、気配が少年の前へと回り込んでくる。
ローブの裾が地につくのも厭わずに座り込むと、また1つ深い吐息をつき、そしてブレイドを見つめてくる。
慈愛に満ちた、優しげな微笑み。口紅は塗っていないが、焚き火の灯りの中でもその唇は赤い。
■ブレイド > 「………そうか、じゃあ、信頼させてもらうか…」
たぶん、という言葉も聞こえた。
聞こえたが、だからといってやめろとはいえないし
教会から指定された薬草というのだから大丈夫だろう。
その用途が傷の治療のためであればの話ではあるが。
ちらりと視界の箸には多くの薬草が見える。変な草ではない…だろう。
それこそたぶん。
「お布施は…まぁ、気が向いたらな。
教会には、あんま立ち寄っても…オレらにとっちゃ居心地悪いしよ。
あんたに個人的になんかお礼したほうが気分的には楽かもな。
まぁ、そうだな…、今回は帰りの護衛代わりに使ってくれてもかまやしねぇぜ?
危険がないって聞いてきたなら、備えもあんまなさそうだしな」
こんな体たらくではな護衛といわれても信用は得られないかもしれないが。
油断さえしなければ、獣くらいはなんとかできる…つもりだ。
彼女の心中を知らないままにうなじに吐息がかかると、ふるりと尻尾が震えた。
生存本能が性欲になって現れてしまっているので、なんとなくバツが悪い。…のだが。
不意にアニューは前へと回り込んできた。
「うぉっ!?
あっ、ああ、ありがとな。えーっと…アニューだっけ?
他、他に何かって…そうだな…食事…とか…」
流石に驚いた。
あわてて、股間をかくすも、それが彼女に気づきを与えてしまうだろうか。
正面からこちらを見つめているため、目にははいっていないかもしれないが…
それでも、その評定を見ていると、コクリと喉が上下してしまう。
■アニュー > 「ま、まぁそうですね……私達の教会に自分から近づいたりお布施をしてくれるミレーは稀ですねぇ……。
……ではお言葉に甘えて、護衛をお願いしちゃいましょうかしら。それで対価としては十分すぎます。
1人より2人で動いたほうが、野の獣も他の危険も避けられる可能性が高まるでしょうし。
ですが無理はなさらず、動けるようになるまではここにいましょうね」
前に回ってくるアニューに、あわてて股間を隠すブレイド。しかしその慌てぶりに何かを察する様子はなく。
朗らかな、あるいは何も考えてないような脳天気な笑みを絶やすことはない。
「とはいえ野宿となると私も準備はできておりませんが……その……男の方と2人で野宿というのも……ねぇ?
できる限り日の暮れる前にここを出て王都に戻りたいところではありますが。
あ、でも一応食料は2日は保つ分持ってきましたから分けて差し上げることはできますよ?
…………ああ……でもこれかぁ………」
食事の世話を乞うてくるブレイドに、アニューは手探りで雑嚢をあさる。
中から出てきたのは、薄い紙に包まれた立方体。覆いを解くと、出てくるのは堅パンである。
無発酵の乾いたパン、あるいはビスケットに似た何か。密度が高く体積の割に腹持ちがいいが、その代わりにとても堅いのだ。
「水でふやかしながら食べるものですが、飲み水はさきほど傷の洗浄のためにほとんど使っちゃいましたね。
……水、取りに行かなくちゃいけませんね。まぁ歯の丈夫な方なら気にせず齧っちゃうようですけど。
そしてまぁ、私も歯の丈夫な方なんですけどね。ふふふ」
食事、とはあまり言い難いお粗末な携帯食料。ブレイドには満足いただけるだろうか。
■ブレイド > 「そうしてくれるとこっちも助かる。
アニューがよくてもほかの奴らがどうかはわかんねーし…。
まぁ、護衛するからにゃ十全に動けねーと話になんねーよな。
そこはお言葉に甘えさせてもらうぜ」
彼女には、気づかれていないようだ。
それはそれとして安心はできたが、やはりなんというか…距離が近いような。
一人であればすぐに収まりも付きそうなものであるが
優しげで、少し無防備なようにすら見える女性と狭い中に二人となるとそうもいかない。
「野宿は…そうだな、たしかによくはねぇかもな。
オレも怪我してるし、こういう、血なまぐさいあとってのは…。
っと、なんか、問題でもあったか?
