2020/04/25 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 川が流れ、木々が茂り、所々に岩場や切り立った崖もそそり立つ、樹海の片隅で。
その女は、また走っていた―――
「い゛い゛や゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!゛!゛!゛
イヌ! イヌイヌイヌイヌー!!!」
ザザザザザ、と藪を掻き分けつつ絶叫しながら猛ダッシュする背後には、けたたましく吠えたてながら追いかけてくる野犬が三頭。
野生動物に対して、そんな風に出くわしたら一目散に背中を向けて泣き叫びながら猛ダッシュなんてすると――獲物として十割方追いかけられますのでやめましょう、という好例。
頭では対処法として最悪と分かってはいるのだが……怯え切った心がとにかく離脱させようと走らせてしまうようだ。
倒木を飛び越え、大樹を避け、泉を迂回し、全速力で突っ走っているが、二本足のこちらに対し相手は四本足の瞬足。逃げ切るのは容易ではなく、徐々に距離が詰められて行き、一層悲鳴が大きく迸る。
「いや! いや! いやああぁぁぁぁぁ!!! こーなーいーでー!!」
■ティアフェル > どうにか空けていた多少の距離も、獣にギアを上げられて勢いよく地を蹴るバネのような跳躍とともに跳びかかって来られた瞬間、ないものになった。
「っきゃああぁぁぁぁぁあぁぁ!!!」
どっ…と一頭の野犬に肩口から引き倒されて青葉を揺るがすような悲鳴が迸る。後続の二頭も好機と捉えて一斉に跳びかかり、犬ダルマと化した女の、断末魔に似た喉が引き裂けそうな叫びが連続して鳴り渡った。
死ぬ――これは死ぬ――錯乱状態に陥りながらも、死の壁と直面して足首や腕に食らいつかれ、何とか喉元など急所を守り、痛みと恐怖の渦中、とにかく握ったスタッフを揮い我武者羅に抵抗。
ギャン、というスタッフで打たれて響く鳴き声と低く吠えたてる声、犬恐怖症の女の悲鳴が混ざり合っていた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にナィアさんが現れました。
■ナィア > 自然地帯の一角の深淵より蠢く何かが形作ろうとして失敗。形ないままに蠢いていたその何かは
暫く賑やかな喧噪の様を眺めているようだったが、音もなく泡ぶくこともなく、
ねちょねちょもごもごと蠢いてからしゅるりと大きな食肉科に属する獣の姿に収まった。
『nyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
鳴き声を発したかと思うとそれは動き始めたが明らかに女に襲い掛かるんではなく、
ただし色は まっくろ。まっくろの毛並みでそれは音もなく走り出し、
跳躍、野犬の一匹をヘッドロック掛ける様に飛び掛かり―ドゴォと変な音がその数秒後に轟く。
そしてまた『おとなしくした野犬』の姿はなく、次なる獲物たる野犬2匹目へと襲い掛かる新たなけもの!!
■ティアフェル > もうだめわたしだめここでしぬー!
そんな風に一瞬覚悟さえ決めながら藻掻いていたのだが――、
「ふ?! あ゛あっ…?! イヤアァァァ!!? なにー!! 何事ー?!」
いきなり身体の上から一頭の獣が吹っ飛んだ。鈍い音を響かせながら頭から飛びかかって来た大型の獣の参入で一転する光景。何がなんだか分からずに目を見開くのは女だけではなく、残った野犬達も同じ。
低く唸り立てながら、襲い掛かってくる猫型に応戦して絡まり合うように組み合った。
「な、な、何が、なんだか……分かんない、けど…!!」
気が動転しながらも、とにかくその猫型の支援をせねば、と髪はぐしゃぐしゃに乱れて所々咬まれて出血している女は慌てて立ち上がると野犬の背後から後頭部をスタッフで殴りつけ、猫の善戦もあって一頭を落とした。
■ナィア > おおきなねこのようなけもの(まっくろ)は怯んだ野犬一頭を下し、もう一頭へと襲い掛かるという謎行動をしていた。
うにゃうにゃぎゃあぎゃあ絡まりあう野犬一頭とおおきなけもの一匹。
前足の爪で切り裂く動作とか後ろ脚で蹴りだす 噛みつき攻撃とか色々とけものじみているそれは
数分位取っ組み合いをした後、体を反らして―オーバーヘッドロックの様に再び
ドゴォォっと地響きを鳴らして野犬諸共地面に沈む!
女の方はもうしわけないが眼中になかったらしく、今しがた落とした野犬は四肢をだらんとして伸びていた。
おおきなけものは真っ黒い姿で野犬はまだいないかと視線を向ける!
