2021/06/08 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にダフネさんが現れました。
ダフネ > 良く晴れた昼下がり、街道からはだいぶ離れた森の奥。
ぽかりと空いた木々の切れ目に、豊かな清水を湛えた泉があった。
このあたりで暮らす動物たちの水場、あるいは、冒険者たちがひととき憩う場所。
もしかしたら、それらを狙う魔獣の類の狩り場でもあるかも知れないその泉に、
白い裸身を腰あたりまで浸からせた、小柄な人型がひとつ。
背にこごむ翼がなければ、人間の、まだ膨らみも出っ張りもない、子供のように見えるだろう。
しかし、近づいてみれば、その翼も、水に晒した素肌も、あちこちに小さな傷が残る。
トドメのように、翼には痛々しい焦げ跡が、じんわりと滲んでいた。

「はぁ………全く、酷い目に遭った………い、たたた」

ちゃぷん、ちゃぽん。

冷たい清水が沁みる痛みに顔を顰めつつ、溜め息交じりに肌を掌で擦っては、
少しずつ、少しずつ、傷を癒す、あるいは消していく。
≪酷い目≫に遭った洞穴から、ふらふらと川を辿るように飛び、
やっと、ひと目につかない場所として選んだのがここだった。
自然の力を借りることで、魔力の消耗も抑えられる。
しばらく休んで、体を回復させた後で、今後の行く先を決めるつもりだった。

ダフネ > ていねいに、時間をかけて、少しずつ、少しずつ。

そうして夏の初めにもかかわらず、体がすっかり冷え切る頃、
ようやくほぼ全ての傷を治癒し終えて、ふらりと立ち上がる。

溺れるのはもうこりごりなので、足取りはとても慎重に。
這い上がり、濡れた足で芝を踏みしめると、水を吸った翼を羽ばたかせ、
水気をざっと振り払いながら、くるり、軽やかにターンを決めた。

文字通り、一糸纏わぬ、といったありさまだった体が、
白く柔らかな素材のワンピースで覆われる。
己の魔力を練りあげたそれの状態を、あちこち触れて確認すると、

「――――――よし。
 とりあえず、静かに眠れるところ、さがそ」

呟いて、ゆっくりと浮上した。
ここへやって来たときよりは、いくらか顔色も良く。
ひらひらと翼を操り、何処かへと向かい――――――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からダフネさんが去りました。