2020/02/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > 午後の一見穏やかな森の奥深く――、お使いクエストを受注して樹海に分け入り獣道を進んでいた。
時折地図やコンパスで位置を確認しながらゆっくりと傾きかけてはいるがまだ十分に高い日差しを仰ぎ、
「明るい内に森を抜けないとね――……」
暗くなると一気に危険度は増すし、迷う確率も上がる。野営するにもこの辺りは向いていない。迷わないように慎重に進路を選んで、前後左右を気にするあまり――
ずっ……!
「えっ……?!」
足元が疎かになってしまっていた――
一見何もない、枯れ葉の堆積した地面だったが、その下には深い縦穴が隠されていた。
狩猟用の罠か、あ、と思った時にはもう遅く、
「ぅ、ぁ――きゃあぁぁぁああぁ!!」
思い切り踏み抜いて真っ逆さまに落下――悲鳴とともにその姿が地上から掻き消えた。
■ティアフェル > ずささささささ――!!
枯れ葉を巻き込み、身体が、視界が上下左右にぐるぐると大回りして穴壁に擦り打たれながら、どん、と全身を強打して穴底でようやく止まる。
「っ――……い、たた……」
成す術もなく下まで落っこちて膝やら腕やらあちこち擦って打ち付けて、木の葉に塗れながら穴底で呻いた。
のそのそと起き上がりながら、地上を見上げる。高さは2、3メートルと云ったところだろうか。真面に手は届きそうにない。這い上がろうにも取っ掛かりもない。
「ぁー……どうしよう、これ……。
――おーい! おぉーい!! 誰か、いませんかー!!?」
地上を歩いていた時は誰もいなかったようだしかなり期待薄だが、一応外に向かって大きく叫んでみた。
「だーれかーぁ!! たーすーけーてぇぇええ!!!」
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」にエズラさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」にイディオさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/樹海」からイディオさんが去りました。
■エズラ > 戦場暮らしから離れている間は、街で荒事に従事することが常であるが――
時折山野に出かけては、狩りを楽しみつつ野外生活に勤しむこともある。
今日もテントを後にして、森の中に仕掛けた罠を確認して回っていたのだが――
「おおっ、かかってるみてぇだな――」
くくり罠や落とし穴など、数種の罠を確認していくうち、一際手をかけた落とし穴のそばへさしかかると、呻き声のようなものが聞こえる。
どうやら大物か――と思いきや、近付くにつれ――
「おいおい、まさか……――」
果たして、その懸念は見事に的中――呻き声ではなく救助要請――人間だ。
急ぎ駆けて落とし穴のフチへ――
「おおい、誰かいるのか!」
■ティアフェル > 上手い事こんな誰もいないところに通りかかってくれる人なんかいないかも知れない。もしかしたらずっといないかも知れない。出れないかも知れない。
――死ぬかも知れない……。
そこまで考えてぞっとしたところで、とにかくひたすら外へと呼びかけを行っていたが、木霊以外の声が、聞こえた――
弾かれたようにそちらに顔を向けて、穴に落ちて乱れた髪に土くれのくっついた薄汚れた態で穴底から大きく声を張った。
「えっ! あ…! 誰かいるのー?! 助けてー!! メッチャ落ちたぁぁぁあ!!」
まさかこの罠を張った張本人だとは思わずに、必死な形相でぶんぶんと両手を振り回して訴えた。
「上がれないよー、助けてー!」
■エズラ > 声の主は女であろうか――幸い元気そうな様子。
無論、声だけでは怪我の有無を判別することは出来ないが、どもかく背嚢から丈夫なロープを手早く取り出し――
「待ってろ、いま助けてやっからよ~!」
こちらも大きな声で応じると、ロープの先端を近場の太い幹にしっかりと結びつけ、もう一方の端を深い穴の中へと放る。
「そら、そいつに掴まりな――身体に結びつけてからだぜ!」
準備が済んだらこちらに合図しろ――とも。
穴の底から合図があれば、こちらからも引っ張るつもりで――
■ティアフェル > 「わぁぁーっ、マジ助かったー!! ナイスタイミング! ナイスマッスル!」
まさか首尾よく助けが入るとは。神様ありがとう、あんまり信じてないけど!
