2022/05/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にシシィさんが現れました。
■シシィ > ────朧な月が、鈍く輝く夜天の森の中。
かすかな虫の音の中を、そっと茂みをかき分けるのは灯りを手にしたぼんやりとした人影。
さほど街道からも離れてはいない。けれどやはり人の目は行き届かない森の中ほど。
滾々と水の湧く小さな泉のほとりを訪れていた。
「─────………」
護衛の一人もつけることなく、ただ周囲を照らすには便りのないランタンを一つ携えた女が訪れるにはひどく場違いな場所。
それでも特に気にした様子がないのは、幾度かこうした夜の散歩を楽しんでいるからなのだが。
湿度を孕んだ夜の風が森の木々を揺らすのを耳に流しながら───。
目当ての場所に辿り着けば、木の枝にランタンを軽くひっかけ、その根の太い部分に腰掛けた。
■シシィ > ただ黒く、時折ぬめりを帯びた様に細波が煌く水面を。
茫洋とした眼差しが見つめている。軽く傾いだ体を、己が腰を掛けている樹木の木肌に預けて。
───眠れぬ夜を楽しむには少々過ぎた遠出だと自覚しつつも、少しだけ、と自分自身への言い訳を用意して。
濃い肌の色が夜の森の中に沈む。身に帯びた装束の白が、頭上の枝に引っ掛けた仄かな明かりが、夜の眠りに揺蕩う森の中でぼんやりと浮かび上がっていた。
■シシィ > 気紛れな、旋律がその中を渡ってゆく
泉の乙女の死を謡う歌のように細く、遠くまで。
誰かいたのなら本当にそう錯覚されてしまったかもしれないが。
初夏に差し掛かった緑の眠る森の中を、ランタン片手に女はまた歩き出していった──。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からシシィさんが去りました。