2021/03/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。
タマモ > 少女は、この自然地帯の一角に、己の領域を持っている。
だから、時折、その場所には様子見に寄っているのだ。
今は、その帰り道。
のんびりと、獣道を歩んでいれば、遠方から聞こえる誰かしらの声。

こんな、何かあるとも思えない場所で、何をしているのか。
いや、相手が相手ならば、悪戯も面白そうだ。
そんな事を考えながら、その声の場所へと向かって行く。

まぁ、一応は念の為、忍び足。
ゆっくり、ゆっくりと、そこへと近付けば…

「………?」

そこに見えたのは、地面に空いた穴。
うん、己が悪戯する以前に、何かあったのだろうか?
近くまでは、寄ってみるものの…そこで、足を止めた。

ティアフェル >  この辺りの大型獣を仕留めようとしたらしい、深い縦穴。どこかの猟師が仕掛けて……その上綺麗に忘れ去られていたようで。

 大型獣さえも捕らえられてしまうのだから、人間、ましてや小娘なんぞ一溜りもない。
 腐っても冒険者、とりま外へ向けて発して見たが、返答がないこと山のごとしなので、こいつは自分でどうにかしなければか、と叫んだ後は肩を落として嘆息を零し。

「っあー……よじ登るにも難易度高いな……真っ直ぐ縦に掘られてるし……
 獲物を逃がさない構造になってる……」

 参ったなあ、と後ろ髪を掻きながら、とかく穴の探索。
 調べて突破口を探すのだ。
 穴の底でうろうろと探る、誰かが訪れたのはそんな最中のことだった。
 彼女が覗き込めばこちらも気づくだろうし、そうでなければまだ、誰がいるのかも分からないまま、難しい表情で穴壁を叩いていた。

タマモ > 穴へと近付けば、その声が聞こえるのは、当然の事で。
その声が聞こえれば、聞き覚えのある声だ、と言う事も分かる訳で。
…が、かくん?と首を傾げる。
覚えはある、覚えはあるのだが、名前が出てこない。
顔は覚えている、どんな相手かも、少しは分かっていた。
しかし、そんな素振りも僅かな間だけ。
いつもの事だ、と開き直るのだ。

「ふむ…」

どうやら、その声からして、上がる事に難儀しているようだ。
素直にこの穴から出す、それは簡単だ。
だが、それでは少しつまらない。
………落ちた少女からすれば、つまらないとか言うな、とか突っ込まれそうだが。

そして、何か思い付いたか、ぽむっ、と手を打つ。
適当に、周囲に落ちている小枝を拾い、拾い、拾い。
それを蔓やらも集め、何やら形作る小枝との間を結んでゆく。
そして、枯れ葉等で隙間を埋めれば。
穴の大きさに合わせた、蓋のようなものを完成させた。
その間、数分程度。

よいせ、とそれを持ち上げ、ゆっくりと穴へと被せてゆけば。
あら不思議、再びそこには、何もないような獣道の完成である。
いや、落ちた少女からすれば、穴が塞がれたとか、堪ったものじゃない状況の出来上がりだが。

ティアフェル > 「なかなかだな……脆いから掘り易かったんだろうけど……脆いからよじ登っても崩れそうだわ……」

 うーむ。困った。
 落っこちた縦穴は穴壁に脚を掛けて登るには難しいようだ。
 これはどうやって脱出したものか。
 魔法は回復しか使えないのが悔しいところ。何らかのマジックアイテムでも装備しておくべきだったのかも知れないが後の祭り。
 顎を指で挟むようにして一頻り眉根を寄せての思案顔。
 どうにか知恵を絞らねばここでミイラという末路しかない。
 その前に餓死が待っていてそのさらに前では排泄もここでという乙女としてそこで死にたいレベルの苦難が待っている。
 
 早めに出よう、なるべく早めに……そう決意を固めたところで、

「は……?」

 不意に穴の上が陰った。日差しを遮るかのように穴を覆うものがあり。
 一瞬目を見開いて硬直し、

「ちょおおぉー!!
 ちょっと! ちょっとおぉぉー!!?
 何してんのー?!
 もしかしてこれって人間狩り用の罠なのー?!
 ちょっと待て早まるなー!!」

 罠を仕掛けた猟師が思い出してやってきて、追い打ちなう。
 そんな風に推測できたもので、慌てて塞がれる穴の向こうに訴えた。
 ストップストップスタアァァーップ!!

