2020/02/27 のログ
エズラ > 「よろしくな――しかしよ、回復屋が一人で散策たぁ、不用心だぜ――」

冒険者の真似事をすることもあるので、互いに見知っておいて損はないか――などと考えていたところ。

「ふははっ、やっぱ腹は素直なもんだぜ」

普通、彼女の年頃ならそれを恥じたりするのだろうが――思いに反して前向きな返事。
ならばと野営地まで案内することに――



――そして、残った罠を確認しながら、テントへ戻り。
結局今日は彼女以外に罠に掛かった獲物はなく、テントのそばにある簡易組み立て式の椅子を指し。

「ティアはそこで待ってな――解体はもう済んじまってるんでそう時間は――ああそうそう、こう見えてオレ、それなりに「使える」んだぜ――」

本来なら時間を掛けて火起こしをするところであるが――薪を寄せ集めた一画に、徐に腰の件を引き抜いて突き立てる。
柄頭に指を触れさせ、「我流だがよ」と前置きしてから、聞く者が聞けば分かる、調子っぱずれのやや出鱈目な呪文をつぶやくと――地面に埋まった切っ先から一瞬、炎が走り、あっという間に焚き火へと成長。
その後、切り分けていた肉を串に刺し、食事の準備へ――

ティアフェル > 「んん、まあねえ。でも今はソロだから仕方ないのよ。
 後衛だけど一応多少の魔物なら対処できるし」

 お仕事をあまり選んでられないこともある。相手の云い分には頷いて肩を竦めて。

「いやー、やっぱクエスト中はお腹空いちゃうよね」

 笑われて、後頭部に手を当てほんのわずかに照れつつも素直に肯く。若いとお腹減るんだよと自分に正直で。

 他にもいくつか張ってあった罠を確認していたが何もかかっていない様子に、今日の獲物はわたしだけかあ、と自ら肩を揺らして呟き。
 勧められた椅子と彼を交互に見やって。
「あ、ありがと。なんか手伝う? ――んん?」

 一応料理はできる。二人でやった方が早い、と申し出つつも、使えると口にしながら、剣を媒体に魔法を発動させる様子に、ぱちくりと目を瞬き。意外そうに口元に手を翳して。

「へええー。魔法剣士なの? なかなかスペック高いねー。いーな。全然ソロでやっていけちゃうね」
 
 近距離対応の剣術と遠距離対応の魔術、両方使えれば一人で前衛後衛兼ねられるだろう。一人でやっていけるスキルは羨ましいなあと感心したように眺め。そして手際よく串焼きを作っていく様子に。
 っふふ、と小さく笑い。

「なんでも出来ちゃうんだね。あんまり隙がないと女の人が寄ってこないよ」

 椅子に座って眺めて感心ながらも少々からかうような軽口を叩いた。

エズラ > 「魔法剣士というと聞こえはイイがよ――ま、せいぜい補助ってとこだな――」

いいから座ってな、と制して、大ぶりにカットされた肉をさくさくと串に刺し、火の側の地面にざっくりと差し込み。。
ついでに湯も沸かし、濃いめの茶――薬草茶に近いものである――を淹れると、「飲みな」とカップを手渡し。

「ガキに心配されるほど女に困っちゃいねぇ――ムフフ、いや、ガキってわけでもねぇのか、ティアは――?」

火を挟んで向かい、丸太を横に転がしただけのものを椅子代わりに腰かけ、火かき棒で薪の位置を調節しながら、助平心を隠そうともしない目で相手の身体のラインを眺めて。
とはいえその視線は、半分は冗談めかしたものでもある――

ティアフェル > 「ほー? しかし、こういう時とか便利だから魔法って本当重宝ね」

 一応こちらも魔法は使えるが回復のみだ。色々小技が使えるとは器用だと羨みつつ。手伝う必要もなく、ワイルドな肉料理ができていくと、徐々に焼けてくる肉のいい匂いに目を細め「お腹すくぅー」と非常に素直な科白で肉をガン見し。
 お茶を差し出してもらうと「わあい」と無邪気に喜んで受け取って両手で包み込み、冷ましながらゆっくりと少し苦いそれを啜り。

