2020/12/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルナールさんが現れました。
■ルナール > 人間と魔物、どちらが怖いかと問われれば人間の方が怖い。
魔物であれば、大抵は殴ればどうにでもなってしまうが人間の方が彼女にしれみれば狡猾で恐ろしい生き物だ。
最近はもっぱら娼婦としての仕事ばかりを行っていた為に、完全に冒険者としての仕事を行うのは久しぶりだった。
「―――…ふぅ、討伐依頼はやっぱり楽じゃないわね。」
コボルト、ゴブリン、ウルフ系統といった常時討伐依頼が張り出された低ランク向けの冒険者のお仕事。
彼女からすれば楽に討伐できるとはいえど、こうして現地に向かって生き物を殺すという感触はどうにも好きになれない。
わざと弱々しい獲物のふりをする為に冒険者としての装いではない、いつもの深いスリットの入った黒い衣装を身に纏っており。
そんな姿でわざわざ女が一人で道なりに歩いているのだ、どう考えても普通じゃないという知恵のある生き物であれば理解できただろう。
「普通の人間が、こんな場所に女が一人でこんな格好で素手のまま道を歩いたら要注意ですよっ、とっ!」
時折、ガサゴソと茂みの奥から顔を覗かせた魔物へと適当に拾った石で投石を繰り返していく。
本来であれば、その程度で魔物がどうにかなるはずが無いのが常識だ。
しかし、それは普通の人間の話で――――ヒュゴッ!!という異音が彼女の軽いスナップから繰り出された瞬間。
パァァンッ!!!と何かが弾け飛ぶ音が茂みの奥から聞こえてくる。
一瞬の静寂の後、騒ぎ出した茂みの向こう側から聞こえてくる魔物の叫びと繰り返される投石と弾け飛ぶ音。
「貴族様のお目汚しにならない様に冒険者達で『掃除作業』なんて依頼、引き受けるべきじゃなかったかしら…ふぁ…これじゃ散歩にしかならないわね。」
欠伸をかみ殺すようにしながら歩く姿は仕事終わりの娼婦のようで―――茂みの向こう側で繰り広げられた殺戮蹂躙劇は悪鬼の所業であった。
身体能力を極限まで高めて繰り返される純暴力による投石により、視界に届く範囲外にはとても明かる場所では見せられない光景が広がっていて…
彼女が何気なく散歩のような軽い足取りで歩き続ける限り、それは道なりにそって続いていく。
■ルナール > 彼女は基本的には魔力を用いて戦うスタイルの冒険者である。ただ、その戦闘スタイルは独特だった。他の後衛担当の冒険者がやたら派手だったり、無駄に燃やしたり。水でびしゃびしゃにしたり、風とか土とかの色々としたりするのが魔力を用いて戦うスタイルだ。ただ、彼女としての結論は。それなりに年月を生きている内に、結果として最終的には『身体能力を上げて殴る』 これが一番楽だったというのが理由だ。
「うん。やはり全ては暴力で解決するわね。」
大抵の生き物系統の魔物から、物理的に硬い魔物でも大抵の事は殴りさえすればどうにかなるというのが彼女の至言。たまに茂みの手前側で彼女が少しばかり『粗相』をしてしまった魔物に関しては、軽く見えない場所へと蹴り飛ばして無かった事にしてしまう。
「これで大体の『お掃除』は完了したかしら。後はもう一度、元来た道を折り返して『粗相』が無いか再チェックしなきゃ。」
今回の正確な依頼内容に関しては、どこの貴族の道楽なのかは分からないけれど、ダンジョンを見てみたいと言い出したらしく。ギルド的には常時依頼の範囲内で対応して欲しいという事もあり。やや金銭的には美味しくは無いけれど、貢献度としての評価が高く設定されていて。一部の高級冒険者に関しては討伐優先で、討伐した魔物の処理に関しては後で他の低級冒険者に処理させるという事だそうで。ただ一方的に運動するだけの簡単なお仕事…という話である。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルナールさんが去りました。