2019/08/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。
■タマモ > ここはメグメール、自然地帯。
比較的危険の少ない、そう深くない位置にある河川の一つ。
ぽつりと輝く灯りの元、適当な岩を椅子代わりに、少女はのんびりと腰掛けている。
その手には釣竿、傍らには水を満たしたタライ、まぁ、何をしているか、なんて説明は不要だろう。
ちなみに、タライには、まだ魚は入っていない。
釣り始めたばかりなのか、ただ釣れていないだけなのか。
その辺りは、見ただけでは分からないだろう。
「ふむ…さすがに、日中は暑くとも、この時間となると涼しいものじゃのぅ。
………日中程ではない、程度じゃろうが…」
空いた手には、開かれた扇子。
ぱたぱたと扇ぎながら、ぽつりと呟く。
■タマモ > こうして、釣れようと、釣れずとも、こうした時間は悪くない。
何と言うか、こう…あれだ、心が落ち着く、みたいな?
時折、流れる微風に、髪や尻尾がゆらりと靡く。
静かに、ただ静かに、時間が流れていた。
と、不意に、ぴくん…と、耳が揺れる。
視線は向けずとも、近付いてくる気配、それを感じ取るように。
しかし、それに反応しているような動きは、一切しない。
気付いていないかのように、釣りを続けているだけだ。
さて、その近付いて来ている、何かとは。
偶然通り掛かった何者か、魚を求めやって来た何者か、それとも、他に何か理由を持ってやって来た何者か。
予想は色々と立てられるだろうが、実際にどうなのか?それは、今はまだ分からない。
■タマモ > しばらくの後、その何かが、更に近付いて来る。
木々の茂みから現れたのは、一匹の狼だった。
少女に対する警戒の気配はない、ただ、静かに側に寄って来るだけだ。
少女は変わらず、そちらへと、視線は向けない。
ただ、扇子を扇いでいた、その手を止める。
「ふむ………ちと待っておれ」
何かを察したのだろう、少女は狼へとそう言葉を掛ければ、狼は近くまで寄り、座る。
空いた手を、釣竿の糸が垂れる河川へ、すっと差し出すように向ける。
そして、その手を軽く振るった。
ぱんっ…流れる河川の水面から、何かが打ち上げられるような音。
その何かが、どさり、と狼の前に落ちる。
元気にびちびちと跳ねる、それなりの大きさを持つ魚だった。
「ほれ、持って行け、但し、静かにな?
無駄に争いを起こすでないぞ?」
ちらりと、一度だけ後へと視線を向ける。
狼は、少女の言葉の通り、吠えもせず、静かにその口に魚を咥え、元来た茂みの中に消えて行った。
それを見遣れば、ふむ、と頷き、再び釣りに集中を始める。
静かにさせたのは、吠えるのも礼代わりとは分かるが、今吠えられると、魚が逃げてしまうからだ。
そう、魚を取ろうと思えば、いつでも出来る。
少女が釣りをしていたのは、ただの暇潰しであった。
■タマモ > 適当な頃合、それを見計らうまでは、少女は釣りを続けるだろう。
その間までに、魚を見事に釣り上げたのかどうか。
………まぁ、連れた方が、嬉しいには違いないのだが…
その結果は、少女にしか分からない事で。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタマモさんが去りました。