「っはあ。落ち着いたぁ……。うっわ、ムフフとか笑い方する奴やばいよ? やめた方がいいよ? 年は19だけど……目つきやーらしー」

 そんなことを云うと大概「男はみなスケベ」という反応が返ってくるものだが。
 むぅ、と眉を軽く寄せて、生き物のようにアホ毛をふんふんと左右に揺らしていた。

エズラ > 「ほぉ~、その歳で一丁前に冒険者とはな――自慢じゃねぇがオレはとんでもないスケベ男だぜ――」

注意しな、と笑みを崩さずにあっけらかんと告げると、他愛もない話を続けながら串の様子を見る。
ほどなく、良い加減に火の通ったのを見計らうと、一本を相手に差し出して。

「そら食いな――バラしたばかりの新鮮な肉は、焼いて食うに限るぜ――」

自身ももう一本の串を手に、がつがつと貪り食む。
香ばしい芳香と肉汁が溢れ、野性味溢れた味が口腔を満たす――

ティアフェル > 「うむ、だろうね。なんかこう……滲み出てる。ってか、傭兵は多いんだよねそういう性欲の有り余ったタイプが……。何もしなきゃあ病気になるっていう勢いだから大変だと思う」

 スケベと断言する声に重々しく肯いた。そんな感じはする。
 一応男ばかりの家庭で育った身なのでその辺には理解はあるので、そんなことを口にして嘆息しているとイイ感じに焼き上がった串焼きを手渡されて嬉しそうに受け取り。

「わあ、ありがとう! おいしそー。いただきます!」

 焼きたての肉をあちち、と息を吹きかけて冷ましながら齧りついて。野趣あふれる味わい深い肉に舌つづみを打ち。口端から零れてくる肉汁を舌で慌てて嘗めとり。

「んんん……おいしい! 焼き加減ちょうどいいわ。料理上手だね。
 これでとんでもねえスケベじゃなくて普通にスケベくらいだったら、良かったのにねえ」

 はふはふ云いながら肉を頬張り、素直に誉めながらも余計なことを付け加えて笑い。

エズラ > 「料理……なんてな上等なもんじゃねぇがよ――まぁ、火加減にはちょいと自信はあるぜ」

着火の時のみ魔術を用いたが、今は自然の炎となって程よく燃え続ける焚き火。
薪の爆ぜる音、肉を咀嚼する音、時折吹く風の音――

「――それに、ティアよりずっとガキの頃から傭兵暮らしをしてたからな――実のとここういう場所で飲み食いする方がオレには自然なのかもしれねぇ」

すっかり食べ終えた串を簡易調理台の上に放り。
自分も彼女に注いだのと同じ茶を啜る――

「食い終わったら、日の沈まねぇうちに街へ向かえよな――「足元に気を付けて」、よ」

相手の軽口には軽口で返す――それとも、泊まっていってもいいんだぜ――?などと、これまたムフフと笑みを浮かべて付け加え。

ティアフェル > 「料理は火加減だよ。火加減と塩加減が料理を制するのだ」

 真面目な顔でおいしく出来上がった串焼きを咀嚼して語り。
 暖かい焚火の傍で熱いお茶をいただいて新鮮な肉などいただいているとなんかセロトニンが湧き出してくる。すきっ腹に肉は効く。幸せ。

「なるほどね。確かにエズラさんには合ってる感じするよ。
 子供のころから傭兵だったってことは、親はいないの?」

 真面に両親のいる身ならば普通は傭兵家業に身を置いていたりしないもので、案外直球で質問して。彼より遅れてしっかり味わって肉を食べ終わると。そこに置くのか、と調理台の上に「ごちそうさまでした」ときっちり手を合わせて置いて。お茶を片手に片手は腹部に置いて擦り。

「あー、おいしかったぁ。――うん、そうだね……もう罠にかかんないようにしなきゃ。この辺ってがっつり狩猟区だもんね」

 もう罠にかかるのはごめんだ。またヤバイ笑いを浮かべて口にされた言葉に。アホ毛をぺしぺし揺らしつつ。

「絶対それタダで済まない奴じゃん……あなた相手だと足腰立たなくさせられコースじゃん。やっば」

エズラ > 「親のことはほとんど覚えてねぇな――まぁ、オレのいた傭兵団は結構特殊でよ――そこの連中が家族といえばそうかもな」

異種族混合の特殊部隊、という性格を帯びた特異な傭兵団であったと、簡単に説明。
人間種以外の様々な種族の者達は、得意分野も苦手分野も異なる分、単一種族の傭兵団より互いにカバーし合う必要があるため、士気も高く仲も良かった――と。

