2019/10/10 のログ
■ジナイア > 季節のうつろいが、木々の葉の色づきに伺える森林。
天は快晴で、昼下がりの今ならば燦々と午後の日差しが降り注いでいる筈だ―――高い木立の葉の上には。
ほんの少し、葉の間から地面に零れる光は、木立を揺らす風に合わせてちらりちらりと根太と苔に覆われた地面を時折照らす。
彼方こちらから、鳥たちの鳴き交わす声。
今なお緑の香り濃い、やや湿った空気が漂う薄暗い森の中で、それだけが天の機嫌を伝えて来る。
その薄闇を、静かな足音と共に進む人影がひとつ。
平坦だが、根太と苔に覆われた地面を慎重に進む。
やがて、スポットライトのように日差しが零れる灌木の繁みの近くへ辿り着くと足を止め、溜息のような吐息と共にフードを下ろし、天を振り仰いだ。
フードを下ろした合間から長い黒髪が零れ落ちて、赤銅色の肌の耳元で金の輪が揺れる。
「…やれやれ。思ったより時間がかかる」
天を見上げた眼を細める。周囲の緑に似た瞳の色が、陽の光に透かされて僅かエメラルドに光った。
弓の修練のついでのつもりで森へ入ったものの、気の早い冬支度の様子の小さな獣は狩る気にはならず、そのまま深入りをし過ぎたかもしれない……
戻る路が解らないではないが、このまま当て所もなく居るのも如何なものか、と今更ながら。
背負った、自分の半身ほどの長さの弓に、そっと肩越しに指で触れる。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
■ワルセイ・イダーヤ > 季節が移り変わろうとする季節。この時期は、貴重な薬品になる薬草などが取れる季節でもある。
木々の上では快晴でも、ここらあたりは薄暗い。だが、それでちょうどいい。薬になるコケやキノコはこういった風土を好む。
ざく、さく、と木の葉を踏み、森の中を行く。
だが、見た目は若々しくとも、実年齢は80代のお爺さん。かなり疲れている様子で、ふうふうと息を吐いている。
「いやはや、年は取りたくないものよな……後20年若ければこの程度……」
すると、先行させていた使い魔の蛇が、この先に人がいることを伝えてくる。
「ふむ。狩人か何かかな?」
と、思いつつも歩みを進める。
少し開けた場所。スポットライトのように明かりがおりている場所に到着すれば。そこに赤銅色の肌をした、一人の女性が……
「ふぅむ、初めまして。こんなところまで狩りをしに来たのかな?」
せっかくだ。話しかけようと思い、声をかけるようか……
■ジナイア > 気配が近付いて来る。
人でないものがこちらを伺って、離れていく。
一瞬、背筋に緊張が走るが……やがて聞こえてきた忙しげな吐息と、隠す風もない足音に力を抜いて。
音の方へと、光の中から闇の中を透かし見ようと振り返った。
表れたのは……見た目は若者で、すこし軽く、アーモンド形の目を見開く。
続いて、掛けられた敵意のない声には、熟れた唇へと笑みを昇らせた。
「やあ…初めまして。
すこし、弓を練習しようと思ってね。良い的があればとは思っていたが、何かを狩ろうとかは、あまり考えずに来たんだ。
……そちらは?随分と、疲れている様だが…」
自嘲するように肩を竦めて見せた後、口元に笑みを浮かべたまま黒ずくめの青年へと首を傾げる。
耳元で金の輪が揺れて、黒髪が肩から零れ落ちた。
■ワルセイ・イダーヤ > 挨拶をしつつ、相手を観察しやるのは年のせいか、それとも医者としての職業病か。
アーモンド形の目の形と色。赤銅色の肌……そう言った特徴から、砂漠当りの出身かなと当りをつけつつ。
そちらは?と聞かれれば。
「ほぅ、弓の練習か……なるほど確かに、森の小動物は弓の練習にいい物らしいからな。
あぁ。俺はワルセイという。まぁ……医者だな」
そう言いながら、良い場所に苔むした切株があったので、失礼して座る。
「少し失礼して座らせてもらうよ。これでも、肉体はかなり若作りしているのだが…いかんせん。
医者であり科学者というのはインドアなのでな。中々体力仕事は慣れんよ」
そう苦笑しながら。ふと。
「君は見たところ、砂漠の出身の様だが……名を聞かせてはくれぬか?」
などと、名を聞きながら、懐から袋を取り出し、中の小さなブロック状のものを掌に。
すると、数匹の蛇が集まって、それを食べ始めて……