タマモ > 穴を塞ぎ、その傍らで、耳元に手を当てる。
明らかに、下からの反応を楽しむ、としか思えない状況だ。
そうすれば、己が狙い通りと、落ちた少女の慌てた様子が耳に届く。

「………あぁ、何と言う、心地良い叫び声じゃろう。
このまま、声枯れるまで、疲れ切るまで、叫び続けさせる…のも、面白そうではあるが。
さすがに、ちと可哀想じゃな」

ふっ…と、どこか優越感漂わせる笑みを浮かべるも、それを見る相手は誰も居らず。
好き放題に、そんな呟きを洩らせば、閉じた蓋を再び手にし、ゆっくりと開いてやる。

そして、ひょい、と穴から顔を覗かせるのだ。
挨拶代わりに、しゅた、と手を挙げながら。

ティアフェル >  穴を塞がれ、慌てる。
 塞いでどうするんだろう、とちょっと思ったが。
 穴の下の獲物に止めを刺すには、水攻めだとか火責めだとか、安直に石か、馬力に問題がなければ岩でも投下とか、色々ある。
 矢で狙うにも容易かろう。
 奴隷にしたいなら、しばらく放置して弱ったところで引き揚げるというのが常道だろうか。
 そのどれとも違う、穴を塞ぐだけっていうアクションはどうにも読めず、故に余計――怖かった。

 なんだろう。サイコパスかな? やばい、マッドな実験の始まりなのかな?

 冷や汗で背中をびっしょり濡らしながらかなり戦慄していたところで、上でぶつぶつと独白する声の後――不意にひょっこりと覗いた犯人――推定――の顔。
 見たことある顔にさらに度肝を抜かれたと同時、妙に納得した。
 この人ならやりかねん、と。

「た、たま、タマ、モちゃん……?!
 一体全体何してるの? あなたという人はそこまでサイコだったの?!
 おっかさんは泣いていると思うよ…?!」

 すっかり、罠を仕掛けたのも彼女だと思い込み――この状況ならやむを得ないだろうが――説得を試みたくなったが、失敗していた。
 そもそもこの手の人にはおっかさんなんて『いねえよ』と返される可能性大だ。

タマモ > 己が、どれ程に相手の少女から、酷い思われようをしていたのか。
さすがに、それは分からない。
まぁ、知ったから何だ、と言う訳でもないのだが。

ともあれ、覗き込んでみれば、落ちた少女は意外と元気そうだった。
なかなかの勢いで、捲くし立てる少女に、再び首を傾げてみせる。

「いやいや、危なさそうな穴が開いておったから、綺麗に塞いでみたい訳じゃが。
いやはや、誰か落ちてるなんて、思いもせんかったのぅ。
…と言うか、さいこ?とは、何じゃ?
そもそも、なぜにそこで、母様が出るのか、と言うのもある訳じゃが…」

どうやら、少女からすれば、説得を試みているようだが。
失敗以前に、説得と認識していない己が居た。
とりあえず、知ってて塞いだ件は、伏せておく。

「して、こんなところで、何を遊んでおるんじゃ?
危なく、塞いだまま帰ってしまうところじゃったぞ?」

と、そんな風に、すっとぼけ事を進行しようと、試みるのだ。
いや、そんな事、素直にやりとりするような余裕があるかは謎ではある。

ティアフェル > 「いやいやいや!
 分かってたでしょ…?! つい先ほどまで結構ワアワアゆうとりましたが?!
 あなたそういう人だよ…!
 それと! その蓋じゃ、踏み抜いてまた誰か落ちるじゃない…?!
 もう塞いどかないでフルオープンしてた方が大分親切だよ…?!
 サイコっていうのはタマモちゃんみたいな人に対する形容詞かな?!」

 落ちた直後なのでまだそう切羽詰まってなかった故に、元気に声を張り上げていた。
 続けて喚いたもので、げほ、と少々咳き込んだが。
 けほけほ、と噎せつつ、続く問いにはーっと嘆息を吐き出し。

