2019/07/24 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/川」にゼルベッダさんが現れました。
ゼルベッダ > ――…川辺を歩く、小石の混じる砂利の上を小川に沿って歩く、歩く、歩く……。

多少足取りが重いのは王都への侵入を果たせなかった所為であった。

よく考えても考えなくても全裸にローブなんて姿は真っ当じゃない事は判りそうなものだが、その辺の常識がすっ飛んでいるので解らなかったのだ。

これが召喚された身であれば、常識を理解したうえで召喚されるので、それくらいの事に気がつくはずがところがどっこい、是が野生です野性のモンスターで、その辺りの知識は全くなく、変質者として追い払われて終りであった。

さて、仕方なし冒険者の骸を漁るか街道を走る馬車を襲うと考えたのだが、まずその為に腹ごしらえをしようと、喜びヶ原にある自然地帯の中を流れる小川に来て、今丁度いい場所を探しているところだ。

「……足りない、足りない、足りない……。」

何もかも足りないのである。
衣服も食料もそれを補うための知識も知性も何もかも。

苛立ちは表情を見れば一目瞭然眉間にくっきりと皺、そんな不機嫌そうな空気すら漂わせながら歩くのだから、魚は逃げる、弱いモンスターは逃げる、鳥も逃げるし野生の動物まで逃げる、もう全てが悪い方向に川の流れの如く流れていた。

ふわさっ

歩く震動でフードが外れる、その中から現れる不機嫌顔。

両の瞳は輝きを宿し、動くたびに残光を残して薄らと空にラインを描くに至る……。

ゼルベッダ > 暫く歩くと小川を分かつように大きな石が見える。

さて、魚を捕まえようにも居ない、いや見えないだけで隠れいているだろう、とは思うけども顔を川に突っ込んで確認するのは聊か面倒である。

それならば、それならばやる事はひとつ。

歩きながらも川辺の砂利を強く踏みしめて跳躍すると大きな石の上にスタッと着地して、何をするかと言えば一つしかないだろう。

まず素足の裏で大きな石をトントンと踏み蹴って、厚さと重さをそれとなく確認すると、一歩だけ後ろに下がって冷たい川の水に足を入れて、再びジャリと砂利を強く踏みしめると同時に右腕を大きく振り上げ、空気を思いっきり肺に吸い込みながら、身体を半身に捻った後に……

ブゥン!!

と拳を思い切り石に向かって振り下ろす。

技術も何も無い、ただ力任せの振り下ろした拳は避けない相手に対して見事命中すると、同時にゴーンッと良い音を響かせて、打ち放たれた拳と岩がぶつかり発生する衝撃が小川に響いていく。

その数秒遅れて、川のあちこちで魚が浮いてくるか否か。

衝撃の一部が拳に戻りビッリビリ痺れる中、手をふりふりっと痺れを振り払うような仕草をしながら辺りを眺めて確認をするのだ。

ゼルベッダ > 渾身の一撃で見事魚は……浮いてきませんでした。

殺気だった気配、と呼ぶべきか不機嫌な気配と呼ぶべきかそんな気配に魚も逃げ出した後のようで……。

空振り

不機嫌さを輪にかけて不機嫌に為りながら
歩き出すのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/川」からゼルベッダさんが去りました。