2020/03/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエルネストさんが現れました。
■エルネスト > 「………ああ、やっぱり一人の依頼なんてやめておけば良かったんだ………」
鮮やかな青い髪と、それに負けず劣らずの青い顔で森の中を歩く少年風貌が一人。
小柄なその姿は華奢で、見ようによっては女の子にすら見えなくもない。
ヒーラーとしては駆け出しの彼は、本来ならば一人で旅に出るような器でもない。
……ではあるが、彼の数少ない誇れる才能の一つ「知識」が依頼を呼ぶこともある。
今回の依頼は森の中にある温泉傍に咲く花だ。
これはどの温泉にも生えるものではなく、泉質なども関係しているのか、極めて稀なもの。
それを見分けることができる冒険者が、丁度一人しかいなかったというわけだ。
しかも危険度はほとんど無いとの噂ではあるのだ。確かに今までは何にも出会わなかった。
「誰にも出会いませんように………」
願いながら一歩、二歩、三歩。
もう出会った。
「っ……………何をしてるんだ、君は。」
いきなり壺の隣で何かを書いている冒険者仲間を見つければ、一瞬上がりかけた悲鳴を必死に飲み込んで、思わずツッコミを入れることにする。
■ピフラ > メモに記されていく沼ゴブリンの生態。ついでに挿絵の一つも入れてみようと書いてみると何ということでしょう。
おっちゃんが水浴びしているようにしか見えないものが描かれているのでした。
「う"ーんこれは……おや?」
文章が伴えば意味は通るからいっか。等々満足そうに頷いてると背後から声。
遂に壺が喋ったか!?と瞳だって夜空の星のように輝くのに、そこにあったのは顔見知りの顔。
「なーんだちゃんエルか。どしたのこんな所で。私はほれ、この壺に温泉を汲んで来いって依頼を受けたんだけどさあ」
誰がどうみても落胆している。と判ろう所作で項垂れてから嘆息を落とす。
それから泉を指差して和気藹々と温泉に興じている沼ゴブリン御一行様を示した。
「先約が居るとあっちゃあこれまでよ。と、言う訳でどうしたもんかなあ~って悩んでたのさ。ちゃんエルは?」
「湯治?それとも沼ゴブリンの生態調査?それならねえ、このピフラちゃんが丁度まとめた奴が……」
指先が翻り、メモ帳を示す。
■エルネスト > 「その呼び方はやめろと言っただろ。見た目はともかく実年齢はボクの方が上なんだぞ。」
言ってもどうせ聞く耳を持つわけが無いものの、腰に手を当ててむっとした顔はして見せる。
普段からむっとしているとそれはそれでこういう時に不機嫌を顔に出せないのが不便だ。
「ああ、壺に温泉を汲む。 キミらしい訳の分からない依頼だな。
君なら特に困りはしな…………」
言葉が途切れる。
「……あ、あ、あ、あんなのがいたら確かに無理だな、ああ、うん。」
冷や汗がたらたらと流れ落ちて、思わず声をあげそうになったのを必死に堪える。
おっとこれはまずいぞ、あの数だと絶対に見つからずに、は無理だ。
「………いや君のとんでもない字では無理だろ。
後でゆっくり見てボクがまとめてあげるから、それは後だ。」
すごく嫌そうな顔をしながらそのメモを一瞥して首を横に振る。
「沼ゴブリンは危険だ。 ここは一端退いて冒険者ギルドに報告し、しかるべきメンバーを募って退治か追い払ってもらってから改めて依頼を達成しに来るのはどうだろう。」
ぴ、と指を立てて提案してみる。慎重派らしい非常に冷静な提案だ。冷静過ぎて依頼の期限に関しては見失っている。
目の中がぐるぐると回っていて、明らかにテンパっていた。
■ピフラ > 「まあまあそう言わず。エルフの平均寿命で考えたら私とどっこいくらいでしょ?」
目の前の小柄な男の子、エルネストことちゃんエルは私を二人足しても足りない程の年上さんだ。
けれど種族違えば基準も違うのだし、と曖昧に笑って誤魔化してしまおうと思った。ので、そうした。
「で、そうでしょう無理でしょう。流石の私もさあ~あの数はちょっと……ってそんなにとんでもない字かなあ」