「いや……、概ねお察しでしょ……?
 いいから、もうその、おとぼけ的な小芝居いいから。お腹一杯だから。充分いただいたから。
 ……お友達のよしみで助けてくれないかな?」

 若干疲労感を表情に滲ませながら、友達になろうと申し出ていたことを思い出して。
 それを故として小首を傾げてシンプルにヘルプミー。

タマモ > あ、呟き聞かれてた。
案外、相手様も耳が良かったようだ。
…まぁ、うん、それに己の性格も、多少理解されているようでもある。
そんな事を、少女の言葉を聞きながら、思う訳だが。

「しかし、落ち込んでおると思ったが、案外元気なものじゃのぅ。
とは言え、そんな事を続けておっては、本当に疲れ切ってしまうじゃろうて」

はふん、とわざとらしい溜息を吐きながら。
軽く肩を竦め、そう言う姿は、反省の色なし、と見えるものだろう。
とは言え、そもそも、最終的には助けるつもりではあるのだし。
続く少女の言葉に、軽く視線を逸らす。

「仕方無いのぅ…ならば、選択肢を与えよう。
一つ、水を注ぎ、その水で浮いて助ける方法。
一つ、風を巻き起こし、噴き上げ助ける方法。
一つ、そこらの枯れ葉やら何やら放り込んで、穴を埋めるようにして助ける方法。
一つ、縄を放り投げて、それを登って貰って助ける方法。
あぁ、これは、お主が縄を持っておれば、じゃがな?
…その他、色々、どれが良い?」

碌な選択肢はないし、最後のは少女任せ、しかも他にもあるらしい。
そんな問いを向ければ、その答えを待つように、じーっと眺めるのだった。
とことん、素直には助けないらしい。

ティアフェル >  彼女の芝居の上手い下手はともかく……状況から相手が嘘をついているかどうかくらいの判断はつく。
 相手の云うことをすべて鵜呑みにして暢気に信じるほど甘い人生送っていない。
 だから、まあ、嘘だろ…と当りはつけていたが、それを認めるでも否定するでもなく話題を変える様子に改めてがっくり肩を落とした。
 それは、やっぱり彼女が面白がっていたという証明のひとつにもなったからだ。

「落ち込む前の段階で来てくれて助かったわ!
 ……確かに、これまでのやり取りで摩耗した……主に精神が……」

 疲労や負傷なら癒す術も持っているけれど、精神的なものはどうしようもない。
 あなたって人は……みたいな眼でマイペースな彼女を見上げ。

「選択肢めっちゃあんなぁ……。
 ぜひ、無難に4で! 縄なら任せろ!」

 基本的に超常的ではあったが碌な方法ではなかった。
 一番無難な手段を選んでは、もちろん縄は所持している。
 見た目より大容量、そういう魔法の掛かっているウェストバッグから巻かれたロープを取り出して、その先に重りとして鞘に納めたナイフを括りつけると数十センチ先を持ってぐるぐる頭上で回し、

「いっくよー!」

 上でキャッチしてプリーズ、とナイフ付き縄を振り回して、タイミングを投げる見計らう。

タマモ > 己からすれば、そんな少女の反応さえ、面白いもので。
それを理解する少女をよそに、満足そうに、うんうんと頷いて。

「まぁ、落ち込んでおったら、それはそれで…
おや、そんな事では、これから先も大変じゃぞ?
もっと、心を強く持つ事じゃ。
それはさておき…」

そんなやりとりをしながらも、無難な選択をする少女。
視界の中、バッグからロープを取り出すのが見える。
ちっ、と舌打ちを一つ、もちろん、わざとだが。

「うむ、少しは遠慮して投げるんじゃぞ?
下手に当たったりしたら、堪ったものではないからのぅ」

ロープに括ったナイフ、投げる準備万端になれば。
さぁ来い、と言わんばかりに、構えるのだ。

「…あ、ちなみに。
その他の中に、そこからここに、お主を転移させる、と言うのもあったが。
まぁ、選んだ選択じゃ、来るが良い」

その際、こんな言葉を掛ける訳だが。
何と言うか、今更な言葉である。

ティアフェル >  面白い、そんな対価で助けてもらえるなら逆にお安いものだったかも知れない。
 せいぜい笑かすしかない。が、余力があんまない。

「どーして欲しいのよ、一体……。
 いやあんたが云うかー?!
 いけしゃあしゃあと……!」

 どっちが優位か、どっちが敗者かなどは分かり切ったことだがそれにしてもやるせない。
 思わずまた声が荒げられたが、ロープを出したのを見て舌打ちカマされた音を聞き、っふ…と逆に口角を歪めた。