だったら無理は…」
無理に食事を食べさせてもらうのも少し悪い気がするが…
彼女の言葉はそういうことではなく、もってきた食料の方に問題があるようだ。
乾いた硬いパン…彼女の言うように、歯が丈夫であれば問題はないのかもしれないが…
飲水もあまりないなら、たしかに少し辛いかもしれない。
食べれたとしても喉が渇きそうだ。かといって、一人で水を汲ませに行くのも…。
「ツバでふやかしながらなら食えるか…。
貰っとくよ。ありがとな」
彼女のパンに手を伸ばせば、大きくなったものを隠していたてもどけられてしまうのだが…
求めておいて受け取らないのも失礼だ。
■アニュー > 「えへへ……ごめんなさいね、ブレイドさん。さすがに私もこうなる想定で外に出たわけじゃないですから。
もう少し実入りがよければ、干し肉とか干し葡萄とか、味のいい携帯食料を持ち歩けるんですけどね。
……頑張って食べてくださいね?」
ちょっぴり太めの眉をハの字に下げ、白い歯をにっと見せながら苦笑い。
そしてそんなお粗末な食料でも受け取って貰えるなら喜んで差し出して。
……そこまで距離が近づけば、覆いが取り払われれば、自然とブレイドの猛った股間が視界に入ってしまう。
「…………あー……。うん、その、ごめんなさいね。若い男の人に、こんなに積極的に近づいちゃったりして……。
で、でも、元はあなたの傷を治すためだったわけですし、仕方のないことですし……っ!」
堅パンを差し出したまま、アニューは深紅の瞳をきょろきょろ惑わせ、頬を赤らめ、言い訳がましいセリフをつらつら連ねる。
その言い訳はブレイドに対するものか、自分を嗜めるものか、あるいは神へのごまかしか……。
モノを差し出すべく乗り出したため、こちらもローブの中でたゆんと垂れる巨乳を見せつける姿勢を取ってしまう。
さすがに露出の低いローブなので谷間などは見えないが。
「で、ですが……そ、そうなったままなのが辛いのは分かります。私もそうなので……。
……あ、あっ、あっ、いやこれこそ何でもないです、聞かなかったことにしていただきたく……」
元の位置に座り直しても、視線は戸惑ったまま……だが、ちらちらとブレイドの股間に視線が向くのが分かるだろう。
堅パンを手に取ってはいるが口にはせず。それどころではなさそうな焦り様。頬や額に脂汗が伝う。
ブレイドが躊躇なくアニューの方を見るなら、ぺったりと肢体に張り付くローブの裏、下着の線が浮き出てるのも見える。
布面積の広い色気のない下着だが、この時期に着るにしては厚手であることも伺えるだろう。ブルマに近いかもしれない。
「……………えっと……その……ブレイドさん。………それ、お辛いですか……?」
焦りを覚まそうと2つ3つ深呼吸をした後、アニューはおずおずと問いかける。
今度はまっすぐブレイドの下腹部を見つめながら。
■ブレイド > 「別に文句は…ねぇ、けど……」
苦笑いをする彼女からパンを受け取る。
そんな白い歯から少しだけ視線が落ちれば、否応なく目に入るのはローブに包まれた大きな胸。
話しかける彼女に対しての言葉が途切れてしまう程度には、そこを見つめてしまった。
無論、彼女が自分の昂ぶったものを見ているのもわかってしまうわけで。
「んぁ!?え…あー…いや、その…
これは、その、あれだ、しかたねーんだよ!
えーっと、血なまぐさいことのあとだと、よくこうなるっつーか…」
彼女は悪くはない。
かと言って、自分にもどうにもできない生理現象であり
どちらにとっても仕方のないことなのだ。そう、仕方のないこと。
しかし、アニューも自分も妙に意識してしまっているのも確かで
時折こちらを見ているのがよく分かる。こちらもちらりとシスターの方を向くと
そう暑いわけでもないのに汗に濡れたローブの内側を表す線についつい目がいってしまう。
「……え、うん…えーっと…その、そう、だな…。
傷もあるし、野営しないと、少し辛い、かも?」
彼女の言葉の意味を汲めば頷く。
彼女もそうだという言葉の意味は分からないが…お互いにこのままではおさまるまい。
アニューのための言い訳、というやつだ。
■アニュー > 「は、はぁ……。危険なことがあって興奮したのが、こっちに伝わった……って感じなのでしょうか?