示したメモ帳を矯めつ眇めつと眺めてみる。全部きちんと読めるのにどうして皆顔を顰めるのか謎である。
けれど、あとでちゃんエルが纏めてくれるならそれでいいやと納得しよう。
「ちゃんエル……依頼の期限ってもんがあるぞう。なーに二人いれば一人が囮になって何とか──」
ちゃんエルの提案は文字に起こすなら冷静沈着なのに言葉にするなら裏返ってとっちらかえった語調が面白い。
だからついつい声に出して笑っちゃうんだけど、すると沼ゴブリンの一匹が不意に大声をあげた。
見つかったかな?と思ったけれどどうも違うらしく、彼?の指差す先を見ると木々の合間より現れたるは巨大な──
「……あ、あれは……!!」
温泉大好きモンスター、ジャイアントデビルカピバラである。
ジャイアントデビルカピバラとはその名の通り全長4~5mはあろうかと言う悪魔的に巨大なカピバラである。
食べると美味しいらしい。by魔物鑑定目録
「………」
ちゃんエルは知ってる?と隣に首をかしげてみた。
■エルネスト > 「………まあ、そうかもしれんが。」
どっこいどころか平均寿命での位置で見たらこっちが年下扱いである。
それでも威厳を保つためにフン、と鼻を鳴らして。
「ああ、あの数を追い払うなりするには中堅以上の冒険者が必要だろう。
ボクらでは勝負にならない。 ここは一度撤退をして………。
キミの字はギルドでも言われただろう。」
言われてただろ、と事実を指摘してやる。これくらい言ってもおそらく凹むまい、と考えての言葉であるが、次の相手の言葉にひっくり返りそうになる。
「わ、わかるが絶対にボクは嫌だぞ! それに、沼ゴブリンは集団行動を取るが、縄張りである沼を守るために自然と半分は今の場所に残るんだ。 それぞれが半分に囲まれてオシマイになるだけだからな!」
ひそひそと話しながら、首を横に振って。
「………あ、あれは………!? あれはジャイアントデビルカピバラ……!?」
ひぃ、と腰を抜かしたかのようにその場にへたり込んで。
「温泉の傍に住むと言われる巨大な魔物で、温泉に入る前に邪魔をされるとその牙と爪でどんな相手でもズタズタにしてしまうという、あの伝説の魔物がなんでこんなところに………!?
あ、あいつは1匹で、睨み合っていた人間と魔族の要塞の城壁を二つまとめてぶち抜いたこともあるんだぞ…!?
も、もうダメだ、ボクらはおしまいだ………」
がくがくと震えながら丁寧に解説をするへたれ眼鏡。
■ピフラ > 「知っているのかちゃんエル!?」
字が汚いとか中堅以下とか色々言われた気がするけれど、その辺は一先ず棚に上げて問い返す。
すると彼はすらすらと私の知らない事柄を教えてくれて、成程読書家と納得するばかり。
……なんで目録に伝説の魔物の味が載ってたんだろう?それは作者のみぞ知る。
「つまり、温泉に入る前に攻撃して、沼ゴブリンの仕業に見せかけるとか?」
「そうすれば連中も半分居残るとか考える余裕も無い気がするぞう」
とにもかくにも解説を聞いて思い浮かぶは秘術冤罪アタックである。
お芝居に出てくる山賊みたいに笑って私は呪文を唱えようと──
「……ありゃ?」
するけれど、そうするよりも先に沼ゴブリン御一行様が逃げる方が早かった。
悲鳴を上げながら一目散に温泉から上がって行ってしまって、然る後にジャイアントデビルカピバラが悠然と湯に浸かり出す。
なんだかとてもリラックスしているようにも見えた。
「…………ねえねえちゃんエル。温泉に入る前に邪魔されると暴れるなら、温泉に入っちゃえば大人しい」
「とか、そ~ゆ~事ってない?ピフラちゃんはワンチャンある気がするぞう」
よもやよもや?とちゃんエルの肩を叩いてその長い耳に悪巧みを吹き込む。
いざ、虎穴に入らずんば虎子を得ず。
■エルネスト > ひぃ、ひぃ、と、がくがくと震えながら腰を抜かした少年。
知っているのか!? されれば何度も頷いて。
「や、やめるんだ、絶対に殺される……! 確かにゴブリンは追い払うだろうが、暴れまわってこの辺りを走り回りだしたら、手がつけられないぞ!」
止めようとしても魔法を唱え始める魔法使い。
ああもうこの馬鹿、ボクまで死んでしまうじゃないか!!
