2022/01/29 のログ
> 自分がどう相手に思われているのか。
それを知る事もないままに、倒れ込んだ後、それから起き上がる気配もない。
中々に酷い想像のされようなのだが、実はここには冒険者ギルドの依頼を受けて来ただけ。
その内容も、この近辺で採取出来るただの薬草詰みなのだ。
それが、なぜこのような状況となっているのかは…

倒れたのを確かめに姿を現したのだろうが、それを確かめる様子も見られない。
こちらの様子をじっくりと確かめるならば、肩掛け鞄の口が開き、採取した薬草の一部が見えるくらいか。
それ以外に何かを確かめようと思い、もう少しの間様子を見ようとするのなら。

グゥ…キュルル、と可愛らしく鳴る、お腹の音が聞こえるだろう。
それを聞けば、ある程度の予想が他に立つかもしれない。

ティアフェル > 「……………」

 墓場でグールを斬り捨てて倒れる少女。
 なんだこのシュールさは。
 助けられたのか追い打ちなのかまったく読めずに情勢を見守るに徹していたが。

 きっと冒険者の心得としてはこのまま、よく分からない武力も相当な相手ならば少女と云えど油断せずに危険な存在と認知した上で。その場から速やかに離脱。が定石だろう。

 が。

「…………ん?」

 なんか……腹鳴った。
 惨状にやたらと不似合いな音に離脱を検討していたところでまた首が傾く。
 ぱちくりと瞬きをしてはしばしの黙考。
 もしもグールから助ける為に来てくれたのであったら、放置してとっとと行ってしまうのは人として?
 うぅぅぅ~ん、とめちゃくちゃ唸って頭を抱えた結果。

「……ね、ねえ……ちょっと……もしもーし……?」

 彼女から恐々と距離を取りつつも声をかけてみた。マジやばかったら即逃げよう。
 そうでもなかったら――都度対応を決定だ、と。

> 何の説明も無くこの状況となったのだ、それを理解しろというのは難しい話。
この場から逃げ出すのも、確かに手の一つだろう。
こうして倒れているのも、相手を引き寄せる為の手段なのかもしれないのだから。

しかし、彼女が選んだ選択肢は違った。
この場に不似合いな音を聞き取ったからなのもあるか。
考えに考えた末に、出した結論はこちらへと声掛け。

その声に、ピクンと小さな反応を見せる。
ググッと何とか顔を上げ、その声の主を見上げれば。

「あの…実に申し訳ないのですが。
お腹が空き過ぎて、さっきのが限界で、もう動けなくなってしまったのですよぉ。
それで、ご相談なのですが、出来れば何か食べるものを頂けると、とてもとても助かるのですが、どうでしょうか?
少しだけでも頂ければ、もう少しだけ動く事が出来ますので…」

うつ伏せに倒れてしまったせいで、少々顔を土に汚してしまったまま。
か細くなってきた声で、そんな懇願をするのであった。

ティアフェル >  対応その一。声かけ。
 ベストな対応と思える離脱を捨てて取った人の道。
 冒険者としてはただ甘い、油断、と判断されそうな選択だったが。
 見たところ、そんなにエグイ存在であれば、すでにグールと一緒に刃の錆になってるのではなかろうか。あの勢いならば手加減なしならば共斬りなんて簡単そうだ。
 なんていうやはり甘めな考えの元。

 あと、幼い少女が腹を鳴らして倒れているというのは、人情に訴えるものが。
 このまま立ち去ったら立ち去ったで気にしてしまいそうで。ならばと意を決したところ。
 声に反応が見られた。
 力ない声ながら思いのほかしっかり説明され。とりまハナシは分かった。

「え、えっと……? あの、分かった……」

 解ったけれど、動けるようになった瞬間無双な少女が元気に攻撃してこないだろうかな。過る真っ当な懸念。
 えっと、どうしようかな、と眉を下げ逡巡しながら。

「あなたは……冒険者、なの……?できれば身分が明確になると安心できる、かも……あなたはとても、すごく、強い。わたしより、ずっと……それで、悪い人なのか善い人なのか、まだ分からない……から。
 あ、わたしは、ティアフェル。冒険者で、ヒーラーで……パーティとはぐれたところなの」

 コートをはだけて白衣を示したりスタッフや冒険者証などを提示したりしつつ。
 ウェストバッグに携帯食料や常備しているお菓子やらあったはずと確認も。

> どうやら説明を理解してくれたようで(切っ掛けは空腹の音がしてくれたのだけれど)。
だが、その後におずおずと聞いてくるのは自分がどんな立場であるかの証明。
あんな事をした後を考えれば、それを知りたくなるのは当然の事だろう。
その本人には、全く自覚は無いのだが。

