2019/05/22 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」にジナイアさんが現れました。
ジナイア > 差し込む太陽の光も疎らな、背の高い木々が立ち並ぶ森の奥深く。
春と夏の陽気の中間、温いような気候の中、辺りは緑の香りが濃く漂っている。
地面は落ち葉の合間から新緑とシダ植物が蔓延り、聳える木々の幹には、しがみつく蔦植物ごと深い緑の苔に覆われつつあった。

そんな、差し込む光の少なさから花を咲かす植物も少ない、緑濃い森林の中を、灰色のマントを纏った人影がひとつ。

「……良い気候になった」

灰色の人影――長い黒髪、赤銅色の肌に翠の瞳の女は、呟きを漏らすと不図足を止めて、天井を見上げる。
緑の層の合間から零れる光の角度から、太陽は中天を聊か過ぎたあたり。夕刻の手前といった頃だろう…
王城で顔見知りになった学者に頼まれた植物を探して、やや当てもなくうろついて早、半日と言った所。
…そろそろ引き揚げても良い頃合いかもしれない…

ジナイア > 春の陽気な鳥の囀りは遙か木立の向こう。
女が一歩、進むごと、辺りに湿った小枝を踏む鈍い音が響き渡る。
落とした視線は、踏み出すそのやや前方を探る。
学者によると、倒木の下からひょろりと顔を出している事が多いと言っていた…
その、倒木を探して翠の視線が彷徨う。

「……あちら、かな…」

奥深い方、更に光が届かない、闇濃い方へと、密かな音を響かせながら歩みを進める。
漂う緑の気配が強くなって、女は深く、息を吸って、溜息のようなものを零す。
当て所もなく彷徨うのも、この空気の中ならば、悪くない…
そう、内心で呟いて、熟れた唇は笑みを浮かべた。

ジナイア > そうして、鈍い足音を響かせながら
森の暗闇の奥へと、灰色の人影は溶け込んで行く…

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森林」からジナイアさんが去りました。