慌てて立ち上がり止めようとしたところで、勝手に止まった。
「…………………」
かぽーん。 目を細めて温泉に浸かるジャイアントデビル。
「ひゃわっ!? み、耳に息を吹き込む奴があるか! こそばゆい!!」
耳を押さえてびょ、っと跳ねる少年。 すごい怒った。
「いやそんなまさか。」
「いやいやいや、そんなまさか。」
「………………でも待てよ。温泉に静かに浸かってめったなことでは暴れないからこその希少さ故の、伝説なのか?」
しばらくは現実を受け入れられないのか、首を横に振っては押し黙り、首を横に振っては押し黙っていたが。
自分の仮説をつけて話を組み立てれば、確かに理はある気がしないでもない。
「………わ、わかった。すぐに温泉から出てこない気はするから、何か動きそうだったら即逃げるからな。」
■ピフラ > 「いいかいちゃんエル。私達は冒険者……つまり、険しきを冒す者……!」
あ、今私良い事言いました。すっごいなんかいい感じの事言いましたー。
将来回想録とか書くことになった時に使おうっと。という訳でメモに取る。
傍らではちゃんエルがこそばゆがって怒っていて、まるで温泉に浸かり過ぎたような顔色になっていて面白かった。
という訳でそれもメモに取る。
「それにしてもちゃんエルの怒声でこっちに明らかに気付いているのに、あのGDカピバラ(※略称)は動かないね」
「やっぱりワンチャンあるって。いけるいける!」
そうして話はかくかくしかじかと纏まっていざ進めや温泉。
先行は勿論私!ピフラマルヤ・モニパルヨン!
「へっへっへ……」
抜き足差し足忍び足。背には身の丈超える壺背負い、いざいざ秘湯目掛けて歩が進む。
GDカピバラは私に一瞥こそくれるけど、興味も無いのか瞳を閉じて気持ちよさそうな感じ。
「ちゃんエル~これ多分大丈夫だって!おいでおいで~」
後ろのちゃんエルを手招きしよう。これはイケるわ。と満面の笑顔だって添えちゃうぞう。
■エルネスト > 「踏破しないと冒険者とは認められないんだから、慎重さだって大切だろうに。」
ドヤ顔をするのが凄く癪に障ったので、ちぇ、っと舌打ちをしながらなんとか立ち上がる。
確かに割と普通にどなったのになんにも反応しないな、と見上げつつ。
「………確かにそうかもしれないが。 き、気をつけろよ!」
大丈夫かもしれない、と思いつつも、一回り以上年齢だけでいえば小さい女の子に先陣を切らせる少年。
通称、後で絶対自己嫌悪するムーブだ。
「………大丈夫そうだな。」
全く興味がないこと、そして先陣を切った少女の満面の笑みを見るに、一歩二歩、恐る恐る近づいて温泉周りを探すことにする。
これは確かに………入ってしまえば無害なのかも。
■ピフラ > ちゃんエルが手招きに応じてくれたのでこっちの視線は温泉へ。
そうして水面を見下ろすと──
「…………………」
澱んでいた。
当たり前の話である。だって沼ゴブリン御一行様が身体洗ったりしてたし、
今は今で巨大なGDカピバラからアンニュイでメランコリックな感じの色がお湯に染み出している。
これ本当に汲んでいい奴かなあ?なんて首を傾げて疑問を投げていると、そういえばともう一つの疑問を思い出す。
「そいえばちゃんエルは何で此処に来たんだっけ?汲む目的じゃあなさそうだけど……やっぱり湯治?」
先程沼ゴブリンに邪魔されて聞けなかった事。
序に聞き直すなら今かと思って訪ねてみる。
■エルネスト > 「……ああ、この温泉の泉質には微弱な魔力が含まれていて、周囲の土壌に影響を与えているらしい。
だから、普段なら白いはずの花が………こう、鮮やかな黄色になる。
これが他の花と似ているからな、薬草になるのだが区別がつきにくいんだ。」
簡単に説明しながら、これは違う、これは正解、と見分けながら花を摘み始める少年。
「……ま、まあ、その壺を持っていては草をかき分けることもできないだろう。
今日は街までボクがついていってやるから安心するといい。
だから汲み終わっても先に行くなよ。
いいか、先に行くんじゃないぞ。 絶対に行くなよ。」
襲ってこないとわかっていても、ジャイアントデビルの前で取り残されるのは死ぬほど怖い。
■ピフラ > 「へーえ、そうなんだ!そうなると私の依頼はお湯の魔力目的なのかなあ」
「それともお花を育てるのに使うとか?ギルドの依頼って依頼人の個人情報中々教えてくれないからさあ」
