2022/05/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエレオノールさんが現れました。
■エレオノール > 「──────」
夜更けの森に遠吠えが響く。
月に狼という、定番の組み合わせ。普通と違ったところがあるとするなら、その吠え声の主。肩の高さで人の背丈を優に超えるほどの体躯と、全身を覆う金色の毛並みは、一目見ただけでもただの狼でないとわかるだろう。
ひとしきりその声を響かせると、大狼は返事を待つ。しかし、しばらく待ってみても遠吠えが帰ってくることはない。
「……もう、困った子達ね。どこで遊んでるのやら」
いつの間にか大狼の姿は消え、変わりに一人の女が立っていた。
暗い森の中、一糸まとわぬ姿で。ベクトルは違えど、その異常さは金色の大狼と大差はない。
「ま、お腹がすいたら帰ってくるでしょう。……ふぁ」
そう言ってあくびをする間にも、月明かりが真っ白な肌を暗闇に浮かび上がらせる。そして、女性的なライン、で済ませるにはあまりに凹凸の強調されたその身体も。
■エレオノール > 全裸の女……エレオノールがこの森を『遊び場』として子供たちに与えて1ヶ月が経つ。
数多のオスとの間に生んだ子供達の中には、狼としての本能が強く出た者もいる。都で同年代の友達と遊ぶよりも、森や野原を駆け回ることを喜ぶ子狼達。
そうした子供は獲物を狩ったり兄弟と遊んだりするのに夢中になって、いつまでたっても帰ってこないこともざらにあった。
「まぁ、仮にそのまま森で暮らすとなっても、それはそれでひとつの選択肢ですわよね」
寂しくはあるが、それを止める権利はないとエレオノールは微笑する。
しかし狼は人間にとっては害獣であるし、狩人や冒険者に狙われることもあろう。そうでなくとも自然の世界には様々な危険が数限りなくある。少なくとももう少し大きくなるまでは、自分が守らなくてはいけない。だから、
「さて、誰か来てるかしら……?」
エレオノールは再度耳を澄ます。子供達の遠吠えを聞き逃さないようにというのはもちろん、縄張りの中のあらゆる音を拾い上げる。何が、何をしている音なのか。その中に接近するものや、耳慣れない音があればそれ相応の対応をしなくてはならない。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にレモンさんが現れました。
■レモン > 狼の遠吠えが響き渡る森の奥。
びくりと身をすくませるのは、小さなローブに身を包んだ子供の姿。
ミレー族であることを隠す必要もないから、露にした獣耳をすませ、声の方向を探すようにしつつ。
「オオカミ…かな?あの声はきっと群れの仲間を探しているんだ。
ボクは悪いミレーじゃないですよー…襲わないでくださいな…っと。」
聞こえているかはわからないけれど、声の半分は遠吠えの主へと。
もう半分は、オオカミを怖がる自分を奮い立たせるための独り言。
森の中、魔術の触媒や薬の原料となる薬草を探すのには絶好の場所。
普段から通い慣れているこのあたりの地形だが、必要なものはいつも採取しているものより珍しいもの…
ゆえ、こんな夜更けまで森を一人でうろつく少年の気配と音は、狼にはすぐにとらえられてしまうだろう。
彼女の位置から程近いところにたたずんでいる。
いざとなれば魔術の行使にて、戦うまではいかずとも、最低限逃げられるよう心構えをしながら。
■エレオノール > 「…………?子供、ですわよね?」
その足音と呟き声を拾い上げて、奇妙なことだと首を捻る。もちろん端からみて一番奇妙なのは、全裸で一人たたずんでいる自分なのだが、それは置いておいて。
子供が一人で、こんな時間にこんなところにいては何があるかわかったものではないだろう。そう思ってからは早い。
森の中を、女の姿のまま滑るように走り出す。木の方が避けているように見えるほどスムーズに、一切の迷いもなく、そして足音を消す工夫すらなく。
「よいしょ……っと。ぼく?こんなところで一人でいては、危ないですわよ?それとも迷子かしら?」
それまでのスピードが嘘のようにふわりと着地しながら口にするのは、ごくごくありふれた、子供に対して声をかける際の定型文というべき言葉。
あらゆる意味で平凡とはかけ離れた女が、柔和な笑みを浮かべながら少年の前に立っていた。
■レモン > 「わ、――来る、ッ!?」
本物の狼ほどの聴覚は持たざるものの、ヒトのそれよりは感覚のすぐれた耳。
ソレが一直線にこちらへと向かってくる足音を捉え、思わず声を上げた。
少年の耳にわかるのはたったの三つ。
まっすぐこちらに向かってくること。
逃げる暇も隠れる暇もないくらい速いこと。
そして、獣ではなくまるで裸足の人間のような――
と、そこまで考えたところで現れた足音の主。
手にした杖を構えようとして…その奇妙な姿に一瞬、反応することを忘れてしまったかのように。