その感覚はあまりよく分かりませんが……そういうものなのでしょうか?」
ブレイドの言い訳を真に受けてしまうアニュー。若き婦女子にあるまじきはしたなさで、青年の股間を注視してしまう。
とはいえその理由の半分以上は『辛そうだから』という心配の気持ちから。
女に生まれながらも紆余曲折あってその部位を有してしまっているアニュー、それゆえに共感できる辛さ。
厚手の下着で隠しているゆえに、ローブの上からふたなりの存在を気取られることはない……ハズ。彼みたく勃起したりしなければ。
「……で、ですよね、辛いですよね! わかりました、私が面倒見ますっ!
………ですが、面倒を見るだけ……ですよ? その………それが収まるまで、手伝ってあげるだけ。
それ以上は……ダメですからね。私の身体は我が神のモノなのですから……」
ふうっ。1つ決心するように意気込むとアニューは堅パンをバッグにしまい、再びブレイドにすり寄ってくる。
青年の足先に触れるほどの距離に。焚き火の暖気を上書きして、互いの体温が感じられるほどの距離に。
「それと、できるだけここで夜を越すのは避けましょう。やっぱり危ないですし。
ですから……それ……も、さっさと収めてしまいましょう。ねっ?」
ブレイドの膝頭にそっと手を添え、脚を開くよう促す。
さらにその手先が太ももを這って腰まで伸びて……そこで躊躇する。
「………ごめんなさい、それ……を取り出すのは、ブレイドさんの方でお願いします。
傷が開くといけませんから、それから先は私がやりますので……」
相変わらず頬を染め、汗を垂らしながら、上目遣いに訴える。
はぐらかす口調ではあるが、ぶっちゃけ他人のズボンの下ろし方がわからないだけ。
チャックから出すにせよ脱いでしまうにせよ、自分で男性器を露出してほしいと乞うているのだ。
■ブレイド > 「なんつーか…危ないことがあると、繁殖欲っつーか…そういうのが…
アニューがそばにいるってのもあるかもしんねーが…」
無論女性の体がそばにあるからと言うのもあるのだが、言っていることも嘘ではない。
冒険者の中ではそういう状況に陥るものは男女ともに少なくはないのだから。
彼女に自分と同じものがあるなどということはもちろんまだ気づいてはいないが。
「お、おう…そっか!えーっと、助かる!
じゃあ、手伝ってもらえるか?」
それ以上はダメというが…
面倒を見るというのがどの範囲までなのか。
それを言及していないあたりが、彼女の甘さなのかもしれない。
ひとまずの食事は中断して、同じくパンは外套の上にでもおいておく。
「おう、わかった…じゃあ、たのむ」
彼女の顔が股間に近寄ると、更にズボンを押し上げるものは大きくなっているのが
見ている方からもわかってしまうだろう。
促されるとズボンの前を開き、固くなった性器はシスターの鼻先に突き出されるように顔を出す。
怪我をして身を清めていない以上、オスの匂いが強いかもしれないが…。
■アニュー > 「は、はいっ。人の助けになることでしたら、なんでもするのが私達ですから!
