2019/08/27 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタピオカさんが現れました。
タピオカ > 夜。
ぱちぱち、小枝が焚き火に爆ぜる音。
時々吹き抜ける風は涼しく、少し前までの熱帯夜も懐かしく感じる。
遊牧民は連なる山脈の入り口、ふもとの木立の中でキャンプをしていた。

「地図の測量のお仕事で来たけど、やる事は旅して歩くだけだから楽だなー……!」

焚き火の上に吊るしたポットから、軽くグツグツと沸騰する音。中に淹れているハーブティーの匂いがほんのりと周囲へ漂う。ギルドから請け負ったお仕事内容は、旅をしながら渡された空白地図を埋めるだけだ。旅好きな遊牧民にとってはお散歩である。焚き火に照らされる表情は明るく。

「涼しくなってきたし、秋の虫の鳴き声も気持ちいい……。
それに。――ふふっ……!大きな月……!」

焚き火の火加減をつつきながら呟くと、茂みに響く自然の重奏を耳を傾け。薄曇りが晴れてくれば、夜空に丸い月を仰ぎ。目を細めて眺め。

タピオカ > 懐から地図を取り出した。今居る場所を確かめると、夜闇に暗く沈む山肌を見上げた。
とても大きな山だから、黒い斜面から先は別世界へ繋がる巨大な穴のように思える。
もしくは、幼い頃怖がった、暗闇から突然目と口を開くおとぎ話の化け物。
今はもう、どんな敵が来ても腰に帯びた得物で追い散らす自信があるから。臆病だった過去の自分へと、ふっと小さく微笑んで山から空へ目を向ける。
月のまわりには星空があった。
夜の絨毯の上に宝石の刺繍が連なっている。瞬く星は、これからの自分の旅路のようにも見えた。
これから出会う人たちの笑顔や、再び会う人たちの笑みかけにも見える。
まれびとの国は広くて、自分はちっぽけだ。もっと自分の知らない場所に行きたいし、もっと色々な人と知り合えたら嬉しい。

吊るしていたポットを火から離し、小さなカップへ注ぐ。
ふー。息を吹きかけたら、白い湯気がふわりと夜空へ待っていく――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタピオカさんが去りました。