「――――え?」
女の人。
それも全裸。
それも、ヒト離れしたプロポーションの。
「あ、あの…ここには薬草を取りに来ていて…えと、お姉さんはどうしてこんなところに、そんな格好で?」
己の瞳は月明かりだけでも十分に彼女の姿を捉えることが出来る。
ゆえ、視線を離すことも出来ず…魅入られたように視線を注いでしまうばかり。
■エレオノール > 「まぁ、薬草を?お仕事かしら、それともおうちのお手伝い?どちらにしても、働き者なのは素晴らしいことですわ♪」
黒髪のミレー族の少年。その愛らしい姿を見て、話しかける声はますます甘く、猫なで声のようになる。
既に彼を気に入った、というと言いすぎかもしれないが、せっかくなので少し遊び相手になってもらう気にはなっていて、
「うふふ、わたくしのことですの?そうですわね……何をしていると思いまして?」
にこっと微笑みながら、視線を合わせるように身体を前に傾ける。そうすると豊満に過ぎる乳房もぷるんと弾むが、それを隠そうともせず。
しかし、自分の頭には狼の耳を生やして見せた。きっと彼もさっきの遠吠えは聞いていたに違いない、と思って。
■レモン > 「あ、ありがとう。ボクはお仕事だよ。
本当はもう少し早めに見つけられると思ってたんだけれど…」
あてが外れちゃった、と少しばかり恥ずかしそうに頭をかく仕草。
最初は怯えと警戒の色を見せていた少年だが、この少しのやり取りで、目の前の女性への警戒はすっかりと解けてしまっているのが分かるだろうか。
むしろ少年は少年で、目の前の女性に興味がわいてきていた。
襲いかかる気ならとっくに襲い掛かっているだろうし、と。
「え?お姉さん?
ど、どうだろう…裸の女の人が一人で夜に…ってことは、水浴びとか?」
目の前で音さえしそうなくらいに大きく弾む胸に視線は吸い込まれ。
まるで胸と話しているかのよう。
けれど急に生えてきた狼耳に、猫の金目はそちらを見上げた。
「わ、ミレーさん…かな?
実はボクも…」
己も近い存在であることを示すように、フードを外せば…
ヒトの頭に猫の耳、そして猫の目。
さらには尻から柔らかそうな尻尾まで露にし、彼女の目の前でふわふわと揺らして見せる。
■エレオノール > 「んー、まぁミレー……のようなもの、ですわね?うふふ」
実際のところ、自分をミレー族と思ったことも、ミレー族を仲間とも思ったことはないが、向こうが親近感を持ってくれるならそれでよし、説明するのも面倒だと思った。
彼の猫耳、そしてしっぽを見て、頬に手を当てながら、
「そうそう、わたくしがこんなところで何をしてるかという話ですけれど……」
そこまで言って、うーんと考え込む。自分のしていることなのに考え込んでいるという時点で何かがおかしいのだが、
「そうだ、あなたを待っていた、というのはどうでしょう?あなたのようなかわいい子に会いたくて♪裸なのはそうですわね……その方があなたが喜ぶから、というのは?」
くすっと笑って、ただでさえ大きな胸を、腕で下から持ち上げて見せる。向こうの視線がここに注がれていることは、狼の感覚がなくともすぐにわかることだった。
■レモン > 「…ようなもの?」
ってことは、ミレーさんじゃないのかあ…と、どこか呑気に首をかしげて見せながら。
「って、普通は種族じゃなくて、名前を言うんだよね。
ボクはレモン。魔術師だよ。
狼のおねーさんのお名前は?」
と、今更ながらに自己紹介をしつつ。
彼女の言葉には少し照れたようにはにかんでしまう。
自分のことを待っていた、なんて。会いたくて、なんて。
「え、っ、そうなの…?見ず知らずのボクを喜ばせるために、裸で?
まるで夢の世界みたい…それともお姉さん、実は悪いオオカミで…ボクを食べようとしてる、とか?」
言葉では怪しむ風を見せ、しかし裏腹に表情はだらしなく緩んでしまう。
何せ欲望に素直な雄なので、金の瞳はまるで三日月のように細く弧を描いてしまうのだ。
■エレオノール > 「その反応を見るに、どうやらお気に召したようですわね?うふふ、こんなところで待っていた甲斐があったというものですわ♪わたくしはエレオノールと言いますの、狼さんというのは間違ってはいませんけれど……」
エレオノールの言っていることはまったく辻褄があっておらず、筋道もめちゃくちゃで、しかもそれを完全に自覚したまま喋っている。
相手を騙そうとか、自分の正体を隠そうとか、そんな目的もなくただ彼とコミュニケーションをしたいだけなのだからそれも当然で、
「そうだ、あなたを騙すつもりはないということを証明しましょうか?そうですわね……"これ"を触らせる、というのはどうでしょう?」
たぷん、と乳房を弾ませて強調してから、両手を背中の方に回す。無抵抗を強調すると同時に、自分の急所を相手に委ねる。
狼や犬が相手に服従を示すために腹を見せる、あの仕草のようなもの。