2019/03/09 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 滝」にぼたんさんが現れました。
■ぼたん > 花冷えの夜、ごくごく細い月が真っ黒な空の中天に掛かる頃。
獣の声もほんの時たま交わされるだけの森の中で、小さな川が見上げる断崖から滑り落ちる滝つぼ近くだけは、低く、時折高く空気を震わせている。
飛沫を散らして更に流れゆく川端に不図、生い茂る草を描き分けて人影が現れる。人影は暫く川端に佇んでから、滝つぼへと首を巡らせた。
「風と水の、におい……」
呟きを漏らすと、その双眸から緑色の光が少し零れて、闇夜にちらりと火垂るのように揺らぐ。
■ぼたん > ほんの少し首を傾げると、ほてほてと特に緊張感もない足取りで滝の方へと川端を歩いていく。白い女の顔がぼんやりと闇に浮かび、黒髪と――黒い毛皮の耳は、闇にまた溶け込む。
時折墨色の瞳から緑色の光を零しながら足元を注意深く見て、滝の飛沫が掛かるほどの傍へと辿り着いた。
「………奇麗だね」
闇の中、飛び散る飛沫は光を集めたように輝いて散っていく。それに目を細めて、しゃがみこむと水面を見つめて、次に覗き込んだ。
■ぼたん > 揺れる水面は、暗いばかりで水紋が辛うじて判別できるくらい―――の筈だ。
それでも女は水面を覗き込んだまま、くすりと笑みこぼす。
「……相変わらず…」
仕方ないなあ、とくすくす笑いが混じった声で肩を震わせて、やがて白いふっくりした手をマントの間から伸ばし、水面へ差し込んだ。そのままゆっくりと掻きまわして水紋を乱すと、楽しげに更に笑って手を引き上げる。
手を振って飛沫を散らして、しゃがんだ膝に頬杖を付くとまた水面へ視線を落とした。
■ぼたん > (たまになら悪くないね……)
心中で呟くと、微かな溜息を落とす。
次にはよっ、と声を掛けて立ち上がると、緑色の光をを零す瞳で周囲を見回す。
腰をぐるんぐるんと回して、腕を片方ずつ回して、最後にぱん、と両手で頬をはたくように包んだ。
くるりと踵を返す。黒い毛皮の耳がぴこぴこと忙しなく動くのを抑える様に撫でつけてから、大きく深呼吸をして。
低く空気を震わせる滝つぼの音は、冷えた空気にいっそ染み入るよう―――
(……朝までに、帰れるかねえ…)
ほてほてと歩みを進めて再び叢を分け入って、森の中へ姿を消した。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 滝」からぼたんさんが去りました。