と不敬なことを思いながら若干目を潤ませながら、良かったぁ……と心底安堵して、早速穴に投げ落とされたロープをつかみ。
穴の向こうに少し遠く見える見慣れない顔の男性を確認して、ガタイもナイスだ。これは何とかしてくれる系の人だ…!と期待大で、指示通り腰に結び付けて小物は鞄に仕舞って、スタッフは腰に結んだロープに差して、準備万端にしてロープを両手でしっかりと握り締め。
「OK! いつでもヘルプ!」
さあどっからでも引き上げてちょうだい!と気合十分、合図を送る。
■エズラ > ロープに手応えがある――そう感じたと同時に、準備完了との声。
こちらもロープを身体に一回しすると、ぐるぐる、と腕をロープに絡みつけ――
「よぉし、暴れねぇでジッとしてな――!」
姿勢を低く、両脚を踏ん張って反り返りながらゆっくりと――ロープを軋ませながらも相手の身体は宙に浮き――程なく、両腕が穴のフチにかかる地点まで引っ張り上げていく。
こちらからも向こうの頭が見えたあたりで自身の身体をその場に固定しながら腕を伸ばし――
「ほら、オレの腕を掴め!」
それに相手が応じたなら、一気に引っ張り上げる――
■ティアフェル > 「ラジャ! よろしく!」
頭上を見上げて、ぐ、と親指を一瞬立てたが、すぐにぎゅうと強くロープを握り締めロープの先を見つめたが。
「えっ、マジで?」
とても逞しい感じの人だとは見て取れたが、まさか本当にてこの原理なんてのもの使わずに筋力だけで引き上げて行くとは――驚いたように目を瞠るが、じりじりと実際確実に引き上げられていくロープ。穴底から浮き上がってくる身体――、とにかくしっかり捕まりながら下手に動かずに穴の縁まで身体が持ち上がってくるのを待ち、
「――っ、ファイトォー!」
ものすごくファイト一発な状況下だと思えた。がしと伸びて来た逞しい腕をつかんで穴壁に脚を掛けて蹴ると一気に穴の外まで上半身を押し上げて、どさん、と勢いそちらに転がっていく。
■エズラ > 「ふんぐっ……うおりゃっ!」
両脚のかかとは半ばほど地面に食い込み、腰に巻いたロープが腹筋を軋ませる。
しかし、一度相手の腕を捕ったなら、あとは――
「むおおっ!」
ちょうど、相手が穴のフチを蹴った瞬間に力をこめたものだから、勢い余って背中から転倒――遅れて相手の身体を受け止める。
「うぉいテテテ……無事か?」
後頭部をさすりながら上半身を起こしつつ、問う――
■ティアフェル > 一体体感にして何キロくらいの負荷を持ち上げているのだろう。
単純に自分の体重だけの重みにはならないはずだ。
力持ち…と感心する余裕はまだなく、とにかく汗を滲ませて必死でこっちもロープを握って身体を押し上げていく。
「ぅわ、きゃ…!!」
タイミングが合わずに勢いが良すぎて、転倒した相手の身体を下敷きにして突っ込んでいってしまった。
「う、っつぅ…… ん……お陰様でなんとか……」
よいしょ…とのそりとこちらも身を起こして軽く額を抑えつつ顔を上げ、少々ほつれたような笑みを小さく零して。
「ありがと、助かった……。もう誰も通りかからなかったらやばかったよー。よくきてくれたよ。
来てくれたのがあなたみたいな馬力充分な人でマジ助かったよ。
ナイスタイミング!」
繰り返すが、彼が罠を張ったとは全く知らずに手放しで感謝した、その大きな手を握って、ありがとうありがとうと訴えよう。
■エズラ > 助け上げたのは聞こえていた声の通り女――未だ少女と呼んでもよいかもしれない出で立ち。
長い棒状のものは登山用の杖ではなく魔術用のスタッフであろうか――
「お、おお、助かって何よりだぜ――」
それにしても元気いっぱい、先ほどまで深い穴の底にいたとは思えない――
握った手を引いて立ち上がり様に相手も立ち上がらせつつ――
「いや実はな、この穴――オレの仕掛けた落とし穴なもんでよ――大きな怪我はなさそうで良かった――」
ばつが悪そうに少し言いよどむが、無関係の人間の命を危険にさらした以上、言い訳することもできない。
しかし――ふと思い立ってロープを結びつけた樹の幹を指し。
「一応、あそこに目印は付けてたんだがよ――」
そこには、ナイフで「↓」という図と、危険を示す簡単な記号――冒険者ギルドに加入する者なら判読可能な――が記されている。
あくまで野生の獣の狩猟を目的としていることを知らせるものだ――