「ふふ、使い魔たちの餌の時間なのだよ。君も餌をやってみるかね?」
何て聞いてみようか。
■ジナイア > 「医者?」
口中で呟くと、また軽く目を見開いて。
やがて、そうか、と呟きながら薄闇の中の相手を見透かすように瞼を落とす。
衣装からして、良い身分出身の隠者とも取れたが……野に一人きりでうろつくような類は、何を隠しているか知れない。
そう意識しつつも、どうやら見た目以上の年齢で草臥れている様子の若者にはくすり、と笑みこぼす。
「ああ、私は『ジナイア』という。お察しの通り、砂漠の地方出身だよ。
ワルセイ、キミ…嗚呼、年上のようだから…敬称をつけたほうがいいかな?」
後半は、すこし悪戯っぽく笑いながら身体を完全に向き直った。
距離を取ったそのまま、軽く腕組みをして……やがて、目の前の光景にまた、軽く目を見開く事になった。
相手の手元に集まって来る蛇たち。
敵意という雰囲気はないが……
「……興味は、あるな」
じ、と翠の双眸で光景を見つめた後。
根負けした様に、一歩ずつ、近付いて行こう。
■ワルセイ・イダーヤ > 「はは、そうだ。特に薬学に関しては、そこら辺の学者には負けぬよ」
なんて、医者であるということに驚いているような相手に笑いかける。ジナイア。そう名前を聞けば。
「ほぅ、ジナイア。か。良い響きだな。砂漠の民の言葉までは知らぬが、きっと良い意味の言葉なのだろうな…」
なんて、目を細めつつも、年上のようだからといわれれば。
「いやいや、無理の無いような呼び方で呼んでくれ。その程度で気分は害さんさ」
といいながらも、まだ相手は自分を警戒しているなと思う。まあ、仕方がない。
自分だって、こんな黒づくめの貴族風の男が、森の中に現れたら驚くし、警戒だってするだろう。しかも相手は女。
自然な対応だろう。
手の中で、蛇用の餌がなくなって行く。
相手が近づいてくれば……笑みを浮かべつつ、ふと、視線がジナイアの足元に。
杖を一振り。
そして、相手の足元にいた毒蜘蛛を潰してやろう。
「こいつは、アシナガキドクグモだな。噛まれると、神経がマヒしてしばらく動けなくなる……
失礼した。驚かせたろう」
そういって、軽く謝罪しつつ。
相手が手を出せば、そこに蛇の餌を置こうと……
■ジナイア > 切株に腰掛け、笑みを浮かべている相手へ、試すような翠の視線を向けたまま、また一歩と。
「―――?」
相手の視線が落ちる。
間髪入れず、女もその先を追って―――
女が蜘蛛の形に反応するよりも先、相手の杖が一閃。
「――!ッ」
ゆっくりと、相手の言葉を聞きながら静かな表情を上げる。
「いや…助かった
確かに、そこら辺の医者にも負けなさそうだな」
ありがとう、と言葉を継ぎながらひたと視線を彼へ据える。
インドアだ年かさだと言いながら、今の動きはどうして、どうして。
怪しい事この上ないが…他意はなさそうだ。
だとすれば、必要以上に緊張するほうが阿保らしい。
すこし、肩を竦めるようにしてから彼の前へ。
差し出そうとする手の前へ、赤銅色の手のひらを延べよう。
■ワルセイ・イダーヤ > 「はは、恰好をつけてしまったかな…これでも、ステッキの護身術には自信があるのだよ。
とはいえ、魔獣に襲われたらひとたまりもないがね」
そう笑いつつ、相手の手に、蛇たちの餌を乗せれば、ジナイアを警戒している蛇たちも、
餌の魔力には勝てないのか、一匹。一匹と相手の掌に首を伸ばし、食べ始める。
「ふふ、蛇を気持ち悪がるものもいるが、こうして餌を食べる蛇たちは可愛いものだろう?」
などと笑いかけながら、杖の先でつぶした毒蜘蛛を、小瓶に入れる。
「こいつの神経毒も、使い方を考えれば薬になるのだ……」
そう言って、よっこらしょと立ち上がる。そして、懐から小さなナイフを取り出す。
そして、今まで座っていた切株に生えているコケをこそぎ落とし始めて……
「よく見れば、このコケは薬の材料になるな……」
そう、真剣そのものの表情で、こそいだコケを紙で包み……。
「ふふ、このコケからはな。麻薬中毒の特効薬になるかもしれない成分が取れるのだ……
まあ、実験で使う量しか取れないがね」
そう言って、ナイフをしまう。
「ふむ、俺はこのまま、薬の材料を探すのだが……ジナイアよ。君はどうする?