「ムッフッフ、ちょうど肉も食って精を付けたあとだからな~……足腰どころか、いわゆる「朝まで寝かさねぇ」ってやつだぜ――?」

などと物騒なことをいいつつも火かき棒で火の調整をしているあたり、今この場で無理矢理襲いかかるようなつもりはないらしい。

ティアフェル > 「ふうん、家族みたい、か。それはいいわね。
 大体傭兵団何て殺伐としてて当たり前みたいなものだから」

 幼い子どもでも受け入れるような懐の広さもあったのだろう。面白いところもあるものだ、と感心したように耳を傾け。

「で、今はそこも抜けたんだ?」

 居心地がよさそうなのに、と小首を傾げて残り少なくなったお茶を啜り。

「だからムフムフ云うのよしなさいよ。エロ親父でしかないわよ?
 ……死ぬ気がする。せっかく生還したのに死ぬ気がする」

 幸い、力づくでもって気はないらしい。そこは評価したい。

「――わたしはまだまだ乙女なんでね、好きな相手じゃないとね。エズラさんが惚れさせてくれたら、そしてわたしに惚れて下さるのでしたら、朝まででも足腰立たなくされてもお付き合いしますことよ? だってその方が気持ちいいじゃない」

 ぴ、と人差し指を向けて甘ったるいことを口走って、片口で笑った。

エズラ > 「まぁ色々あってな――魔族の連中と派手にやりあった時に散り散りになっちまったよ」

特に感慨深くもない様子であっさりと伝えてはいるが――ほんの僅かばかり、先ほどまで見せていた「エロ親父」な笑みとは異なる、口の端を少し持ち上げるだけの反応を見せる。
そして、度重なる品のないこちらの発言に対し、そろそろぷんすか腹を立てて去って行くのではないかと思っていた矢先、思いの外真摯な言葉を告げられて舌を巻く――

「……むっはっは!」

目の前で得意げに指を立てている仕草はまだ子供っぽさを残していたが――何ともおかしな状況。少女をからかっていたつもりが、真っ直ぐな恋愛論を説かれてしまい、思わずため息。
そういえば長らくこんな甘ったるい言葉を聞いたこともないような気がする――

「おもしれぇこと言うなティア――そこまで言われちゃ惚れさせてやりたくなるってもんだぜ――男としてはな」

冗談なのか本気なのか――しかし少なくとも、もう品のない笑みを浮かべるのはやめたらしい。

ティアフェル > 「そっかあ……居心地のいい場所がなくなっちゃうのは、淋しいね」

 なんでもないように話す声を聴いていたが、無意識に勝手に良く動くアホ毛を撓らせて相槌を打ち。
 そしてある意味年相応な甘っちょろい自論を解いていたが、やっぱり即笑われた。そうくると思ってたけどさ、と肩を竦め。

「ま。笑うよね。フツー。こんな世の中でそんなこと云ってたらさ」

 さもありなん、と残ったお茶を飲み終えたカップの底を見つめて呟いたが。
 笑った後の言葉には、きょとん、とした表情で顔を上げてそちらを見やり。

「いやー。そちらこそ面白いこと仰る。んじゃ、惚れさせてくれるの、楽しみにしてる。それで惚れちゃったら手放したくなくなるよーなイイ女になるように努力したげるよ」

 くすくすとおかし気に肩を揺らして、真面目を隠して軽口染みた応酬。

エズラ > 「……ガキのくせに生意気言いやがって……ふっ、しかしま、ティアのことは覚えとくぜ――」

今度は街で会おう、そう告げる。

「パーティの面子に困ったら、呼んでくれよ――まずは何はなくとも、オレ様が強くてカッコイイとこを見てもらわねぇとな」

そうして腰を上げると、街の方角を指し――

「ここから真っ直ぐ行きゃ、すぐに街道に出る――気を付けてな」

そう告げて、彼女を見送るのであった――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」からエズラさんが去りました。
ティアフェル >  面白い人――とこちらもこちらで肩を揺らし。
 
「生意気盛りなのさ。
 ――ん。そうさせてもらうよ。じゃあねー。ありがと、ごちそうさま!」

 また会おう、と気楽に約束しながら立ち上がってひらひらと手を振り。今度は罠に気を付けて街道を目指し街へと戻っていった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」からティアフェルさんが去りました。