説明をへえだのほおだの頷きながら聞き、一方で手は休まずに身の丈を超える壺を、
恰も怪力無双の大男であるかのように軽々と扱って湯を汲む。
この壺に軽量化の魔法を付与した人はかなりの腕前だと言う事が改めて判るのは
偏にお湯で満たしてもまるきり重さを感じないから。ちゃん壺にも感心したように頷いちゃう。
「そうだねえ。背負って屈んだら零れちゃう……ってちゃんエル着いてきて来てくれるの?」
「やったあ、ほら、行きはよいよい帰りはなんとかって言うじゃんか。頼りにしてるぞう!」
かくして壺にはお湯が満ち、ちゃんエルの言葉には諸手を挙げて喜んじゃう。
そうした様子を見てかは知らないけどお湯に浸かるGDカピバラは呑気に鼻息を鳴らしていたりもした。
ちょっと吃驚する。
■エルネスト > 「分からんな、………あれだ、ボクの仮説では、この温泉の何が影響を与えるのか、実際に実験などするつもりではないかな。」
顎に手を当てて考えながら、温泉の湯の使い方を考える。
流石に湯を使って育てるというか、その湯を持ち帰らせる依頼なんて聞いたことも無い。
まあ、金が唸るほどあるなら、確かにこんなところに来て研究するより、冒険者をひたすら使いまわす方を選ぶかもしれない、とは思うが、特に口にはしないでおく。
「………も、もちろん。
流石にここまできて、さっきまで沼ゴブリンがいたところに置いていくわけがないだろう。
ただ、あれだぞ、実際に沼ゴブリンが来たらボクは全力で走るからな。
お前も全力で走らないと知らないぞ。」
偉そうに言いながらも、速攻逃げる宣言はしておく。
戦って勝てるわけがない。
花を摘み終えれば、よし、と鞄に入れて立ち上がり。
■ピフラ > 「うーんちゃんエルでも解らないか……ま、いいんだけどね。大事なのはちゃあんと報酬が貰えるかどうか!だし」
「勿論命もね。危ない時は曲がった木材の如し!」
柱にはならない材木。つまりは柱(走ら)にゃならない。等々のダジャレも交えながらにちゃんエルと温泉を後にする。
帰り際に振り替えると、ジャイアントデビルカピバラはまだまだ悠然とお湯に浸かったままだった。
「温泉か~偶には入ってみるのもいいかなあ~って思うけどちゃんエルはどう?」
「ほら、九頭龍の水浴び場だっけ?ちょ~っと高いけど魔物とか居ない温泉宿とか」
静かな森林を掻き混ぜるように声を出して、隣に温泉嗜好を訊ねてみる。
壺はちゃぷちゃぷと水音を鳴らすばかりで、やっぱり回答は無いけれどちゃんエルはどうだろう。
■エルネスト > 「確かにそうだな、いやキミのその話は分かりにくいが。」
うむ、命は大事、報酬がもらえるかも大事だ。偉そうに言い放ちながら、ゆったりとその場所を後にする。
ゴブリンがいないな、いないな、と、何度も確認をしながら歩きつつ、草が踏み荒らされていないルートを通る。
行った先にゴブリンなんて悪夢もいいところだ。
「………温泉? いやまあ、入ってもいいかとは思うがな。
温泉宿か、確かに少し余裕が出来たら泊ってもいいかもしれない。
身体が疲れていては仕事もできないからね、毎日のように仕事をしていたら、先に壊れてしまうものだしな。
………あの温泉宿か。
まあ、それなら金もかからないし、こういった温泉があれば楽なんだがな。」
怖がっていないぞ、を示すように言い放って。 ふん、と先頭を歩く眼鏡。
帰り道では足早だった。
■ピフラ > 「そうそう壊れちゃう壊れちゃう。お金は貯まったら使わないとね!」
「勿論どっか穴場の秘湯とか探すのも愉しそうだけどねえ。今度パーティ組んで探索行でもする?」
「そうしてめでたく見つかったさ、このピフラちゃんが背中くらい流してあげるかもしれないのも吝かではない感じ」
何だか不機嫌そうに早足になるちゃんエルの後を追って言葉を投げて、暫し長閑な帰路道中。
きっと何にもなくて、だけどもそれが良いに違いない。
「あ、ねえねえ戻ったら"竜の骸骨亭"に行こうよう。私お腹減っちゃった!」
冒険は続く。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からピフラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエルネストさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。