2019/10/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にマリアナさんが現れました。
マリアナ > 深夜、明かりとなる炎の揺らめきがいくつか森の中をさまよっている。
彼らは王国軍の小隊であり、被害報告を受けて魔物討伐を行った帰りであった。
下調べより魔物の数が多く、予想外に手間取ってしまった結果、予定していた村までは到達できないと判断し、帰路の半ばで野営の準備が始められていた。

小隊長を任じられたエルフは、そこからほど近い沢にて水場の確認中。
清らかな水辺でしか見ることのできない黒い蝶が彼女の横をひらひらと飛んで行く。

「いい森だ。」

冷徹な雰囲気のなかでも、わずかに柔らかな眼差しになる。
息を吸えば空気も爽やかに感じた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にラボラスさんが現れました。
ラボラス > (平和な土地――少なくとも外面上はそうだ。
時折魔物や害獣の被害などは発生するが、其れは殆どが
森と言う、肥沃な土地で在るが故の環境災害だ
有力な魔物が討伐された今、森は元の平穏が訪れ
既に獣達の気配も、僅かながら戻りつつ在るのが感じられた筈だ。

―――だが、暫くして。 僅かな異変が起こる。
森に慣れていない兵では、気付けぬ程の僅かな変化
其れは、其れまでは微かに鳴り響いていた虫の鳴き声が
何時の間にか、止んだと言う事。

魔物討伐を行う様な部隊に、果たして
戦場へ赴いた事が在る兵はどれ程居るのだろう
果たして、どれだけの兵が、森の静けさの中へと潜む、微かな
けれど、気付けば余りにも強烈な死の気配を、察知出来るだろうか

本来、こんな場所で感じ取っては為らない筈の、圧
其れが、森の奥へと、確かに『現れた』)。

マリアナ > 人間よりも自然に近しいエルフを蝶は気にすることなく、彼女の髪や肩に触れては気ままに飛んでいる。
エルフも同じく、まるで生まれ育った森を駆け巡る少女時代を思い出すように自然な振る舞いを見せていた。

――――屈み、手袋を外した手で掬った水を口にする。
ひんやりと冷たくなめらかなそれは女の唇を潤したが、飲み込むより前に挙動が止まった。
軍職を務める者であるからか、それとも物音や気配に敏い種族であるからか。
いずれにせよそう距離がない野営地点からまだ隊員の異常を知らせる声が聞こえないことから、異変に気づいた者は多くないのだろう。
濡れた手を払い、水の代わりに背の弓へと指をかける。

「残党……というわけでは、なさそうだ。」

日中退治した魔物は厄介な群れではあったが、連携も上手くできないような知能の獣種だった。
寄せられていた報告書にはなかったような新たな魔物が存在していたのだとしても、あれらの種とは別物だろう。
皮膚の表面をざわつかせ、足元から寒気が上ってくるような、この感覚は。
エルフはおぼろげな灯りだけが頼りの暗闇の中、目を細めて警戒しながら、少しずつ後退していく。
何かが大きく動く前に隊員へと知らせたほうがよいと。

ラボラス > (其れはまるで、死を運ぶ風の如く
森の奥より、足音も無く、木々の間をすり抜けて行く
其の向こうに在る、生者の気配を求める様に

身を潜め、息を殺す獣達と異なり
明かりを灯し、動き回る兵たちの気配は余りにも目立つ
其れまで、森の奥で蠢き、彷徨うかの気配が
後方で、異変に気付かぬ隊員の、設営が終わった都度を知らせる声が響くと同時

真っ先に気付いた女には、何も見えぬ筈の森の奥で
確かに、何かが――自分へと顔を向けた様に感じられたろう。

瞬間、気配が掻き消える。 ――消え失せたのではなく、感じ取れなくなる。
そして次の瞬間、闇から沸き上がるかの如くに女の目前へと
黒き鎧を纏った、巨躯の男が、姿を現すだろう。)

「―――――貴様が長か、エルフの女。」

マリアナ > 常に魔物の急襲の可能性はゼロではない土地だ。
隊員達とてそれは心得ている筈だが、今のところ己以外に異常に気づいた者はいないようだった。
この静かでおぞましい気配が魔物のものであるならば、おそらくは相当上位の存在だろう。
魔が住まう土地とは離れたこの場所で、何故。

息を吐くことすら躊躇われる緊張感の中、エルフの思考は最善の道を探っている。
最低限のまばたきと―――肌寒い気候にて頬を流れる汗と。
大きな動作はやめたほうがいい。
魔法も同じく、発動するまでに一秒未満であろうとも命取りになる間だ。
駆け出すことすら―――許されるのだろうか。

どこまでも静寂に満ちていながら息詰まる空気。
それをふっと断ち切ったのは、闇から生まれた男の姿だった。
咄嗟に握った弓柄を引き抜き、バッと後退った。

「っ……!!何者……」

問いかけようとした言葉は途切れ、目を瞠る。
魔族の軍隊について配布された資料に、かの男の特徴と外貌が描かれていた。
数ヶ月前の話であったこと、タナールを除けば国内でそうそう遭遇する存在ではないため、生真面目な女でも一瞬で思い出すことはできなかった。
正確なデータがある筈もない。交戦という混沌とした状況で得られた情報だけでは充分とは言えない、が。

「この清澄な土地にまで魔が侵入できるようになったのか。」

忌々しく呟いた言葉は闇に消える。
何の用向きがあっての侵攻か。出方をうかがうように。