2019/11/30 のログ
ジナイア > 進める足の靴底の下。
乾いた音と共に少し沈み込む感触が心地良い。

――――このまま散歩でも、全く構わない。

満更でない顔のまま独り、ひとつ頷く。
そう思い切ってしまえば、手にしていた弓を背後に廻し、弓袋へと仕舞いこむ。

「ああ、いい天気だな…」

ぐう、と空いた両手を持ち上げると伸びをして、下ろしながら首を傾げれば黒髪が肩から零れ落ち、金の輪が耳元で揺れた。
僅かな風に乗って漂う落ち葉の香りに翠の目を細める。
熟れた唇には薄っすらと笑みを浮かべて。
さくさくと、軽い音をゆっくり響かせながら
色付く森を、更に奥の方へと。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/森林」にギギさんが現れました。
ギギ > ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ

足音は軽快な音とはかけ離れた泥沼をブーツで踏みしめるような音である。
一歩ごとに泥と化した土が跳ね、水が飛び散るようなそんな音。

しかし、今夜も別に天候が悪いわけでもなく、突発的な雨もない。
なのにグシャ、グシャ、グシャ、グシャと音がするのは何故だろうか。

自然地帯に広がる広大な森。
街道から少し離れただけなのに木々が密集する森に踏み込めるのはメグメールの自然地帯が織り成す自然の力という奴なのだろう。
其処にそんな怪しくも不気味な足音をたて森を歩いているのは月明りや星の瞬きに照らされて姿を見せる白い肉塊。

良く近づいてみればそれはずんぐりむっくりとした真白い肌をした爬虫類型の亜人に見えるナニカである。

――…そのナニカのモンスターの名前はギギ。
無名遺跡で冒険者を助けてる内に名付けてもらった名前である。

今夜は背中に大き目の竹篭を背負い森に冒険者を治療するための薬草を集めに来ていた。
無名遺跡で散々冒険者が残してきた薬草を貪っていたり、薬草が必要でなくなった冒険者から分けてもらったり、と頭は悪くても記憶力が良い所為で、無数に生えた茂みからも的確に薬草だけを引き抜き、解毒剤や冒険者が大事に懐にしまっていた希少な草を見分けてそれも引き抜いて背中の籠に放り込んでいく。

幾つか不明だが、何か良い匂いのする物は顔の半分以上の面積を占める大きな口をグバァッとあけて、口から舌?を伸ばして巻き取っては食べていく。

毒であれば飲み込んで、毒でなければ吐き出して、味と感覚で毒草と薬草の分別までするのだ。

ギギ > 拾っては食べ、拾っては食べ、拾っては背負い籠に入れ……。
幾つか食べている内に唾液?に毒っぽい成分が混ざり始めたことに味覚で気がつくと、まず口内に唾液?を全て溜め込んでから直ぐ傍の木の根っこに吐き捨てる。

ぐちゃ、と聞き方によっては卑猥な音をたて大量の紫色の液体が木の根っこにぶつかり、刹那、ジュワーと何か木の根っこが黒ずんで焼け始めると同時にふわーっと甘ったるい香りが周囲に広がり始める。

けど気にしない。
くるりとその煙を浮かばせる木の根っこから離れると、口内?を中和すべく周辺に混在する薬草をむしっては口の中に放りこみ、ジュリジュリと口内ですり潰して飲み込み始める。

その姿は異様という他ないだろう。
だが本人はその異様さに気がつくことはなく、それよりもまた森の中に迷い込んだ人が怪我をしていたときに回復手段がないと大変だと一生懸命であった。

その口内で作る絶妙なる妙薬も色々な冒険者が身をもって教えてくれた事でその知識は無駄になどできないのだ。