それを聞けば、ググッと顔を下の方に…倒れた事で地面に転がる、肩掛け鞄の方へと向いて。

「あ、私の名前は鈴と申します。
まだ駆け出しですが冒険者で、ここには薬草摘みに来たのですが、道に迷ってしまったようで。
用意していた食料も尽きて、お腹が空いて空いて、もう駄目かと思った時にあなたの声をお聞きしまして…
私に出来るお返しは戦う事だけですが、どうかお恵みを頂けたらと思いますぅ」

動けないだけで口を利く事には大きな影響は無いのか、ゆっくりとではあるが彼女へと説明。
示す鞄から覗く薬草、それを戻そうとすれば、中に彼女と同じような冒険者証があるのも気付けるだろう。

ティアフェル >  問いかけへの反応もなんだか大儀そうだ。
 こんだけ腕っぷしがあるのに、エネルギー切れで活動停止とはいかに……。
 悩まないでもない。それは外見上だけではなく、実際に幼く思慮はまだそこまで深くないからこその帰結なのか。

 身分を明してもらえばちょっと、失礼……と傍らに屈みこんでそっと手を添えて冒険者証を確認して小さく肯き。

「そっか……! よし、じゃあもう……信じた!
 あなただって、良く分からない誰かの悲鳴に駆けつけてくれた訳だし、疑い過ぎも世知辛い。
 わたしの鞄は友人製の特注でして――アホみたいに物が入るのであります。
 そんな鞄の中には乙女の必需品お菓子がいっぱいー。とりま、大分血糖値が下がってるみたいだから、はい、あーん。チョコレートをどうぞ」

 年若い少女の極端な糖質不足は深刻だ。まずは糖質、と甘苦く栄養価はお墨付きな一口大に包んだチョコレートを剥いて、あーん、と彼女の小さな口にインしようと指でつまんで。

> 鞄から改めて彼女を見上げ。
言われた事を確かめるように鞄の中身を確かめている様子を見詰め。
やっと得られた信用の言葉を聞けば一安心と胸を撫で下ろす。

そして、彼女自身が抱える鞄の説明と共に差し出される一口チョコレート。
それを見れば、喜びにキラキラとその瞳を輝かせ。

「わあ、ありがとうございます、ティアフェル様。
それでは、遠慮なく頂きまーす」

あーんっ、と大きく口を開けば、ハムッと指ごとチョコレートを銜えてしまい。
モグモグと味わうようにしながら食べるのだった。
そのまま指ごとしゃぶっているので、すぐに指を戻さないと唾液塗れになりそうだ。

ティアフェル >  害意のない相手と分かれば態度は軟化する。ちょっとヤバ気なグール殺し少女と見受けていたが、中身は凄惨なものではないと理解して。
 そうとなれば、その空腹をわたしがなんとかしなければ、とお節介ともいう使命感に燃えあがり。
 チョコレートを口に運べば、

「いやそんな、ティアフェル様なんて。ティアでいーよ。
 他にもたくさんあるから焦らないで食べ……わあ。」

 目を輝かせる様子は至って年相応で微笑ましくなっていた表情が指ごと食いつかれて固まる。
 急いで彼女が口に入れても喉に詰めないようにチョコを選んだが指もろともしゃぶられるとは。
 
「ひ、わ、わゎ、ちょ、ちょい待ち……ッ」

 くすぐったさに肩を震わせながら焦って指を抜けば彼女の咥内で溶けたチョコレートと唾液で指がべったり。
 
「お、落ち着くんだ。えっと、スズちゃん……。まだある、まだあるから。
 お水飲んで、寝たまま食べると消化に良くないし噎せるから身体起こして……干し肉とかもあるけど、柔らかいものからいこうね」

 指をハンカチで拭うとすっかり世話焼き根性を発揮して彼女の背中を支えその場に座る姿勢にしようか。続いて取り出した水筒の水を飲ませて、その次に油紙に包んだカットしたバターケーキを取り出して頬張らせんと。

> 瞳を輝かせたまま指ごとチョコレートをしゃぶる姿は、どこかペットの餌やりと連想させるかもしれない。
きっと尻尾とかあったら勢い良く振っているところだろう。
チュポッと唾液塗れにした指から口を離し、待てを伝える彼女へと不思議そうに首を傾げる。
だが、しっかりと待ては伝わっているか、それ以上はまだ何もしない。
ただ次のチョコレートを求めているかのように、輝かせる瞳で彼女を見上げているだけだ。