「そんなに鈍い子じゃないって信じてる! けど、当たらないよに気を付けてねー!
 せー、の…!」

 ロープの先に括り付けられたナイフがちょうどよく重しになり、放物線を描いて穴の外へ一直線に飛んでいく。
 顔とかにヒットすると絶対痛いうえ間違いなくゴリゴリに怒られるので狙いは注意して手元に向けて。

「今云うー!?
 いーよ、ローテクで! わたしは自力で這い上がってみせる!」

 もうすでに、ロープは彼女の手元に目掛けて飛んでいたし今さら言われても後の祭り。
 それにやっぱり冒険者は冒険者らしく、落とし穴からは自力で這い上がるのが王道だ。

タマモ > 結構叫んでたし、更に叫ばしたし、疲れるのは当然だろう。
にも関わらず、言うべき事は言う、なかなかにタフな少女である。
まぁ、その方が楽しめるのだから、己としては良いのだが。
少女からしたら、何とも言い難い理由と言えるか。

「あえて言おう、気にしたら負けじゃ!」

ふふんっ、と自慢気に胸を張っての主張。
気にしないなら気にしないで、調子に乗るのだが、そこは秘密だ。
どっちにしても同じじゃ!?とか、言われそうだし。

と、そんな事を言っていれば、投げられたナイフが飛んで来た。
ひらりと回避…をしてみたいが、したらしたで、後で怒られそうなので止めておこう。
はしっ、と受け取れば、手頃な樹木へと巻き付け固定する。

「よし、こんなものじゃな。
ほれ、これでもう登れるぞ?
…うむ、そうであるから、お主は良い。
登る途中で切れる、何て事はないから、安心して登ってくるのじゃ」

こうした反応が、いちいち面白い少女だ。
悪戯し甲斐ある事間違いなし、だが、素直に登って来て貰おう。
もっとも、最後にぽつり、逆に不安になるような言葉を漏らす訳だが。
気にせずロープを使い登れば、普通に出られる事だろう。

ティアフェル > 「一理ある、が!
 納得いかーん!!」

 まだまだ声出ました。腹から出ました。
 喉でじゃなくて腹式でいってたことが功を奏しました。
 奏したところでなんだという話だが。
 かなりの自信を持って云い切る声にこっちもまたしても声を張った。

 そして、投げたナイフ付きロープを問題なくキャッチしてもらい下から見上げていれば樹の幹にでも括り付けてくれた様子。

 ロープのもう一端を持ち、くいくいと引いてみて強度を確認して肯き。

「っし、ありがとう!
 後はわたしの筋力の見せどころッ。
 ウフフ! 気合の入った女子って悪くないっしょ!
 ………………くれぐれも、切らないでよ……?」

 気合十分で、ちょっとでも誉められたらそのままガッツを漲らせてスタッフを腰に差してはロープを掴んで、後は地味ーによじよじとよじ登っていく。
 
「っふ、っく……んんっ……」

 額に汗しながら、両腕の筋肉に力を込めじわじわと上昇していく。
 さらなる悪戯がなければそのまま順調に昇り詰めていき。やがて、穴の縁に手が届くまでになると、

「ふんぬー!」

 顔を真っ赤にしてお年頃の女子として失格な気張り切った顔で手を掛けて上体を持ち上げ穴からの脱出を図る。

タマモ > うん、納得いかないのは当然である。
が、分かっていながら言っているのだ、気にする事ではない。
にしても、まだまだ声は出るような。
声は腹から出せ、と言っているのを聞いた事はあるが、きっとあれがそうなのだろう。