■ティアフェル > 急に現れた、何という名前なのかも分からない獣が、何故か野犬とくんずほぐれつ組み合って、毛玉のダルマみたいになって戦っている……。
まったく事情は分からないが、助かったのは間違いない。首尾よく二頭目も結局一頭目と同じ技で倒してしまった模様に。
ああ、これ、余計な手出しは返って危ないかなー…。と冷や汗交じりに認識し。無言で一歩、静かに引いた。
残されたもう一頭は、これはさすがに分が悪いと踏んだのか、きゃん、と一声鳴き声を残して背を向けて木々の向こうへ逃げ去って行った。
「………え、っと……」
残された動かない野犬二頭と、大型の猫化の獣。自分。ど、どうしたら、と戸惑うように、そして意図が不明な猫に対して警戒するように視線を向けて。まさか今度はこっちに襲いかかってきたりはしないだろうかとビクビクしつつ、ゆっくり、ゆっくり、それとなーく距離を測って後退し。
■ナィア > おおきなけものは四肢だらんとして伸びた野犬をその場に放置して
よっこいせと言わんばかりにその体を跨ぎぬそぬそと動いた後、
女の方を見たが、すぐに残った野犬一頭を見たがそれは去って行ったので後追いはせず。
『にゃぅ』
声は可愛らしいものだった。女の方へとのぞのぞと歩み寄ったが距離を測られ下がっていく様子に
その場に腰を下ろしてお座り状態になった、見た目はあくまで大きなくろいけもの(?)。
けもの(?)が纏っていた殺気の様なものは霧散してそこにいるのはおおきさだけはまともな何か。
■ティアフェル > 「………ん? んん……?」
意思疎通ができる、とは思えない様子の猫型。しかし、地面に転がって気絶している様子の野犬をまたいで、こちたを見て一声鳴く様子に、きょとんとしながら何故か口許だけ引き攣っているのか笑っているような表情にも見える顔で硬直しながら見据え。
どこか、その所作は危険はない、と云うようにも見えて、とにかくこの猫型のお蔭で助かりはしたのだから、と窺うような視線を向けて恐る恐る、開いていた距離を少し、詰めて腰を落として目線を合わせるように屈みこむと。
「あ、あの……えっと……犬……やっつけてくれて…ありがと……?」
言葉は分からなくても、意思は伝わるものよ、と動物に精通する者は云っていた。だから。感謝を込めつつ、ぺこり、と頭を下げて口にした。
■ナィア > 見た目はあくまで大きな真っ黒くて猫みたいな獣。
中身までが獣なわけがなく擬態したら獣になってしまった得体のしれない何か。
猫の様な獣はお座りをした後尻尾をぱたり ぱたりと揺らしたまま動こうとはしなかった。
近づいてくる女の様子をじっと見上げていたが、視線が―女が屈み込めば視線は自然と落ちる。
『にゃあ。にゃふにゃふふ』
どうとってことないよ、と言わんばかりの鳴き声を発す。
黒い獣にはタグとか首輪とかはない 完全なその辺のけものそのものになっていた。
『にゃふ』
すんすんと獣の鼻が動く。
血の香りを漂わせる女の噛まれた所から出ている傷の事を見つめ始める。
それはいいのかと言わんばかりの視線の泳ぎよう。
■ティアフェル > 「………なんか……不思議な猫……猫?」
猫……なのか……?
自分でも云ってて小首を傾げる。クロヒョウなどとも違う。大きな真っ黒い黒猫…に見えるが……猫がこんなにでっかかったら――完全にバケネコやろっていう。
あ、バケネコ?とそこで何となく符合した。化け猫ってやつですか、コレ…と。しげしげ屈んだまま眺めて。
返答の鳴き声を漏らす顔をじいーと眺めた。
「ん…? ん、ああ…これ……心配してくれてるの? ありがとう。大丈夫このくらい――こう、やってね……」
驚きの連続で痛みなど飛んでいたが、咬み痕を指摘されては、確かにズキズキ痛む。大丈夫、と小さく笑うと、握ってたスタッフを傷口に翳しては大した傷ではなかったので短詠唱で回復魔法を掛け。
「ほら、すぐ治っちゃうから。あなたは怪我はないかな?」
見る間に塞がっていた傷に、に、と笑いかけると。ようやく緊張も解れてきて。
「ねえ、あなたふつーの猫じゃないよね? 化け猫とかなの? ケットシーとか? 言葉、分かる?」
手が触れる距離まで近づくとそっと右手を差し伸べて耳の付け根辺りに触れようとしながら尋ねた。
■ナィア > 化け猫?に格上げになったらしいけもの?は本当に全部が黒い為、
瞳とか黒、口も開いたら黒、舌も黒…黒すぎて今更だがこれは獣概念を超えて得体のしれない何かだ。
鳴き声だけはなぜか可愛らしいのだが、腰を下ろしたまま尻尾をぱたぱたと揺らしつつも時折視線が泳ぐので
警戒は怠っていないらしい、稀に視線が女の方を向くが視線はじっとは向けないのは。
『にゃふ』
回復が終わったっぽいのと血の香りがしなくなったのを匂いで確認し終わると
また真っ当に視線が戻ってくる。真っ黒い視線が彼女に注ぐ。
『にゃふー にゃふぅ』
耳の付け根に触れられると毛が深いのかずぶずぶと女の指が沈む謎の感触がするかもしれない。
獣のような形のそれは本当に獣か謎に陥るかもしれない。