■ティアフェル > 先に立ち上がった相手から少し手を借りて立ち上がりつつ、くい、と体幹を引く腰に巻いたロープを、解きながら。
「うん、穴に落ちて割とすぐ来てくれたから、気持ち的にささくれずに済んだし。
良かったわあ」
怪我も多少の打撲程度。解いたロープをくるくる巻いて手渡すと、乱れた髪やら衣服についた土埃を払い。
「ん…?! んん?! 何?! 落とし穴の張本人――?!」
黙っていても分からなかっただろうが、犯人は正直に名乗り出た。一瞬「ナニ!?」と目を見開くが、目印をつけていたという科白にそちらを確認して樹の幹に刻まれた記号を見。
「……………まぁ」
気づかななった、見落としたのは間違いない。今度はこっちがバツの悪そうな顔になって少々視座を反らし。
「………責任?は取ってくれたし? 地図に夢中でちゃんと前を見てなかったわたしもどうかなーとはちょっと思うし? 大っぴらに文句云うのはどうかと思いますし?」
もそもそと気まずそうに言葉を連ね。
「でも! 一言くらい云わして?!」
くわ、と目を見開いて、拳を握り。
「バカァァァ!!」
■エズラ > 大声に思わず目をぱちくりさせつつ、両耳をふさぐ。
「おいおい、どう怒るなって――いや、悪かったとは思ってるんだぜ――?しかしよ、こっちだって獲物のために汗水垂らしてしかけた罠ァ潰されちまったわけだしよ――」
相手の怒りももっともなので、両手を挙げて降参のポーズ。
手早くロープをひとまとめにして背嚢へ。
そうして、少女の前で落とし穴を再び「仕掛け」直し始める。
傍らに積まれている枝を穴の上に渡していく――
「こんだけの穴掘るのはちょっとしたもんなんだぜ?」
そっちはなんでまたこんな場所に――と問いかけながら、今度は落ち葉で偽装していく。
そのうち、相手が足を踏み入れたときと同じような、傍目にはそれと気づかぬ出来の罠がそこにあらわれた。
■ティアフェル > 「いや! わかるよ!? 判るけどさ!
でも、一瞬死を覚悟したわたしの八つ当たり!一言くらい食らって下さいよ!」
自分の方こそ理不尽なのかも知れないが、そんなことは百も承知。
完全に八つ当たりなのだ。息を荒くしていたが、一言云えば落ち着くのか胸に手を当てて、ふうう――と深呼吸して気を静めていき。
そして手際よく罠を直していく様子を、身だしなみを整え、背面を見るようにして腰を捻って全身を確認し、よし、とひとつ首肯すると。
もう何事もなかったかのように罠は元の状態に戻されていて、そこはただの落ち葉の積もった地面と早変わりしていた。
はあ、と感心したように見やって。
「大したもんね。この穴一人で掘ったの?
あなた猟師さん?」
しげしげとがっしりと体格の良い、しかし獣ばかりを相手にしている感じには見えない、いわゆる戦闘用の筋肉の付き方も認められる彼を眺めて小首を傾げ。
■エズラ > 「こんだけ深い穴だと一日がかりだ――オレはエズラだ、ま、今は猟師の真似事なんかしてるが――」
両手にこびりついた落ち葉を払って二度、三度と手を打って首をひねる。
「――本業は、傭兵さ――ま、その辺にいるゴロツキだな」
くっくっ、と若々しい笑みを見せると、仕掛け直した落とし穴の完成度に満足げに何度か頷いてみせる。
「よしこれで良い――ところで、街へ戻る途中ってんなら、少しオレの野営地で休んで行かねぇか。穴ぼこに落としちまった詫びに、飯くれぇなら提供するぜ――」
昨日、別の罠に獲物が掛かっていたことを告げて。
■ティアフェル > 「だよねえ、わたしも罠壊しちゃったのは悪かった。ごめんなさい。
エズラさん? わたしは、ティアフェル。ティアでいいよ」
せめて穴を埋めるような真似をしてしまわなくって良かった、と思いながら名乗り返して。傭兵と聞けば納得したように肯いて見せ。
「ああ、やっぱり。そんな感じする。――ちょーっと血なまぐさい匂い。
わたしはヒーラーで、一応冒険者。今はフリー。絶賛素敵なパーティ募集中」
よろしく、と気さくにひらひら手を振って見せて。
思いがけぬ誘いに一度目を瞬いて、少し考えるように小首を傾げてから。くぅぅ…といいタイミングで鳴るお腹が先に返事をしてしまい。ぽり、と頬を掻きつつ。
「お詫びなんて却って悪い気がするけど――せっかくなのでゴチになります!」
ぴ、と軽く敬礼の真似事などしながら結局遠慮はしなかった。
少し休んでお腹を満たして行ければ楽なのは間違いない。
今日罠にかかった残念ながら獲物とはちょいと違う娘はお言葉に甘えた。