2021/10/17 のログ
タツミ > 「そんなに何度も連呼しなくても、はい」

ありがとうの連呼に気おされ、手を握られると少し照れるような顔をしつつ。

「いえ、まぁ…怖い物は怖いですよ、それが他の人には大した事ではなくても。
恐怖っていうのは割り切れる物じゃありませんし」

犬が怖い事については、何やら大きくうなずき。
実感をもって何かを怖いと思う事は他の人からは判り辛い物だと肯定する。

「あ、それでティアさんが探してる薬草などはどちらの方に?」

一応キノコを一瞬気にしたが、すでに採取も終わっているので気を切り替えたらしく。
採取予定などを聞きたそうにしている。

ティアフェル > 「ありがとうの気持ちはきちんと伝えなさいってばっちゃが」

 本当に云ったのかどうかはさておき、真顔で切り返すと。照れくさそうな顔はやはり少しばかりあどけなく見えて、弟と同じくらいの歳かなーとほのぼのしながら眺め。

「た、タツミ…くん……君ってとってもいい人ね! 犬が怖いなんて理解を示してくれる人って中々いないのよ。
 今まで出会った東国の人ってみんないい人だったわ、きっと優しい人が多い国民性なのね。素敵」

 世間一般では愛玩動物としても親しまれており、基本的に可愛いと好かれがちな動物なだけに。彼のように犬恐怖症ということを大らかに受け止めてくれる人も少ない為、理解を寄せてもらっただけで、感動気味にうるうるしていた。筋金入りの犬嫌い。

「え? あー、今日予定してた分は大体採取したから……あとは帰り道でちょいちょいっと摘んでくくらいかしら……。
 えーと、そちらも採取済みってことは街の方へ帰る、で良かった?」

 少しばかり回り道で帰投する途中であった当方。彼もその途中であればそのまま王都へ帰路を辿ればいいかと。

タツミ > 「確かに、言葉にして伝える事は大事だとよく聞きますね…良いおばあさんですね」

此方もそれを普通に聞き入れて、微笑して。

「いえ僕も…怖い物がいくつかありますから。
良い人に出会う事が多いのであれば、ティアさんも良い人なのだと思いますよ」

微笑しながらいう少年は、その怖い物は何かを言わないが。
今普通にティアと会話をしているだけなのに楽しそうな表情を浮かべている。

「はい、基本後は戻るだけですので。
僕の方はよほど遅くならなければ寄り道も問題ありません。
僕でよければ荷物もちますから、すぐダメにならないなら多めに薬草を採取しても大丈夫ですよ」

街へ帰るのかの問いに、そう答えて、さらに提案を投げかける。

ティアフェル > 「そうそ、特にお礼はねきちんとしないと。でしょ、ちょっと口うるさかったけどね」

 そういうとこも含めいいばっちゃ、ということで。に、と軽く口角を挙げて肯くと、怖いもの…と口にする顔を覗き込んで。

「へえ、強そうなのに……。誰にでも苦手はあるものね。怖いものってなーに?って訊きたいけど、教えたくないよねえー?
 そうかな。だったら嬉しいけど……そういうタツミ君もいい人よ、ってか品がいい……」

 言葉遣いも丁寧なら物腰も柔らかいし、親切だ。どこかいいとこの子ってやつだろうかと窺うような視線を向けて少年の立ち居振る舞いを眺め。

「そう? なら良かった。やー……頼もしいな。
 ……紳士…! 超紳士……! あなたそんなとてもお若そうに見えるのになんというジェントルメンな属性を……じゃ、じゃあ…お、お言葉に甘えて、ついでに栗拾って帰っていいかしら? 山ブドウも! 大好きなの。沢山あるところをみつけたんだけど……持ちきれないと思って諦めたのよ! 嬉しいなー」

 なんと荷物まで持ってくれると云ってくれている。遠慮すべきかと少し逡巡したが、相手の性根の良さにすっかり甘えて、やったあと無邪気に手を打ち鳴らして悦び。
 じゃ、いこ。早く行こ、とぐいぐいと気持ちが逸るようにうきうきとその手を引いてゆく……。

タツミ > 「口うるさいのは、ティアさんを心配してだと思いますよ」

微笑しながら答えて。

「あー、そうですぅね…一個は教えても。
孤独、一人でいる事が怖いんですよね…いまはティアさんといて大丈夫ですけど。
だからかな、人が多い街中なんかは落ち着きます」

口元に人差し指を当て、秘密ですよと小声で言いながら答える、

「いや…さっき言った事にも関係するんですけど、人とかかわる為に勉強したんです」

品がいいと言われ、照れつつ。

「採取依頼用に空きの革袋もいくつかありますし、栗や山ブドウも大丈夫かと。
これでも力は結構ありますから任せてください」

ぐいぐいと引っ張られながら、革袋を準備して、微笑みながら付いていく。

ティアフェル > 「そうね、口うるさいなあ、なんて思ってたのも今は懐かしいばかりだし」

 もうとっくに鬼籍に入ってしまった祖母を少々想起させながら、ほっこりと表情をなごませ。
 そして、一つだけ怖いものを教えてくれる声に耳を傾け、孤独、と聞いては目を瞬かせ。

「へえっ、そうなんだ。そうね、独りぼっちは淋しいもの。それはむしろいいことかも知れないわね。
 じゃ、せっかく一緒してる内は楽しく行きましょ」

 孤独が苦手で誰かといたいというのは人が好きということでもあると好意的に解釈して、秘密と云い添えられるとこくりと首肯して。おっけい、と了解した。

「なるほどねー。偉いねー。人と関わるには親切に丁寧にしておくのが円滑だものね。うん。それはすごく正しいと思う」

 ふむふむと少し感心したように首肯しては、頼もしい彼の返事に山の幸をがっつり持って帰れそうだと目を輝かせ。

「きゃーっ、いいのー? 冬の保存食がいっぱいできちゃうっ。リンゴやナシの原種も実ってるらしいし……ああ……食費……浮く……」

 至って庶民的な幸福感でハイテンション気味に声を弾ませて、そこら中に実る秋の味覚を見つけては片っ端から狩っていくのである。
 そんな訳できっと彼は目いっぱいの山の恵みを持たされて、たっぷり感謝され。ついでにお礼として今日採った物を加工した食品を良ければ後日渡されたりするのであった――

タツミ > 「本当にいいおばあさんだったんですね」

此方も微笑しながら答えて。

「はい、楽しく……正しい、そう言ってもらえると嬉しいです。
そうですね、楽しく帰りましょう」

楽しくいこうという言葉と、自分のしていることを正しいと言ってもらえてうれしそうに笑い。

「自分で保存食なんかの加工もしてるんですか、ポーションも作るって言ってましたし。
多芸なんですね、ティアさんは」

そういいながら、持ち出した革袋には様々な森の幸が満杯にいれられ、バックパックに括りつけられて行き。

「こうしていると、本当に楽しいですね」

そんな中で、少年はティアに楽しそうな笑みを見せる。
後で色々渡されるとはこの時は思いもせず、ティアとの寄り道を唯々楽しそうにしているのだった。

ティアフェル >  物腰柔らかで丁寧――な上にタッパもあって結構力持ち、という好条件の同伴者をゲットして水を得た魚のごとく、食用ばかりではなく薬用も見つけてあれこれと採取していきたっぷりお土産持って、道中楽しくおしゃべりもして陽気に辿る帰路はいつもより短く感じたのであった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタツミさんが去りました。