2020/04/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森の中」にオブシダンさんが現れました。
■オブシダン > 春のはじめの薄っすらと弱々しい木漏れ日が差す森の中だった。
街道を外れて、しばらく歩けば辿り着けるような場所。
木々の狭間に小さな泉が湧き出していた。
森を彷徨う獣や、冒険者、旅人が憩うのにはちょうど良い。
刻限は、昼を少し過ぎた頃合いだっただろうか。
黒い蝶が、その泉の上を舞っていた。
掌よりも少し大きな位だろう、広げた翅は木漏れ日を映さない漆黒。
その代わりというように、黒紫色に薄っすらと燐光を纏っている。
ひらひらと、翅から散るのは鱗粉。黒紫の、茫洋と光る鱗粉。
泉の水面に届く前に、木漏れ日に融けるように消えていく。
その様は、喩えるならば、まるで死人の魂が宿す灯火のようだった。
■オブシダン > 一瞬、木漏れ日が雲に隠れて消える。
再び光が差した頃には、闇色の蝶はその場から消えていた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森の中」からオブシダンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/純白なる花畑」に白冥花さんが現れました。
■白冥花 > 真っ白な何よりも真っ白で一面の緑を飲み込み白へと変える真っ白な花弁が辺りを粉雪の如く舞う。
――…此処はメグメールでも随一の緑広がる薬草の群生地帯であり、この時期は新緑が美しい草原であったはずの場所である。
しかし、今はその新緑が一切……いや一部を残して全てが白に、咲き乱れる花の花弁に押し遣られて塗り替えられ、全てが一見して雪原に見えてしまうほどの白に犯されている。
その白から残った僅かなる新緑は残念ながら草原の一部などではなく、それもまた此処に咲き乱れる花達の茎で有り、蔓である、その証左にその緑は時折脈動していた、稀に蠢きさえしていた。
此処は白冥花(ハクメイカ)に犯された地。
学者なら希少なる花が咲き乱れる様に泣いて喜ぶだろう。
冒険者であればそれは一攫千金の夢が目の前に広がっているだろう。
だが、それは……悪夢。
薄ら甘く誘うような香りに誘われ踏み込んでしまえば、末路は純白の花を咲かせるための苗床になろう。
――…運が良ければ種子を運ぶために生かされるか、或いはこの一面に広がる純白の花畑を守るための騎士として、その身と花と、結ばれ力を与えられると共に貪られ続ける運命が待っているだろう。
真っ白な花弁は夜風が吹くたびに辺りに鮮やかに艶やかに舞う。
咲き乱れる大輪の花達はその中で栄養となる魔力を月から得るために一杯に花を咲かせて、その花弁に月の光を浴びて気持ち良さそうに吹く風とは関係ない方向に揺れている。
ずる
ずる
ずる、ずる
と、その光景からは想像つかない肉が地を這うような音を奏で、白と緑、そこに赤黒い色を交えて、花は苗床を騎士たるに守護者に相応しき肉を求めてゆれている。