もし、森から出るのなら、道案内役に一匹蛇を貸すが……」
と言って……
■ジナイア > 掌に乗せられた餌。
蛇たちが食べやすいようにと、屈み込んで手を延べてみるものの、あちらも警戒をしている様子にくすり、と笑みがまた零れる。
やがて、首を伸ばして啄み始めると、その笑みが強くなった。
「ああ……蛇は割と見慣れているが、愛でようと思ったことは無かったが…
確かに、な」
面白い、呟きながら目を細めて、掌の上を啄む様子を眺める。
そうしていながら、視界の端で毒蜘蛛を小瓶に入れる相手。
思わず、視線をやって首を傾げるか、呟く言葉にそうか、と口中で呟きを返す。
男は次には腰掛けていた切株の苔を剥がし始める。
その言葉にまた、彼の手元をじ、と暫し見つめてから、手のひらに集まる蛇へと視線を戻した。
やがて、手のひらに重みも無くなって。
引いていく蛇たちを名残惜しそうに見遣りながら、行く、という彼の言葉を耳で捉えると、屈んだまま、静かな表情で相手を見上げる。
「…キミさえ良ければ、同行してもいいかな?
小さな動物は狩る気がしなくてね。キミと居れば、『大物』に出会える気がするんだ」
言い終えると、悪戯っぽく唇の端を持ち上げて。
ゆらり、と立ち上がって
首を傾げ、耳元で金の輪を揺らして、返答を待とう。
■ワルセイ・イダーヤ > 同行してもいいかと聞いてくる相手。その言葉には、ふっと軽く笑んで頷こうか。
旅は道連れ。まあ旅というわけではないが。やはり場に女性がいた方が華やぐというもの……
「うむ。そなたがそうしたいのなら。俺に文句はないよ。
君の言う、『大物』が何を指すかは知らぬが……俺としても、人の言葉で話せる相手がいた方が、
肉体労働も少しは軽くなるというものよ」
そう言いつつ、蛇たちに蛇の言葉で指示を出す。舌を丸め、シューシューという音を口から出そう。
(この女性も守護対象だ。お前たち、しっかり守れよ。
あと、大型の動物などが居たら、しっかり報告するように)
そう蛇たちに伝えると、こくん、と一斉に首を縦に振り、森の中に散会していく。
「さて、蛇たちは案外しっかり者だから、これでいいとして……では、ジナイアよ。行くとしようか」
そう言って、森のさらに奥へと踏み出そう。そこに待つのは、薬の貴重な材料か。はたまたジナイアの言う『大物』か……
いまは、神のみぞ知る。とだけしか分からないだろうか……
■ジナイア > 男に忠実な様子の蛇たち。
彼が口から零した、彼(彼女?)らへの言葉の、その音にまた軽く目を見開いて、視線を往復させる。
一斉に頷く、その様子を見ればまた、思わずくすり、と笑みこぼして。
散会していく姿を見ていたのを、声を掛けられれば彼を振り返る。
今度は、心底の好奇心を瞳と、唇の端に昇らせて。
「ああ、ありがとう。
…私の方が、邪魔しないようにしないとな」
言い終わるとくすくすと笑みこぼして。
黒髪を揺らしながら、森の奥へと踏み出す彼に引き続こう。
果たして、目的が果たせようとも、果たせずとも。
興味深い相手との出会いは、女に取っては十分な成果だったといえよう…
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」からワルセイ・イダーヤさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/森」にゴブリンリベンジャーさんが現れました。
■ゴブリンリベンジャー > 山に住むもの海に住むもの……と住む地域により魔物に差異があるように、ゴブリンにもまた生息する地域に差異があったようで、山ではなく森林に近しい場所に生息するゴブリンには硫黄の香りをかぎ分けて、その源泉に辿り着くことはできなかったようで、既に巣と作り上げた洞窟近くの森まで戻ってきていた。
今宵の目的は狩りである。
巣の奥に閉じ込めた一族を増やすための肉塊もその子等も霞を食らって生きているわけではなく、しっかりとした食事を取らせなければいけない事に変わりは無い。
で、だ。
今その為の肉を集めるために普段はあまり多用しない自分の手で作り上げた粗末な弓と背中に矢筒と矢をもって、森の中を周囲に視線を向けながら歩いている。
勿論周囲から存在がばれてしまわないように光源は持たない。
それに身体に緑色のどこか不思議と甘い香りの草の汁を塗ることで、ゴブリンとしての体臭を隠して獲物を見つけ次第不意を打てるように備えている。
矢だって特注品だ。
憎悪の刃片の柄から滲み出す麻痺毒に矢尻を浸していて、出血させさせられれば其処から麻痺毒を流し込めるように仕込んである。
致死毒はない
その毒をくらって死んだ動物の肉なんて誰が食べたがるものか。