……なんでも、は言い過ぎですけど………口でするくらいでしたら………」
助かる、というブレイドの言葉にはアニューも朗らかな笑みを取り戻す。
だがそれはつかの間のこと。ズボンの前のスリットから青年の猛りがお目見えすれば、笑顔は再び影を潜める。
――その表情に嫌悪感はない。むしろ興味津々といった眼差し。そしてわずかに差す、色情魔の目つき……。
「………わぁ………。他の人のちんぽ、はじめて見ました………」
うっとりとした声色で呟く。これまでの見習いシスターのお転婆な口調は感じられない。
そんな声色で紡がれるは意味深なセリフだが、ブレイドにはどう聞こえたか。
野を駆け回り、風呂で清められる前の不浄な部位。普通の乙女であれば眉を顰め顔を背けるところだろう。
だがアニューは躊躇なく身を乗り出してブレイドの脚の間に上体をねじこみ、顔を寄せる。
すんすん、と鼻を鳴らして雄のフェロモンを嗅ぎ、その濃度にあてられて大きなお尻をぶるると震わせる。
ひとしきりブレイドの濃密な匂いを堪能すると、四つん這いのまま青年を見上げる。
瞳はとろりと蕩けきり、顔は今までにない以上に紅潮し、口角には早くも涎のきらめきを見せて――。
「……ブレイドさんはなるべく動かないでくださいね。傷が開いたりしないように……。では……。
………いただきますっ………んむっ♥」
再び男性器に向き直ると、一息にその剛直を頬張ってしまった。
二人の汗で蒸し暑い空間ができあがっていたが、それをはるかに越える湿度と肉感がブレイドの肉棒全体を覆う。
喉奥まで達するほど深く飲み込んでしまうと、ぞくり、修道服の女体がブレイドの眼下で大きく震えた。
そして徐々に唇から肉棒を引きずり出しながら、舌を使ってペニスのあちこちにこちょこちょと刺激を加える。
仮性の皮を被ったままなら舌先でつるりと剥いてしまって、垢の溜まりがちな箇所にも躊躇なく舌先を運んで。
あきらかに男性器を舐め慣れているフェラチオ技術である。清貧を善とするシスターにはあるまじきことだろう。
なぜかといえば『自分のモノを舐め慣れている』ためであるが、現時点のブレイドには知るよしはあるまい。
そしてアニューにとっても『他人のモノを舐める』のは初めてのこと。
自分とは違うモノであれば、気持ちいい場所も違うであろう。それを探すように、貪欲なフェラをお見舞いしてくる。
■ブレイド > 「そう、か?えーと、大丈夫かよ…。
ダメそうだったら言ってくれてもいいんだぜ?」
鼻先に突きつけられたそれに見せたシスターの表情からは笑みは消え
驚き?にも似たようなものが見て取れる。
薄暗い洞窟の中ではそれ以上は読み取れないが、彼女の言葉は少しばかり首を傾げるものだった。
他の人の?
どういうことなのか…それはよくわからないが、嫌悪感は見られない。
むしろ、しっかりと見つめ、顔をさらに寄せてくるし、音でわかるほどににおいも嗅いで…。
そういうことを待ち望んでいたかのようにすら思えてしまうほど。
それ以上は…という先の言葉も、まるで挑発しているようにすら思えてくる。
「ああ、わかった。たのんだ…うっ、おっ!?」
はじめてという割には躊躇なく…待ちきれないとばかりの勢いで飲み込まれてしまった。
それに、勢いだけではない。
舌使いも実に巧みで、おもわず驚きに声を上げる。
相応のぎこちなさを想像していたが、舌で皮をむき、その内側にまで及ぶ口の愛撫は
まさに、それに慣れているものである。
「はじめてみたって、割には、うまいんだな。
練習でも、してんのかよ」
何もしていないのであれば、ここまでの技巧は身につくことはないはずなのだが…。
はじめてというのが嘘なのか、それとも別の理由があるのかはしらないが、ペニスは彼女の口腔内で張り詰める。
それにともない、彼女の頭に手を載せて、赤い瞳を見下ろす。
不意に顎を上げると豊かな尻も揺らしている。これ以上を求めるなというのは酷な話だ。
■アニュー > 「んむっ♥ んっ、ふっ、んるっ……♥ れるっ、ん、んぐ、ぐ、ぐっ……♥
…………んっ……? え、えんひゅう……?」
劣情をかきたてる嗚咽とともに貪るようなフェラを続けるシスター。
青年の股間にひざまずくような姿勢は、神や権威の前で傅くのと似ていて少し異なる。特にお尻の突き上げ具合とか。
とても神の徒とは思えない様相であろう。あるいはこれがノーシス教徒の真の姿とも受け取れようか?