意思疎通ができているかはわからないが的確に返事をするように鳴く獣のような代物。
■ティアフェル > まるで、影のような姿だ。
それはきっと誰しもが感じることだろう。やはり、猫…ではないのだろう。
猫のような、何か。そう見える。しかし、何であろうが、敵対的ではないどころか犬から助けてくれて、何だか所作も鳴き声も愛嬌があり。
……仲良くなれそうな。そんな気がした。周囲を警戒までしているので、頼もしい限りだ。
「変わってるけど、かわいいね。わあ……ふっかふか。めっちゃ沈むなにこれ……。んんー……んー……?」
やはり不思議そうに首を捻りながら、毛足が長いのか触れると指先が深く沈んでいく感覚にを味わい。ついでに背中やら前脚の辺りやら、色々と触れて怪我の有無を確かめ。
なさそうならなでなでと顎下や頬の辺りや耳の付け根など猫が好む箇所を両手で毛並みに沿って撫でさすり。
「でも、なんで助けてくれたのかな? 何かお礼が欲しかったとか? いや、そうでなくっても何かお礼しなくっちゃね。何がいーかなー?」
■ナィア > まっくろい猫のような化け猫…いや本当の姿はもっとヤバい何かなのだが、
今は猫のような代物の何かになっているのでこれといって獣染みた所作しかしてこない上、
女に襲い掛かるとか寧ろ助けたほうなので何かすることもなく、ただいま耳も付け根付近を触られて沈めている最中。
どこを触ってもずぶずぶふこふこ触れた先が片っ端から沈む得体のしれない謎が深まるかもしれない。
これ猫じゃなくて 違う世界から来たやつかも知れないと。
ナデナデされれば喉からどこから鳴っているか分からないとされるゴロゴロする音や
顎下、頬のあたり耳の付け根等ずぶずぶとふこふコ謎しようが得体のしれない何かを女に齎す。
背中とか前足には何もなく、ただただ黒い毛並みに覆われた肉球も黒かったが怪我の有無はなかった。
『にゃー にゃふ? にゃふにゃふにゃふにゃふ』
お礼は不要よ おじょうさん と言わんばかりにもごもご口を動かす謎生物。
尻尾は相変わらず一定のリズムでぱったりぱったりと地面を叩く。
■ティアフェル > 「……………」
身が、ない……。
触れた指先は底なし沼に入り込むようにそのまま沈みこむばかりで、身に辿り着かない。
毛だけで構成されているようだ。変だし異様だとは思うが……。
「ま。いっかぁ……」
猫は好きだ。むしろ犬以外の動物はなんでも好きだ。ふっかふかした毛が心地よい。ごろごろ云っててちょーかわいー。普通の生物じゃないことはもう分かり切ったことなんで。気にしない方向で可決した。
目を細めて。その首に手を回して。まふ、と抱き着いて堪能する。ふっかふっかー。気持ちいい。寝れる。
お礼を辞退するように鳴く声に、言葉を発せられないけどやはり全部云っていることは分かっているのだな、と納得しつつ。
「んん? そうかい? そりゃなんだか悪いねえ。
ねえ、じゃあさ。ありがとうついでにまた犬が出てきたら怖いから、一緒についてきてくれる? あなたがいれば頼もしいし、助かるんだけど」
顔を見合わせるようにして黒い瞳を覗き込んで。お願いごと。野犬が出没する地帯を抜けるまででも同行して欲しいと。
■ナィア > 外見はあくまでも猫のような代物。中身が無いような謎生物。
そもそも生物かどうかになってしまうがきちんと動いているので生物に該当が妥当である。
でも得体の知れなさは完全にあるが、毛というかこの生物自体謎にしたほうがよろしい。
『にゃふ』
猫のような代物は猫の様な見た目でごろごろ鳴いたり抱き着かれれば
ずぶずぶと女の身が黒い猫の様な身に沈むという事故のようなことは起きなかった。
女の指はかなり沈んだと思うが抱き着いた際の猫全体に体は沈まなかったという謎仕様。
『にゃふ。…はむ にゃー』
お願い事には 頷くと猫のような代物は野犬が出没する地帯を女と共に抜け、
安全とも割れる場所まで一緒にいたと思われるが 女が気づいた時には猫の様なそれは影も形もいなかったという―。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からナィアさんが去りました。
■ティアフェル > 「っふっは~……でっかいクッションみたい……あー……」
抱き着くとなかなかに心地よかった。全然正体は分からないのだけど、害がないのでまあ気にしない。考えたって分からないのだから。戻ったらギルドで報告して調べてみるくらいがせいぜいか。
不思議にゃんこは、願いを聞いてくれてしばらく同行してくれたので、お蔭でその後は野犬に遭遇せずに樹林を抜けられた。ここまでくれば大丈夫か、とほっと安堵して見た時には何も、いなかった。
夢でも見ていたような気分になりながら。
「ま。いっかぁ……」
結局は深く考えずそう呟いたのみだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からティアフェルさんが去りました。