ロープを張れば、後は登るだけ。
登る際に、発した言葉に、少し思うところもあるのだが。
そこはそれ、気にしないであげよう。

「………」

念を押すような、後の言葉には、沈黙で返す、ついでに視線を逸らす。
不安要素、それを与える事は忘れない。
…いや、忘れようよ、とか言われそうだが、それが己なのだ。

ロープをしっかと掴み、頑張って登って来る少女の姿。
それを、己は屈みながら、ただじーっと眺める。
…手伝うとか、それが出来るものでもないし。
こう、生温い瞳で見詰める程度しか。
さすがに、邪魔をしたいが…今回は、可哀想なのと、初回と言う事で、止めておいた。
そうしていれば、やっと穴から、上体が上がったようで。
それでも尚、己は見詰めるだけなのだ。
手とか差し伸べたら、絶対に何かしてしまいそうだし?
己なりの、心遣いである、多分。

ティアフェル >  わざわざ、念を押しに目を反らして黙る。
 そんな有様には思わず半目が向けられる。
 敢えて云わない程度には少し学習した。単に余裕がなかっただけかもしれないが。
 うくく、と必死に呻きながら全力でロープを頼りに登っていき。
 上からの視線を気にしている余裕はやはりなくて、とにかく落ちないように腕の力を頼りに登り上がって、上体を穴の上に持ち上げると、後はずるずると這うように下肢を引き揚げていき。

「っふ、は、はあっ……! しんど……」

 やっとこさ。どうにかこうにか上がり切って穴の付近で仰向けに倒れ込む。
 ロープを握っていた手は真っ赤になって、若干皮膚が擦り切れているがどうということはない。今は脱力して天を仰いで汗を滲ませながらはあはあと乱れた呼吸を整えていた。

タマモ > 己の仕草に、いちいち反応を示してくれるのは。
あれだ…ノリが良い、と言うものだろうか?良い事だ。
ロープを使い登るのは、己には経験の無い事なのだが。
少女の様子を見るからに、なかなか力が要るようである。
…うん、そんな機会があっても、やらないようにしよう、そう思うのだった。

何とか上り切り、穴の付近で倒れ込む。
ちらりと穴を見て、ちらりと今度は少女を見て。

「うむ、ご苦労じゃな。
無事に出れて、良かった良かった。
じゃが…」

そう言葉を掛けながら、傍らに屈み込めば、耳元に唇を寄せ。

「今ならば、何をしても、大した抵抗もされなさそうじゃ。
…なんてな、冗談じゃ冗談」

ぼそり、不穏な囁きを。
まぁ、その一言だけで、すぐひらひら手を振って冗談と伝える訳だが。

ティアフェル >  全力を賭してがんばっているところ、応援されるでも邪魔されるでもなくただただ、見守り体制だったところからしても、何か自分におかしみを感じられていることは察した。
 とりあえずロープが無事だったことに感謝する。

 今年イチ筋力をフル稼働させた気がした。明日筋肉痛になってそうな予感がひしひしとしながら、大の字になって倒れ込み、しんどい、もうやりたくない……と脱力していたが。

「ふえ、疲れた……何はともあれ、ご協力感謝……。
 助かったよ、一応……」

 ロープを樹に結んでくれなければ這い上がることもできなかった。
 助けとしては十分だろう、ひら、と手を振って云いやったが、

「……は……?
 なんだ、その暴漢の常套句は……まったく笑えないってのっ」

 傍らで囁く声に、一瞬目を丸くして固まったが冗談だとすぐに笑う顔にむーと半目で見やり、悪い冗談だとしかめ面を浮かべていた。

 そして、よっこいせ、と上半身を起こしてバッグからポーションを取り出せば回復用のそれをくいっと飲み干して一息つき。
 疲労と多少の擦り傷を癒して大きく息を吐いた。

タマモ > 本音で言えば、邪魔をしたかった訳だが。
登る様子を見ていたら、さすがに、途中で落とすのは躊躇われたのだ。
たまには、素直に大人しくしている、と言うのも良いだろう。
己としては、そう考える事にしておいた。

「あー…協力と言っても、あれを結んだだけじゃがな。
一応、念の為に言っておくが。
この穴を掘ったのは、妾ではないからな?
この辺りの者達に、危害が与えられそうなもの、妾がする訳がないからのぅ」