だが、練習してんのかよ、という問いが耳に届くと一瞬その口技が止まる。
――練習。そうかもしれない。
自分で自分を……アニュー的には『弟を』慰める時にはよくセルフフェラをしている。
それができるだけのモノの長さと、身体の柔軟性がある。
だがそれはもしかしたら練習だったのかもしれない。実際いまこうして、ブレイドを悦ばせてあげられているようだし。
普段何気なく、ある意味義務的にやってきた『自慰』が人の役に立っていることはアニューにとって新発見とも言えた。
驚きと、ちょっぴりの戸惑いが脳内を駆け巡り、少しだけ逡巡でフェラが止まるものの。
ちんぽを咥えたまま再び上目遣いになり、ひょっとこ気味に歪んだ顔を見せるのも躊躇せず、淫蕩に笑う。
「ん、うん、うん。えんひゅう、ひてまひた……っ♥ おひんぽ、なめうの……♥
………ん、ふっ、ふううっ……♥ んぐ、えうっ、ほぐっ……♥ ほっ、ご、おう゛っ……♥」
そして再び深々と飲み込み、ディープスロートをお見舞いする。喉奥がひくひくと蠢いて亀頭を喜ばせる。
ここまで深く飲み込むことはセルフではできない。できるときにやっておこうというアニューの貪欲さがブレイドに襲いかかる。
もはや淫乱シスターと思われることも厭わないがっつき具合。
右手で自らの上体の体重を支えながら、左手はブレイドの股間の下に潜り込み、陰嚢を包むように添えられる。
汗ばんでいるであろうそこを躊躇なく五指で抱えると、精液製造を促すようにくにゅくにゅと揉んでくる。
その後も雄の先端をいじめる浅い愛撫と全身を包む深い愛撫を織り交ぜながら、アニューもミレーの雄の味を楽しみ続ける。
そして、どれほどの時間を要するかはブレイド次第だが、ついに達するという段になれば。
アニューもそれを敏感に察知して、浅い咥え方にスタンスを変えつつ、じゅっじゅっと吸う力を断続的に加え始める。
「んっ♥ふ♥ふうっ♥んるっ♥……らひて、このまま、くひに………んぐっ♥じゅる♥じゅ♥ずじゅっ♥」
その瞬間にアニューから口を離すことはない。頭に添えられた手を振り払うこともなく、玉を揉む指使いにも熱が入って。
外に出すか、口内に出すか、もっと奥に出すか……どんなイキ方もブレイド次第。
■ブレイド > 「喋るときも、ちんぽ離したくねーなんて…
好きなんだな、ちんぽがよ」
先程までの何処か和やかな空気はもはや微塵も残っていない。
洞窟内に響く口淫の音と、むせ返るほどの湿度と男女のにおい。
彼女が味わっているペニスは喜びに打ち震えて、彼女の愛撫をもっと欲しがっているよう。
だらしない顔を見せながらも、練習していたと告白する女はもはや淫乱なシスターであると考えても仕方のないこと。
はじめてみたという言葉だって、やはり偽りだったのではないかと…
そんなことを過ぎれば、彼女でもっと処理をしたくなるものだ。
「素直だな。うぉ…そんなこともするんだな…アニューは。
しゃぶるの大好きって顔してるぜ?