「ティアフェル…ではなくて、ティア様がそう仰るなら。
はぁ…チョコレート、甘くて美味しくて、生き返るようですぅ」

取り敢えずは待ての間、口の中に残ったチョコレートの味を堪能するように目を閉じうっとりとした表情を浮かべたまま。
彼女の言葉にコクンと小さく頷いて。
背中を支え起こして貰い、水を飲んで落ち着いた後、チョコンと彼女の前で正座する。
続いて取り出されたバターケーキが前に出されれば、再びあーんと口を開いてパクッと銜え、モグモグと頬張るのだった。

食べている事にどれだけ幸せを感じているのだろう。
そう思える程に、頬を緩め食べ続けてゆくのだ。

ティアフェル >  無邪気に懸命に欲する彼女に与えていると、餌付け……とそんな様相も呈してしまっているような気がしないでもない。
 いや、そんな失礼な。と頭の中で過るワードに首を振りつつ。
 きららかな様子の彼女のつぶらなお目目をみて、思わず、ふく、と小さく笑声が漏れる。

「あはは、本当によっぽどお腹が減ってたんだねー。
 わたし遠征の時は超お菓子詰めちゃうし、食料もがっつり詰めちゃう方だからしっかり食べさせてあげちゃうぜ」

 空腹でぱたり、なんて遠征時はマジない話だ。遠征と遠足を一緒にしてるのかお菓子は必須。上限額はその時の気分。
 チョコひとつで陶然となる顔にくすくすと肩を揺らしつつ、ケーキを差し出すと非常においしそうに頬張っている。
 
 そうしていると年相応のかわいらしい女の子で、姉心が刺激されたようでグール死屍累々の墓場の真ん中でほのぼのしてしまうという、シュール過ぎる有様となった。

「次はしょっぱいいっちゃう? 甘いの次はしょっぱいだよねしょっぱい!」

 などと唆すように云いながら、ドライソーセージを包みから取り出し。保存の利く硬い黒パンのスライスで包むようにして、はい、あーん。あーんの必要なんて微塵もないのだが。
 彼女の食べ物を上げるのが楽しくなったように次々口に運んでいく。

> 嬉しそうに笑顔を浮かべていたが、こちらを見て笑う彼女にキョトンとするも。
笑われて気に障ったりもせず、ニコニコと再び浮かべる笑顔でそれを返す。

「あのまま誰も来なかったら本当に飢え死にしてしまうかと思ったくらいですよぉ?
本当に、ティア様には感謝しかありません。
わ、本当ですか?それなら、鈴は遠慮なく頂きたいと思いますぅ」

ケーキを頬張りながら、次の食べ物を示されれば。
コクコクと何度も頷き返し、ゴクンと飲み込んでから、次いで差し出されるソーセージの包みにあーんと口を開けるのだ。
あーん、とする必要の有無なんて気にしない。
差し出されるがままに口を開いて食べ続ける。
そうして食べさせ続けてゆけば、その内に不思議に思い、いずれある確信に至る事があるだろう。
小柄な体躯の割りに、この少女がかなりの大食らいである事に。

ティアフェル > 「いや、逆にわたしは殺された後食われるところでしたので!
 どっちも死にかけ、って点では五分五分? んー、いや、やっぱりわたしの方がお世話になったかな。
 おうっ、がっつりいきな。……とはいえ、どのくらい食べるのかしら……?」

 体積以上に食べるという摩訶不思議なタイプだったら対応しきれるかどうか。
 そういう人外魔境な胃袋に心当たりがないでもないのでふと不安がよぎる。

 口に運べば運んだだけ食べてしまうので、最初は面白がって無作為にぽいぽいと手持ちの食料をあげていたが。

 あ、やばい、懸念が現実のものに。と一向に食べるペースが落ちないもので冷や汗を掻きだし。
 さすがに手持ちを全部差し出してしまうとこの実りのない時期には食料の現地調達も難しく。

「スズ……ちゃん……? ティアさんそろそろ食料尽きるような……」

> 「あぁ、あのアンデットにペロッと食べられてしまうところだったんですねぇ。
鈴もティア様も、お互いに助かって良かったですぅ。
……?…そうですね、今のところ腹六分ってところでしょうか?」

こちらの笑顔の対応とは裏腹に、ある不安を抱き始める彼女。
そんな彼女への答えが、その不安を確かなものとしただろう。
ここまで食べて、まだやっと満足まで半分を越したところだと伝えるのだから。