そう伝えつつ、ちらり、と視線を樹木に結んだロープへと向けて。
続けて、それを説明しておくのだ。
ちなみに、己の言った、この辺りの者達、とは動物を指すのだが、どこまでは分からないだろう。
その説明をしながら、ぱちんっ、と指を鳴らせば。
次の瞬間、そこにあった穴は、まるで最初からなかったように埋められていた。

「いや、こう言った場合、あれじゃろう?
相手が可愛らしい女子であれば、言うべきじゃろうと思うてのぅ?」

と、己の囁きに対する反応には。
そう、当然のように答えるのだ。
半分は冗談だが、半分は本気である。
とりあえず、休憩時間は与えよう。
よいせ、と適当な岩か何かに腰を掛け、己も一休憩をするのだった。

ティアフェル >  気分次第で落としたり落とさなかったりするらしい。
 今回ロープを切った日には本気で恨んでいたが、そうはなからなっかしこの穴を仕掛けた犯人でもなければ、協力者として友好的に接触しておこう。
 色々と悪戯や質の悪い冗談には目を瞑って。

「いやいや……まあ、それでもしてもらえなかったら困ってたからね。
 ありがとう。
 …………………。
 うん、大分疑ったけど……信じとくよ、一応……」

 彼女が云う説を丸呑みするには、本人の嘘つき前科の為若干躊躇いを生じたが。
 要らない嘘をついていれば、信用を失うという一例。
 だが、穴を埋めたのでぎりぎり信じた。でも今後とも平然と嘘をつく人だという認識は持ってしまっただろう。
 疑いの心を抱く自分を残念に思いながらも、正直に生きよう、と反面教師的に学んだ。

「っく……かわいいと補足しておけばそれ以上の追撃が阻まれるところも読んでいたのか……!
 タマモ……恐ろしい子…!」

 ええ、それ以上文句云いません。カワイイ女子と云われてしまったらそれ以上云えませんとも。
 ちょっと悔しそうに唇を噛み締めたが。
 ふいー…とポーションを服用して人心地つけば樹に縛っていたロープとナイフを回収してバッグに収め。

「そういえば、いつも山だの川だの森だので会うね。
 ここら辺に住んでいるの?」

 岩で休憩している様子を振り向いてふと尋ねた。

タマモ > 今回、邪魔をしなかったのは、正解だったらしい。
そもそも、本当に危なかったり、何かあるようだったら、する事もないのだし。
…悪戯として、冗談として、ならばするのだが。

「ふむ…穴の中、そう見ておらんかったが。
出るのに、相当難儀する作りだったんじゃな。
妾が…と言うよりも、誰かしら来なかったら、どうなっておったのやら。
まったく、放置された罠とは、困ったものじゃ。
作るなら作るで、ちゃんと見張っておくべきじゃろうに、のぅ?」

実際、己が来なかったらどうなっていたか。
掛かったのが、人間でなく、動物であったならば、等々。
少女が、己の事を疑ったりしている中、そんな考えを巡らせているのだった。
言葉の説得力?そんなもの、気にした事もない。

「………?
いや、別に追撃云々なんぞ、考えておらんぞ?
可愛いものは、素直に可愛いと言う、それだけじゃ」

これに関しては、本当にそう思っている。
逆に、何を言っているのか、みたいな表情で少女を見詰めるのだ。

「偶然じゃろう、妾は自然が好きじゃからのぅ。
まぁ、ここからちと離れた場所に、妾が張った領域がある事はあるが…
そういつも来ておる訳ではない、たまに、自然の中の温泉気分、な時に来ている程度じゃな」

バッグから出した物を回収している中、己に向けた問い。
出会う事に関しては、そのまま、実際に偶然であり。
住んでいる場所は、特に決めておらず、適当に宿やら、野宿やらだ。
居た理由に関しては、隠す必要もないだろうと、普通に答えた。

ティアフェル > 「そうね、やっぱり簡単に抜け出せるようじゃ意味ないし……。
 この辺りは地盤が柔らかいから穴が掘りやすい代わり、壁に取っかかってよじ登ろうとしても崩れちゃうようになってるのよ。
 罠を張るには打ってつけってとこね。
 まあ……使わなくなった穴をわざわざ埋めに来るって例は少ないんじゃないかな。掘った本人は困らないだろうから。
 マナーの悪い猟師もいるものよ……見つけたらとっちめるけど」

