2020/06/27 のログ
影時 > 「……ン。よし、こっちは焼けてンな」

順番として、先に焼いていたものは程良い焼け具合になっている。
串に刺す前に腸を取り除き、塩を振った身が焼け焦げ、滴る脂が音を立てる様に目を細め、取り上げよう。
味付けとしては手持ちの岩塩の粉を散らし、まぶしただけであるが、それ位でいい。事足りる。
盃を持った手で、頂きますと片手拝みした後に齧り付く。
おお、と口に広がる味わいに頷きつつ、酒を呑む。此れがまた、良い。強い酒に合う。

「採りたてはやはり違うなァ。余分に何か付け足さずに食える」

呑んでいる酒が米酒の類であれば醤油の味わいが欲しくなるが、時期が時期だ。
新鮮な魚でも火を通しておく方が賢明だろう。
醸造の仕方は知っていても、個人単位で遣るには色々と手間がかかる。
それになにより、ここは異郷の地だ。無くても困らないものに煩う必要が何処にある。
手に入らぬと思っていたものが、偶にある。その天の配剤ぶりに驚く位で良いのだ。

影時 > 「……ふン。ああ、いかんな。歌詠みならば何か詠むんだろうが」

生憎と、その手の詩情には欠ける。
色々と職能の業は押さえてはいるが、卓越した詠み手や作り手の業となると、如何ともしがたい。
善くて自然を嗜むことくらいだ。何もかもを為せるというには、まだ遠い。

焼き魚を噛み締めながら、酒を呑む。
次の行く手と弟子に何を伝えておこうか、と。それを占うように星を眺めて、時を過ごす。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」から影時さんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にフォンさんが現れました。