そして、それから暫くも食べ物は消えてゆくものの。
続く不安に零す彼女の言葉に、ピタリと食べる動きは止まる。

「あ、すいません、それでしたらそろそろ食終わりで大丈夫ですぅ。
もう十分に暫く持つくらいお腹は満たされましたので…これで、もう数日は持ちますね」

とそう伝えるも、最後に差し出された食べ物まではしっかりと食べ切って。
ポンポンッと満足を示すようにお腹を叩いてみせるのだが。

「さて、せっかくですので、この後はティア様とご同行させて頂いても大丈夫でしょうか?
鈴一人ではまた迷ってしまいますし、ティア様一人では、また何かあっても大変でしょう?
戦う事だけなら自信ありますから、何かあったらドーンとお任せしてくれて大丈夫です」

改めたように、そう彼女へと申し出て。
ポンッと自信満々に胸を叩き、どうですか?と問うように上目使いに見上げるのだった。

ティアフェル > 「うん、まあ、実際はもうトラウマレベルの凄惨な現場になる予定だったんだけどね。
 それにしても、スズちゃん強いんだねえ。一瞬狂気すら感じるお手並みだったよ。
 ……………腹も魔境か……」

 腕っぷしの問題だけではなく、胃袋も未知数なクチであることがその返答で判明した。
 魔法の鞄にはたっぷり入るもので多めには持ってきたが、追い付かない感が漂ってきた。

「あ……そう? へー、食いだめできるんだ。便利な体質……ってか……やっぱり、人間、ではないん、だ……?」

 見た目は少女だが、ポテンシャルが軽く人外だ。最初に覚えた警戒心は彼女の種族に本能的に反応したのかもしれない。
 最後までよく食べた様子に、一応ご満足いただけたようで安堵した。

「――あ、うん、いーよいーよ全然! こっちも一人じゃ危ういし。
 一緒してくれると助かる。じゃー任せた!
 ん、と、はぐれた仲間と合流して街まで帰ろっか。
 家に着いたら、今度はたーっくさんごちそうするよ。スズちゃんがギブするまで詰め込んでやるー」

 申し出に二つ返事で肯いて、胸を叩く彼女によろしくねと手を差し出し。
 それから予備の小さなカンテラなど取り出して火を点け。仲間とはぐれた方向へ戻ろうか。

> 「そうならなくて良かったですね?
えーっとぉ、多分、強いんだと思いますよ?」

浮かべる笑顔は相変わらずで、本当にそれが分かっているのか、とも思える感じだ。
そして強さに関して言われれば、逆にどうなんでしょう?みたいな答えが返ってくるのだった。

「……さぁ?鈴としては、お父様が人間でしたので、人間だと思ってますよ?
拾われたらしいので、鈴もどうなんでしょう?って思うところはあるのですが」

接すれば、そうであるかもしれないと、今の彼女みたいな状況はままあるようで。
そこだけはちょっと困ったような顔をして答えてみせた。

「はい、それでは宜しくお願いしますね、ティア様?
ティア様のお家ですか、分かりました、喜んでティア様のお家までご一緒させて貰います」

差し出された手にすぐ手を伸ばしかけるのだが。
気が付いたように、ポンポンッと服にこびり付いた汚れを叩き落として、パンパンッと手を叩いてから。
改めて、その手を握るのだ。
地面に置いたままの鞄を肩へと掛けて、彼女の灯りを頼りに案内を受け、後はそちらへと向かうのだろう。

ティアフェル > 「や、あんだけさっくりばっさりやっといて、多分とか疑問形なに、コワイんですけど……」

 無自覚そうに反問されるとマジにやばい人みたいでちょっと引き気味にアホ毛が寝た。

「んな人間おらんわ。
 しかもお父様と血ぃつながってないんかーい、絶対人じゃないやーん」

 反射的に珍妙な口調でTHEツッコミ入れてしまった。入れざるを得なかった。
 彼女はいったいどういう環境で過ごしているのだろうか。このスペックで普通に人間だ、と思い込むような、ハイスペック人類に囲まれているんだろうか。

「うぃうぃ。こちらこそよろしくー。
 まだまだ食べたりないっしょ? これでも大量に作るのには慣れてるの。ご招待します。下宿だけどね」

 厨房は入居者で好きに使える。食いしん坊の腹を見ると時折ちょっと燃えてしまうオカン属性。
 握手を交わすと灯りを手にさあ出発。
 冒険者たちの帰路も一筋縄ではいかないものだが、どうにかこうにか困難な道中も乗り越えて帰投叶うはずで。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からさんが去りました。