望みなら、いくらでも…出してやれそうだ」
貪欲に喉奥まで飲み込まれる。
突き出した尻よりも頭のほうが下がっていそうなほどにがっついてくる彼女。
陰嚢にも愛撫を施してくるあたり、相当手慣れている。
『練習』というのもその技術に相応なほどに時間を費やしているのだろう。
何を使っているかはわからないが。
彼女の舌には先走りの味が徐々に濃くなっていくのがわかるだろうか。
彼女が刺激する陰嚢は精液を今まさに送り込もうとしている。
「じゃあ、まず…一度、出してやるからっ…なっ!」
吸い付くシスターの頭を更に押し付けて、喉奥まで再び飲み込ませれば、そこで本能に満たされた濃厚な精液を吐き出す。
大きく震える尻がさらに情欲を掻き立て、どくどくと彼女の胃を重くしていく。
■アニュー > 「おごっ………♥ …………お゛♥ほ♥………っぐ、ぼ………♥」
清楚の証たるヴェールを掴まれ、シスターの頭が雄の股間に深く押し付けられる。アニューの意思ではなくブレイドの力で。
そして程なく喉奥に放たれ始めた白濁の激流は、一部口腔に逆流しつつも多くは雌の体内へと注ぎ落ちていく。
どぷん、どぷん。密度の高い精液で臓腑が揺さぶられ、その振動が女体を通してブレイドの両手まで伝わってくる。
間違いなくブレイドの雄の昂りは残さず雌に飲み込まれ、彼女の一部となりつつあることを実感できるだろう。
そして雌の側もまたそれを悦んで受け入れ、肉棒の腹を受け止める舌や亀頭を包む喉奥を蠢かせて搾り立てる動きを伝える。
薄い陰毛に埋もれた鼻がハスハスとせわしなく蠕動し、絶頂の瞬間の一番濃い雄フェロモンを貪り立てる。
ブレイドの眼下にて、アニューの大きなお尻はびくっ、びくっ、と断続的に大きく震え、淡い絶頂を迎えていることを示す。
「……………っ♥ ……………っ♥ っふ♥ ……………んっ、……っるろろろっ………ぷはっ!」
ブレイドの射精の波が引き、尿道内に残る最後の一滴まで食道に導き終えたことを確認すると。
アニューは赤い唇を粘っこく絡ませながら、平均よりも太い(だが自分よりは少し細い)肉棒を抜き取っていく。
貪欲に吸い付いていたためか、口や顎、そして衣服にも精液は全く漏れていない。涎でべっとりではあるが。
そんなはしたない口周りを拭うこともせず、アニューはいたずらな笑みでブレイドを見上げる。
「はふっ。………ちょっとブレイドさん。まず一度、ってどういうことですか?
1回で済むようにヌいてあげたつもりだったんですが……これじゃ収まらないってことです?
できれば今の1発で満足してくれるとありがたいんですけど……ねっ? 若いとはいえ、聞き分けのあるお年頃なのですから?」
お転婆な見習いシスターの口調を一時取り戻し、男を嗜めるような……ちょっと小馬鹿にするような口調で言う。
陰嚢に添えてた左手を抜き取り、そのままブレイドの逸物の裏筋に細指を這わせて持ち上げ、ズボンへと仕舞おうとする。
その仕草が新たな挑発になるかもしれないが、アニューとしても初対面の男性にそこまで深入りするのは戸惑われることで。
「あなたはけが人なのですし、無理はいけませんよ? ここはどうか剣を収めて……ね?
今は身体を休め、一刻も早く街に帰れることを優先しましょう? そのほうが安全ですからね。
帰ったら続きをやってあげても…………えっと………今と似たようなコトに限ってですが………構いませんから、ねっ?」
ブレイドの股間から顔を外し、傅いた姿勢から座り直してようやく、ハンカチで自分の顔を拭って。
たっぷり精液を賜ったお腹をローブの上からさすりながら、男を嗜めるように言う。
一瞬ちょっと大言を吐きそうになったことに戸惑い、口どもりつつ。さすがに貞操はまだあげられない。
聞き分けのある好青年であることを祈って……とはいえ強く求められたら拒否できないくらいには心弱くもあるけれど。
■ブレイド > 「ふっ…は、ぁ……んぉ………」
思う以上にアニューの口へと白濁を流し込んでしまう。
その快感に声を上げつつ体を震わせて、自分が怪我人であることすら一瞬、忘れてしまうほどに
彼女の口淫で与えられる快感に理性が流されそうになった。
息も荒く、尻を震わせる女の体を見れば、それだけで満足できるとは到底思えない。
自分も、彼女も。
「んあ、はぁ…ふぅ……全部飲んじまったのか…すげーな…」
相当出したはずなのに…。
少し驚いたように彼女の所作を眺める。
一度性を吐き出したためか、自身の肉棒は跳ねて、震えて
先程よりは硬さを失っているが、一度何かあれば、すぐにでも跳ね起きてきそうでもある。
しかし、彼女の汚れた口元から吐き出されたのは
たしなめるような言葉と熱い吐息。
「1回で済ませたいところなんだけどな…ん、む……。
むしろ、もう少しガキな方が聞き分けられたとこなんだけどな」
彼女の指先の刺激にまた硬さを取り戻してしまうのは自分のせいではないだろう。
しかし、痛みを和らげていたおかげで忘れそうになっていたが自分はけが人だ。
無理は流石にできないのは、確かなのだ。
しかし、少し大人ぶった(実際大人なのだろうが)…挑発的な物言いに
情欲を掻き立てる仕草は自然にやっているのかわざとなのか、測りかねるところもあって。
「まぁ、恩を仇で返すようなことはしたくねーからな。
あんたが我慢できるってなら、我慢しとくけどな」
彼女も発情していたことはこちらだって見ていればわかる。
■アニュー > 「……え、全部飲むのってすごいことだったんです……? 私普段から………あ、いえ。
いやそもそもあんな風に奥まで押し付けられたら全部飲んじゃうしかないじゃないですかっ!