 動物も人間も堕ちてしまえばTHE END そんなものを放置していくのはかなり悪い猟師だし誰か分かったら一発殴るが、誰なのかなんて分からないから罠を気軽に放置していくのだろう。落とし穴以外にもワニ口とか錆びたまま転がっているのもたまに見る。

「そうか…! んふーっ、それは掛け値なしに評価させていただきます!
 わーいわーい。タマモちゃんもじゅーぶんかわいーよ!」

 打算なしの感想とくればここぞと浮かれる。無邪気なまでに喜んでにこにことそんな風にこちらも素直に口にした。
 アホ毛がぶんぶん嬉し気に振られている。

「そっかあ、たまたまか……。
 ま、そう云えば会うのも随分久し振りだしね……。
 夏以来かな? 元気だった? また会えて嬉しいよ。ここで会ったのも何かの縁だし、少し一緒しない?」

 ふむふむと得心顔で肯きつつ、改めてにっこりと笑いかけると軽く手を取ろうとし。
 ここであっさり別れてしまうのもちょっと淋しい。多忙などではなければと誘ってみて。

タマモ > 「………ふむ、さすがに、この付近まで広げるのも難しいしのぅ。
もう少し、来るようにした方が良いか…
妾としては、そんな本格的な罠なぞ、ここらで使って欲しくはないがな」

とは言え、猟師としては、生活の掛かったものだけに、と言った事もあるし。
罠自体を絶対にやるな、と言えるものでもないだろう。
何とも、難しいものである。
それを思えば、はふん、と自然と溜息も出てしまうもので。

「うむ、評価云々はよく分からんが、実際に自慢出来るものとは思うぞ?
うぐっ…か、可愛いではなくて、じゃな…?」

浮かれ捲くる少女に、まぁ、喜ぶ分ならば良いか、と。
しかし、可愛いと言われ返されれば、少々複雑そうな表情。
己としては、可愛いよりも、美人だの美しいだの、そう言われる方が良いのだ。
…まぁ、他人様から見れば、どちらかと問われれば、可愛い、な訳だが。

「あー…そう言えば、そうじゃな。
いつ、かは覚えておらんが…
お主は、言うまでもなく、元気な様じゃ。
ふむ、そうじゃのぅ…先も言った通り、少し離れた場所に、妾の張った領域がある。
街に慣れた者では、どうとも言えぬが、自然の温泉や寝床もあるが、それで良いならば、寄って行くか?」

急ぎ戻る必要があるならば、適当に一緒付き合うのも良いが。
時間があるならば、ゆっくりとして行く場所もあると。
それを伝えながら、手を取ろうとするならば、特に避ける事もなく受ける訳で。
その誘いも受けつつ、どちらにするかは、少女次第と任せるのだ。

ティアフェル > 「あらあら、山の神様みたいね……。
 ここら辺は一応狩猟区だから、罠は仕方ないわ……ただ、放置すんな、ボケ。とは心底思うけど」

 禁猟区にまで仕掛けてあったら正当な手は打てるが。
 仕掛けた後の罠の責任を負うならば致し方ない。嘆息する様子に気持ちは分からないでもないが、と肩を竦め。

「やーん、そんなタマモちゃんってば! ティアのジョイフル気分に火を点けてどーすんの、どーすんのー。
 ……? ん? ああ、とってもかわいい?」

 云われたら云われた分だけ調子に乗って浮かれまくる。
 はしゃぎいでいたが、そうか、表現が浅かった、と形容詞事態に不満を抱かれているとは気づかずに。

「ねー、大分ご無沙汰だったねー。年も明けちゃったしさ。
 うん、まあ色々あったけど元気元気。
 ――へー? 温泉? いーの? 行く行く! お宅訪問だー!
 温泉一緒に入っちゃう~?」

 わあ、と表情を明るませて大きく肯いた。ちょっとくらいの寄り道ならば問題ないだろうと、御呼ばれすることに。
 手を握って軽く振ってよろしくよろしくと上機嫌で笑い掛け。
 そして、お宅…ではないかも知れないけれど彼女の塒に案内してもらい、相変わらず楽しく過ごすのだろう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタマモさんが去りました。