2019/03/14 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森の奥の泉」にぼたんさんが現れました。
■ぼたん > 昼間は春の光に包まれて、冬眠から覚めた動物たちと共に木洩れ日に穏やかな風景を晒していた広葉樹の森。その奥深くにある小さな泉のそば。
夜ともなればまだ寒さが漂って、その移り変り様で一層しんと静かだ。丈の高い木々に囲まれたそこは、まだ弱い月光がやっと届くほどの闇。そうして時折遠く聞こえる夜鳥の鳴き声が届くばかり…。
そうして静かに沸き立つ泉に、ぱしゃん…と水音が響く。
目を凝らせば泉の中央に、闇の中でうすらぼんやりと浮かび上がる黒髪の女の白い裸体。泉から水を掬っては肩口に掛けて…を繰り返して、そっと憂鬱そうな溜息を付いた。
■ぼたん > 泉は女の太腿までの深さ。幾度かそうして肌を濡らして、そこにそっと屈みこんで胸元までを浸した。水紋が女を中心に広がって、泉の傍から水中へと延べられた繁みが静かに揺れる。
女が間近の水面を見つめて瞬きすると、墨色の瞳から黄緑の光が零れた。
「……」
そっと、息を吸い込んで、ぱしゃんと頭までを浸す。
暫く、沈み込んだまま時が経って…やがてすうと女が身を起こして、また大きく水紋が広がった。
■ぼたん > 胸元まで水に浸かったまま、顔を下から撫で上げる様にして雫を払う。光の零れる目を何度も瞬かせ、濡れそぼった黒髪がぺたりと白い肌に貼りついて…黒い毛皮の耳が一層目立つ。
それを震わせて飛沫を散らしながら、雫を零す前髪をかき上げて後ろに撫でつけた。
地下から湧き出る泉は、不思議と冷たくはない…寧ろ外気に晒される肌がぞくりと粟立って、肩を少し、震わせる。
…まあ、生暖かいよりは良いのだけど…
そう心中で零す。夜鳥の声がまた聞こえてきて、それに反応するようにまた、黒い耳が飛沫を散らす。
■ぼたん > ゆるりと立ち上がって、また大きな水紋を作りながら水辺へと歩く。尻から落とされた厚ぼったい尻尾で文字通り尾を引いて、肌を伝う雫が闇の中にちらちらと月光を反射した。
岸にに近づけば水べは浅くなる。ふくらはぎまで外に出た所で、大きく尾と頭を震わせる。飛沫がまた大きく散って、繁みにはたはたと音を立てた。
「あァ…さっぱりした」
木に引っ掛けていた黒い厚手の布を引きずり下ろすと、頭から被って身体を拭いながら、そっと言葉を零す。その合間から覗く瞳から黄緑色が絶え間なく零れ落ちて、闇夜に火垂るのようにちらつく。
■ぼたん > (…さて、獲物を探しに行かなけりゃ…)
瞳が憂鬱そうに翳る。そうして闇色の布を身に纏うと、女は密かな足音と共に木陰の間へと姿を消す……
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森の奥の泉」からぼたんさんが去りました。