吐いちゃったりしたらそれこそお下品です!」
妙な点に感心され、つかの間とぼけたように目を丸くするシスター。すぐに照れ隠しの苦笑いに戻る。
下品と言うならペニスを頬張ったまま喋ること、否、そもそも初対面の男子のペニスを躊躇なく頬張ることこそ下品だろうが。
そんな自覚がないあたり、このアニューという女性はどこか常識がずれている。
「また大きくしちゃって辛いとかでしたら対応しますけど。できれば我慢してくださいね?
あなたの身体のことを思っての話です、どうか聞き届けくださいね……?
下手に傷が開いたりして古傷になるようなことがあったら……まぁ、それが誉れだって言う冒険者もいるようですけど……」
とはいえ抑えてくれる様子のブレイドには、アニューもほっと緊張した肩を下ろし、ふぅと一息つく。
喉奥からザーメンの香りが立ち上ってくるが、これもセルフフェラ常習者のアニューにとっては慣れたもの。
そして、あんたが我慢できるなら…というブレイドの言葉には。
「……ん、私の我慢、ですか? 私は別に我慢なんて……。
………あ、でもさっきのアレでいい感じに喉も口も潤いましたね。せっかく包みから出しちゃったんですし、食べましょう♪
すでにお腹いっぱいな気もしますけど!」
えへ、とトボけた笑みを浮かべつつ雑嚢から堅パンを取り出し、バキンッ!と盛大な音を立てて犬歯で齧り取ってしまう。
そして、先ほどまでブレイドの剛直を根本まで咥えていた口で、精液の後味残る舌で、ボリボリと菓子の咀嚼を始める。
そのアホくさい所作は爛れた雰囲気を破るに足るもの……であってほしい。
『我慢』という言葉の取り方には致命的な齟齬があったものの。
一応はアニューも聖職者のはしくれ。自身の昂りの制御には自信がある。普段から定期的に自慰しているのもあるが。
今回は傷の看護に気を取られていたのもあり、ブレイドが言うような『我慢』やその処理は彼女には今のところ必要はないようである。
……とはいえ、雌の昂りがその肉体に溜まっていることも事実で。
どこか気を抜いた瞬間にそれが爆発する可能性も無きにしもあらず。
だがそれは今ここではなく、近い時間の別の場所となることだろう。
今はじっくり傷を癒やし、疲れを癒やし、王都へ無事に帰ることを考えるときだ。
■ブレイド > 「あぁ、そりゃ…えーっと…悪かったな。
それこそ苦しかったなら教えてくれりゃ良かったんだけどな」
先程から、少し…いや、かなり言動に妙なところがある。
まるで普段から慣れているような?
いや、異性に慣れているというわけではなく男性器そのものに慣れているといったようなところが見え隠れしている。
躊躇なく口に含んだり、その手練手管と言った部分は清純であるとはお世辞にも言えない。
少し懐疑的な表情も出ようものだ。
「わかったって、あんたも大丈夫そうだし…
オレもできりゃ我慢するって、アニューがさっきみたいなことしなけりゃな」
射精したあとに裏筋を撫でられた肉棒は既に固くなっているが
体を思ってのことだと言われると我慢せざるをえないではないか。
恩義もあるしあからさまなごまかしに乗ることにした。
彼女にも何かしらの事情があるのかもしれないのだから。
彼女からもらった乾パンを手に取れば、自分もガリガリとかじり始める。
多少硬いが、少し頑張れば食べられそうだ。
食事を終えて、少し休めば…帰ることができるだろう。
この空気が続くのであれば、今の昂りもたぶん、おさまるだろうから。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアニューさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からブレイドさんが去りました。